ちまちま作っているタミヤの「1/48 グラマン F-14A トムキャット (後期型)発艦セット」なんですが、トムキャットといえば主翼が前後にスイングします。しかしこのキットは発艦寸前の姿を再現するために主翼が固定なんです。左右をつなぐゴッツい桁でバッコリ角度が決まる。ところで頑丈な模型はいいですね。壊れにくいので。
発艦直前はノーズギア(前の着陸脚)がぎゅっと縮んだ「ニーリング」と呼ばれる状態になります。これも縮んだ状態のパーツが入っています。ロボットモデルだと「よく動くのでいろんなポーズがとれる!」というのがバリューになるけど、こっちは「決まったポーズの固定モデル」なんだな。これはスケールモデルかキャラクターモデルか、みたいな差ではなくて「どう作ってもらいたいか」が決まってるかどうかなんじゃないかな〜と思ったりします。
これは本物のトムキャットの写真。主翼が前後にスイングするので、主翼付け根の胴体の中に出し入れされる部分に同心円状の汚れがついているのがわかります。最近はこれを塗装で再現するのがトレンド。動かないのに「動くんだぜ〜」という説得力を出せるし、変わった模様なので見た目にも盛り上がります。つい最近までこれを再現する人がいなかったのも不思議〜。さて、どうやって再現するのか……。
うわー、「汚れデカール」が入ってるじゃないですか!同心円状の汚れを描くというナウいけどちょっと難しい技法を貼るだけで味わえるようにする……。デカールにトレンドが盛り込まれるっていうの、なかなかシブくないですか。楽しいなぁ!
もちろんキットは相変わらずとんでもなく素晴らしい完成度なので、あえて「ここがすごい!」という必要なし。だって全部すごいんだもん。でもですね、トムキャットのプラモで誰もが苦戦してきた胴体と機首の合わせだけはこの世の全員に味わってもらいたい快感なんだよなぁ……スポッ!
パシッ!ほら、どこが合わせ目立ったのかほとんどわからないでしょ。なにも考えずにここがバチピターっと合うプラモはタミヤのF-14以外無いと断言しちゃいます。この複雑な飛行機の獰猛な発艦シーンを味わいたければ、タミヤのキットを買ってきてストレートに組むが吉!貼るだけでも猛烈に楽しいし、ぬれば100倍楽しい。そんなウルトラプラモです。買わなきゃ損ですよ〜。
からぱた/nippper.com 編集長
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。