オジサン外飲みイマジナリー。俺はこのオジサンたちと飲みにいきたいッ!

 この写真、私には「外飲みで調子良くなったオジサンたち」に見えてしかたがありません。すっかり気持ちよくなっているオジサンに、ちょっと飲みすぎて頭痛くなってきてたオジサンも。自分もこのオジサンらと飲みたい。
 オジサン。それはいくらでも定義のしようがある言葉ですが今回は「仕事と家庭とを奔走する者」とか「子に人生の主役の座をゆずった者」とか「身体のどこかが痛くて常に調子悪い者」とか、このような要素をかかえた中年男性を指すことにしましょう。そう、私のことです。
 そんなオジサンにはオジサン同士でしか分かち合えない憂いがあります。その憂いをこのキットの箱絵を見たときにビンビン感じたのです。こいつらとなら、オジサン外飲みイマジナリーの世界に飛び込めるぞッ!と。

 初めて手にする中国メーカーのプラモデルは、ランナー1枚で完結のアニキ4体セット。

 
 サクッと形になりました。まず、精密なディティールに驚きです。メガネのアニキは確かにメガネをかけているッ! さけるチーズを手にしているオジサンもいるッ!
 この4名の憂いあふれるオジサンみ。課長、係長クラスの管理職にしか見えません。中央の上級管理職に無理難題を指示されて、現場で頭を抱えているのかの様。「なんか色々キビしいけど、可能なかぎりで良い仕事にしていきましょうよ」とか言ってそう。そんな何かツラそうな彼らをハッピーな世界に連れ出せるのが、モケイの自由さというものッ!

 ということで、まずは芝生マットを厚紙にはりつけて芝プレートを作ります。カッターで厚紙切って、両面テープでサッと貼りつけ。

 芝プレートの大きさは、ノートPCのキーボードを大地にできる程度で。芝の緑が目にやさしいー。

 芝プレートをノートPCにフィットさせ、オジサンたちを鎮座させます。そしてGoogleが開発したバーチャル地球儀システム「Google Earth」を起動。え? これじゃあキーボードが操作できない? そっとズラせば良いのですよ。そっとズラせば。

 Google Earthが立ち上がったら、虫眼鏡アイコンをクリック。注目コンテンツ「世界各地の素晴らしいハイキングコース」をクリック。ガイドツアーにゆだねて、オジサンたちと旅立ちましょう。もちろん酒を片手に。

 ここはフランス、高さ1,200mの頂上に建つモンセギュール城です。13世紀の宗教団体の拠点でしたが、今ではその歴史にふれながらピレネー山脈の壮大な景色を楽しめるそうで。ピレネー山脈を眺めながら遺跡で外飲み。良いですね―。ここではワインを飲みたいぞ。

 ここはアメリカのグランドキャニオン。いくつもの難所を乗りこえてたどり着ける絶景だそうです。それはビールがウマそうだ。そう、ガイドツアーでは360°ビューアに加えて、土地やトレイルの歴史、そこから見渡せる情景をテキストで補完してくれます。おかげでオジサンたちと飲む酒が、妄想が、イマジナリーが高まるというもの。
 なお、Google Earthのガイドツアーは現在、欧州〜中東に限った案内となっています。ならば日本も含め、外飲みベストプレイスを探すイマジナリーの旅には限りはないと言えるでしょう。合わせて、リアルで酌み交わし、憂いを晴らす機会が少なくなってしまった友人、知人の「あのオジサンたち」へ、思いを馳せる機会ともしましょう。
 では以上、皆さんに良き酒がありますように。エンジョイッ!

ダテツヨシ

「つくる」をテーマに、世間話をしています。

これぞ俺のプラモ突貫工事!! 最後の仕上げも「筆塗り」 で豪快に滑走路を爆誕させる。

▲2022年に最初にできたプラモは「滑走路」でした

 2022年最初に完成した模型が地面になるとは、思ってもいませんでした。板だけが入っているICMのすごい商品「滑走路用コンクリートプレート」、ここに完成です!!!

▲黒→ダークグレイ→ライトグレイの順番で筆塗りして、味のあるコンクリプレートにしてみるぜ!!

 エアブラシなどで綺麗に仕上げてもよかったのですが、ベースってハケとかでガシガシ塗るのが楽しいと思っているので、豪快に筆塗りで行くことにしました! 撮影した時も陰影がしっかりしていて味があるほうが映えるかなと思い、筆ムラ上等で塗り上げていきます!!!

▲塗るべし塗るべし!!! 筆のムラなんて気にしないぜ〜〜
▲汚い!!! でもこれがJustice!!!

 この筆ムラ!! これでも最後にまとまると思います……。きっと!塗っている時はめっちゃ不安だけどね!!! 黒が乾いたらダークグレイ、ライトグレイを重ね塗りしていき、グラデーションができるようにします。

▲よいしょ!!!
▲もういっちょ!!!
ARAWAZA!!!

 もう場末の滑走路の爆誕です。ここまで30分。とにかく筆を動かすのが楽しいです。

▲プラモ界の隠蔽職人、推して参る!!!!

 GSIクレオスのMr.ウェザリングカラーは筆ムラとめちゃくちゃ相性がいいんです。筆塗りしたところにこれを塗ればなんとかなってしまいます。むしろムラとマリアージュして独特の雰囲気を生み出すので超おすすめです。まずはグレーのトーンを落とすのにグランドブラウンを塗ります

▲茶色汁はみんなの友達。筆ムラを仲間はずれにさせないぞ!!! むしろ筆ムラとマリアージュして旨味倍増するのがグランドブラウン

 グランドブラウンは超万能色。茶色く汚して楽したい時はまさに最強の塗料です。

▲コンクリートにマルチホワイトを塗れば、なんでもシロくなる! 風化した雰囲気が出てかっこよくなるぞ

 コンクリートや石垣の風化や、果てはタイヤの溝の白っぽくなった雰囲気まで表現できるニクいやつ。それがマルチホワイト。こいつが本当に最高のアクセントになってくれます。茶色く染まったコンクリートプレートに白が刺さることで、さらに雰囲気が良くなりますよ

▲うすめ液で馴染ませてしまえば、これまでのことも綺麗さっぱり隠蔽よ〜〜

 最後の仕上げはやっぱり草です。自然界では放っておけば滑走路に生える草ですが、模型界では僕らが生やしてあげなければいけません。僕らが花咲か爺さん!!

▲鉄道模型のKATOが取り扱っているスピードボンド。こちらをプレートの繋ぎ目に塗ります。スピードボンドは乾くのが早いので、数カ所塗ったら塗るのをやめて、草をかける動作に移ります
▲KATOの繁茂・深雪ボトルは中に草や雪のパウダーを入れて、ベースにふりかけるもの。ボトルを振るとボトル内のパウダーが静電気を帯び、ふりかけたパウダーがベースの上でフワッと立ち上がります。これで草をふりかけて〜
▲余分な草をタミヤのクリーニングブラシで払います。静電気防止タイプなので、こういった作業にとても向いています
▲できた〜〜!!! めっちゃ嬉しい
▲草が多い場合は、草むしりしようね

 本当に久しぶりに作った滑走路。完成してめちゃくちゃ嬉しい!!! 草の色とか量とか、コンクリートプレートの色など色々反省点はありますが、ま〜ここからでも修正可能だし、またこういったベースを作るときの大事な経験になったと思います。汎用性あるベースが一つあると、模型が完成したときの撮影も楽しいですよ。2022年、あなたがこれから作る模型のためのお立ち台をぜひ作ってください。それでは!!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

プラモデルのジャケ買い/ハセガワのドイツ軍仕様 D.520の話。

 買うプラモが決まっているのも楽しいけど、何があるかわからないプラモ屋さんで端から端まで棚を眺めるのも同じかそれ以上に楽しい。ふと目に飛び込んだこのハコなんて、そういう探し方をしなければ絶対に出会わなかっただろう一品だ。少し黄色い雲と赤みがかった空の青。そして、「こんなに鼻の長いドイツ機があるか!」と直感的に思わせる、機体のシルエットとマーキングのミスマッチ。
 右下のタイトルを読んでようやく得心したのは、これがフランスのドボアチーヌ(……というのはハセガワ表記で、ドボワチンとかデヴォアティーヌなんて発音も一般的だ)という飛行機メーカーのD.520をドイツ空軍が接収して運用していたものだということ。

 フランス機というのはどうしてもちぐはぐな色の迷彩塗装が悪さをしているイメージが強くて、それがどうにも好きになれなかった。しかしどうだろう。ドイツ機のシュッとしたカラーに描かれたパッケージアートに導かれて手に取り、パーツを眺めてみれば、ロングノーズ・ショートデッキのスポーツカーのようなスタイリッシュさだ。なるほど、カタチだけではわからないこと、色だけではわからないことがあるもんだ。ならば、ハコの絵のとおりに塗ってみよう、と心がひとところにカチッと定まる。

 キャノピーのマスキングシートは市販のものを携帯からすぐさま注文して手に入れた。矢も盾もたまらず、即座に組み立てる。1/72の単発レシプロ機というのはかなり小さいので、几帳面に作ろうとするとなかなか骨なのだが、いまやりたいことは「すぐにシルエットを見たい」「すぐにハコと同じ色に塗りたい」というふたつなので、そのようにする。オレのプラモを、オレのスタイルで組む……というのは、いつだって楽しくて仕方ないことだ。

 細かいことを考えず、指定の色を使って筆で塗る。下地はサラッと黒いスプレーを吹いておいたが、その上に黒を塗りつぶさない程度にガサガサと塗料を乗せれば、タッチが出るだろうと信じる。例えば塗料の濃さとか筆の運び方を「スジ彫りのなかに塗料が入り込まない感じ」みたいに決めておくと、全体が同じような雰囲気で塗れることに気がつく。例によって例のごとく、こんな塗り方は初めてだし、うまくいくかどうかも自信はない。でも、未知の領域に踏み込んでいるときは無邪気な興奮がある。

 茶色と黄色も同じように塗っていった。色の境目はボヤボヤで、近くで見ると薄青もムラがありすぎてとても「うまい模型」には見えない。焦るけど、「デカールを貼れば絶対に大丈夫だ」と自分を落ち着かせる。このルートで山を登ったことはないけど、周りの景色は確実に山頂に近づいているから歩いている道は間違っていないぞ……という、不思議に冷静な感覚。こんなスタイルの模型作りだって、なんどかやれば、きっと慣れるはずだ。

 大きめのデカールをバシッと貼って、空をプリントアウトした紙の前で記念撮影。ためつすがめつしてみると、箱絵はこのプラモよりも随分とスマートに、手前と奥の翼の長さやひねり具合もデフォルメして描かれていることがわかる。とは言え、この模型は「惚れた絵に最短距離で近づきたい」という気持ちをすごくストレートに叩きつけることができた。この感覚はいままでになかったものだし、とても気に入った。またこんな素敵な絵に出会えたら、次も似たようなスタイルで迫ってみよう。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

傍の男は時代を超える。/ICM 1/24 ヘンリーフォード & Co.

 ファッションというのは「着飾る」という要素が多分にある気がしますが、そういう流行りとは少し違う様子の世界があって、日常と地続きなフィールドで繰り広げられる面白い領域もあります。かつて、ある名物店主が「冷蔵庫の卵を買い足すように、自然に買う服」というものすごいスローガンを立てて独特のセレクトをしていましたが、そういう、日常に寄り添う服というのがクローゼットに残るものだという優れたコンセプトだったなと思います。
 そのような服装のデザインをどこから持ってくるのかというと、前衛的でも華美でもない衣服からの抽出が非常に多いです。ミリタリー物をマイルドに落とし込んだりするものもそうだし、それとは別の作業着的なものをデザインソースにしているものもあったりして、写真に写るとしたら決して主役ではない人たちの服装を現代に蘇らせて、雰囲気のいい服を作っているブランドがちらほら。

 写真の傍にいるような存在という意味ではキットの名前ですら「仲間たち」といった意味合いでモブのような扱いになってしまっているICMのヘンリー・フォード&Coのメカニックの男性はまさにそうでしょう。この男性、クラシックな開襟シャツにデニムと思しきオーバーオール、ハンチング帽とついつい我々が想像する古めかしい整備士そのものの姿をしていますが、顔がとても良い。正確にいうと首回りまで。胸像として完成させてしまってもなんら違和感のなさそうな首の角度や顔つきにはとても驚きました。ICMは1/32だとか1/16でもそうですが、本当に良い顔つきの男性のフィギュアを作ってくれます。

 この整備士としては「時代遅れ」とか「ちょっと古い」といわれる頃をとっくに過ぎたような服装がゆえに時代を超越した感じがあり、どの時期の、どんなタイプのカーモデルにも似合ってしまう魅力があります。頼り甲斐のあるポーズはなんでも直してしまう天才整備士といった風貌でとてもいい雰囲気です。

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

すべての人に優しいプラモ/エアフィックスのティーガーVSシャーマンの足周りにシビれる!

 寅年だからティーガー!というのは今年1000人くらいのモデラーが提唱していることなのですが、激しくコスります。いやはや、なにはともあれこのパッケージですよ。戦車界のシャアザクとガンダムの対決セット。もはやプラモで紅白歌合戦と言っても良い最強と最強の組み合わせ。しかし安い!目玉が飛び出るぜ……。これが完全新規金型のバリバリ新製品で、さらに両方ともとんでもない内容だと知ったら、アナタもすぐに欲しくなるはず!

 1/72の戦車模型では足回りのパーツが細かくなりすぎるので、組みやすさを優先してこんなふうに転輪が一体になっているなどの工夫があります。履帯(キャタピラ)もコマがバラバラなのではなく、ある程度まとめてワンパーツになった「部分分割履帯」と呼ばれる仕様。なるほどこれは組む人に優しいしディテールもカチッと決まって楽しそうですね〜、なんて思いながら袋を開封していると……。

▲なんかもうひとつ、完成した足周りがごっそり入ってるじゃないですか!

 まあね、ドイツ軍の戦車というかティーガーというのは転輪の枚数がむちゃくちゃ多くて複雑に噛み合った形状だからこんな工夫もさもありなんですね(本当か!?)。じゃあセットになっているシャーマン戦車のほうはどうなんですか。こっちはさすがにフツウでしょ?と思いながらさらにランナーをしゃぶるわけですよ。

▲うわー、できとる!!

 こちらもメーカー曰く「組み立て済み」の(正確には無理やりワンパーツで成型した)転輪と履帯が左右それぞれまるっと用意されています。切り出して車体にバコンと接着すればハイおしまい。そんなお気楽なモデリングもいいんじゃないすっかね……という提案がここにあり……。

▲もちろんバラバラで立体的に構造が再現された足周りも同梱。
▲ワンパーツでは表現できない「左右に立つ歯」がこちらではきちっと再現されておるわけです。
▲これが全部入りなんですよ!

 なんとこのキット、ふたつの戦車に加えて接着剤も塗料も筆も入ってる「ギフトセット」な内容。さらに時間と手間のかかる足周りの組み立てにはEASYモードかHARDモードかを選べてしまうという素晴らしいおもてなしもされていて、もはやおせちと見紛うばかりの絢爛なアイテムとなっております。ビギナー/ベテランを分けることなく、その日の気分でどちらを使ってもいいのよ〜というプラモの開発は当然コストがかかるわけですが、こうやってイギリスのアニキが真心込めつつ安価に提供してくれるっていうのはホントにいいもんですね。ということで今年もやっていきましょう。そんじゃまた。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

情景ベース最高のアクセントは「草」にあり! 草原が滑走路を引き立てる!!

▲板だけの滑走路に、緑を植えてみるぞ!

 滑走路用のプラ製コンクリートプレートが1枚ずつじゃらじゃら入っているICMの板のサーカスこと「1/72 ソビエト 滑走路用コンクリートプレート」。こちらを使って汎用性ある飛行機の台座を作ってみる企画。今回はパッケージにも描かれている「草」を植えてみようと思います。地方の飛行場などで見ることができる景色ですね~。

▲こちらのスピードボンドは、ベース製作の時にすごく役に立つのでおすすめです
▲今回は滑走路脇の草原を作ってみます。プレートの間から生えてきてる元気な雑草たちはまた今度
▲まずは滑走路脇に空けておいたスペースに、紙粘土を盛ります。100円ショップ買ったものです
▲粘土を盛る高さは、隣の滑走路の厚みと同じくらいにしています
▲粘土が乾いたら、塗れば何でも地面になる最強塗料「タミヤ情景テクスチャーペイント 土 ダークアース」を塗ります。一気に地面になったでしょ

 100円ショップの紙粘土と、タミヤの情景テクスチャーペイントのコンビがいれば簡単な地面はすぐ作ることができます。本当に粘土を盛って、形を整えて、塗料を塗るだけで地面ができるのでぜひやってみてね。それでは本題の「草」に行きましょう!

▲土の上に、ボンドを薄~く塗り広げます。木工用ボンドを水で溶いたものでOKです

 誰でもお手軽にふわふわの草を表現できるツール&マテリアルとしておすすめなのが、KATOの「繁茂・深雪ボトル」と「日本の草原」です。草原をボトルに入れて振ることで、草原パウダーが中で静電気を帯び、地面に振りかけたときにふわ~っと草が立ち上がります。超簡単にナイスな草の地面ができるんです。

▲ヨドバシカメラでもらった大きな買い物袋。この中にベースを入れて、草を振りかければ、ほかの場所に飛び散らないし、そのままゴミ袋として活用できます
▲ボンドを塗る、ボトルを振る、草原を振りかけるの3アクションで見事に滑走路脇の草原が表現できました!
▲ほんのちょっと緑が入るだけで、これだけ雰囲気よくなります! 緑はプラモ撮影のなめものとしてとても良いです
▲滑走路ぽくなってきましたね~~。完成までもう少し!

 ICMのプラモの箱絵のように緑を配置したことで、一気に雰囲気がよくなりました。今回の工程で一番時間がかかるのが粘土の乾燥時間だけで、あとの作業は道具さえそろっていれば30分くらいですべて完了します。模型のベースに緑を配置すると、途端に表情がよくなるので、ぜひチャレンジしてください。それでは~~~。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

2022年の初売りは「タミヤカタログ」を持ってホムセンへ行こう!!!

タミヤカタログ2022のリンクはこちらをクリック!!

 新年あけましておめでとうございます! 2022年もバンバンプラモを楽しんでいきますよ!
 新年のお楽しみといえば「初売り」。そしてプラモの品定めをブーストしてくれるお供として「カタログ」があると、初売りがさらに楽しめると思います。そんな存在として最強のカタログともいえるのが毎年発行される「タミヤカタログ(スケールモデル編)」です。商品の魅力がビンビン伝わってくるきれいな写真とレイアウトで構成されており、ページを開くたびにプラモが欲しくなる&作りたくなるやばいカタログなのです。これをもってプラモを買いに行くのもよいのですが、このカタログを持ってホームセンターに行ってみると、2022年のあなたの模型写真が大きく変化すると思いますよ!

▲車の下のパネル上のシートかっこいいい! これ何?
▲パンチボード&化粧板の組み合わせ!かっこいい
▲本??? めっちゃおしゃれじゃん

 タミヤカタログ伝統の必殺技「イメージカットの小物」が炸裂しまくっているんです。かっこいい小物と、配置バランスをこのカタログを見ることで吸収することができます。

▲岩なのか!? でもっかこいいぜ
▲砂漠風の台座に、また岩!? いや、木?? どっち!?

 このタミヤカタログをもってぜひホームセンターに行ってください。今まで目に留まらなかった岩や木、ボードなどが模型のお供に見えてきますよ! あなたが作ったプラモの良さをひきたてるヒントが満載のタミヤカタログ2022(スケールモデル編)、ぜひゲットしてみてね~~。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

福来る?ハッピーな干支のプラモデル

 ハッピーニューイヤー!たまごんだよ。
 今年の目標は親知らずを抜くことだよ。

 2022年の干支はトラ。英語だとタイガーって言うんだって。せっかくだし干支にちなんだプラモデルを作ってみたくなって、模型屋でたまごんが手に取ったキットはタミヤ 1/48 タイガーⅠ 初期生産型です。

 新年、そして寅年と聞くと思いだす漫画のタイトルがあります。かつてモデルグラフィックスで連載されていた小林源文先生の「ハッピータイガー」。日本人の主人公が紆余曲折を経てドイツ軍の一員となり、タイガー戦車に乗って活躍する架空のストーリーが描かれています。

 この漫画で主人公が乗るタイガー戦車の砲塔には逆さになった「福」の文字。これは倒福(とうふく)と呼ばれるもので、中国の春節の飾りなどでよく見られる幸運のおまじない。「福が来る」という意味の「福到了(フーダオラ)」と、「福が逆さになる」という意味の「福倒了(フーダオラ)」が同じ文字(読み方はちょっと違う)だったことから生まれたものです。
 実はこのタミヤのタイガーのキットにも、逆さまになった「福」の文字のデカールが付属しているのです。実際に倒福マークを貼って戦線に出ていた機体もいたのですね。

 タミヤの1/48タイガーといえば、nippperでも何度か取り上げられている王道キット。今回選んだタイガーⅠは、1/48MMシリーズ内でも最初期のリリースでありながら、カリッカリの彫刻とユーザーフレンドリーなパーツ構成が楽しめる一品。戦車模型の好きな点は、難しいことを考えずにパーツをランナーから切り離し、流し込み接着剤を使って組み立てていけばあっという間にカタチになるところ。タミヤの精度の良さに全体重を預けながら一気に組み立てます。

 改めて考えると干支が一周するには12年もかかるんですよね。寅年の今年はタイガー戦車を作るには12年で1番適しているのではないでしょうか?そんな旬なキットをとびきり「ハッピー」に塗り上げることにしたのです。

 2022年もプラモデルを愛するみなさまに、たくさんの福が訪れますように。

たまごん

ごく稀に真面目にプラモデルを作るらしいが、基本的には酒の力を借りながら夜な夜なミキシングでモンスターを生み出す等の活動に力を入れている。

nippper.comで2021年に読まれた記事ベスト10を発表します。

 昨年5月に爆誕したnippper.comですが、おかげさまでとんでもない量の記事をドロップすることができ、皆さんにもたくさん読んでいただいております。プラモって、おもしれーなー!と思う人がひとりでも増えてくれたら、そして普段プラモを作っている人にも「へーそんなのあったのか」というのが伝わっていたら幸いです。

 さて、今年生まれたnippperの記事(約1100本!)のなかでも人気のあった10本はどれだったのか、というのを振り返ってみましょう。まだ読んでないのがあったら周りの人にシェアしてください。

第10位

 組んだ瞬間おかわりしたくなる強烈な精度とシャープネス!タミヤの技が冴え渡るフェアレディ240ZGは静岡ホビーショーでの速報からすでに大変な注目度でしたが、実際に組んでみるとその素晴らしい内容にかなり驚きました。3日で塗装〜組み立ても夢じゃないこのキット、ぜひ手にとってください。

第9位

 ハセガワの1/48 F-22ラプターへのラブレター。いわゆる「アイマス機」をきっかけに開発された本キットですが、でろーんとしたアウトラインからは想像もできない「中身とガワのシンフォニー」が本当の意味で楽しめる最高のプラモです。このキットを組めば、ラプターというモチーフの持つ魅力が120%味わえること間違いなし。超オススメの飛行機模型です!

第8位

 せっかく最初からプラスチックに設定どおりの色がついているガンプラ。サーフェイサー(下地塗料)ですべてをグレーにしてしまうのはなんだか遠回りだな……ということで、シタデルカラーのちょい塗り仕上げを今年はたくさん楽しみました。そんなときに水性塗料をガッチリ定着させてくれる上に見た目もシックにキマるのが水性プレミアムトップコートのつや消し。これを下地塗料代わりにすれば、プラスチックの成型色を生かしながらガンガン筆塗りでゴージャスな完成品を量産できちゃいます!

第7位

 今年発売されたカーモデルの中でもぶっちぎりで複雑な構造をとんでもないパーツ構成で再現したタミヤのマクラーレン セナ。好みの缶スプレーを2本用意して、ただひたすらパーツを切って貼っていけば、目を疑うような完成品が手に入ってしまうというこの事実をキミは信じることができるか!?

第6位

 ビーバーコーポレーションから発売されたハニカム入りのダンボール製塗装ボックス。いわゆる塗装ブースではないので排気機能のないただのハコ……なんですが、用途とシチュエーションによってはしっかり使えることを正直レビューしています。ベランダでシコシコ塗装しているそこのあなた!コイツの導入も検討すると吉!

第5位

 サムネイルが強すぎたのか、ハセガワの赤城に貼る本物の木でできた飛行甲板シートが大バズ。たしかにこれを塗装でリアルに見せるのはなかなか大変ですが、買ってきて貼るだけでこんな風合いになるなら試してみたくもなりますよね!ということで、甲板に木を貼れるキットを探してみませんか!?

第4位

 水性塗料の筆塗りはいつだって人気コンテンツ。なかでもGSIクレオスの「アクリジョン」は通常の水性ホビーカラーとどんな違いがあるのかなかなか説明が難しく、この記事を目当てにやってくる読者もたくさんいらっしゃいました。希釈のしかた、発色の具合……ぜひとも御覧ください!

第3位

 プラモと直接関係なさそうでも、プラモライフを充実させるためのあれやこれやをモリモリ紹介したいnippper。100円均一ショップで買える意外なアイテムが猛烈な人気となりました。スマホで映画やアニメを見ながら、快適モデリングタイムを楽しんじゃいましょう!

第2位

 水性塗料なのにバッキバキに光り輝くメタリック塗装が楽しめてしまうファレホのメタルカラー。みんな大好きK.O.G.に塗って試してみたら、とんでもなく高貴な完成品が仕上がってしまいました。トップコートの相性についてもしっかり紹介していますので、ぜひとも金属色の選択肢に入れてください!

第1位

 今年発売された模型用ツールの中でもぶっちぎりの話題になったガンダムマーカー EX ガンダムメッキシルバー。キャップを外してプラモの表面にウワ〜っと塗り拡げるだけで、自分の顔が映り込むほどの鏡面に仕上がるとんでもない塗料です。どれぐらいビッカビカになるのかを動画でも紹介していますので、見た瞬間模型屋さんにダッシュしましょう!

 今年はツールやマテリアルだけでなく、キットの紹介もいくつかランクインしてちょっと安心。そしてスケールモデルがある程度元気に見えているとすごく嬉しいな、というのが感想です。年間1000本以上の記事をドロップしているnippperなので、ランキングやPVが全てではありません。来年も、ふと訪れた人に幸せな出会いをおすそ分けできるように、世の中にあるありとあらゆるプラモと、プラモを食べながら暮らす人達の視点とか気持ちとかをていねいに記事にしていきたいなと思っています。
 みなさま、今年も一年間ご愛読ありがとうございました。来年も、nippperをよろしくお願い致します!

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

英国からやってきた「スピードボンド」がお悩み解決! ディオラマ製作にとっても便利な接着剤で滑走路を作るぞ。

▲ICMの板のサーカスプラモで滑走路を作るぞ〜〜

 滑走用のコンクリートプレートが1枚ずつじゃらじゃら入っているICMの板のサーカスこと「1/72 ソビエト 滑走路用コンクリートプレート」。こちらを使って汎用性ある飛行機の台座を作ってみようと思います!!

▲キット紹介はこちらからどうぞ
▲プラモの箱を開けるとこんな板がジャラジャラ入っています。横36.2cm、縦21.6cmまでのベースを作ることができます

 こちらのプラモを、そのまま置いても味気ないので、木の板に貼ろうと思います。最近木の板でお気に入りなのが、100円ショップに売っているちょっと高級ラインの竹のまな板です。価格は税込550円。まな板なんで持ち運びしやすいように取ってもついています。

▲竹のまな板。色艶も良くて綺麗なので、ニスなどを塗らなくても様になります
▲板を流し込み接着剤で接着してつなげます。意外と接着剤の流し忘れなどがあったりして、何度もバラバラになりました。こういう作業苦手です

 次に木のベースにしっかりとプラパーツを接着します。木とプラって何で接着するの? 瞬間接着剤だと位置決めとか難しいし……そんなあなたにはこちら「スピードボンド」をオススメします!

▲KATOさんに呼ばれてイギリスからやってきました。私、名前がど直球の「スピードボンド」です

 英国でボンドと言えば『007』のジェームズ・ボンドかスピードボンドです(鬼嘘です)。スピードボンドは英国のデラックスマテリアルズ社の製品で、それを鉄道模型でもお馴染みのKATOが国内で販売しています。ベースやディオラマを作る際には本当に便利なボンドで、紙、布、木、ウレタンフォームの接着、プラパーツを木材などのベースに素早く接着が可能という多機能性を持っています。乾燥時間も10分程度あるので、位置調整も問題なく行えます。乾燥後は透明になるので、接着箇所が目立たないの良いです。

▲木工ボンドのような使い心地。この白いボンドが乾燥すると透明になります。厚塗りしなくてもきちっとくっつきます
▲プラ板とまな板がボンドで合体!!!「板のロワイヤル」!!!!

 スピードボンドのおかげでさくっとミッションクリア。まな板に滑走路のプレートを接着することができました。スピードボンド、本当に便利です。後はプレートのところをウェザリングカラーとかで汚せば一気に滑走路が爆誕しそうですが……まな板の手前にスペースを作ってますね〜。ここにもう一手間加えてさらに見映えが良くなる滑走路にしようと思います!!! それでは!!

 

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

花金だ!仕事帰りに買うプラモ。2021年に読まれた「花金プラモ」ベスト10発表!!!

▲2021年もありがとうございました! 2021年最後の花金は、2021年花金ベスト10をお届けします!!

 週末が模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でご紹介している「花金プラモ」コーナー! なんと2021年最後の金曜日が大晦日!!! ということで、2021年で読まれた本コーナーの記事ベスト10、つまり「花金Best10 2021」をお届けします。2022年のプラモ初めにもピッタリのプラキットばかりですので、ぜひこちらを読んで2022年のプラモスタートの参考にしてください。

第10位

▲1959年に制式化、1960年から生産が開始された車両。ベトナム戦争での活躍からこの車両の歴史がスタート。スーパーロングセラーで世界中の軍隊で運用されています。本キットは2003年のイラク戦争の状態をモデル化しています。荷物がゴテゴテ着いたこの姿に痺れるプラモです!

第9位

▲タミヤのミリタリーミニチュアシリーズでリニューアルされた新キット「1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.377 ドイツ軍 Sd.Kfz.2 ケッテンクラート中期型」。西ヨーロッパ、ロシア、北アフリカとドイツ軍の戦場のほとんどにいた車両なので、他のプラモと気軽に組み合わせて景色を作ることができます。フィギュア素晴らしいです

第8位

▲花金コーナー初のキャラクタープラモを扱った記事が第8位! アニメ「境界戦機」プラモを初めて作ってみたいという人には、このビャクチはデザインもかっこよくてオススメです

第7位

▲ランナー1枚の中に、ドイツ軍を代表する傑作機「Bf109E-4/7 TROP」が閉じ込められているプラモ。1時間もあればとてもカッコ良いBf109が机の上に爆誕します。価格もすごくお手頃です

第6位

▲中国のメーカー「橘猫工業」によってアレンジされて令和の世に誕生したテッカマンブレードのプラモ。全高約22cmという大ボリュームと、ムキムキバキバキのブレードを楽しめます

第5位

▲トラックの後ろに乗っているガラの悪そうなアニキたちの完成度がやばいプラモです。1/48の他の戦車の上にも載せられるので、フィギュアセットとして購入しても良いプラモです

第4位

▲第二次世界大戦、祖国を勝利に導いた象徴T-34-85を、タミヤ最新の成型クオリティで楽しめるプラモ。1/48スケールでも迫力あるシルエットを味わえます。砲塔の鋳造表現にうっとりします

第3位

▲こちらもランナー1枚に飛行機がピシ〜っと収められていて、少ない時間で一気に組み上げられるプラモ。最高の週末キットです。D-9は本当にかっこいい戦闘機なので、ぜひこの組みやすいキットで、そのシルエットを味わってみてほしいです。激うまです

第2位

▲悲劇の原子力潜水艦クルスク。表面のディテールがとにかく素晴らしい!! めちゃくちゃ簡単な艦船模型ですよ!! このランナーだけで完成します

第1位

▲この名キットが第1位なのが個人的にもめちゃくちゃ嬉しいです!! タミヤの1/72コルセアは組みやすさ、シルエット共に最高レベル。日本軍と激戦を繰り広げた逆ガル翼の傑作機を、ぜひ味わってください

 2021年も毎週金曜日にお届けしてきた「花金プラモ」。新商品だけでなく、模型店にある定番プラモも自分の知識としてもっと取り入れたい、そしてそれを組んだ僕の感想を通して、みんなと模型店にある様々なプラモを楽しんでいきたいな〜と思ってこの連載を始めました。2022年も毎週模型店に行って、自分の目で見て組んで、写真を撮影して「花金プラモ」をお届けしていこうと思います!! 2022年も私の独断と偏見に、ぜひお付き合いください!!! プラモ最高!!! 良いお年をお過ごしください。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

「シタデルカラーの最強バリア」を手に入れろ!!! 水性プレミアムトップコートは最高の相棒です。

▲僕たち、実は仲が悪いんです
▲シタデルカラーの圧倒的塗りやすさで1時間もかからずに大体塗れたぞ! ウェザリングカラーを使って汚したいけど、この上からウェザリングカラーを塗るとシタデルカラーが溶けちゃうんですよね。悩ましい

 塗料の伸びの良さと隠蔽力の強さ、そして速乾性の高さでとても使いやすい水性塗料「シタデルカラー」。僕も大好きで愛用しています。先日、シタデルカラーを塗った場所にそのままMr.ウェザリングカラーを塗って、専用うすめ液で拭ったらシタデルカラーが溶けてしまいました。完全に油断していました。シタデルカラーは、日本でスミ入れやウェザリリングに使用されるエナメル塗料の溶剤とは相性が良くなく、溶けてしまいます。だからこそシタデルカラーにはシェイドカラーという専用の物が存在しているんですね。でも……全国の模型量販店で取り扱っているウェザリングカラーやエナメル塗料でも作業したいですよね! そんな時、nippper激推しのあのトップコートスプレー「水性プレミアムトップコート」があれば大丈夫。このスプレーがシタデルカラーと抜群の相性の良さを秘めています。

▲僕が来たからにはもう安心。仲直りしてね
▲ 水性だからシタデルカラーを溶かすことなくしっかりとコートしてくれます。これでウェザリングカラーやエナメル塗料を使ってもシタデルカラーが溶け出すことはないぜ!!!
▲おりゃ〜〜〜〜!!!バシャバシャ塗っても問題なし!!!
▲溶剤でじゃぶじゃぶ洗ってもノーダメージ!!!
▲国内の量販店で手に入りやすいウェザリングカラーやエナメル塗料で今日から汚し放題です!!

 これでシタデルカラーを塗装した後でも好き放題できます。特におすすめは「光沢」です。つや消し、半光沢、光沢の3本の中で一番塗膜が強く保護されます。またシタデルカラーは塗装がなめらかなつや消しになりますが、光沢スプレーを吹くことでツヤを加味することができ、表情も変化させることができます。つまり塗膜を保護しながら、つや消しが基本のシタデルカラーに光沢や半ツヤなどのツヤ表現も与えることができるという一石二鳥な方法なのです。水性プレミアムトップコートのおかげでさらにシタデルカラーでの表現の幅が広がりますので、ぜひこの最高のバリアを活用してください。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

見てから作る?作ってから見る?自衛隊車両プラモの楽しみ方

 「あの店のニンニクラーメンを食いたい」ではなく「お昼何食べよう?」というノリでプラモを選ぶことってありません?私はよくあります、いつもそうです。先日も模型店へ行き「今日はちょっとタイヤのあるプラモを食したい気分かな?」と商品棚を眺めていたら、タミヤ&ファインモールドのダブルネームで発売されている偵察バイク&高機動車セットがあり、「そういえば基地祭でこの車両の写真撮ってたな」ということを思い出したので買うものが決まりました。
 陸上自衛隊の高機動車は災害派遣のニュースでも見かける事も多く、駐屯地の基地祭では体験乗車をやっていたりと比較的身近な車両。これはファインモールドが2014年に発売したプラモで、東日本大震災後ということもあって災害派遣のデカールも入っており、時代を反映した感じでなかなか良いです。

 自国の現役車両なので形状はバッチリだし、モールドもシャッキリとしていて「これぞ現用装備」という感じの端正さがあるのですが、高機動車の車内に入った時に気づく内側から見える外装パネルの裏のモールドやフチの折り返しや補強用の丸穴等々、「実物を取材しました」と感じられるのが本当に良い。
 取材で”全部見た”からなのか、足回りは何もないフレームにサスペンションベースを組み付ける構成でパーツは多めなのですが、落ち着いて作業すればバチピタで組み上がるし、細いパーツが組み合わされる事でガッシリとした足回りになっていくのは、こういう車両プラモの面白いところです。

 キャンバストップ(幌)の窓パーツは柔らかいビニール製の窓を再現するために波状の凸凹になって幌のシワと繋がるように造形されているのですが、これも糊代部分の形を変えることで接着場所を間違えないようになっていて、裏から接着したあと表から見ると幌と窓のシワがきれいに繋がっていてテンション上がるし「本物と同じだ」と声が出るくらい。
 塗装はクレオスのC518「OD(オリーブドラブ)色2341」で塗装。ミリタリー系車両としては珍しく「半ツヤ(半光沢)」なのですが、これが実車のツヤの感じそのままだったので汚しは行わず、基地祭で展示されているようなきれいな状態にして完成です。

▲幌と窓のシワが自然に繋がりつつ、素材の違いも感じられるところがイイ

 デカールは4種ありますが、部隊表示とナンバープレートの番号が別に付属しているので、各地の部隊車両にもできます。今回は自分の撮った実車の写真を見ながら作っていたので撮った時のことも色々と思い出し、デカールを貼る頃には「この写真の車両を再現するのが一番アガるよね」ってことで、付属の数字デカールを切り貼りして「自分の知っている(撮った)車両」にしてみました。
 実際にやってみると「どこかにあるかもしれないモノ」から「実体のある身近なモノ」へと存在感が激変するので、「実際に見たものを作る」というのは思っている以上に楽しい。よく見かけるけど詳しくは知らなかった自衛隊の車両ですが、プラモを作るときは個々のパーツに向き合いながら作るので、プラモを作った後に実物を見ると「実物もプラモと同じ形だ」という逆発見があります。みなさんも、ぜひ。

角材

軍艦や軍車両・装備の俺得な細部写真を撮ったり、ユルユルと模型を作ったりする人。 地方在住なので流行や情報に取り残されてますが、辺境から眺める景色も悪くないかなと。

2021年、nippper.comで紹介したらめちゃくちゃ売れたアイテムランキング上位10個を公開します。

 nippper.comでは今年もいろんなプラモやツール、マテリアルを紹介してきました。で、中の人が「うひょ~!」と興奮してレビューしたのが読者の皆さんに伝わると「私も使ってみよう」となるわけでありまして、Amazonとか量販店とか近所の模型屋さんで目当てのものを購入する……という流れができておるわけです。
 ということで、今年紹介した数多ある商品のなかから「これはマジでよく動いた……」というアイテムの上位10個をご紹介します。どれも鉄板すぎるアイテムですのでこれからプラモを始める人、プラモ作ってるけどもうちょっと便利にしたいぞという人はぜひともゲットしてください。また、それぞれのアイテムを紹介した記事も一緒に掲載しておきますので、使い方はそっちを読んでくださいね!

第10位

▲クリアーパーツ接着の超強い味方!粘度が高めで硬化スピードが速いタミヤの「多用途接着剤 クリアー」は、最近のタミヤ製プラモの説明書でも標準装備として指定されていますよ!

第9位

▲コンパウンドなしでクリアーパーツをギランギランに光るところまで磨き込める神ヤス!の高番手シリーズ。番手の低いセットも抜群の使い心地でスタメン入りを超おすすめしています。

第8位

▲極薄なので「貼ってからカットする」というときにも貼った上からディテールが確認できるマスキングテープの革命児!ほんのちょっとした違いなのですが、これがあるのとないのとではプラモの作り方が大きく変わります。

第7位

▲汚し塗装の仕上げやツールのお手入れにバッチリのキムワイプ。毛羽の立たないティッシュのような使い心地で、模型表面にイヤな繊維が付着しないし、エアブラシのカップにもゴミが混入しません!

第6位

▲塗装の焼付や速攻乾燥はもちろん、デカールを秒速で軟化させて曲面や回り込み部分にも自在に対応できるようになるヒートガン!くれぐれもパーツの変形や火傷には気をつけながら使いましょう。安いのにすごく使用頻度の高い優れた相棒です。

第5位

▲昨年もランクインしていた神の雫!塗装を侵さない、クリアーパーツを曇らせない、はみ出たところは水で拭き取れる……といいことずくめの素晴らしい接着剤です。乾燥時間はちょっと長いですが、ナーバスになりがちな模型の最終仕上げにガンガン活躍してくれます。

第4位

▲デカール貼りが驚きのスピードで進行するアイディアグッズ!もはやこれ無しでのデカール作業は想像がつきません。まだ持ってない人、絶対に買いましょう。すっごいです。

第3位

▲塗装ブースや作業机を照らすライトは”演色性”と”明るさ”がマジで重要。高演色で照度もあり、消費電力も抑えめの高コスパLEDバーライト、こちらです。とにかく扱いやすいし品質も最高なので、これまた爆裂レコメンドです。

第2位

▲小さなプラモもルーペで巨大にすれば普通の人より細かな作業がスイスイ進みます。ついでに視界が明るくなるのも嬉しいポイント。老眼が始まってなくても、ヘッドルーペで模型は5倍うまくなります!

第1位

▲GSIクレオスのウェザリングカラーの蓋に筆をくっつけることができる!というアイテム。こちらは2年連続堂々のトップでした。家にあるウェザリングカラー、コイツで全部筆付きにしちゃいましょう。

 かゆいところに手が届くアイテム、そしてプラモ作りに時短要素を持ち込めて手の届きやすい値段のものがぎっちり集まりました。果たして来年はプラモシーンにどんなブームが起こるのかワクワクしつつ、我々nippper編集部も模型店やホームセンターなどあらゆるところに目を光らせ、片っ端から試していきたいと思います。みなさんのタレコミもお待ちしておりますよ〜!そんじゃまた。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

お好きなボディカラーで召し上がれ!タミヤのカーモデル最新作「GR 86」は、やっぱり安心の組み心地でした。

 カーモデルのパーツ色はさながらおみくじ。ハコを開けてみて、イメージ通りの色ならなんだか嬉しいし、白だったら「どんな色に塗ろうかしら!」と思えます。グレーのものもあったりしますが、可能なら「最初からイメージカラーになっているキット」も限定販売してくれたりするといいなぁ、なんて思うこともしばしば。
 さて、タミヤの新作GR 86は白ボディでした。これから発売されるBRZとはフェイス以外ほとんど共通なので、ボディパーツもちょっと意外な形状をしていますね!

 しつこく書きますが、タミヤの最近のプラモはとにかく「ノリシロ」が見どころ。窓やライトのクリアーパーツも昔はパーツの縁同士でドキドキしながら貼り合わせるシビアな設計のものが当たり前でしたが、こうしてパーツの縁に大きなベロが出ている設計なので、ボディパーツにビタッと合わせてからお好きな接着剤で余裕の工作ができちゃいます。とくにカーモデルはクリアーパーツの仕上がりが全体の印象に大きく関わるので、こういうおもてなしがあると本当に嬉しいし、失敗のリスクもぐっと少なくなりますね。

 上品な半艶の黒パーツもビタビタの精度で成形されています。現代のクルマの内装はだいたいが樹脂パーツですから、組んだだけでかなり雰囲気が出ます。こまかな塗り分けの指示もあるにはあるのですが、こうして貼り合わせて眺めるのもいいもんです。
 ちなみにGR 86はドアの内張りのところに差し色が来るのですが、ここは白いパーツが用意されているので好きな色に塗ってOK。このパーツもノリシロが巨大なので、塗ってからドカンと貼るのにも神経使わなくて済みます。ありがたいな〜!

 リアコンビネーションランプはちょっと複雑な形状で繊細な塗り分けが必要なんですが、ちゃんとカット済みのマスキングシートが入っています。全体をクリアーレッド(今回は発色が素晴らしく色むらになりにくいGSIクレオスのGXクリアールージュを採用。これホントにブレーキランプ塗装の革命だわ……)で塗ってから、マスキングシートを使って黒い部分を再現しています。

▲タミヤ公式の完成見本写真(https://www.tamiya.com/japan/products/24361/index.html

 左右のコンビネーションランプの間に走る黒いラインがこのクルマのかなり大きなキャラクターとなっているのですが、残念ながらここはトランクリッドと一体で白成形。うまく塗装するのがちょっと難しいので、ここだけは黒パーツが用意されていても良かったかもなぁ、と思いました。

 ということで、白いパーツはプラスチックのまま、ひたすらパチパチ貼り合わせて完成〜。エンジンルームもばっちり見せられるナイスな仕様です。実車にも白の設定はありますからこのままでも楽しいし、白いパーツだけを缶スプレーなんかでお好みの色に塗ると「オレのクルマ!」になってくれます。組み立てに難しいところはありませんから、カーモデルにトライしてみたい人はこのアイテムから始めてもOKでしょうし、少しの塗装でぐぐっとよくなるポイントも非常にたくさん散りばめられています。
 「いつもどおりにやりたいことだけ楽しむ!」もアリですし、「どこか一箇所、いままでにやったことのない工作や塗装にチャレンジしてみよう!」という人にもフトコロ深く対応してくれるナイスプラモ。ぜひとも買って、その優しさに触れてください。そんじゃまた!

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

顔の染め塗りねるとん対決!! いつものフレッシュにちょっと待った〜〜〜!!!

▲タミヤのかっこいい1/48 ドイツ兵アニキ。全身を白で塗って、肌を染め塗りしちゃうぞ

 nippperでこれまで度々ご紹介してきました「肌の染め塗り」。これは普通の塗料でベタ塗りすると難しい肌の塗装を、シタデルカラーのスミ入れ塗料にあたるシェイドカラーを使ってお手軽に良い雰囲気に仕上げてしまおうというもの。レイクランドフレッシュシェイドという塗料を、白を塗った上から塗ると塗料が勝手に凹凸に流れて、陰影がついた状態で全体が染まります。肌の塗装が苦手な人にとってはまさに最高のテクニックです。その肌の染め塗り塗料にレイクランドフレッシュとともにとても良い塗料があるのでご紹介します!!!

▲さ〜〜真っ白になったし、いつものレイクランドフレッシュシェイドさんのところにお嫁に行くべさ〜
▲「ちょっと待った〜〜!!! 私は染め塗り専用塗料「シタデルコントラスト」からやってきたグィリマンフレッシュ!! 僕を使ってください!!!」「なんだなんだ?」「距離が近いのよ」

 やってきたのはシタデルカラーの染め塗り専用塗料「シタデルコントラスト」。ウォーハンマーのゲームで多数のミニチュアを塗装する際、染め塗りはとても便利。同じ下地色を塗り、コントラストカラーを塗るだけで、手っ取り早くいい感じに大量のコマを染め上げることできます。このコントラストシリーズに人間の肌にピッタリの色「グィリマンフレッシュ」があります。これがまた最高なんです。

▲「うわ!? どっちも手を差し伸べてきたぞ!! 中の塗料は同じ様に見えるけど…」
▲「論より証拠!!!とにかく俺を振りまくってくれ!!!コントラストはめちゃくちゃ振った方が良いぜ!!!」
▲うわ〜〜〜濃厚!!! 1撃で染まった!!! これは凄い
▲これからよろしくお願いします

 さすが染め塗り塗料。一撃で肌が発色します。しかもスミ入れなど影を描く塗料ではないので、彩度もあり肌艶の良いフレッシュを手軽に塗ることができます。レイクランドフレッシュシェイドは、2〜3回必要で、さらに回数を重ねると色味が沈んでいく傾向がありました。こちらのコントラストは、重ねる回数を多くすると色味は濃くなりますが、色が沈んでいくことがほとんどありません。

▲コントラスト1回 VS レイクランドフレッシュシェイド1回。これだけ染まり具合に差があります

 そもそもシタデルコントラストって何だろう?って方は、まずこのグィリマンフレッシュを1本買ってください。肌の染まり方が綺麗で、染め塗りの楽しさを体感できると思います。おそらく1本買えば、こぼさない限り2年間は使えると思いますよ。超おすすめです!!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

二重反転式ローターの迫力!/ロシア製万能ヘリコプターのプラモデル。

▲上陸作戦を支援する感じのパッケージアート。

 ヘリコプターというと、日本国内でも目にする事が多い航空機。消防ヘリ、報道ヘリ、ドクターヘリなど様々なところで使われているってのがミソなわけですが、それらは大抵メインローターとその回転によるトルクを打ち消すテイルローターを備えたシングルローター機。しかし世の中には見た目にも面白い二重反転式ローター式のヘリコプターがあります。メインローターが上下二段構えとなっていて、それぞれ逆方向に回転してトルクを打ち消すというメカフェチ的にも面白い機構なのです。
 ロシアの航空機メーカー、カモフ(現在はライバルでもあるミルと合併しロシアンヘリコプターズとなっています)が得意とするのがこの二重反転式ローターであり、カモフが設計したヘリコプターはほぼこの機構を踏襲してて一目でカモフの機体と分かる程の特徴を持ってます。むしろカモフ以外でこの二重反転式ローターを採用してる機体を探すほうが難しいぐらい。
 そんな二重反転式ローター大好きカモフが設計したカモフKa-29ヘリックスBのプラモデルを組んでみましょうか!ご当地らしくズヴェズダ製のプラモです。

▲機体が左右真っ二つなのが分かりやすいパーツ構成。

 実機は基本型Ka-27をベースとし、救難ヘリや対潜ヘリなど様々なバリエーションが存在しています。このキットは(パッケージには書かれてないものの)Ka-29と呼ばれる輸送攻撃ヘリ。ヘリックスというのはNATOコードネームと呼ばれる西側が勝手に付けた名前。ちなみに民間用のKa-32は日本のアカギヘリコプターが一機導入しており、日本国内で目にする機会もあるといえばある機体なのだ。ズヴェズダのキットは他にも救難ヘリバージョンなどのバリエーションキットがあります。

▲凸リベットがなんともいえない無骨さを演出。

 箱を開けるといきなり飛び込んでくる凸リベットの嵐。いやあこれは気持ちよいぞ…!よくよく見るとパネルラインも凸モールドだったりするのでちょっと古いキットだという事に気付くわけですが、露骨なまでに深いハッチのディテールなどのメリハリがとても気持ちよく感じます。とはいえ…

▲スリットにかかるように押し出しピン跡がある…!
▲タイヤを見てみると結構ハデな型ズレが。

 ちょいとインターネットで調べてみると大元は1997年のキット。これはなかなか古いキットですな……?! 現行のキレッキレのズヴェズダ製品をイメージしてるとちょっと肩透かしを食らうので注意。海外製品はよくパッケージ替えて旧キットを再販したりするので調べてみるのは大切なのですね。

▲とはいえ組めないわけじゃないぞ!
▲複雑なローター基部もわくわくするな!

 説明書もロシア語と英語の併記のみだけどなんとか頑張って組んでみる。スタブウィング(ロケットポッドなどの武装を吊るす短い翼の事)の支柱が梱包時に潰されて折れ曲がっちゃってたのでプラ棒に置き換えちゃってます。ネットで実機の画像は出てくるからそれも参考にしながらなんとか組めたんですが……、いや組み上がると超絶かっこいいんだコレが。二重反転式ローターの特徴でもある短いテールブームや高さのあるローターのお陰でコンモリとした不思議なシルエットを描いておる。コンパクトな機体故に機体サイズが制限されやすい海軍が重宝しているのも納得です(背が高いのが難点だけどね!)。

 まあなんでこの機体かというと単純に僕が好きなんですよ二重反転式ローター。カモフは戦闘ヘリのKa-50とかも作っていますが、僕はこの寸詰まりなKa-27ファミリーが好きなのです。いつか作ってみたいなーと思って模型屋で見かけて「その時がきた!」と思ったんですが、なかなかどうして苦戦しつつ好きな機体ならなんとかなるもんです。ぺぺっと塗装して仕上げちゃおうかな!時には面白いもんですぞメイドインロシアなヘリコプター!

内藤あんも

1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。

成型色コーディネート賞をあげたい。ヘキサギアのアーリーガバナーVol.6

 映像研には手を出すな!が、プライムビデオで見放題になっていたので休みの日に特に何をするでもなく眺めていました。NHKの最初の放送は深夜でしたが、このアニメ、朝に見るととてもいいですね。
 ミリタリーものに少し関心があると浅草氏のハットやリュックに目が行くと思いますが、なんかそういう背中に荷物を背負った感じの人のプラモデルはないのかということで、ヘキサギアのアーリーガバナーVol.6を買ってみました。程よいモブ感と、特徴の無い装備が特徴といった見た目とは裏腹に箱を開けてみると気分が良くなる成型色の連発でした。

 Taupe(トープ)と呼ばれる茶色がかった灰色がありますが、まさかプラモデルでこの色を見る日が来るとは思わなかった。絶妙な灰色感が素晴らしい。茶色と灰色の間にあるこの感じ、土臭くなりすぎず品がある。戦車や飛行機なんかでもこの色の成型色のプラモデルが欲しいです。

 そして、オリーブ。これも良いオリーブです。最高です。明るすぎず、かといって暗く沈んだ色だと重苦しくなるとことをいい具合に落ち着かせています。作らずとも先ほどのトープ色のパーツと組み合わさると調和する色味になっていることがよくわかる。

 顔はうすだいだいの綺麗な色。今年はたくさんフィギュアを塗りましたが肌の色がとにかく大変でした。これだけ綺麗だと目や口、髪の毛を塗装すれば良い感じになりそうです。しかもバリエーション豊富。

 組み立て自体は1時間もかからないくらいで終わるかと思いますが、とにかく組み上がったときの各成型色のコンビネーションの美しさが最高なんですよねこれ。バイザー一体型のヘルメットをかぶせてしまえば顔は塗らなくても良いので「顔を塗らないで良いぞ!」と言いたいところですが、それよりなによりこのヘルメットを被った姿が思った以上にかっこいいので、顔の塗装ができる人にこそ「バイザー一体型のヘルメットをかぶせたバージョンもかっこいいぞ」と言いたいです。
 というか、目が隠れるぶん見る側が表情を良い感じに補完するので、却ってどんなポーズでも似合いますねこれ。

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

仕事が納まったら筆塗りだ。「年末年始のヒコーキ模型早作り」。

▲2021年もお疲れ様。今年あったことを色々思い出しながら筆を動かす年末も良いものだ

 小スペース、自分の目の届く範囲のステージで繰り広げられる模型完成までのミュージカル。筆塗りは僕にとってそんな感じ。ひとアクションでの変化の仕方が目と指先からダイレクトに伝わる。はみ出さない様に呼吸を止めて筆を動かすときは、まさに劇中の緊迫シーンの様。心臓がバクバク。うまくいくと思わず大きく息を吐いてしまうほどだ。

▲僕は筆塗りをしていると、思った様な雰囲気にたどり着かない感じに必ず直面する。昔はくそ〜って思ったけど、今は大丈夫。筆ムラや塗料を抉ってしまったところは後でどうにでもなる。乾いてから塗れば大丈夫さと焦らずまったりやるのだ
▲2021年からこの手袋をつけて筆塗りをすることにした。指紋をつけたりして模型を汚す危険を減らすことができる。でも自分は手袋を外した時にうっかり触ってしまい指紋をつけてしまうこともある。そんなトラブルが起きるのも自分の模型だと理解していれば、まぁ〜しょうがないなという気分になる
▲筆のタッチを変えたければ筆を変えてみればいいのさ〜

 僕はせっかちだから、ついつい同じ筆(または同じシリーズの筆。例えばタミヤのモデリングブラシPROIIシリーズだけで塗る)でいろんなところを塗り込んでいこうという「ゴリラ塗り」をしてしまう。同じ筆でタッチを変える様な器用さは僕にはなかったのだが、重ね塗りの際に「筆を替える」という単純なことをしただけで、表面に異なった筆のタッチが生まれ、雰囲気がとても良くなった。そんな経験をすると筆に対する見方も変わるもんだ。

▲クリアーカラーは塗装表現の幅を広げてくれるから、本当に大好き

 僕は筆塗りをする際に、クリアーカラーでその模型のシチュエーションにあった色を表現するのが好き。今回塗った零戦はお外で撮影しようと決めていたのと、空の色を受ける零戦のイメージが好きだったので、タミヤアクリルのニュートラルグレイにクリアーブルーを少量混ぜたものを最後の重ね塗りの際に各パネルの中央とかにちょんちょんと塗った。そして下面は影になるので、スモークを混ぜたニュートラルグレイを塗って影で暗い雰囲気にしている。普通の塗料を混ぜると塗料が濁ったりしてこの様な表現が難しいのだが、クリアーカラーなら塗料を濁らすことなく青みや赤み、暗くしたりできるのでおすすめ。

▲デカールを貼る瞬間は筆塗り塗装のハイライト。デカールのシャッキリ感が模型をピシッとまとめてくれる。だからデカールを貼るまで筆塗りを諦めないでね
▲最後はMr.ウェザリングカラーのグランドブラウンで各部を汚す。ウェザリング塗料と筆塗りの塗面は相性が抜群。ウェザリング塗料は僕と模型の仲人になってくれる
▲雲と夕日を背景に入れて、カメラのシャッターを切る。模型が完成してよかったと本当に思う時間

 グレー一色だったプラモが、1日で僕のステージからお外へ飛び出した。僕はこんな感じでガシガシとダイナミックに塗っていく筆塗りが大好きだ。短時間で思いっきり模型を楽しみ、完成させることができると、これからの自分にもなんか自信がつく。今日はめっちゃやれたな〜って。そして明日も楽しもうって僕はなる。僕は早作りでスイッチが切り替わるようだ。まぁ模型が一つ完成すると何かあなたの中でも気持ちが切り替わると思う。年末年始、ざっとなんか完成させることでまた違ったプラモの楽しみ方が見えると思う。仕事が納まったらあなたなりの方法で一気にプラモを作ってみようぜ!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

いつでも、どこでもプラモデルを作りたい。

 年末は母の実家に行こうと思っている。母の実家は東北の方で、天気予報によると最近は毎日雪が降っているようだ。おそらく外に出ることもなく、家の中でのんびりする年末になるだろう。うーむ。何をしようか。家の中で出来ること……。そうだ、プラモデルを作ろう。僕みたいな人間は毎週のようにプラモデルを買って、作っている。だけど、いつでも、どんなとこでも、やっぱりプラモデルを作りたいのだ。
 プラモの箱を小脇に抱えて持って行くのもいいのだが、洋服やお土産と一緒にプラモデルと工具を宅急便で送ってしまうことにした。プラモデルの箱は手荷物で持って行こうとすると嵩張るが、宅配で送るには四角いので収まりがよくていい。塗料やエアブラシは持っていけないけど、それ以外の工具は無印良品のコスメボックスに入れて送ることにした。

 送るプラモデルはタミヤの1/48 ドイツ空軍クルー冬季装備・ケッテンクラートセット。雪の上でもガンガン行けそうなケッテンクラートと寒そうなドイツ兵たちのセット。雪景色を窓から眺めながらこのプラモデルを作る年末が今から楽しみだ。
 これで年末の準備も整ったし、帰省する前に東京でのプラモデル納めに何か作ろうかなぁと思ったら、あ……、工具も一緒に送ったのだった。プラモ作れないじゃん……。
 こんなこともあろうかとSDW HEROES信長ガンダムエピオンダークマスクver.を買っておいたのです。このプラモはスナップフィットなので指でもパーツが外せるのだ!助かった今日もプラモが作れる!


 帰省先でプラモ作りたいみんなは工具は送らずに、ブラックジャックみたいにコートの下に肌身離さず持っているようにしようね。

もとぴ

東京在住。世界を理解するための糸口としてプラモデルを制作中。趣味の記録や思索のためにnoteも書いています。


 

ブルータス見て、バストールのプラモ塗る。昆虫色はクリスタルカラー重ね塗りが面白い。

 BRUTUS(ブルータス) 2021年12月15日号は昆虫特集。南米に生息する「オオニジダイコク」という綺麗な虫が、バシッとした白背景で表紙を飾っておるのですが、この虫、以前私がPLAMAXのサーバインを塗装する時に参考にした虫ではありませんか!

 私は結構プラモ脳なので、魚とか虫とか派手なキノコとかを見るとつい「その時、ふと閃いた! このカラーリングは、プラモの塗装に活かせるかもしれない!」とか思ってしまうんですが、今号のBRUTUSを読み進めてもそう。ふと目に止まったオオセンチコガネというピンクのような、マジョーラカラーのような、不思議な色の虫!これを見た瞬間、この虫はバストール……!と思って、家に保管してあったバストールのキットを急に作り出したのでした。キッカケってこういうことか~~。

▲私、オーラバトラーで一番好きなのはバストール。たまに再販されますよ。

 さて、昆虫っぽい色の塗装をするのに個人的に気に入っているのが、クレオスのクリスタルカラーというラッカー系塗料。これを、エアブラシで重ね塗りして、グラデーションをつける手法が好きなのです。クリスタルカラーはとてもユニークなメタリック塗料で、黒系の(明度が低い)下地だとメタリック粒子が派手に発色し、白系の(明度が高い)下地だと粒子が地味に発色してパールコートのような質感になります。昆虫の写真をよ~く観察しながら、フィーリングで色を重ねていきます。実験大好き。

▲フィニッシングサーフェイサー1500ブラックをエアブラシで吹きました。

 メタリック塗装はより平滑なツヤ有りで下地を仕上げることで、よりメタリックらしい光沢を得ることができますが、今回は敢えて艶消しのサーフェイサーを下地に使い、艶消しメタリックな方向で塗装してみることにします。乾燥するのが早いので……。

▲次に満遍なくクリスタルカラーの「ルビーレッド」を吹きます。めちゃいい色!
▲次に、四肢の先の方にだけ「トパーズゴールド」を吹きました。ゴージャス!
▲最後に、ゴールドを全部潰してしまわないように、四肢の先にトルマリングリーンを吹きました。ちょっと地味な変化か?

 狙った色とはかなり違う色にシフトしましたが、これはこれで面白いのでヨシとします。クリスタルカラーは重ね塗りしてどんな色が出てくるか予測しづらいので、逆にそこが面白いですね。この偶然(アクシデント)から得られるものが、いきあたりばったりモデリングの醍醐味であります。

▲コクピット周りは緑がイイよなやっぱり。

 クリスタルカラーはエアブラシ推奨と書いてありますが、無理やり筆塗りしてみます。筆ムラ不可避!そこで逆に、筆ムラで模様を書くようにして塗ってみます。私はイイと思いますよ。

▲できました。バストール、とぶ。

ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。

筆塗り激推しカンパニーが出したホワイトブラシって何だ!?

▲シタデルカラーを買いに行ったら白い筆が売られていた。これって何だ?

 英国のゲームズワークショップが発売する水性塗料「シタデルカラー」。水だけで希釈や洗浄ができる手軽さと、伸び&隠蔽力の強さでとても愛用しています。ゲームズワークショップは、塗料だけでなく筆も販売しています。柄が黒くて、中には高級な天然毛を使用している高級筆もあります。その筆のコーナーに2021年春頃に新作が登場していました。全くノーマークで、「なにこの筆? デザインも良いな」と見た瞬間思いました。しかし、量販店で最初見たため何の説明もないし、ただ置いてあるだけ。これでは僕も買えません……。ですので、先日ゲームズワークショップの直営店・ウォーハンマーストアの神保町店で聞いてきました。この筆なんやねん!

▲毛先のまとまりが凄い! 鋭く、薄くまとまります

 こちらはベース筆と言って、シタデルの筆の中では「ベタ塗り」をするのに適している筆で、ガンガン基本塗装を塗っていける部類です。数種類のサイズがありますが今回ご紹介する「L」「XL」は平筆のような形状で、筆先が斜めになっているのが特徴です。斜めになっているので、筆を立てると細い線や細かい塗装もそれなりにできてしまう優れものです。ここまではこれまでのシタデルの筆と同じです。
 この筆がこれまでのシタデル筆と決定的に違うのは「完全な人工毛である」という点。環境面や材質の手の入りやすさなどを考えると人工毛で良い筆が作れることに越したことはありません。そのような企業倫理が見え隠れする筆でありますが、性能が悪かったら誰も買いませんよね。でも筆塗り激推しカンパニーが出す筆なのだから中途半端な筆ではないはず!早速使ってみましょう。

▲筆の腰はナイロン筆などにたまにあるぴ〜〜んって返ってくる感じではなく、柔らかめで、塗る面に優しく追従してくれそうです
▲曲面にしっかり追従します。塗料の含みも良く、手数少なくガンガン塗ることができます
▲シタデルカラーを使用して全体をざっと塗ってみました。5分で約15cmくらいのSFバイクの本体の色を変えることができました

 筆のコシが天然毛の筆に近い感じで、曲面にもすごく馴染みます。筆の表面がつるんとしているので、塗料は滑る様にジャンジャン出ていく感じがしました(塗料を薄くしすぎると滑り台を滑るようにさ〜っと塗料が放出されていく感触です)。そして塗っていてとても快適だったのが穂先が常にピシッとしてくれていること。この形状記憶力のおかげで常に同じ様なタッチで塗ることができます。

▲この斜め筆最大の特徴は、筆を立てれば細い筆に早変わりすること! 細部もある程度なら塗っていけます

 先ほどの穂先のまとまりの良さにより、斜め筆の先端は薄くピンととんがっていてくれます。ですので細部を塗ったり、奥まった部分への塗装に威力を発揮します。この人工毛筆の特徴と斜め筆は相性がバッチリです。

▲塗りやすい筆とシタデルカラーの速乾性があいまって、15分でここまで塗装を楽しめました。続きもこの筆でガンガン塗りたくなります
▲塗装後、筆を洗浄。筆先もご覧の通りビシッとしています。白い毛の筆なので洗い残しもみやすいですね

 スタッフの方も「シタデルの天然毛筆にはない特徴がこの筆にはしっかりあり、長く愛用できるものです」とお薦めしてくれました。アピールされていた毛先のまとまりの良さもとても良かったです。特に今回使用した「SYNTHETIC BASE BRUSH LARGE」は斜めカットされた毛先で細かい部分も塗れるし、広い面も一気に塗れるちょうどよいサイズ感も魅力的で、マジでおすすめです。これから僕もガンガン愛用していこうと思います。 シタデルのホワイトブラシぜひ使ってください!!!

SYNTHETIC BASE BRUSH LARGE

SYNTHETIC BASE BRUSH X-LARGE

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

塗るだけで現用ミリタリー!タミヤの「NATO3兄弟」は、いつでもプラモを強そうに見せてくれます。

 はい出落ち!タミヤのミニ四駆シリーズ最新作は「K4ギャンボー」というアイテム。”軽四”というワードと韻を踏んだそのアイテム名どおり、軽トラックらしきプロポーションのファニーなマシンです。それにしてもイキナリ激しくイカツい色になってますが、これは塗料売り場で「今日のご飯は何にしようかな〜!あ、NATO迷彩にしましょう!」というテンションになったからなんですね。わかりますか。人間には「今日はNATOで行こう」と思う自由があり、なんと買うだけでNATOになってしまうことができるセットがちゃんとあるんですよ。

 マシンはFM-Aシャーシというフロントにモーターを積んだもの。リアの荷台を低くしながら、実物の軽トラックの動力配置を彷彿とさせてくれる演出です。ボディはメタリックオレンジで元気な雰囲気。いつものミニ四駆みたいにキラキラのステッカーを貼ってチューンするのもいいんですが、語りかけてきますよね。この軽トラというモチーフがさ。「遊んでみてね!」って。

 今日の気持ちはNATOだから、それがNATO記念日……ということで、まずはベースにNATOグリーンを塗ります。オレンジの上から吹き付ければ一気につや消しのミリタリーな雰囲気に変貌!今回はタミヤラッカー塗料のNATOグリーン+エアブラシの組み合わせで塗っていますが、筆塗りでもいいし、アクリル系も用意されてるし、スプレーでも売られています。どんな手段でも塗らさればOKなのだ。

 生乾きで上から重ねましたるはNATOブラウン!瓶の中で見ると「うわ、茶色い!」と思うんですけど、緑の上に重ねると補色の効果で明るく赤みのある独特な茶色であることがわかります。
 これまたエアブラシでボケ足のある塗り方をしていますが、実車でもこんなにボワッとした塗り分けのはあんまり多くない気がする。筆でパキッと輪郭のある塗り方でも全然大丈夫だし、マスキングテープを雲形に貼ってからスプレーとかでもいいね。

 

 最後にNATOブラック!こちらはただの黒じゃなくて微妙に明るく、ちょっとだけグリーンの色味を感じさせる本当に絶妙な色。迷彩のシメに使ってもいいですし、いつものプラモ塗装で「ここに黒塗るとちょっと黒すぎるんだよな〜」というときにニュアンスのある暗色として活躍してくれるので、ものすごく重宝します。この色が発売されたときは本当にびっくりしたし、あらゆる黒をこれで塗っていたな……。いい色だよ……。

 窓やフロントマスクのシールを貼って完成(これがあるからはみ出しとか気にせず塗れるのがミニ四駆塗装の最高なところなんじゃよ)!それにしても本当に素晴らしい3色のコンビネーションだな。大事なのは3色の面積のバランスと、パターンの大まかな形状。ぜひともこの約束された完全勝利3兄弟でいろんなものをNATO迷彩に塗ってしまいましょう。
 NATO迷彩って、わりとドイツ軍の三色迷彩とかよりも現代的でメジャーな取り合わせ(この色の玩具とかもめちゃくちゃいっぱいあるもんね!)なので、プラモ作らない人にも「ミリタリーだな!」と思ってもらえること間違いなしです。そんじゃまた。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

シタデルカラーの最強タイヤブラック「コルブスブラック」でプラが超速でタイヤになる!!

▲シタデルカラーに、最強の「タイヤブラック」がラインナップされていました!! これはいいぜ!!!

 シタデルカラーやウォーハンマーを展開する英国のメーカー・ゲームズワークショップの直営店「ウォーハンマーストア」の神保町店がリニューアルしたので行ってきた。いつもお世話になっているスタッフのユウジさん(スーパープラモアニキなので、このガンプラをシタデルで塗りたい、飛行機に合いそうな色ありますか? という質問にバンバン答えてくれるシタデルソムリエです。お店にいったらどんどん質問してみましょう!!)が快く迎えてくれて話も弾むと「シタデルの最強タイヤブラックもう使いました?」と投げかけられました。「アバドンブラックしか使って無いっす」っと答えると、「タイヤやラバー系はもうこれ1本!!! ぜひ使ってみてほしいです」という言葉と共に「コルブスブラック(CORVUS BLACK)」という塗料をお薦めされました。シタデルの快適な塗り心地でラバー系が行けるのなら最高だなと思い、即決でした。

▲奥が何でも漆黒にするアバドンブラック。手前がコルブスブラック。ウォーハンマー40,000のデスウォッチのブラックです

 容器に入っている段階でもコルブスブラックはタイヤの様な青みがあるブラックに見えます。早速塗っていきます。シタデルカラーはお水で希釈から筆の洗浄までできる超便利塗料なので、準備が簡単です。

▲マグカップにお水を用意し、パレットと筆、筆を拭いたり筆先の水分を調整するのに使用するキッチンペーパーを準備します
▲使用前は容器の蓋をしたまま、よ〜〜く振ります。これで攪拌は終了。蓋を開けて混ぜ混ぜすると空気と触れてしまい塗料が乾燥して劣化します
▲パレットに移して、ほんの少量にお水で薄めれば準備OK。この段階だと「黒だな〜」って感じです
▲早速タイヤに塗ってみると、「あ、これはタイヤだ!! タイヤのあのカス〜〜っとした何ともいえない黒だ!」ってなります。塗料の伸びもめちゃくちゃ良いので、どんどん筆が進みます
▲左のタイヤがコルブスブラック、右のタイヤがアバドンブラック。同じ黒でもここまで違います。こうみるとアバドンブラックは本当にバキッとした黒になるんだと改めて良さを実感。タイヤにはコルブスブラックの色味の方が合いますね

 このコルブスブラックが1本あれば、タイヤ、戦車の転輪のゴム部分、戦車のサイドスカートなどのラバー、飛行機のタイヤとあらゆる模型のゴム素材の箇所を筆塗りで快適に塗り上げることができます。シタデルカラーなので隠蔽力の高さと塗料の伸びの良さは別格です。特にゴムの部分は細部塗り分けの項目に入る様な箇所なので、シタデルカラーの性能をフルに発揮できる場所でもあります。超おすすめなのでぜひ試してください。それでは〜〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

俺はこうだけどみんなはどう?プラモのパーツをラッカー塗料でペタリ!

▲タイヤが無くなっただけで圧倒的SF感

 フランスの写真家、ルノー・マリオン(Renaud Marion)の「AirDrive」シリーズをご存知だろうか?
 (ここで見られます→http://renaud-marion.squarespace.com/air-drive
 写真にはクラシックなデザインの車が写っているのだが、タイヤがなく宙に浮いている。それがごく普通の町中にあるだけで、なんですかこの空間まるごとセンス・オブ・ワンダーは?超カッコいい!
……というわけで見たものに即座に影響を受けつつ、前回レビューしたトヨタスポーツ800を仕上げてみる。

 ボディを改造!と言っても側面のタイヤがあった箇所をパテで埋めただけで以上終了。元々流線型のデザインだったからってのもあるが、思った以上に未来感溢れる雰囲気になった。しかしコレ、ホントに昭和の車?デザイナーは未来からきたタイムトラベラーか何かなんじゃなかろうか。

▲ボディはMr.COLORのスーパーファインシルバー2で塗装

 ……とかなんとかボディの造形にうっとりしつつ、ぶわーっと銀色を塗ったら後は残った細かいパーツを取り付けるだけ。

▲パーツに塗料を塗ってペタリ

 取り付けるだけなのだが、細かいパーツ類はラッカー塗料を糊代わりにくっつけるのがオレ流。塗装後のパーツに接着剤使うと、モノによってはくっつかなかったり塗膜が溶けたりするので、ちょっとしたパーツ程度ならこのやり方でいつも取り付けている。

▲クリアパーツもクリア塗料でピッタンコする

 クリアパーツに接着剤使ったら白い粉を吹いた!みたいなトラブルも無いので意外と使えるこの技。無論、エポキシ接着剤とかそれ専用のマテリアルもあり、この技はそれらと比べると強度的には劣るが、棚に飾っておくだけならばそうそう外れたりしないので、うわーマッハで完成させてぇ!な時には試してみると良いですぞ!

▲というわけで完成。

 「良いですぞ!」と書いたあとで念のためググってみたが、この技を実践してるという人がヒットしない……。こんな方法でパーツを接着しているのが世界で俺だけ?いやまさかな……。信じてるぞ同志諸君!といったところで未来の来年でお会いしましょう。そいだらば。

コピルアク

1981年生まれのプラモエンジョイ勢。本業はゲームとかつくる人。

表現の幅を拡げたい缶スプレーモデラー必見!アサヒペンの「クリエイティブカラースプレー」

 缶スプレーは調色が出来ないため、ズバリの色が無い場合は近い色で妥協するしかありません。しかし思い入れが強くてどうしても妥協できない場合はどうすればよいか?
 私とってギャンの薄い青がそうでした。クレオスとタミヤの缶スプレーには自分のイメージに近い色が無さそう。しかし今回はどうしても缶スプレーで仕上げたかったのでメーカーに拘らずに探してみる事に。そうしたら見つかりました!アサヒペン製クリエイティブカラースプレーの「ミスティーブルー」です。
 すっかり気に入ったので他の色もチェックしたところ、鮮やか過ぎず、かといって地味でもない絶妙な塩梅の塗料が揃っているではありませんか。
カラーチャートはこちらから!

 グフの薄い方の青もこだわりたい色。ここはグフ初登場のイメージで重厚かつ鮮やかな青にしたいので「ウルトラマリン」をチョイス。重厚な青は彩度が低めになりがちだけれどはたしてどうか?バッチリイメージ通りのグフになってくれました。濃青の方はタミヤの缶スプレーです。

 ガンダムとシャアザクもクリエイティブカラースプレーで塗装してみました。シャアザクはクレオスからズバリ「MSシャアピンク」や「MSシャアレッド」の缶スプレーが出ており、それを使えばバッチリの色になりますが、ちょっと色味を変えて自分だけのシャアザクを演出してみたい場合はクリエイティブカラースプレーにも良い色が揃っています。
 使用上の注意点としてはクレオスやタミヤの缶スプレーと比べて噴射圧が低いので手の動きはゆっくりめでいいかもしれません。塗粒をフワッと乗せるようなイメージになると思います。あと噴射範囲が広いので手袋をした方が良いでしょう。

 色数が豊富なのでタミヤやクレオスの缶スプレーと合わせて使えば組み合わせは無限大!自分だけの配色を見つけて唯一無二のプラモデルを作ろう!

オデ

第一次ガンプラブームでプラモデルにハマりました。その後辞めたり出戻ったりを繰り返して現在に至ります。

タミヤ新作、トヨタ GR 86はプラモデル界に現れた「立体トリックアート」じゃ!

 カーモデルと言えばエンジンがあるorないに大別されますが、箱を開けたらワーオのこのシャーシ。エンジンルームの下には石川五エ門にやられたのかと勘違いするようなエンジンの半身。なるほどエンジンは有るようで無いし、無いようで有る。これが「実物をなにもかも全部そのまま小さくしたからエラい」と言い切れない模型の面白いところなのよ。
 「本当はそうなっていないのに、そう見える」という設計をして、ユーザーが共犯者になって「エンジンが入ってるみたいでしょ?(ホントは上から見えるところだけなんだけどさ)」と見る人をびっくりさせる。そういう遊びが楽しいんだね〜。

 ひとまずこの大トロを味見したければ、シャーシを黒く塗って、エンジンブロックだけアルミシルバーで塗るのが吉。タミヤのフラットアルミっつう色は本当に素晴らしくて、ツヤ消しの白っぽいシルバーになるし筆塗りでもかなりそれらしい雰囲気が出る。タミヤアクリルなら二日酔いの日の歯磨き粉みたいな匂いがいつだってプラモと出会った頃の気持ちにタイムスリップさせてくれるね。プラモ用の塗料って色ごとに香りが違うから楽しいよね……あれ、こんなこと言ってるのオレだけかな……。

 このクルマの特徴であるFRレイアウト。エンジンが前で駆動輪は後ろ。シャーシのど真ん中にはエキゾーストパイプと一緒にドライブシャフトが通る。こんどは裏返して見える下側だけが再現されていて、これまた楽しい。しかし複雑なサスペンションの構造はまるっと再現されていて、隙間のあるごちゃごちゃとしたリンケージの集合体はクルマの模型を組み上げる喜びに直結しているなと感じる。
 半分しか再現しないもんね(でもちゃんと「そう見える」からいいでしょ?)というところと、ちゃんと実物の構造を再現しておきましたよ、というところのコントラストがこのプラモのエキサイトメントなんだわ。

 ボディ色は何にしようかな……と思ったけど、やっぱりこのモデルの面白さ(精密さや忠実さとはまた違うところ)が一番伝わるのはやっぱりプラスチックそのままのシンフォニーでしょうと考えて白いボディはそのまま載せることにした。最初に塗ったシルバーのところなんてほとんど見えなくなっちゃうんだけどさ。
 でも、イマドキのクルマ特有の、補機類の隙間からちらっと見えるエンジンの中枢がただのレリーフだってことを忘れちゃうような、とってもいい構成。見えるところを上手く拾って、まるでトリックアートのように再現する。本物の構造をそのまま愚直に小さくするのとはまた違う、設計者のセンスと作る人のワンダーが噛み合った模型の醍醐味がここにあると思うんですよね〜。そんじゃまた!

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

宇宙最速でボディが完成するロボットプラモ!/アニメのあの姿が誰でも決まるマックスファクトリーの「ビッグフット」。

 『太陽の牙ダグラム』シリーズのメカを精力的に立体化してきたマックスファクトリーのコンバットアーマーマックスシリーズ。今回新たに発売になったのが、ソルティック HT128 ビッグフット 雪上用カムフラージュ 防寒シールド仕様です。ビッグフットと呼ばれるメカはすでに発売されたんじゃ……と思うかもしれませんが、ご覧の通り”服を着た”スタイルになっています。
 立体だけ見ると結構コミカルなんですが、ビッグフットの耐寒シールド装備は物語を終盤を彩る印象的なメカニックなんです。主人公たちダグラムがいよいよ北極ポートという重要な拠点に向かうとき、この防寒シールドを着たビッグフットが次々と立ちふさがります。早く北極ポートを制圧したいデロイア解放軍と、連邦軍第8軍の激しい抵抗……! そこに畳み掛けるように人々のドラマがあってですね……。


 こちらが今回新たに作られたランナー、防寒シールドですね。作画省略のためのアイディアなのでしょうが、作中で着せている途中のシーンが描かれていて、あったかい暖気を送るかのような箱型の装置が傍らにおいてあったりして、着ることへの説得力をもたせようという画づくりがうまいのがダグラムでした。いわゆる局地戦型ロボットが多く生まれたなかで、この着る装備は寒冷地に対応したビッグフットの象徴的装備となったのでした。ところで、私はこの装備を”ジャージ”という名で認識していたんですが、これは私の知っている界隈で流通している名称だったのでしょうか、調べてもあまり出てきません……。

 胸と背中には内部のメカと対応するインテーク部分があります。パジャマソルティックにはない部分ですね。もこもこの造形のなかに、ちゃんとメカが入っていますよ、という角張りなど、原型師の平田英明氏の造形が光ります。またなんとも言えない寒色系の成型色が良いんですよ。自然とシワを引き立たせます。

▲防寒シールド部分だけではなく、頭部周りも対応するパーツが新しく起こされています。
▲以前のパーツを見てみましょう。胴体の側面と頭部側面が一緒なんですね。って、値段を見ればうすうすわかると思うのですが、普通のビッグフットにも作れます
▲ただしこのキャノピーや足首などは共有なので、どちらかを選ぶ必要があります。このキャノピーにまつわるドラマや素のビッグフットについてはマックスファクトリーのブログを見てくださいね
▲新パーツを外装としたコクピットです。コクピットの再現はマックスファクトリーのコンバットアーマーマックスシリーズの美点のひとつで、各コンバットアーマーの頭にあるコクピットを組むたびによくできてる、よく人を乗せているなあと面白くなる部分です
▲いきなりボディパーツがバチッ! とできてしまうんです。全身あっても結構組みやすいのがこのシリーズですが、ジャージなら数分でここまで来れます。神速です
▲このパーツがビッグフットのディープな部分で、耐寒シールドから突き出るスモークディスチャージャーまわりのポイントを本当に良く立体化しています。あのジャージってこうなってたんだ。というのが立体でより分かります

 腕も足もすぐにできちゃいます。2連リニアガンがかっこよく決まるように、腕の角度もしっかり出ています。パーツもぴったんこ合いますよ。ビッグフットといえばなぜか真正面でリニアガンがこっちを向いている構図を思い出してしまう私です。絶体絶命ですね。

 そしてオマケというか、このキットにはもうひとつ新しいフィギュアがついています。若く有能なヘルムート・J・ラコック弁務官、そしてもうひとり、デスタン。ダグラムを見た人なら、もう声とBGMが聞こえてきますよね。うわ~! それぐらいあのシーンを良く切り取った、1/72でもよくわかる、特濃なフィギュアです。


 いまさらながら、防寒シールドを着たビッグフットまで立体化されるとは、マックスファクトリーがダグラムシリーズをはじめたときには思っても見なかったことでした。とくにこのジャージのビッグフットは、集団で続々と立ちふさがる敵で、あの濃厚なダグラムのストーリーを演出する印象的なメカだったわけです。付属のフィギュアもそうなのですが、あの終盤の展開を思い出させるどころか、自分があのころ夢中になってダグラム(の再放送)を見ていたことも思い出すようなキットで、思わず夢中になって組むスピードも回転数が一段と上がってしまいました。もちろん、ダグラムを知らなくても、このビッグフットに少しでも興味を持ったら、ぜひトライしてください。’80s大河原メカ独特のフォルムをシンプルに再現しつつも、デザインを尊重しながらもよく動くように考えられた可動、そしてそれを超越した固定での防寒シールド再現。あのころのロボットアニメキットのひとつの理想形がここに見いだせることでしょう。

けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。

仮面ライダーオーズのプラモデルに見た「演技するプラスチック」の話。

 平成ライダーが続々とプラモデル化されている昨今、私のお気に入りの仮面ライダーオーズがとうとう発売されたとの知らせを受けて模型店に駆け込みました。バンダイの Figure-rise Standard シリーズでは様々な仮面ライダーのプラモデルが商品化されています。

 自宅へ持ち帰り、ワクワクしながら箱を開封すると、色とりどりのランナーがお出迎え。

 特に心惹かれたのはこの表情豊かなハンドパーツでした。私はバンダイのハンドパーツと言えば固そうなロボットの手を想起してしまうのですが、これはスーツの軟質素材を表現したものであり、指を曲げたときにできるシワなど、かなり細かな表現がされていました。本編映像ではあまり掌に目がいかなかったのですが、観察してみるとしっかりと滑り止め加工が施されており、バイク用のグローブと同じ作りになっているのが新しい発見で面白かったです。

 「目は口程に物を言う」とは言いますが、仮面ライダーはマスクをしており顔からは表情はを読み取ることはできません。しかし私は手の表情も顔と同じくらい感情豊かだと思っています。
 劇中の役者さんは頭、首、一歩踏み出す脚の動きで勢いが出せますが、プラモデルは決して自分からは動けない。しかしこの柔らかなハンドパーツを見れば、手に持っているものをどれくらいの力で掴んでいるのかがある程度読み取れる。メダルを一枚掴む手、オースキャナーを握る手、メダジャリバー(オーズ専用の剣)を力強く握る手。どれも一級品のクオリティで、生き生きとした人間のチカラを感じます。
 指先で掴んでいる直径3ミリほどのメダルには、思わず「ウソだろ」と思わせるほどの超微細な彫刻が施されており、これをニッパーで切り出すとき、全人類の手が震えます。

 それからタカ、トラ、バッタが描かれた胸部のクレストは、なんとタンポ印刷で表現されていました。普通に塗装するなら黒地に黄色は凄く発色させるのが難しいのに、その黄色もバリバリに鮮やかでうれしい。まるでアンク(劇中の仲間)が「エイジ!これを使え!」とメダルを渡してくれたかのように感じました。ありがとうアンク!そしてこのパーツを金色の枠にはめ込むとき、完成度がグッと上がり幸せになれるのだ。

▲スキャニングチャージ!必殺技オーズバッシュ!

 じっくり組めばワンシーンごとに感動が生まれる楽しいプラモデルでした。脚には墨入れをしたくなるようなモールドもたくさんあるので、じっくり塗装するのも面白そうですね~。ではまた!

ミハイル

福島県出身 1990年生まれ 模型を楽しんでいます マスキングが苦手 下のリンクの『火星深青』でブログを執筆していますので、模型に興味がある方は是非見に来てください。

俺が黄色を使いこなした日/ICM 1/24 ヘンリーフォード&Co.

 「派手なスーツを着た男性」 と言われてパッと思い浮かぶのはコンゴ共和国のサプールと呼ばれる集団。原色がビシバシと目に入ってくるようなスーツはもちろん、シックに決めていたってネクタイの主張が強い。そして意外と良い靴を履いている。なぜかフランスの名靴J.M.WESTONの着用率が高い。なぜだ。写真集をぼんやり眺めた後に、手持ちの色で一番鮮やかな青をジャケットに塗ったのだけど、これだけで既に最高の気分になった。そのあとパンツは何色にしようかと思ったら、店員時代に可愛がってくれたお客さんに「君は卵色のパンツが似合う」と言われたのを思い出して黄色に塗ることにした。
 模型用塗料の中で黄色は隠蔽力が弱くなりがちで、好きな色だけど敬遠していた色でもある。好きだから持っているけど「やっぱり使いにくいな」と起用を見送るケースが多い。ただ、この日は何かが違った。そう、強い隠蔽力を持つファレホは、その逆に「下地を透かしながら塗る塗料」でもあるのだ。

 下地を塗った後に隠蔽力の弱さを利用して薄く塗り重ねると、当然のようにうっすら黄色くなる。これをプラモデルを溶かさないように注意しながらヒートガンで乾燥させて、また薄く塗る。そうすると、さっきよりも黄色くなる。しかも鮮やかな黄色。当たり前すぎて言葉にするのも変な感じだが、塗れば塗るほど黄色くなる。そして、黄色は純色の明度が高いので塗れば塗るほど明るくなる。頭の中で明暗の層が一気に解像されて「明るくしたいところは重ねて塗れば良い」という結論と、パンツを立体として見る目が急に開発された。
 言葉にすると簡単だけど、実際にやって見ると何かがいつもと違う手応えの筆塗りがとても楽しく、夢中で進めていった。とにかく、何かが今までと違う様子。「正解っぽいけど、ものすごく間違えてるかもしれない」みたいなこの感じ、なんだろう。ただ、出来上がりは驚くほどにかっこいい。靴だって思わずスペクテイターシューズのカラーリングに。良すぎるが故に自ずと自分の靴の知識が行き届いてしまうこの感じ、なんだこれは。今までで最高の仕上がりだ。

 青く塗ったり黄色く塗ったりしていたけど、結局のところはA110のカラーにも合わせた配色になってたりしたので、これはそういう組み合わせとして飾ることにした。初めてのビネット作りは晴天の青空の下、飛び切りのファッションで車の前に立つ愛好家を切り取ったものとなりました。彼の部屋にはこの日の写真がいつまでも飾られ続ける事でしょう。

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

出張。/アニキの街とアニキのプラモ

 数年ぶりの東京出張が入った。
 新幹線に乗るのなんていつ以来だろうか。記憶だけでは思い出せないくらいだ。これから仕事に向かう割にワクワクしているのは別の目的も兼ねているから。県外への移動が難しい時期にデビューした新型新幹線・N700Sへの乗車だ。この出張が決まった瞬間にN700Sの運用を調べ、その時間に合わせた出張のプランを立てたのだ。ホームに入ってきたその新幹線はあまりにもヒロイックで、金色に輝くSの文字が誇らしげだった。

 N700Sへ乗車することを最優先に上京したため、東京に着いてから仕事までに2時間ほどの余裕ができた。
そういえば新橋って行ったことなかったな。せっかくだし行ってみようか。田舎生まれの自分が想像する新橋というと都会の仕事に疲れたアニキたちのオアシス、それと駅前インタビューで有名な広場。そんなことを考えながら改札を出ると目の前には黒光りする鉄のカタマリ、C11-292が。
 さっきまで乗っていた真っ白な電動の超特急とはあまりにも乖離したその姿に見惚れてしまう。周囲からしたらその存在は当たり前すぎるのか、こんなに真剣にSLを眺めているのは自分ひとりだった。

 正午を目前にしてランチを食べられる店を探すも、今の気分にあった店がなかなか見つからない。結局駅前の富士そばに吸い込まれ、結局いつものコロッケそばが目の前にあった。住んでいる地域には富士そばが無いため、東京出張の際には好んで入店してしまう。「なにより新橋名物っぽいなぁ……」なんてことを思いながら、他のサラリーマンと一緒にそばを啜った。

新橋に来たら寄りたかった場所の一つに、タミヤプラモデルファクトリー新橋店がある。nippperでも何度か触れられているので細かい説明は省くが、一言で表すとオアシスである。
 自分が今回足を運ぶまでは「普通の模型屋で買えるタミヤ製キットが大量に並んでいるだけだろう」程度にしか予想していなかったのだが、あの秘密基地のような空気感に頭をガツンと殴られたようだった。そして様々なキットのランナーやデカールが1枚単位で並んでいるコーナーがあり、コレがまた楽しい。その中に、1/24 トヨダAA型の座席パーツとドライバーのアニキが刻まれたランナーを見つけた。たった1枚のランナーの中に、クルマの座席がまるまる1セットと、そこに座る人形が美しく配置されている。
初めて新橋に降り立った記念として、この新橋に居そうなアニキのプラモデルと、ウイングも付いていてお得なロータス・ヨーロッパ用ホイールセットのランナーを買うことにしたのであった。(あとから調べたところ、このアニキはタミヤの社員さんを3Dスキャンしモデルとしたフィギュアらしいですね)

 出張は無事に終わり、新橋でのあの体験を思い返しながら自宅でランナーのアニキを眺めてみる。スーツをカッチリと着込み、真剣な表情で正面を見つめるアニキ。きっと仕事で失敗できない局面に置かれ、かなり気を張っているに違いない。でもきっと大丈夫、だってここは新橋なんだ。一仕事終えて、軽く一杯やって家に帰ろうじゃないか。今回選んだ2枚のランナーだけを使って、居酒屋のちょい飲みセットのようなお気楽モデリングだ。

▲メタルアニキフォーミュラ、発進!!(飲酒運転ダメ絶対!)

たまごん

ごく稀に真面目にプラモデルを作るらしいが、基本的には酒の力を借りながら夜な夜なミキシングでモンスターを生み出す等の活動に力を入れている。

花金だ!仕事帰りに買うプラモ。「ハセガワ 1/48航空自衛隊ファントム」のプラモでパワークリスマス!!!!

▲ハセガワの箱絵を多数手掛ける小池先生の傑作イラストが目印! こんなふうに塗りて〜〜〜!!

 週末が楽しくなっちゃう模型を独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今日はクリスマスイブ!!! ちょっと大きな模型とかスペシャルなプラモを買いたくなりますね〜〜。そんなあなたにハセガワの定番「1/48 日本航空自衛隊 戦闘機 F-4EJ改 スーパーファントム/ワンピースキャノピー」でメリークリスマス!!! 1/48のファントムといえば、タミヤの最新キットもありますが、こちらハセガワの超定番キットも忘れてはなりません。僕はこのプラモを定期的に組んでみたくなるほど病みつきになっています。amazon価格で2373円で購入することができて、全長も35cmオーバー。満足度満点です。しかもこのプラモ、僕の様な力でプラモを貼り付けていく、流派「ゴリラ組み」の方たちにはうってつけのプラモ。パワ〜〜〜〜って叫びながら週末を過ごせますよ。楽しいぜ!!

▲40分くらいで間も無くファントムと言えるシルエットになっちゃう! 大好き!!!
▲ハセガワ1/48ファントムの良いところは、ちっちゃいパーツが無いの。みんな許せる範囲
▲ワンピースキャノピーと商品名に入っている正体がこれです。キャノピーが分割されていると、閉じた状態にしたい時にすり合わせや接着が必要になります。その手間をこのパーツが1撃で解決してくれます

 ハセガワ 1/48 ファントムの良いところは臓物がコクピットだけ! 昨今の飛行機模型は組みながらその飛行機の特徴的な内部メカニズムを味わえるパーツなどが入ったりしますが、このファントムは見えるところだけ!! このストレートさが最高なんです。だからコクピットができれば、一気に飛行機の形に組む工程へジャンプできます。楽しい〜〜

▲このコクピットとアニキだけ!! これを胴体の中に入れたら、あとは反対側の胴体を接着するだけ
▲かっこいいいいいいいいいい! ここまでマジで15分。この状態で飾ってもいいじゃん

 主翼。ここがこのキットのレッドアリーマーなんです。胴体までサックサック。主翼も貼るだけなら楽勝に進めるのですが、説明書の通りに組むと、胴体と主翼の間に大きな隙間が生まれてしまいます。これはファントムの形状を成型しようとした時に、デザイン上どうしても胴体が内側にすぼまって成型されてしまうからです。タミヤの最新キットでは、それを内部に桁を入れることで内側にすぼまった胴体を広げて、翼と胴体を綺麗に密着させていました。

▲説明書では主翼上面と下面を貼って完成させてから胴体と合体する指示となっています
▲こちらがタミヤの1/48ファントム。コクピットとノズルのパーツにごっつい桁があります。これで胴体がしっかりと広げられらて、主翼とぴた〜とあうんですね

 桁とかパテを使って調整する……ゴリラフミテシにはちょっと何を言っているのかわからないです。初めてこのキットを作った時に、マスターからぱたが「お前にぴったりのパワーな方法があるのじゃ」っと知恵を授けてくれました。「先に翼の上面だけを胴体に貼り、下面はパワーで上面に貼り合わせていくのじゃ!!」……感覚で伝わってきたぞ!!! 楽しそうじゃないか!!!!

▲主翼下面とお腹パーツが一体になっています。まずはマスキングテープで下面を仮止め
▲下面のパーツをアタリにする様にして、主翼上面を載せます。胴体と主翼のラインがいい感じピッタンコになるところがありますので、仮組みしながら探します
▲その位置を見つけたら先っちょを塗装用の持ち手やクリップで固定
▲そしたら流し込み接着剤界のなかやまきんに君こと「Mr.セメントSP」を流し込みます。スーパーパワ〜〜〜!!!!
▲左手は主翼を胴体側に寄せる様に力を入れています。その状態で右手で主翼上面と下面の合わせ目に接着剤を流していきます。何ともパワーな作業の連続です
▲できた!!! セメントSPの速乾パワーと、腕力、主翼上面を胴体側に先に貼るというアイディアで、少ない手順で貼り合わせることができました。パワーで接着剤がむにゅっと出てしまった部分はやすりをかけてやりましょう

 このハセガワの1/48 ファントムはこの主翼さえ終わってしまえば、あとは最高のフライトが約束されます。アウトラインもカッコイイし、僕らの空を守ってきてくれた航空自衛隊のファントムが作れるという喜びもあります。そしてこの工作を一度覚えてしまえば、ハセガワの1/48自衛隊ファントムのバリエーション機もガンガン作ることができるんです!! やったぜ。ぜひこの年末にビッグサイズでガンガン組めるハセガワの1/48 ファントムを楽しんでください!!

▲アニキたちもかっこいいぜ!!
▲僕もこのキットで初めてファントムを完成させることができました!! 本当にカッコイイキットだからおすすめです

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

飛行機プラモがいまにも飛びそうな「汚し塗装の極北」を林周市アニキに学ぶ!

 その出来栄えに誰もが「本物のようだ」と息を呑む。林 周市の飛行機模型が宿すリアリティの源泉は、ずばりウェザリングにある。実機の解像度に迫るために必須だと思われているような超絶工作は行なわず、ほぼ無改造で組み上げられた機体の表面にあらゆる手法でウェザリングを施すのが彼のファイティングスタイルであり、彼にしてみればウェザリングこそが最良のディテールアップなのだ。


 これまで林 周市がメインモチーフとしてきたのは「ロービジビリティ(グレーが主体の低視認性迷彩)塗装のアメリカ海軍艦上ジェット戦闘機」であった。縮尺模型としてはどうしてものっぺりとしがちなグレーの(つまり無彩色で明度差も乏しい)機体には、褪色表現や各種の汚れを付加することでドラスティックな変化をもたらすことができる。さらに描き込めば描き込むほど細密な表現に見える1/32スケールにモデルを絞ることで、自らのストロングポイントを明確に演出してきた。これまでの彼がひたすらに臨場感のある作品をテンポよく発表できたのは、得意とするコースを何度も走り込むレーサーのようなスタイルを堅持してきたからでもある。

 今回、「林 周市のウェザリング」というテーマで再度作品集を刊行することになった理由は、彼自身のなかに変化が起きたからだ。多作であるからこそ芽生えた「新しい方向性の作品を開拓したい」という気持ちは主戦場である1/32スケールから離れることと、自らが苦手と公言してきた迷彩塗装の機体と対峙することに繋がった。結果として、2020年頃からチャレンジしはじめた作品たちには豊かなバラエティとウェザリング手法の大胆な転換(その過程で、林自身にとっても多くの学びと発見があった)が見て取れる。

 ロービジの機体ならば「ウェザリングによって色味を追加し、乗算していく」という行為は比較的シンプルで結果もリニアに予測できるが、ブルーやグリーン、アースカラーといった色味のある迷彩塗装にウェザリングを施すとなれば話は別だ。リアリティを演出しながら補色や同系色のもたらす効果を操り、最終的な色の調和と意外性が作品全体の印象を決めるのは至難の業だ。同時に、1/32スケールならば可能であった「実直に、細密に汚れを描き込む」という手法も1/48スケールでは通用しない場面に遭遇することになる。そこに求められるのは「細密に”見える”表現」であり、実機写真を観察し尽くすことで得られる取捨選択の力と、それを模型表現に置き換える見立ての力と言えるはずだ。
 林 周市が何を考えて「1/48スケールの飛行機模型表現」と向き合ったのか、その結果がどのような作品として結実したのか。豊富なハウトゥも合わせ、本書の内容をじっくりと眺めて自らのものとしてほしい。

写真/スケールアヴィエーション編集部
執筆/高久裕輝(本誌内まえがきより転載・一部改変)

もっと強力な対戦車砲をくれ~!!装甲と火力のシーソーゲームを「タミヤの大砲のプラモ」が教えてくれる!!!

▲大砲のプラモ、作ったことありますか?

 戦車など各種車両やフィギュアに比べると、どうしてもちょっと地味な印象になりがちなのが、大砲のプラモ。しかしタミヤMMではシリーズ第五弾の製品として「イギリス6ポンド対戦車砲」をラインナップしており、「フィギュアと組み合わせて情景遊びをする際の準主役アイテム」として大砲プラモを捉えていた様子。今回紹介する「ドイツ75㎜対戦車砲」も、主役を張れる密度感と完成度が持ち味。脂が乗りまくった初期MM黄金期の味わいを、今でも手軽に楽しめます。

▲「70年代MMパッケージの真骨頂!」みたいなボックスアート。カッケ~
▲取扱説明書の解説にも栄養があるので、全部読もう

 75㎜対戦車砲、よりドイツ風に書くと7.5㎝ PaK 40は、大戦中盤から後半にかけて、ドイツ軍で広く使われた対戦車砲です。この7.5㎝砲までにドイツ軍が使っていた対戦車砲は、戦前に開発された口径3.7㎝のもの、もしくは大戦序盤に量産された口径5㎝のものだったのですが、これらの対戦車砲は独ソ戦開始後にぶつかったT-34やKV-1などの敵戦車に対してロクに歯が立ちませんでした。

 ということで、「もっと強力な対戦車砲をくれ~」という前線からの声に応えて製造されたのが、この7.5㎝対戦車砲です。そういう経緯で開発された対戦車砲だったのでそれなりに威力があり、大戦中盤以降にドイツ軍が多用した対戦車自走砲に搭載されたり、ちょっと変わったところだと航空機に取り付けられて対地攻撃に使われたこともあります。
 口径が大きくなるにつれて大砲自体も大型化しており、7.5㎝砲になると砲身長も3m超え。最初の3.7㎝対戦車砲(こちらもタミヤからイカしたキットが発売されております)と比べるとマジで倍以上のサイズアップとなっており、「装甲と火力のシーソーゲームってマジヤベ~んだな」と思わされます。また、砲自体は爆速で巨大化しているのに全体の高さは3.7㎝砲とそれほど変わっておらず、対戦車砲というのはとにかく「低く構えて敵を待ち伏せする」という兵器なのだなというのがよくわかります。

▲この成型色を見よ!

 というわけでキットの中身はこんな感じ。大砲部分でランナー2枚、フィギュア部分で1枚という構成です。しかし、本当にタミヤのジャーマングレーとフィールドグレーの成型色はカッコいいですね。ランナーからドイツ的合理精神がモクモクと立ち上っております。このキットの発売は1975年ですが、45年以上昔のキットとは思えないキレキレ具合。

▲砲身は左右分割!!! 形状はシャープ
▲この二重構造の防楯のキレ!
▲砲兵アニキの皆さん。モールドから漂う、実家のような安心感……

 近代的な大砲は砲自体の閉鎖機(大砲の後端に付いている、砲弾を突っ込む穴に栓をするメカ)に加え、砲にくっついてる駐退複座機(発射時にガツンと砲身を後退させて反動を吸収し、発車後は後退した砲を元の位置に戻すメカ)も付いており、さらに砲を上下左右に動かす装置や、砲を乗っけるマウントや、地面に砲を固定するための脚もくっついています。このへんのゴチャゴチャ感が大砲のプラモの美味しいところなんですが、パーツの雰囲気がダルいとちっとも美味しそうに見えません。その点タミヤの7.5㎝砲は最後までチョコたっぷり、昨日発売されたプラモデルのようなシャープさと程よく簡潔な組み心地で、「ウォー! メカだ!」といううれしみをドロップしてくれます。

▲割とすぐ完成! 70年代のキットなんでパーツが適度に少なくて嬉しい
▲この密度感が大砲プラモのキモなのだ

▲砲手アニキはちゃんと片目をつむって照準器を見ている、というこのわかりやすさ! 好き!

▲人形との絡みでさらに輝くのが大砲のプラモなのだ

 完成するとこの感じ。この防楯のペラペラ感、そして防楯の表裏のメカっぽさのメリハリ……。今見ても惚れ惚れするようなシャープさです。そして砲兵のおじさん3人にも注目。なんせ重たい大砲の弾を上げ下げしたりする仕事なので、全員腕まくり。そして防楯の影に隠れられるよう、身をかがめております。この辺の演出の劇画的わかりやすさが、まさに70年代MMの真骨頂と言えましょう。

▲この大砲はいろんな車両に搭載されているので、7.5㎝砲縛りでプラモ買うのも面白いっすよ

 というわけで、タミヤの「ドイツ75㎜対戦車砲」は、手軽に大砲のメカっぽさと70年代MMの勢いを手軽に味わえる名作プラモとなっております。なんせ大砲には細かい部品も多いので、大型のものだと組み立てもそれなりに大変なんですが、このサイズならほぼノンストレス。ぜひ一度試してみていただきたいキットです。

しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

来いーッ!ランチボーックスーッ!!時を越えてドッキング/四駆クローラー工作セットのボディ探しの旅に出かけよう。

 みなさん、このパーツに見覚えありますか? パーツ番号[A5]です。私は小学生の頃に彼と出会い、電池交換のために幾度もなく脱着した使用感を覚えています。そんな彼が1980年代後半から時を経て、2021年の現代と結びつけるという偉業を成すとは、当の本人も思いもよらなかったでしょう。そう、今回は彼、パーツ番号[A5]が活躍を目にする話です。
 今年の9月、田宮模型からアナウンスされた12月発売「四駆クローラー工作セット」。その発表のなかで「安心してください。載せられますよ。」と補足されていた、ワイルドミニ四駆シリーズ(1987年発売開始)のボディが搭載可能であるという件に対して「そんな事あるッ!?」と思わず声が出てしまいました。
 わかるようで、わからない。ならば自らの目で確かめるしかあるまい。そういって商品を予約してから3ヶ月後、ついに対面する事となった四駆クローラー工作セットの真実を確かめていきましょう。

 なにげに箱を開けたら、いきなり絵力強くてビックリ。1パーツ中にツヤのコントラストが設けてられているのです。各カウル表面は基本ツヤ消しなのに対して、このロールバーだけツヤ有りで仕上がっている。なぜだ。でも確かに、ロールバーはピカピカしていて欲しいッ!

 ドライブトレインが形になりました。この時点ですでにゾクゾクです。コイツは仕事するヤツだ。あと、ハメ込みとビス止めでによる組上げ感は、工作シリーズの特有の味わいで楽しいです。

 『四駆クローラー工作セット』完成ですッ! そして即、特設モーグルテストコースで試験運転開始ッ! 「ご覧ください、この路面追従性能をッ!!」 ええ、思わず独り言ですよ。結果、不整地での運用に期待大と記しておきます。

 試験運転を終え、いよいよその時が訪れました。ロールバー部を外します。ご覧のとおりボディというよりも、動力部を保護するための最低限の装いでしかありません。このキットはあくまでも四輪クローラーというプラットフォームが主役であり、ボディレスで一旦の完成なのだと知ることに。そう、ボディを載せる余地が設けられたキットなのです。
 ボディの不在……。ならばオレが、オレたちが、その余地を埋めるしかあるまいッ!
 来いーーッ! ランチボーックスーーッ!!

▲ガッシャーーン!!!

 タミヤの最新プラットフォームに、不朽の名作といわれたワイルドミニ四駆のボディがパイルダーオン。 マジンガーZの頭部にパイルダーがドッキング、それは巨大ロボが馬鹿になった瞬間である……と、どこかで読んだ覚えがあるのですが、ランチボックスのボディがオンした瞬間、私が馬鹿になってしまった。祭りのはじまりだぜッ!的な。

 さぁ、フィナーレです。「カチリッ」と、 パーツ番号[A5]が1987年と2021年を確かに結びつけるのです。彼も時を経て、こんな役目を担うとは思いもよらなかった事でしょう。ありがとうッ! パーツ番号[A5]ッ! これからもよろしくねッ!

 パーツ番号[A5]の活躍によって『四駆クローラー工作セット』のボディの探しの旅がはじまりました。ワイルドミニ四駆シリーズのボディではマンモスダンプがシンデレラフィットでパーフェクトな気がしますが、この器の可能性を自身で試してみたくありませんか?
 ワイルドミニ四駆に限らず、トラッキンミニ四駆シリーズのボディも載せれるのではいか?などの情報も錯綜しています。また、クローラーの代わりに、ワイルドミニ四駆のビッグな中空タイヤに付けかえて遊ぶことも出来そうです。どうあれ、可能性の獣であることは間違いありません。
 それでは以上、みなさんも『四駆クローラー工作セット』のベストボディを探す旅をお楽しみください。エンジョイッ!

ダテツヨシ

「つくる」をテーマに、世間話をしています。

ハンドメイドという言葉に惹かれて/ハセガワ いすゞ 117クーペ

 いすゞ117Coupeの初期のモデルは「ハンドメイド」と呼ばれることがあります。そう呼ばれる由来は職人が手作業でボディーなどを形作っていたため。この美しいボディーラインを一台一台職人の方が丹念に形作っていたなんて今では考えられません。デザインをしたのはイタリアの工業デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロ。フィアット・パンダやロータス・エスプリ、デロリアンなど直線基調のデザインを得意とする彼ですが、この117クーペのように弧を描く丸味を帯びたデザインもしていました。このような造形はどのように形作られたのでしょうか?

 私はデザインが生まれるまでの過程に興味を惹かれました。そんな時に思い出したのは「デザインによって造るのではなく、造ることによってデザインが生まれる」という言葉。この言葉に出会ったのは戦後の日本のデザインの興隆を支えた柳宗理のエッセイの中です。
 柳宗理は「手を動かして物を造りながら考える」というデザイン理念を掲げておられました。粘土をこねて、微調整を重ねながら思い描く形を実際に造っていく。どうやらこの「手作業」という事にヒントがありそうです。
 箱絵を眺めてどのようにデザインの過程を確かめるか思案していた時、車体色が粘土に似ているなと気付きました。こねることは出来ないけれど、粘土に触れる感覚で扱うことは出来るかもしれない。思い立ったが吉日、早速ボディーを塗装してみました。
 選んだ塗料はガイアノーツの「HG-5 ヘキサデザートイエロー」。

 公園の砂場でかつて作った泥団子を回想しながら,砂漠のフレーズが含まれたこの塗料を選びました。当時の職人に思いを馳せ、丁寧に塗料を溶剤と調合した上でボディーに吹き付けました。そうして塗り終えて乾いたボディは艶消しである事も相まってさながら粘土のようです。

 土台を持ちながら塗りムラがないか照明に当てて確認していると、塗る前には気づかなかったボディーを走るパーティングラインを発見しました。パーティングラインはプラモデルを成形する過程で生まれる尾根で,指をボディーに走らせると指先が見つけてくれます。プラモデルだからこその特徴で愛らしいのですが,折角のボディーラインが乱されているのでデザインナイフで丁寧に削いでいきました。すると削いだ塗膜から先程まで隠れていた素地のプラスチックが顔を出しました。

 その作業をしていると,まるで木材の表面を鉋で研いだ時のような新鮮な気持ちに包まれます。出てきた無垢材を上から塗り重ねれば簡単に消せるけれど,なんだかこのままにしておきたい。なぜなら,このまま思考過程を残しておく事ができるのはプラモデルの特権だから。綺麗に仕上げられたピカピカの車体の塗装の下には数多の試行錯誤の痕跡が隠れているのです。

空韻

フィルムとデジタルを往還する日々を通して,写真表現を模索しています。生活の中でプラモデルを床の間に飾る生け花のような彩りや四季を感じる存在として据えるのが目標。

バイクのシートのプラモデル/ハセガワ KR250

 ハセガワから出ているバイクのプラモデル、カワサキKR250の箱をあけてみると、そのパーツの多さに驚く。どこに使うのかわからないような細い棒があったり、小指の先ほどもないピンみたいなのがランナーにちょこんとくっついている。説明書を眺めてみると、「リアブレーキマスターシリンダーの取り付け」とか「エアフィルターケースの組み立て」とか部品ごとに工程が分けられていて、もうこれはバイクのプラモデルというよりは、「バイクの部品のプラモデル」って感じだ。


 とりあえずランナーを見ていて、一番驚いたシートのパーツを組み立ててみることにした。なんと裏打ちパーツがついているのだ。KR250のシート裏がどうなっているのか知っている人がどれくらいいるのだろうか。今日から私もあなたもその一人だ。
 表面部分は黒の成型色なので、そのまま半光沢のクリアースプレーを吹く。裏打ちはつや消しの白のようなので、そこらへんにあった1500番の白のサーフェイサー(下地塗料)を吹いておいた。金具のところにシルバーを筆で塗ってみると、どの方向から見てもシートとしか言えないものが現れる。「今日はバイクのシートというプラモデルを作ったんだ」と人に言いたくなるくらいの満足感だ。

 考えてみれば、シートの裏というのは工具が付いてたりするし、カスタムしたりで意外と見るところだ。意外とバイクに乗ったことのある人が思う「バイクっぽさ」はエンジンやブレーキディスクだけじゃなくてシートの裏側だったりするのかもしれない。


 アニキがめちゃくちゃバイトして買った中古のカワサキKR250。僕が後ろに乗せてよと言っても頑なにダメというのに、週末にはタンデムシートにカノジョを乗せてツーリングに行っていた。クリスマスが過ぎた頃、そんなアニキのバイクはカノジョへの想いを断ち切るかのようにシングルシートに変わっていて、思い出のタンデムシートは今もアニキの部屋の片隅に転がっている───バイク自体だけじゃなくてその部品から生まれる情景もあるんじゃないだろうか。組み立てたシートのプラモデルを眺めながら、こんな想像をするのも楽しい。

もとぴ

東京在住。世界を理解するための糸口としてプラモデルを制作中。趣味の記録や思索のためにnoteも書いています。

買って、作って応援したいのには訳がある!ズベズダの「1/72 スナップキット仕様飛行機模型シリーズ」。

▲ズベズダ 1/72スケール、スナップキットハリケーン組んでいきますよ〜
▲接着剤を使用しなくても組めるスナップキット仕様なので、ニッパーとデザインナイフがあれば組み立てられます

 ロシア最大手プラモメーカー・ズベズダが、より多くの人にプラモを楽しんでほしいと考えて送り出している「1/72 スナップキット仕様飛行機模型シリーズ」最新作のホーカー ハリケーンMk.2C。前回は本キットのパーツの特徴をお届けしました。今回はこのキットの組み味をお届けしていきましょう! スナップフィットはちょっと硬めだけど、ピンを少しカットしてあげるだけでパウッと解決しちゃうので心配しなくて大丈夫よ。

▲この状態まで飛行機模型に慣れている人なら30分で到達します!

 飛行機模型に限らずスケールモデルの今のシーンにおいて、パーツの接着or接続面積の取り方で組み立てやすさを上げていこうという工夫は多くのメーカーで見ることができます。自分がそれを意識して体感できたのがマックスファクトリーの島風でした。艦船模型のパーツを如何に組みやすくするか。あのプラモを組んだ時その視点が僕にも芽生え、このハリケーンを組んでいる時もパーツを接続する軸に注目していました。

▲フラップの接続でがたつくことがない様に、こんな板状の接続部があります。両端の穴と軸でフィットさせます
▲主翼の航空灯を表現するクリアーパーツは、ピンセットなしで組み立てられる様に、主翼深くに固定されるほど長い軸で接続されます。接着剤を使用しないので、クリアーパーツが曇る心配もありません
▲主翼正面に合わせ目が来ない様になっているので、機体を裏返すことなどをしなければ合わせ目は見えません
▲まるで艦船模型の船体を合わせる桁の様パーツが胴体にあります。これで胴体の左右張り合わせがズレることなくガッチリ噛み合います
▲ピッタリ!! 中の桁のおかげで左右のパーツがふがふがしません

 翼や胴体の各パーツは、大きな軸や長い軸があり、極力ピンセットを使わなくても組み立てられる工夫がされています。胴体の桁の様に誰でもガッチリと組むことができるパーツが入っているのも見逃せません。胴体と主翼ができたので、お次はパイロット。このキットにはソ連兵とイギリス兵が各1体入ります。

▲パイロットは分割の見せ所。ソ連兵はベルトのディテールを活かし肩甲骨あたりから腕をワンパーツとして分割。これを背中の両サイドから取り付けます
▲ズベズダ1/72スケールパイロットの分割の定番「背中抜き!」。背中と腕を一体にしてしまい、肩のベルトの端部分に分割ラインを持ってきます
▲操縦桿に右腕がぴた〜〜っと合うので超気持ちいいです。コクピットは主翼の方に配置されます
▲パイロットを乗せたら、胴体を主翼へパイルダーオン!! これで飛行機の形になります
▲完成! シャキッとしたハリケーンがあれよあれよと完成します!

 もっと形状の良いハリケーン、正統派なハリケーンはあるかもしれません。ただこのズベズダのハリケーンはニッパーとデザインナイフだけでほぼ組めるので、「工具を使って切る」「キットパーツを接続する」というプラモの入り口を教えてくれる飛行機模型です。プラモを初めて作る人にも、飛行機模型を初めて作る人にも楽しんでほしいというズベズダのメッセージが詰まったプラモです。形状もかっこいいし、フィギュアも本気のものがセットされます。そして価格も明らかに戦略価格というお手頃さ。この中にあるアイディアが、さらに次のアイテムで磨き上げられていくのかと思うと楽しみでしょうがありません。そんなプラモを僕は購入して作って応援していきたいと素直に思うんです。それでは。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

プラの厚みは生地の厚み。ICMの1/24のヘンリーフォード&Co

 最近はもっぱらフィギュアを作っているけど、可愛い女の子のフィギュアが多い。出来上がるまでにみるみる可愛くなっていくのが楽しいから。服を好きな色に塗って、肌や髪の色、目の色だって好きなように。メイクだって調べれば無数の色の口紅、アイシャドウ。見ていて飽きない、楽しすぎる!というわけで、反対に「かっこいい男」のプラモデルはないのかなとずっと思っていました。
 私は男なので、同性のフィギュアでいいものはないのかと探していると「同性への目は厳しい」というのがよくわかります。兵士のかっこよさ、アスリートのかっこよさという少し遠い世界のかっこよさではなくて、普段着の自分と地続きのかっこいいフィギュアはないものか。そんな悩みに答えてくれたのはICMの1/24の「ヘンリーフォード&Co」。Coというのは「仲間たち」を省略したもので、スーツを着た男がキットの中に入っていました。

 この男性、この年代のスーツスタイルがどうであったかはさておき、右前身頃パーツが別パーツになっている点が非常にスーツの持つかっこよさを表現してると思います。加えてプラスチックの厚さが生地の厚さへと偶然にも変換され重厚感のあるスーツのように見えてくるのでとてもいいですね。パンツなんかは私が「これぞICMのフィギュア」と言いたくなるバターを削ったような滑らかさと硬さのあるシワの表現が嬉しい。厚みのある生地ならではのうねりのあるシワの入り方そっくり。厚手のフランネル生地、あるいはツイードに見えなくもない。それか、ゴワゴワしたキャンバスダックのような見た目のコットンスーツか。


 なんとなく、最近とても気に入っているタミヤのアルピーヌルノーA110の側に飾ってみましたが、これはもう往年の名車が一同に集うグッドウッドなどにウキウキで乗り込む車大好きな男性そのもの。私ももしそういった機会があったらとびきりのスーツで会場に馳せ参じたいところです。座って新聞を読む、両手をポケットに入れて誰かを待っているような姿、腕を組んで立っている……こういったかっこいいスーツを着た男性のフィギュアはもっともっと出て欲しいですね。

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

ロシアには飛行機模型のエントリーグレードがある!? どんどん精度が上がるズベズダ スナップフィット飛行機模型の世界。

▲主翼と本体もバッチリ合います。最新作のたびにどんどん精度が上がってきますね!

 ロシア最大の模型メーカー「ズベズダ」。最近「パーツを少なくして、最低限の工具を使いながら、接着剤無しで多くの人が組み立てることができる」スケールモデルを精力的に発売しています。基本接着剤は使用しませんが、一部の商品においては、あなたが接着剤を使った方が組みやすいと思ったらどうぞ使ってねというフォローがあったりして、なんともおおらか。
 ロシアのメーカーが考える「お手軽にプラモを触ってほしいな〜」という思いが込められているズベズダのスナップキットシリーズは、創意工夫、時には履帯パーツを強引に曲げさせる様なゴリラ組みを要求してきますが、新作が出るたびに本当に楽しませてくれます。今回ご紹介する新作「イギリス空軍 ホーカー ハリケーン Mk.2C」も最高のプラモだったので2回に分けてご紹介します!

▲スタイルも良好! かっこいいハリケーンを楽しめます。
▲本当にこんなかっこいいハリケーンが「51パーツ」でできるなんてやばいでしょ

 51パーツという少なさで、しかも接着剤不要にスナップフィットで完成するハリケーン。少しスナップフィットはまだ固いけど、そんなのはピンを少し短く切るだけで全く問題無し。すい〜っと入っていくので30分で組み上がりました。飛行機模型が初めての人でも1時間以内に組み上がると思います。パーツを見るだけでもその秘密の一部がわかると思います。

▲箱を開けるとからカラー塗装図を見ると、イギリスからのソ連にレンドリースされたハリケーンも作れるんですね。さすが本国。主脚も飛行時と駐機時を選択できます
▲本体のランナーは2枚。細かいパーツがほとんどないので、ピンセットは数回しか使いませんでした。それもあってサクサクと組み立てが進んだんですね
▲ズベズダのスナップキットは表面のディテールにもこだわっています。ふにゃふにゃしたものができることはありません。初めて触った人にもかっこいいディテールが味わえる素敵なレベルになっています
▲そのディテールを象徴しているのが、胴体の後ろ半分に見ることができる鋼管羽布張り。ハリケーンのプラモはここの表現がキモ。ズベズダのキットはうるさすぎず、かつメリハリもあってかっこいいと思います
▲飛行状態の脚庫カバーのパーツはタイヤと一体成型。こういう工夫が組み立てスピードを上げてくれます
▲主翼のフラップも簡単に且つガッチリと固定される様に、フラップの前にでかい板状の接続ブロックがあります。間も無く中華包丁とも言える形状です
▲最高だったのが翼端灯などのクリアーパーツ。このパーツって他の飛行機模型では面に直接貼るものが多いのですが、「これってゲート?」って見間違えるほどの軸が用意されており、これで所定の位置にはめます。しかも接着剤無しなのでクリアーパーツが曇ることもありません

 とにかく感動したのがクリアーパーツの構成と精度。接着するのにプルプルすることなく、軸で接続できるし、接着剤も必要ないからパーツが曇ることもない……キャノピーも置くだけでOKの精度。クリアーパーツのストレスの解放は嬉しい限りです。

▲極め付けはかっこいいアニキ! ロシア人パイロットとイギリス人パイロットが1体ずつ入ってます! 服装も異なっていて芸が細かい。3D造型と思えるシャープさが垣間みえます

 ズベズダの飛行機模型の良いところはフィギュアがかなりのアイテムにセットされるということ。これによって飛行機に表情が出ますし、コクピットを作り込むか、人を乗せて情景を楽しむかなど遊びの幅が一気に広がります。こういう選択の楽しみまで提供されているんです。本当に良いプラモ。

▲次回は俺たちと一緒に空へ行こうぜ!

 箱を開けた時に「お! かっこいい」と思えるパーツのディテール、「これなら今日にでも飛行機になるぞ!」と肩を押してくれるパーツ数、「組みやすいなぁ」と感じさせてくれるパーツの接続方法がまとまっているだけでもすごいのに、さらに接着剤を使用しないでこの飛行機プラモは形になっていくのです。ロシアメーカーが考える、プラモを楽しんでほしいと考えるズベズダエントリーグレード。ぜひ一度楽しんでください。次回はこのハリケーンがどんなふうに組み上がっていったのかをお届けします! それでは〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

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