エアブラシとスプレーを受け止めて、プラモの塗装環境をサポートします。話題の塗装ボックス、正直レビュー!

 届きました届きました。ビーバーコーポレーションから発売されているダンボール製の塗装ボックス。結論から言いますね。「エアブラシやスプレーを使ってみたいけど、受け皿やスペースがないと初められない、初められないからどれくらいの投資をすればいいかわからない、わからないけど使ってみたい、でも……」のループから脱出するためのきっかけとして、このアイテムはごくごく安い投資でお値段なりの環境を提供してくれます。

 「一色だけスプレーを吹くことができればありがたいのに!」と思っている人、「ちょっとしたエアブラシ塗装やガンダムマーカーエアブラシシステムを部分的に取り入れたいけどその環境が……」と思っている人は、このボックスにまずは受け止めてもらいましょう。ただし、基本的にはベランダや庭、開け放った窓際での使用(室内で使うなら水性塗料であること)を推奨します。あくまでもこれは「塗装ブース」ではなく、「塗料が跳ね返りにくいハコ」ですので、そこをしっかりとアタマに留めて読んでくださいね。

 「いきなり巨大な塗装ブースは買えないけど小規模でいいから塗料の吹き付けをしたい……」というニーズに応えたこの商品。組み立ては簡単です。切り目と折り目の入ったダンボールを2枚組み合わせてパタパタと折り曲げ、所定の場所に差し込んでいくだけ。かなりしっかりと加工されているので、迷うところはありません。

 BELO001にはハニカムフィルタが2枚。BELO002にはハニカムフィルタが3枚入っています。(フィルタと書いていますが、何かを濾すわけではありません。吹いた塗料が跳ね返ってくるのを低減させるためのクッションだと考えてください)。これを先ほど組み立てたハコの中にスポッとハメます。

 フィルタは特別固定しなくても左右の壁のテンションでキュッと止まってくれます。2枚目の角度は正直付けても付けなくてもあんまり効果は変わらないと思いますのでご自由に!

 組み上がりました。本体寸法は幅約38.5cm/高さ約30cm/奥行約30cm、開口部の寸法は幅約32.5cm/高さ約22cm。あまり大きな模型をまるごと塗ったり……というのには向きませんが、ガンプラのパーツはもちろん、1/24のカーモデルのボディくらいならどうにかなります。

 この塗装ボックス、重要なのは「空気をどこかに吸い出してくれるアイテム」ではないこと。先が行き止まりになったハコに紙製のハニカムフィルターを噛ますことで、吹き付けられた塗料が跳ね返ってくるのを低減してくれる効果がある、という商品です。当然、有機溶剤を含んだ塗料を吹き付ければそのまま揮発して室内に充満しますし、匂いもします。また、連続的に缶スプレーをシューッと吹けば、内部で乾燥しきれなかったミストがハコの容量を超えた段階で逆流してきます。

 缶スプレーはセオリー通り、「シュッ、シュツ」とこまめに吹き付けるのが肝要。周囲に撒き散らさないように、ボックスのなかに飛び込んだ塗料が逆流してこない程度に間隔を開けて吹く。ドシューーーーーって連続的に吹いたら、当然めちゃめちゃミストが吹き返してきます(し、プラモ表面の塗料がタレますよ)。そして缶スプレーは有機溶剤を含んでいるので屋外or最高に換気を良くした部屋でのみ作業すること!目に見えないミストは箱の外で粉状になって部屋に堆積しますから、これも注意。

 「段ボールのヒラキ」をただベランダの床に置いて、そこに並べたパーツたちにスプレーを吹き付けたことがある人ならわかると思いますが、霧状の塗料って想像以上に跳ね返ってくるし、漂います。っていうか、ダンボールに色がついたように見えても、高圧のスプレーとかエアブラシから飛び出た塗料の大部分は反射したり飛散してそこらじゅうに付着します。そんでダンボールをどけるとベランダが微妙に塗られていることに気づくのです……。NO MORE 巨大ダンボールマスキング地獄!

 では低圧のエアブラシならどうかな?ということでこちらもテスト。水性アクリル塗料を吹き付けてみましたが、普通に模型を塗る時のポーズで奥にハニカムフィルターがあるのは安心感ありますし、そのへんにミストが漂っていってベランダの壁がプラモと同じ色に……なんてことはありません。静岡ホビーショーの会場でもこのボックスの塗装実演を見ましたが、海外製の水性塗料(無臭のもの)をごく低圧で吹き付けているぶんにはまったく周囲に影響を感じさせないという印象でした。

 くり返しになりますが、このアイテムはいわゆるファンの付いた塗装ブースと違い、匂いや身体に害のある成分を吸い込んだり部屋から追い出したりしてくれる機能はありませんのであしからず(簡素な自作ブースの素体として期待できますが、あんな改造やこんな改造はくれぐれもご自身の責任で!)。間違っても「密閉した室内でエアブラシやスプレーをバンバン吹き付ける」という用途には使わないように。

 「缶スプレーを吹くにしても、ベランダに新聞紙じゃ心許ないよね……」とか、「エアブラシをほんの少し使いたいんだけど、そのためには絶対に巨大な塗装ブースがないとダメなんでしょう?」と思って悔しい思いをしている人がいたら、まずはその受け皿として買ってみましょう。使用できる条件は上記のように限られますが、まずはエアブラシやスプレーでしかできない表現に驚いてみてください(そこで起きる変化は本当に楽しいので)。その先で「もうすこし大規模な塗装をしたいな(=吸引式の塗装ブースが必要になる)」とか「水性塗料に限ってなら続けられるな(換気を良くすればこのボックスでも塗装はできる)」みたいなことが判断できるようになるはずです。末永いプラモライフを楽しむための大きな一歩を踏み出すきっかけに「専用のハコ」を持つの、アリだと思いますよ!

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。