待ち時間ゼロ!流れ作業でプラモのデカールが貼れる方法教えます。

 先日紹介したワークステーションからの流れで、「プラモ向上委員会のアイテムならこれもオススメ!」と知人に言われたツールを試してみました。その名も「デカーリングQuickトレイ」でございます。

 これ、発売当時に写真だけ見て「いやー、そんなギミックいらないでしょ!」と思ってそのままシカトしていたんですね。ざっくり説明すると、水槽のなかから吸水性のスポンジがせり上がってくるという「水転写デカール専用トレイ」なんです。

 ふだんデカール貼るときは適当に水を張った皿に浸してティッシュとかに数分置いとけば貼れますし、こんな特殊なもん使わなくてもいいじゃん、と思っていたんです。どっこい、実際に使ってみたら全然目的が違うことに気付かされました。

 それもそのはず、この商品のキャッチコピーのいちばん最初に「一度に大量のデカールを処理するのに特化」と書いてあるんです。大量に、というのが重要。

 上の写真のようにスポンジが水に沈んだ状態でデカールをパラパラっと撒いて、すぐにトレイを上昇させます。

 なんと、この状態で20分だろうが30分だろうが、デカールの糊は流れ出さないというのです。ちまちましたコーション(注意書き)デカールとかをひとつひとつ浸しては貼って……浸しては貼って……とやっていたことを考えると、「いつでも貼ってください!」状態のデカールを複数スタンバイさせておくことができる効率性は驚くべきものがあります。

 保水性も高いので、とりあえず貼りたいデカールを新たに切り出してもここにパラッと乗せておけば、他のデカールを貼っている間にスタンバイOKな状態になっています。流れ作業のように、数枚のデカールを次々に貼っていくことができるので「デカールがいい感じに湿るのを待つ(その間やることがない)」という時間が削減され、劇的に作業密度が上がります。

 デカール貼りというのはだいたいプラモ製作の終盤、机がとっちらかった状態で作業することがほとんど。集中力が低下していて、完成が目前に迫っていることに気が焦り、台紙がとっちらかり……と「修羅場」になりがちです。しかし、このトレイには台紙を捨てるスペースもあるので、精神的な安寧にも繋がります(デカールの台紙ってそのへんにぶん投げておくと残った糊で机と合体したり、ゴミ箱に捨てつもりがゴミ箱の縁にガッチリくっついていたりして萎えるんですよね)。

 デカール切り出し用の曲線バサミやプラスチック製のデカール用ピンセットが付属しますが、これはどちらも決して精度の高いものとは言えず、専用のものには劣ります(とはいえ、刃先が短く曲線になったハサミはデカールの切り出しに便利ですし、先の尖った金属製ピンセットよりも安全ではあります)。

 上下に昇降する可動ギミックが見掛け倒しかと思ったら、ものすごくよく考えられているこのトレイ。デカールを貼るのが苦手な人ほど、その実力に助けられるはずです。みなさんも、ぜひ!

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からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。