

ハセガワから出ているバイクのプラモデル、カワサキKR250の箱をあけてみると、そのパーツの多さに驚く。どこに使うのかわからないような細い棒があったり、小指の先ほどもないピンみたいなのがランナーにちょこんとくっついている。説明書を眺めてみると、「リアブレーキマスターシリンダーの取り付け」とか「エアフィルターケースの組み立て」とか部品ごとに工程が分けられていて、もうこれはバイクのプラモデルというよりは、「バイクの部品のプラモデル」って感じだ。

とりあえずランナーを見ていて、一番驚いたシートのパーツを組み立ててみることにした。なんと裏打ちパーツがついているのだ。KR250のシート裏がどうなっているのか知っている人がどれくらいいるのだろうか。今日から私もあなたもその一人だ。
表面部分は黒の成型色なので、そのまま半光沢のクリアースプレーを吹く。裏打ちはつや消しの白のようなので、そこらへんにあった1500番の白のサーフェイサー(下地塗料)を吹いておいた。金具のところにシルバーを筆で塗ってみると、どの方向から見てもシートとしか言えないものが現れる。「今日はバイクのシートというプラモデルを作ったんだ」と人に言いたくなるくらいの満足感だ。

考えてみれば、シートの裏というのは工具が付いてたりするし、カスタムしたりで意外と見るところだ。意外とバイクに乗ったことのある人が思う「バイクっぽさ」はエンジンやブレーキディスクだけじゃなくてシートの裏側だったりするのかもしれない。

アニキがめちゃくちゃバイトして買った中古のカワサキKR250。僕が後ろに乗せてよと言っても頑なにダメというのに、週末にはタンデムシートにカノジョを乗せてツーリングに行っていた。クリスマスが過ぎた頃、そんなアニキのバイクはカノジョへの想いを断ち切るかのようにシングルシートに変わっていて、思い出のタンデムシートは今もアニキの部屋の片隅に転がっている───バイク自体だけじゃなくてその部品から生まれる情景もあるんじゃないだろうか。組み立てたシートのプラモデルを眺めながら、こんな想像をするのも楽しい。