

「派手なスーツを着た男性」 と言われてパッと思い浮かぶのはコンゴ共和国のサプールと呼ばれる集団。原色がビシバシと目に入ってくるようなスーツはもちろん、シックに決めていたってネクタイの主張が強い。そして意外と良い靴を履いている。なぜかフランスの名靴J.M.WESTONの着用率が高い。なぜだ。写真集をぼんやり眺めた後に、手持ちの色で一番鮮やかな青をジャケットに塗ったのだけど、これだけで既に最高の気分になった。そのあとパンツは何色にしようかと思ったら、店員時代に可愛がってくれたお客さんに「君は卵色のパンツが似合う」と言われたのを思い出して黄色に塗ることにした。
模型用塗料の中で黄色は隠蔽力が弱くなりがちで、好きな色だけど敬遠していた色でもある。好きだから持っているけど「やっぱり使いにくいな」と起用を見送るケースが多い。ただ、この日は何かが違った。そう、強い隠蔽力を持つファレホは、その逆に「下地を透かしながら塗る塗料」でもあるのだ。

下地を塗った後に隠蔽力の弱さを利用して薄く塗り重ねると、当然のようにうっすら黄色くなる。これをプラモデルを溶かさないように注意しながらヒートガンで乾燥させて、また薄く塗る。そうすると、さっきよりも黄色くなる。しかも鮮やかな黄色。当たり前すぎて言葉にするのも変な感じだが、塗れば塗るほど黄色くなる。そして、黄色は純色の明度が高いので塗れば塗るほど明るくなる。頭の中で明暗の層が一気に解像されて「明るくしたいところは重ねて塗れば良い」という結論と、パンツを立体として見る目が急に開発された。
言葉にすると簡単だけど、実際にやって見ると何かがいつもと違う手応えの筆塗りがとても楽しく、夢中で進めていった。とにかく、何かが今までと違う様子。「正解っぽいけど、ものすごく間違えてるかもしれない」みたいなこの感じ、なんだろう。ただ、出来上がりは驚くほどにかっこいい。靴だって思わずスペクテイターシューズのカラーリングに。良すぎるが故に自ずと自分の靴の知識が行き届いてしまうこの感じ、なんだこれは。今までで最高の仕上がりだ。

青く塗ったり黄色く塗ったりしていたけど、結局のところはA110のカラーにも合わせた配色になってたりしたので、これはそういう組み合わせとして飾ることにした。初めてのビネット作りは晴天の青空の下、飛び切りのファッションで車の前に立つ愛好家を切り取ったものとなりました。彼の部屋にはこの日の写真がいつまでも飾られ続ける事でしょう。