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1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシ道楽(http://sidelovenext.jp/)

花金だ!仕事帰りに買うプラモ。ノスタルジーな美しさをストレスなく楽しめる「F-15」。ハセガワの定番ヴィンテージで乾杯。

▲箱を開けた瞬間、各部ができてる!! しかもパーツがとっても綺麗。うれしい〜〜

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週はジェット戦闘機プラモの大人気機種「F-15」のプラモをピックアップ。紹介するのは、1974年に発売されたF-15をベースにした旧版の方のイーグル「ハセガワ 1/72 F-15D/DJ イーグル」!! 小さい箱から大きなプラモが1時間で完成するまさに花金プラモにぴったりなジェット戦闘機プラモです。

 ハセガワは、1998年にリニューアルキットとして「F-15J イーグル」を発売したことで、今回ご紹介するF-15のプラモは、旧キットの方なんて呼ばれたりします。この古いF-15も定期的に定番キットとして発売されているので、お店では新旧入り混じって販売されているんです。古いからって侮るなかれ。F-15の形を爆速で楽しみたい! って人にはすごく寄り添ってくれるアニキなプラモなんですぜ!

▲量販店などでは1000円くらいで購入できるプラモ。基本的な武装もセットされてますよ!

 量販店や通販サイトだと1000円あれば購入できるナイスプラモ。しかもF-15って元がなかなかの大きさなので、1/72スケールでも完成すると大満足のボリュームを味わえます。凸モールドも綺麗だし、ランナー(プラモのパーツが繋がった枠のこと)写真を見て貰えば分かる通り、パーツ表面も超綺麗なんですよ。このクオリティには改めて驚かされました。

 組み立てはマジでマッハ! 複座のコクピットが5パーツほどで完成し、それを上下から本体パーツを挟み込むようにして組み立てれば、ほぼF-15の形が現れます。

▲コクピットを組んだら上下でバコーン! ここまで5分!!
▲びっくりするくらい癖のないフィット感。超組みやすいです。流し込み接着剤があれば、何の苦労もありません
▲冗談じゃなくマッハでできちゃった!! 楽しすぎます!

 どこからどう見てもF-15と言えるプラモが1時間しないで組み上がります。キャノピーもしっかりとフィットしますので(写真は接着せずにキャノピーを置いただけの状態)、最後の最後でがっかり……なんてこともありません。パーツの擦り合わせとか、僕はどこもやってないです。ジェット戦闘機の花形のひとつ「F-15 イーグル」の形をここまで楽しく、爆速で組み上げられるプラモってだけでも、旧版のハセガワ F-15は存在価値を示していると思います。

 F-15は世界中のメーカーから発売されているアイドル飛行機模型。だから店頭では新旧入り乱れながら、内容も複雑なものからシンプルなものまでズラーっと並べられています。そこからぜひ、1度この「旧版 ハセガワ 1/72 F-15D/DJ イーグル」を摘んでみてください。昭和の「アイドル懐かし映像」のようなノスタルジーある美しさをその手にできます。このプラモでF-15の形を知って、あなたの次の推しを探しに行くってのも楽しいですよ。

▲かっけ〜〜〜!!! 約1000円で最高最速のブンドド体験もできます
▲小さな箱からでっかい飛行機が出てくるぞ!! 最高だろ

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

最高の造形のアフリカゾウを最高の塗料でお出迎えした話。

▲海洋堂のARTPLAの動物シリーズは、造形もパーツ分割も最高! かっこかわいい動物を気軽にプラモで楽しめるのでみんなも作ろう!

 週1個、海洋堂のARTPLAの動物を組んだり塗ったりするのが僕の楽しみ。いつかフミテシ動物園を我が家に開園するのが目標です。現在はハシビロコウ1匹。まだまだ先は長いですが、やっていきます。今回はいきなりの大物「アフリカゾウ」を我が家にお出迎え! パオーンと聞こえてきそうな最高にかっこいい造形にもうメロメロです。そして成型色をホワイトにした海洋堂さんに、マジでスタンディングオーベーション。僕の大好きな水性塗料「シタデルコントラスト」で、すぐ塗れます。動物を塗るのにもマジで最強の塗料です。

▲象は2色使って塗ろうと思います。左が「シタデルコントラスト バシリカヌム・グレイ」、右が「シタデルカラー シェイド セラフィム・セピア」です

 動物をお手軽にカッコよく筆塗りできる技法が「染め塗り」。白や明るいグレーのものに、シャバシャバの塗料を薄く塗って染め上げる技法です。その染め塗り専用の塗料が「シタデルコントラスト」。造形の細かい凹凸に勝手に流れ込んでいくので、自然なグラデーション塗装が可能となります。象のプラモは最初から白なので、この色を活かせるんですね! コントラストのバシリカヌム・グレイで染めた後に、シェイドのセラフィム・セピアを重ね塗りしようと思います。

▲バシリカヌム・グレイはこげ茶寄りのグレー。チャコールグレーのような雰囲気です

 アフリカゾウと調べると、グレーの強いもの、ほぼ茶色のもの、グレーと茶が入り混ざったようなものとさまざまな写真が出てきます。「まじで生きる戦車じゃん」とか思いながら、色のイメージを膨らませていきます。動物の色って意外と知らないもんで、調べるとさまざまな発見があって楽しいです。プラモを作りながらちょっとだけ頭が良くなれます。

▲プラスチックにそのまま塗るよりも「つや消し」スプレーを吹くと、より塗料が定着します

 コントラスト、シェイドはとても薄い塗料なので、ツルツルのプラスチックにそのまま塗ると、塗料が弾かれてしまうことがあります。そこで「水性プレミアムトップコート つや消し」を吹きましょう。水性で匂いもマイルドなので、ベランダや窓際でさっと吹けます。スプレーすることで表面に細かな凹凸ができてツヤが消えます。こうすることで塗料がしっかりと定着し、綺麗に染まります。

▲後は難しいことは考えずに全体にバシリカヌム・グレイを塗るだけ。塗料が溜まりすぎた場合は、筆で伸ばすか、筆先で余分な塗料を吸ってあげましょう
▲15分でいい感じのアフリカゾウに!! 牙は染めないようにしました

 この状態でもめっちゃ良いのですが、僕は牙を黄ばませたいのと、全体に赤みを追加したいので「シタデルカラー シェイド セラフィム・セピア」を塗ります。シェイドというのは、コントラストよりも染まる力がマイルドで、スミ入れしたり、表面に陰影を追加したりするのに使う塗料です。この塗料も白い物の上から塗るとうっすら染まる特性があります。

▲さっとひと塗りするだけで、牙が黄ばみました! めちゃくちゃそれっぽくなりましたね!
▲赤みを足したいな〜って部分にペタペタと塗っていきます
▲アフリカゾウ爆誕!! ドライヤーを使って乾燥させながらやれば、30分で塗り上がります

 ARTPLAの動物たちは造形が最高すぎるので、シタデルコントラストやシェイドで染めるだけで大満足な完成品をゲットできます。カッコよく塗れたぞ! って思えるものを週1のペースで棚に飾れるので、めっちゃ楽しい&嬉しい気分になれます。そしてプラモが大好きになれます。派手な動物ならまだしも、たいていの動物は少ない色数で塗れますので、用意する塗料もコンパクトで済みますよ。シタデルカラーを揃えながら動物を塗っていくのもオススメです。最高の造形と最高の塗料が生み出す楽しいプラモ体験を、あなたもぜひ楽しんでください!!

▲ハシビロコウもバシリカヌム・グレイで塗っているよ!! フミテシ動物園に次は何が来るのか!? お楽しみに

フミテシ/nippper.com 副編集長

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「やすりの親父」はマイルドさと頑固さを兼ね備えたナイスなヤスリだった話。

▲見た目はヤスリなの? って感じな特殊フィルムのヤスリ

 模型売り場のヤスリコーナーで異彩を放つアイテム「やすりの親父」。パッケージに描かれた親父にばかり目が行ってしまい、正直どんなヤスリなのかに興味を持っていませんでした。しかし! 工具大好きアニキでnippperや模型誌でも活躍する、けんたろうアニキが「このヤスリ、かなり良いから1度使った方が良いですよ」ってオススメしてくれたので、今回使ってレビューしてみることにしました! 

▲ヤスリスティクの定番「ウェーブ ヤスリスティック」(写真奥)の表面と比べると、全く別物といった感じ

 スティックタイプのヤスリは角をピシッと立てたり、狙ったところをピンポイントに削れる模型工具の定番アイテム。硬い板にヤスリを貼り付けたもの、スポンジのように弾力がある板にヤスリを貼り付けたものなど様々。「やすりの親父」は、一見ヤスリなの? と思える特殊フィルム状のヤスリが板に貼り付けられています。板は樹脂製の芯が入っているので、適度にしなります。そのしなりで曲面にも追従してパーツを削り出せます。実際に使ってみましょう。

▲適度なソフトさがあるので、曲面に馴染みます。角を出したい時はヤスリをパーツにグッと押し付けるのではなく、添えるようにして力を入れずに動かせばピシッと角が出ます

 まず削り心地から、他のメーカーヤスリと異なるなと思いました。今回使用したのは400番ですが、他のメーカーの番手で言えば600番くらいの削り心地なのです。頑固そうな親父ですが、実はマイルド親父なんです。ですので、ガッツリ削りたい時は一つ下の番手を買うのをオススメします。親父には仕上げ用の高番手もあり、このマイルドさを把握しておけば、仕上げ工程もより緻密に行えると思います。

▲しっかりと削れてますね。このビジュアルになると「ヤスリだな〜」って感じがします
▲このヤスリの特徴のひとつがここから始まります。削りカスをブラシや指で払ってみましょう
▲ほとんど目詰まりしていません! びっくりするくらい長持ちします

 ヤスリの親父、最大の長所が耐久性です。ここで頑固親父パワーが発揮されます。削りカスで目詰まりしにくい加工が施されています。メラミンスポンジと合わせて使用すれば、さらに綺麗に削りカスを除去できるのでさらに長持ち!! めちゃくちゃコスパの良いヤスリなのです。

▲耐水加工が施されているので、水研ぎしても繰り返し使用できます
▲水研ぎのメリットは、表面を削ったクズを流しながら研磨ができるので、目詰まりを起こしにくいこと。もともと目詰まりしにくいヤスリの親父が、さらにツルツルに! 研ぎ味が長持ちしますね

 そしてこのヤスリ、長い棒状なのですが、お好きなサイズにカットして使用できます。切れ味の良いハサミでズバッと半分にカット!! 「やすりのこやじ」にしてやりましょうや!

▲ハサミで半分にカット!! 
▲超フィット。使いやさすが一気にアップ

 半分にカットすると、ちょうど手のひらに収まるくらいになります。これで力の加減がさらに効きます。やすりの親父、使ってみたらマイルドさと頑固さが共存したとっても良いヤスリでした。とにかく長く使えるので、400番とかよく使う番手は、すぐ使えるように製作スペースにいつも置きっぱなしにしています。常に安定した研ぎ味でパーツを削れる「やすりの親父」、ぜひ一度使ってください!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

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あなたの好きな「1色」を塗るだけで素敵な車になるプラモ/「フジミ アウトビアンキ A112 アバルト」

▲フロントバンパーやグリル、サイドシルからフェンダーまで黒成型で分割されてる!! すでにできてる!!

 「たった1色」、あなたのお好きな色と一緒に購入するだけで、素敵な車が完成する車模型と出会いました。そんなお話です。

 最近街でよく見かける「フィアット 500」をベースにしたスポーツモデルの「アバルト 500」。蠍のエンブレムが、蠍座のオイラの視線を奪っていきます。ちょっとアバルトに興味が湧いたので、ヨドバシカメラの模型売り場に行ったら「フジミ 1/24 アウトビアンキ A112 アバルト」という模型に出会いました。パッケージイラストの雰囲気と車のデザインに一目惚れして速攻でレジへ! 帰宅して箱を開けてみると、僕好みの仕様で最高でした。

▲この絵と車のデザインに惹かれて購入。さらに……ボディ以外は大体黒。この仕様がパーツ分割でほぼ表現されています
▲ボディはあなたのお好きな色に染められる「白成型」。インテリアやシャシーは全て黒。完璧です

 ボディは白成型、黒になるシャシーやフロント部分などが黒成型とくっきり分かれています。このまま組めば白と黒のツートンカラーにもなりますが、あなたの好きな1色でボディを塗れば、あなただけの車に変身! インテリアのパーツも黒なので、そのままでもそれらしい見た目になります。

▲最近オレンジにハマっていまして、水性ホビーカラーの「オレンジ」を使用。ちょっと発色に癖がありました
▲後は黒いパーツを接着していけば、オレンジカラーの車が完成! やったね!!

 あとは組み立てるだけで、僕だけの「アウトビアンキ A112 アバルト」になります。ナイスなパーツ分割のおかげで、成型色を活かしながら、自分の好きなところだけさっと塗装して楽しめる車模型っていいですよね。このアバルトは、まさに蠍のように“1色刺す”だけで、楽しいプラモでした。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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戦車模型の“水陸両用”の代表格を手のひらサイズで楽しめるプラモデル/「ピットロード 1/144 陸上自衛隊 水陸両用車 AAV7」

▲1/48戦車模型を一斉攻撃!! ピットロードの1/144戦車模型はたくさん揃うと楽しさ倍増!!

 戦車模型を気軽に触ってみたい! しかもかっこいいの!! という俺のような少年ボーイに超オススメしたいのが「ピットロードの1/144スケール戦車模型」。手のひらサイズどころか、指でつまめるほどのミニミニサイズの中に、ぎゅうぎゅうに濃いめのディテールが刻まれていて、完成するとめちゃくちゃ存在感があるプラモ。一箱に複数輌入っているので、すぐに多数の車両を並べてニヤニヤできます。

▲今回は陸上自衛隊にも配備されている水陸両用車「AAV7」をご紹介します!!

そんなピットロードの1/144スケール戦車模型から今回ご紹介するのが「陸上自衛隊 水陸両用車 AAV7」です。こちらの車輌ですが、まずは1970年にアメリ海兵隊でLVTP7(Landing Vehicle,Tracked,Personnel 7)の名称で運用が開始されます。タミヤの1/35スケール ミリタリーミニチュアでも「シードラゴン」「アップガンシードラゴン」というタミヤ独自のかなりかっこいい名前でプラモ化されています。1984年にAAV7(Assault Amphibious Vehicle,personnel 7)に改修。さらに1998年にはエンジン及びサスペンションがM2ブラッドレー歩兵戦車と共通化されました。登場から、水上浮航能力を有する水陸両用装甲兵員輸送車輌の代表として活躍しています。

陸上自衛隊は1998年以降のタイプを導入しており、現在は2018年に新設された水陸機動団戦闘上陸大隊 第1・第2戦闘上陸中隊で運用されています。

▲本キットの大トロパーツ。小さなパーツにディテールが凝縮されています。かっこいいぜ

 本キットは一箱で3輌のAAV7を作れます。さらに人員輸送型、指揮通信型をパーツ選択して作り分けもできるので、一箱の中でそれぞれの違いも楽しめます。なんてお得なんでしょう!

▲同じパーツ構成のランナー(プラモのパーツが繋がっている枠のこと)が3枚セットされます
▲ミニスケールの戦車模型といえばこれ!! 転輪と履帯が枠の中ですでに完成しています

 1/144スケールのような小さな戦車模型は、少ないパーツ数で「そのモチーフらしく見える」という見立てを重要視しているものも多いです。ピットロードの1/144スケール戦車模型は、その最高峰と言えるもの。特に足回りは極力簡略化して組み立てやすさを向上しながら、きちんと見映えも満足できるものとなっています。

▲車体は箱を組むように、各面の装甲を接着していきます。パーツ同士もピッタリと合いますし、接着ガイドもあるので流し込み接着剤をパーツの隙間に流し込むだけで、サクッと完成します
▲あっという間に2輌完成!! 手前が指揮通信型。奥が人員輸送型
▲ティーガーIよりもボリュームがあるので、1/144スケールでもなかなかの存在感!

 装甲脇のアタッチメントのディテールなんて誇張されまくりで、かなり味濃いめでしょ! このくらいしっかりとモールドされていると、ミニスケールのプラモでも存在感抜群。組んだ後の満足度も高くなるんですよ〜。陸上自衛隊からは10式や16式なども発売されています。1/144スケールで、ピットロードのこの仕様なら、ガンガンコレクションできますね! とってもかっこいい水陸両用車「AAV7」、ぜひ作ってください!!

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80パーツで楽しめる最強のタンクキラー/「童友社 Ju 87G-1 スツーカ“対戦車攻撃機”」

▲80パーツのタンクバスター

 童友社から発売された「Ju 87G-1 スツーカ“対戦車攻撃機”」。第二次世界大戦で登場したドイツ軍の飛行機の中でも、多くのファンを持つスペシャルな1機です。このキットは韓国のメーカー・アカデミーのスツーカを童友社パッケージで発売したものとなります。少ないパーツ数ながらも、各部のモールドなどはシャキシャキとしていて、組み上がると、とてもかっこいいです。

▲逆ガル翼の迫力あるスタイル! スツーカは本当にかっこいいですよね

 逆ガル翼に固定脚、ダイブブレーキを装備して目標に向かって急降下爆撃を仕掛けたドイツ軍の飛行機がスツーカです。この機体は戦中に旧式化してしまい、新たな役割として「対戦車攻撃」という運用にスポットが当てられ改良が施されます。それがこのプラモ「Ju 87G-1 スツーカ」なのです。

 この飛行機にはドイツ軍のスーパーエース「ハンス・ウルリッヒ・ルーデル」という、キング・オブ・タンクキラーが搭乗して大活躍。敵戦車を500輌以上破壊、その他装甲車両や航空機も多数撃破という、リアルチートな活躍からさまざまな異名を持っています。その中には、「ソ連人民最大の敵」という、そりゃそうだわ〜と納得してしまうものもあります。

▲37mm機関砲!! これがアイコンです

 グスタフのタンクキラーとも呼ばれた37mm機関砲。これが翼下にガンポッド方式で搭載されました。翼にスペシャルな武装が付くってだけで、燃えてきますよね!! かっこいいぜ!!

 それだけでなくエンジンの換装や地上からの対空砲火から乗員を守るための増加装甲が追加されたり、ダイブブレーキが取り外されるなど、さまざまな改修が施されています。

▲主翼の下面パーツは1パーツ成型。モールドや各部のリベットも綺麗ですね!
▲こちらは胴体。パネルラインはかなりくっきりしていてメリハリがあります。垂直尾翼周辺は、小気味良くリベットの彫刻があり、模型のアクセントになっています
▲胴体内側のコクピット壁面。1/72スケールですが、各ディテールが最初から彫り込まれています
▲スツーカは窓枠がとっても多い飛行機。窓枠の彫刻が綺麗なので、塗り分けしやすそう。開閉状態がそれぞれ用意されているのも嬉しい限りです

 1/72スケールらしい塩梅のディテールと、綺麗なパーツ形状。さまざまなメーカーから1/72 スツーカは発売されていますが、その中でもベストな仕上がりと言えると思います。さらにパーツ数が80点で抑えられているので、1時間半もあれば完成してしまいます。

▲パイロットは付属しません。1/72スケールなら、このくらいのバランスでも問題ないでしょう

 少ないパーツ数でも、パーツのフィットが良くなければ組み立ては大変。でもこのキットにはそんな心配はありませんでした。胴体左右の貼り合わせ、大きな主翼と胴体の合体……どれもがスムーズ。とっても素直なタンクキラーとなっていますよ

▲飛行機プラモで胴体と主翼がカチリとはまると本当に気持ちが良いです! このキットは絶妙なフィット感を楽しめますよ
▲こんなにユニークな形状をした飛行機模型が、サクサク楽しく組める!! それだけで最高なのに、完成後も超かっこいい!!

 組んでいる途中から、「めっちゃかっこいいじゃん」ってなり、筆塗りしたくなったのでキャノピーは接着していません。キャノピーと胴体の間には、接着すればぴたりと合わさる余裕がありますのでご安心を。1/72スケールで、ここまでストレスなくカチッとした「Ju 87G-1 スツーカ」を楽しめるキットは他にないと思えます。ぜひ童友社パッケージのプラモをゲットして、組んでください! それでは〜〜。

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“タミヤのバイク模型”でバイクに触れる/フレッシュトマトのようなイタリアの赤とご対面!「ドゥカティ デスモセディチ」

 カウルの成型色に「タミヤの色」がついているバイク模型は、全プラモジャンルの中でも最高の刺身! 今回はそんなバイク模型と出会えたのでご紹介します。その名は「ドゥカティ デスモセディチ」です。

▲まるでカプレーゼのフレッシュなトマトのような赤!! イタリアの大トロが食せるプラモ!!

 モータースポーツにおいてイタリアといえば「赤」!! 情熱の色であり色気もある赤は、多くの人の心をキャッチする色ですよね。タミヤのバイク模型の中でも「ドゥカティ」というイタリアメーカーのバイクが、この赤を纏っています。ドゥカティのバイクは多数ラインナップされていて、最近では「スーパーレッジェーラ V4」が新たに加わりました。

 バイク模型にとってカウルの成型色は、メーカーからのメッセージ。スーパーレッジェーラ V4の成型色は「白」。このバイクのカウルは赤や黒などの色分けが存在するので、より塗装しやすい「白」の成型色がセレクトされています。

 僕が今回作った「デスモセディチ」の実車のカウルは、ほぼ赤一色。だから透けの無いとっても鮮やかな「赤」が成型色でセレクトされており、組むだけでもほぼ実車のイメージを楽しめるプラモになっています。

▲イタリアのバイクに、イタリアのデカールメーカー「カルトグラフ」の発色良いスペシャルなデカールをセット

 デカールも高品質な「カルトグラフ」製のデカールがセットされます。赤一色のカウルにこれを貼るだけで、大満足な仕上がりになることも予想できますね。

▲黒や銀のメカな部分に赤が映える!! プラに色があると組み立ての楽しさはさらに加速しますね

 メインカラーの色が成型色で表現されているパーツがあるだけで、組み立て時のワクワク感も全く異なります。黒や銀の硬質なメカに、まさに紅一点ともいえる赤が差し込まれてきた時の快感。僕はこの瞬間が本当に大好き。だから「色付き」のバイク模型って最高に組むのが楽しいんです。

▲このマフラーもすごい!!

 僕がこれまで作ってきたバイク模型のマフラーは、エンジンからすべて同じ方向に生えているものでした。だったのでこの「デスモセディチ」を組んだ時はびっくりしました。マフラーが上下に生えるんです(語彙力)。

▲シートの下を通って生えるマフラーと、エンジンの下からニョキッと生えるマフラー。こんな流し方もあるなんて、バイクってすげーな〜っとプラモを作って知るのでした

 バイク模型はプラモの中で、最も実車のメカニズムを楽しめるジャンル。組みながら、そのバイクの特徴的なメカニズムを体感します。だから組み終わると、なんだか賢くなった気分にさせてくれるんですよ。

▲内部構造がほぼ完成した状態。カフェレーサー味があって、これだけでも完成とも言えるかっこよさ。バイク模型はひとつの組み立てで、何度も完成体験を味わえるような楽しさがあります
▲組み立てただけでこのかっこよさを味わえる!! パーツの照りがいいぜ〜〜。超楽しいです

 カウルのパーツにメインカラーが成型色で表現されているバイク模型は、僕のようにバイク模型の楽しさに魅了されたばかりの人間にとっては最高のご馳走。

 特にタミヤのバイク模型の色はめちゃくちゃ綺麗なので、「組んでみたい!」って気持ちがもりもり湧いてきます。そして、組み立て中にバイクのかっこいいメカニズムに気絶して、カウルを取り付けたら気持ち良く昇天できますので、難しいことは考えずにタミヤの「色付きカウル」バイク模型を買って組んでください。それでは〜。

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花金だ!仕事帰りに買うプラモ。今の車模型シーンにぴったりな「普通のアニキ」のプラモデル/「フジミ模型 メカニック」

▲元気出せよ!! 花金だぜ!!!

 たわむれるアニキたち。週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週は、アメリカのドラマや映画に出てきそうな、個人ガレージで車をいじっているようなアニキたちが一箱に詰まっている「フジミ模型 1/24 ガレージ&ツールシリーズ No.3 メカニック」をご紹介します。シャツにスラックスなのかチノパンなのかと言った、日常着のアニキたちをゲットしようぜ。

▲めっちゃ普通な服装でGT40みたいな車をいじってるアニキ。いいぜぇ……
▲デスクワークが渋い!! 最初の写真でみんなに慰められているのがデスクワークマンです

 アニキたちの慰めのプラモではなく、彼らにはそれぞれ役割が分担されています。タイヤ交換、エンジン調整、デスクワーク、シャーシ調整です。同シリーズのツールセットなどと合わせることで、車を整備している情景を爆誕させます。ただ、この商品だけでも実に味わい深いので、とってもオススメです。日常着のアニキたちなので、プロっぽさが出ていない、趣味で車をいじっている感じが出るのも良いですね。普通の車に合わせやすいです。

▲人のプラモって、どの模型も枠に収まっている状態が面白いですよね。異様な迫力があります
▲ヘアスタイルもだらしくなくていいでしょ。手前はちょい板前なアニキ。良い仕事しそうですね
▲15分くらいで4人のアニキ爆誕!!
▲楽しい!!!

 車と合わせた瞬間、個性的だったポーズが、パズルがはまるようにかちりと馴染みます。やっぱり没個性な日常着なのが本当に良いですね。アメリカンカープラモや、最近のハセガワがラインナップしている車プラモとも違和感なく合わせられます。ぜひ今週は、模型を楽しくする「普通のアニキ4人組」で思いっきり遊んでください! 超楽しいよ。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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1/72スケール飛行機模型のちょうど良いが詰まったアオシマの「フォッケウルフ Ta152H-0」!!

▲再生産の発表からずっと楽しみにしていた「フォッケウルフ Ta152H-0」が到着!

 nippperでは車やバイクの模型でよく登場する静岡のメーカー・アオシマ文化教材社が、最近1/72スケールの飛行機模型のパッケージをリニューアルして再生産しています。その中で僕がオススメしたいプラモがこの「フォッケウルフ Ta152H-0」です。ドイツ軍が第二次世界大戦末期に投入した最強のレシプロ戦闘機とも言われている飛行機です!

この「1/72航空機シリーズ」は、紫電や五式戦、そして飛燕と言った日本機も再生産されます。これらも良いキットなのですが、これらの飛行機は他の国内メーカーでもラインナップされていて、手に取りやすいキットが多数あります。しかし、フォッケウルフ Ta152は海外のプラモだったり、ちょっと昔のプラモだったりと、近年お店で巡り合うのにちょっとだけハードルがありました。その穴を今回の再生産でアオシマが埋めてくれたんですね!! もう、この機会に買うっきゃ無いでしょう!!

▲1/72スケールってこのくらいのパーツ数が気持ち良いですよね〜

 アオシマの「1/72 航空機」シリーズは、くっきりはっきりした味濃いめなモールドと、組みやすさを重視した少ないパーツ構成でキット化されているのが特徴です。特に僕は「味濃いめ」なところが大好き。1/72スケールの飛行機模型は筆塗りで楽しむことが多いので、ベシベシ塗り込んでも塗料によってディテールが埋まるなんてことはありません。またどのキットも比較的新しいものが多いので、パーツがめちゃくちゃにずれたり、パーツが反ってたりとかそういうことが無いのもオススメしたいポイントなのです。

▲カラー塗装図も付いていて、色の塗り分けも直感で判断できます
▲アオシマのTa152は1995年に開発されたプラモ。2018年に新規パーツが追加されました
▲アニキの雰囲気も十分! 良い表情してますね

 パーツをアップにしてみると、とても綺麗ですよね。シャッキリクッキリなモールドが刻まれているので、スケール以上のメリハリが出て、とても立体感ある飛行機模型に仕上がります。

▲カウルフラップは開閉2種のパーツをセット。お好みで選択できます
▲量産型Ta-152H-1との相違点である、主翼下面のハッチ類の違いを表現した専用パーツ
▲キャノピーは1パーツで成型された「閉じ」状態と、2パーツで構成された「開」状態の2種を選択できます

 デザインのかっこよさ、第二次世界大戦末期に登場して奮戦した高性能レシプロ戦闘機というドラマ性も持っている「フォッケウルフ Ta152」を最も良い塩梅で楽しめるプラモと言えると思います。ぜひ再生産されたこのタイミングで、アオシマのTa152H-0を作ってください。僕は筆塗りして楽しみます!! またね〜〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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ビビっていたプラモ。開けたらとても優しい先輩みたいでした。「ハセガワ 1/72 F-106A デルタダート」

 1969年生まれというハセガワのレジェンドプラモ「1/72 F-106A デルタダート」が、2023年の3月末に再生産されていた。アメリカで実機を見てからいつかは作りたいな〜と思っていた飛行機だけに、この再生産を機に作ってみることにした。なんせ僕よりも大先輩のレジェンドプラモだ。中身がどんなものかわからない。そしてハセガワの完成見本写真は、どの完成見本も超うまいので、刺身状態が全く想像できない。だから開けてみないとわからないのである!(開けるだけでも記事になるから、みんなも書いてどんどん送ってくれよな!!)

▲箱に描かれたデルタダートがカッコ良すぎるのよ。作りたくなるっしょ!

この飛行機は、のちにセンチュリーシリーズと言われる飛行機のひとつ。ガンダムのフォーミュラシリーズみたいでかっこいいでしょ。センチュリーシリーズは、なかなかに癖のあるかっこいい飛行機ばかりなのでぜひ検索してみてね。デルタダートは、基本的には核ミサイルを搭載したソ連の大型爆撃機の侵攻を阻止する目的で開発されていた飛行機だ。

▲アメリカ空軍博物館で見たデルタダート。エアインテークからのうねりが超セクシー。ハセガワのキットもこのセクシーさを味わえたので、最高だったぜ!!

 長年飛行機模型の歴史を牽引してきたハセガワ。なので、模型店にあるハセガワのキットには古いものから新しいものまで混在している。冒頭でも書いた通り、デルタダートの初出は1969年。それだけ聞くと「本当に大丈夫なのか?」とビビってしまう。実際に僕はビビったことで、今日までこのキットに触れてこなかった。

▲箱を開けるとビビっていたのが馬鹿らしくなるくらい。スマートなプラモじゃないか

 枠にパーツが収まっている状態で、どれが何のパーツかすべて把握できるほどシンプルなプラモだった。バリはあっても、こんなもんだったらなんてことはない。先輩と楽しく会話する感じで接していこうや。

▲キャノピーの先が尖りすぎていて、マジで指に刺さるレベル。すんごいよ。窓枠のモールドほぼ見えなくなっていた
▲雰囲気あるアニキもセット
▲モールドの多くが凸。リベットなんかも細かく入っていて、表面の情報量が多い

 ディテールやフィギュアの造形を見ると時代を感じるが、パーツの形状や表面はとても美しく、好感が持てる。しかもこの内容のジェット機プラモが、定価1100円(当時はもっと安かったぞとか野暮なことはなしよ)で楽しめるのだ。気軽に買って、パチパチっと組んでみるのにも良い。

▲10分で胴体が完成!! 後ろに向かってぐ〜〜っと絞られたボディが本当にかっこいい

 組んで見ると、全く問題なくパーツがフィット。タミヤの流し込みタイプ速乾や、GSIクレオスのMr.セメントSPのような高性能流し込み接着剤を使用すれば、あっという間に形になる。

▲胴体中央部にあるミサイルベイも表現されており、開状態にしてミサイルを吊るした様子も作れる。飛行時はミサイルベイの扉は閉じる。完成見本写真は閉じた状態で作られていた
▲迫力あるデルタ翼がついて、飛行機の形になった。ここまで30分。デルタダート、めっちゃ組むの楽しいぞ

 やっぱりプラモってものは自分で組んでみないとわからないもんだ。それは良いプラモの価値観が人それぞれだからだ。「古いキットでなんちゃらかんちゃら」と周りの声を聞いて、「組んでみたいな〜」という思いがしゅんと小さくなってしまったあの頃の自分に教えてあげたい!! 作りたいって思いを大事にしようぜってね。

 他の人がハセガワのデルタダートを組んだら、僕と絶対に違う感想を持つと思う。だからプラモ作るってことは、面白いんだと思う。

 最後に僕は、タミヤカラー アクリル塗料のクロームシルバーで塗って、中に入っていたデカールから好きなものをペタペタ貼った。大満足!! アメリカで見てから作りたいな〜って長い間思っていたモヤモヤが解消された。ビビっていたレジェンドプラモとも仲良くなれたし、最高の1日となったのだった。

▲完成まで4時間。めっちゃ楽しかったぜ!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

動物プラモを最速でいい感じに塗装できる塗料は「シタデルカラー コントラスト」です!/「バシリカム・グレイ」

▲海洋堂ARTPLAの動物たちは、筆塗りがめちゃくちゃ楽しめるプラモだよ! ハシビロコウ、かわいい〜〜

 海洋堂のARTPLAの動物たちと、ゲームズワークショップが発売する“染め塗り塗料”、「シタデルカラー コントラスト」は、相性抜群でした。誰でもひと塗りで、いい感じに動物を塗れと断言します!! 楽しすぎて他の動物もガンガン塗りたくなること間違いなし!! 今回はハシビロコウを「バシリカヌム・グレイ」という色で塗ってみました!

▲オレンジのプラスチックを、このバシリカム・グレイでハシビロコウに染め上げる!!
▲コントラストを塗るときは、下地を白か明るいグレーにします。缶スプレー以外に、もちろん筆塗りで白を塗ってもOKだよ!

 シタデルカラー コントラストは無臭で、水と筆があればすぐに塗装を楽しめる水性塗料。白い下地や明るいグレーの下地を塗った上から塗ることで、模型の凹凸に沿って自然に塗料が流れていき、グラデーションのように染め上がります。バシャバシャと染めるだけなので、塗装が苦手な人でも筆とコントラストがあれば、楽しく塗装デビューできちゃうんです。

▲蓋を開けるとシャバシャバの塗料が入っています。

 コントラストの難点は、容器の中の色と染めた時の色のギャップが結構あること。そのため実際に塗ってみないとどんな色になるのかわからないこともあります。それもあったので、nippperでは様々な模型に塗って、こうやって記事にしています。特に黒やグレー系のコントラストは、蓋を開けるとどれもが墨汁のようで、塗料だけではマジで判断できません。

 また色によって染まる力も異なります。さっと塗っただけでバキバキに発色するもの、下地を透過して淡いグラデーションになるもの、ほんのりと薄いレイヤーを被せたくらいの色変化をもたらすものなど様々なのです。

▲下地の白がいい感じに透過して明るいグレーになります! これはいいですね

 バシリカヌム・グレイを塗ってみると、色味はその名の通りグレイで、下地を完全に隠蔽せずに透過させてくれました。ハシビロコウの羽の線部分に濃い塗料が残り、表面はうっすらと染まる感じがとっても良い感じです。

▲5分で間も無くハシビロコウ! コントラストは乾燥するとツヤ消しになり、色味もよりしっかりと出てきます

 これがシタデルカラー コントラストの実力です。筆で各部をひと塗りしていくだけで、勝手にいい感じのグラデーションが生まれます。この「楽しくいい感じに塗れた!」という成功体験を、短時間で味わえる塗料はそうそうありません。

▲嘴はインペリアル・フィスト、地面はガラガック・シューワーというコントラストで染め塗り。合計15分でハシビロコウが爆誕しました

 動物のように皮膚や筋肉、羽毛といったディテールが細かいものをなんとなくいい感じに、しかも短時間で楽しめるのが「シタデルカラー コントラスト」の良いところ! 難しいことは一切なく、その動物らしい色をさっと筆で塗るだけで、塗料が勝手に流れていき、染まります。ぜひ海洋堂の動物プラモと、コントラスト1本を用意して楽しい筆塗りタイムをお過ごしください!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

かわいい車と新鮮なお野菜が味わえる栄養満点の車模型に出会いました。「ミニアート 1/35 Tempo A400 リーファーワーゲン 野菜配達バン」

▲こんなにかわいいマーキングを施せるなんて! ワクワクしちゃう

 完全に一目惚れでした。オート三輪のようなかわいい車にフレッシュな野菜が描かれたパッケージ。ウクライナのメーカー・ミニアートによる「1/35 Tempo A400 リーファーワーゲン 野菜配達バン」です。

▲この景色が箱の中に詰まっています!! 最高です

 ミニアートは1/35スケールで戦闘車両だけでなく、一般の車も販売しています。このテンポ A400もその中のひとつ。この車は、第二次大戦直前、ドイツ国内の自動車とオートバイの生産標準化を進める「シェル計画」に基づきテンポ社が開発したもの。1938年に発売した三輪自動車E400をベースに、屋根付きの荷台の後方にドアの付いたライトバンタイプがA400。使いやすい小型商用車としてヒットし、戦後も広く使われました。このデザインなら、多くの人の心を惹きつけるのもわかります。

▲小さな車でも、パーツは細分化されなかなかのパーツ数

 ミニアートのプラモは全体的にパーツが多め。かなり細分化してきます。テンポも1/35の小さな車の割にはかなり多めなパーツ数。しかし「ミニアートの中ではまだまだいけるぞ!」と思わせてくれるボリュームだと僕は感じました(戦車とかマジでアニキな時ありますよ)。そしてこのメーカーのパーツは、海外メーカーの中でもかなりシャキシャキなので、ぜひ一度作って欲しいです。テンポはミニアートはじめにもとっても良いキットだと思います。

▲小物のセンスは世界一。それがミニアート

 車と共に楽しくなっちゃう要素が「野菜」。野菜や果物は別キットで単品商品にもなっています。そこからパーツをコンバートして、テンポと組み合わせているんですね。ミニアートは様々な小物を世に送り出しており、そのセンスと造形は世界一だと思います。ミニアートのアクセサリーのかっこよさ、楽しさもこのテンポを買うだけで一緒にやってきます。最高じゃないですか。

▲TEMPOのプレートも良いね! エッチングパーツも少量入ります

 プラパーツの厚さでは精密度が出せないとミニアートが思っている箇所は金属製のエッチングパーツが採用されています。このようなパーツは、瞬間接着剤を使用して接着します。

▲美しい1パーツ成型のパーツを見ると嬉しくなっちゃう!!

 戦車模型の1/35スケールの中にいる普通の車を楽しむならミニアートを覗いてみてください。素敵な車がたくさんいます。そして1/35スケールは、模型世界の中でも様々な模型と出会える縮尺の世界を構築しています。あなたがテンポを組めば、様々な模型に野菜を届けられます! ぜひかわいい車で模型の世界を旅してください!

フミテシ/nippper.com 副編集長

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空の歴史を作ってきた飛行機に「プラモ」で出会える1冊/名機100選 航空模型百科全書

▲240ページの迫力!! これ1冊で、航空史の名機に出会える!!

 2023年は人類の空の歴史において120周年となる年。そのタイミングで、世界の空を舞った名機120機を、模型で紹介しようとまとめられた本が、ホビージャパンより2023年4月20日に発売となります。「名機100選 航空模型百科全書」というタイトルなのに、20作多めに載っているというすんごいボリューミーな本です。

▲しかも収録されている120作は、すべてこの柏木崇男さんという方がお一人で作られたもの。すごい!!!

 本を開いてびっくりしたのが、120作をたった一人の方が作られていたのです。そのエネルギーにやられました。国内メーカーのプラモ、海外メーカーのプラモ、キットがないものは自作や改造で作り出したりと、様々な飛行機模型の完成形態を眺められます。柏木さんが作られたかっこいい飛行機模型と共に、実機解説、模型をクローズアップした写真による名機の特徴が綴られます。作り上げた模型の製作方法はそこそこに、「模型」を見ながら実機を知ろうという切り口の本となっています。

▲モノグラムの1/39スケール「ライト・フライヤー号」から本書はスタート
▲第一次世界大戦、第二次世界大戦、戦後から現代と大きな時系列でまとめられており、各国の名機たちがページをめくるたびに登場します
▲メジャーな輸送機や旅客機も120選の中にピックアップされていて、戦闘機などと比べるとちょっとマイナーな飛行機の中の花形にもすんなり出会えます

 僕たちが大好きなプラモを実機解説の素材として使っている本なので、実機写真やイラストがメインで構成されている本よりも、パラパラめくっていて親近感が湧きます。キットの完成した姿も楽しめるので、このキット買ってみようかなというバイヤーズガイドにもなります。ボリュームが240ページもあるので、一気に読むだけでなく、寝る前とかに「今日はこの飛行機のことを知りたいな」と思ったものをピックアップして、少しずつ読み進めても良いでしょう。そんな読み方を続ければ、世界の空を舞った主な航空機が模型と共に頭に入るので、模型店や量販店の棚がこれまでよりも一気にクリアになると思います。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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花金だ!仕事帰りに買うプラモ。タミヤのシャーマンで1番グラマラス!!「イスラエル軍 M1 スーパーシャーマン」

▲見てよ、このグラマラスな丸さと表面の細かなゴツゴツ(これを鋳造表現って言ったりします)。これをぜひとも味わってほしい!!!

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週は、タミヤのシャーマンラインナップの中でも個人的に最もグラマラスだと思っている「イスラエル軍 M1スーパーシャーマン」をお届けします。「シャーマンってアメリカでしょ? なんでイスラエルなの?」ってなったあなたは、もうすでに戦車アニキ。迷わず今週このプラモを買ってください。なってない人も、戦車模型として超かっこいいのでぜひ買ってね!

▲このイラストも、鋳造車体の丸みを強調した描き方をしていて最高!!

 アメリカ軍が生み出したシャーマン戦車には、角張った車体のものとポテ〜っと丸い車体のものがあります。この違いだけでシャーマンは結構雰囲気が変わります。
 タミヤは1/35MMシリーズで多数のシャーマンプラモをラインナップしていますが、第二次世界大戦で活躍したものは角張ったものばかり。丸みのある鋳造車体のシャーマンはなんとアメリカでもその他の連合軍の車両でもなく、イスラエルの「M1スーパーシャーマン」と「M51スーパーシャーマン」の2種のみなのです(ちなみに1/48MMシリーズでは23作目のM4A1が鋳造車体を再現しています)。僕は、この丸みのある鋳造車体のシャーマンは全体の調和が取れていて、すごくグラマラスだと思っていて大好き。角張ったシャーマンがジムなら、鋳造車体の丸みにはガンキャノン味があるんですよ。このかっこよさをドシンプルに、しかもタミヤの組みやすさで味わえるからこそ、多くの人に「M1スーパーシャーマン」をオススメしたいのです!!

 同シリーズにラインナップされている「M51スーパーシャーマン」は、M1よりも後に登場した超キメラシャーマン。族車のようなイケイケカスタムによって車体のグラマラスな雰囲気はちょっとスポイルされているな〜と感じます。でもそちらもかっこいいので、両方買っちゃいましょう。

▲手前からM4A3イージーエイト、M1、M4初期型。同じシャーマンでもこんなに車体デザインが異なります。だからシャーマンはバリエーションをモリモリ作っても楽しいのです!!

 M1スーパーシャーマンは、その背景も現代史の中東・パレスチナ問題に繋がります。僕らの世界においてもとっても重要な問題で、このシャーマンもその激動の中で生まれたものです。ちょっと駆け足で見ていきましょう。

 第二次世界大戦が終わってすぐ、1948年5月14日のユダヤ人勢力の独立宣言・イスラエル国の建国宣言が引き金となり、中東諸国との戦争、第一次中東戦争が翌日に勃発!!。辛くもイスラエルはその危機を乗り越えますが、明らかに機械化戦力と戦車に大きな問題があることが露呈されます(むしろ、かき集められる所から死に物狂いで集めたものだけで乗り切ったパワーがマジですごい)。

▲私がAMX-13!! タミヤのキットはスーパーなのと、こちらもイスラエルの戦車史において超重要車両なので今のうちに買おう!!!

 そんな中、1955年、ライバル・エジプトにソ連から「T-34/85中戦車」……そう! 第二次世界大戦でもドイツ軍を叩きのめした“あの戦車”を含む車輌・500輌が供与されます。1956年7月26日には戦力整備で自信をつけたエジプトがスエズ運河の国有化を宣言すると、イギリスとフランスが「それは違くね??」とばりに、軍事介入検討を開始。これに同調したイスラエルへの見返りに、フランスはAMX-13軽戦車・100輌と、76mm砲搭載のM4A1シャーマンないしM4A3シャーマンを250両供与しました。それまでイスラエルのM4シャーマンは75mm砲搭載型で占められていたので、この度給与された76mm砲搭載型は「M1戦車」という名で区別されたのです。フランスを故郷とするシャーマンは第二次中東戦争で大暴れし、イスラエル機甲部隊の礎となります。

 タミヤのMMシリーズにはAMX-13、M51 スーパーシャーマン、ティラン5(鹵獲したT-55を鬼改造した戦車)、メルカバMk.I(イスラエル初の国産主力戦車)といったイスラエル、中東戦争を知るピースとなるプラモがラインナップされているので、プラモを通して歴史を知るきっかけにも良いと思います。

▲これまでの75mm砲では正直T-34/85相手には苦戦必至! しかし76mm戦車砲M1/A2は、T-34/85の前面装甲を十分貫徹できる性能を持っていました

 砲身も76mm戦車砲M1/A2にマズルブレーキが付けられたタイプで、迫力ある仕上がりが楽しめます。75mm戦車砲のような控えめな佇まいは、この戦車にはありません。

▲左がM1スーパーシャーマン。右がM4シャーマン初期型の砲塔。アウトラインやハッチなどが異なっています。
▲履帯は接着&塗装可能な軟質のベルト履帯。グルンと巻いてしまえば完成です
▲イスラエルのアニキも2体セット

 イスラエルという国は、外国の戦車を購入して運用するだけでなく、自分達の環境や戦訓でカスタマイズするというガチビルドファイターズな歴史を送ってきました。そのためこの国の車輌は、どれがプラモになってもかっこいいものばかりという、すごい特性を持っています。そのスタートラインのひとつとも言えるのがこの「M1スーパーシャーマン」です。グラマラスな鋳造車体、迫力ある76mmM1/A2戦車砲、重みある歴史背景まで含めてスペシャルなシャーマンをぜひ、お楽しみください!

フミテシ/nippper.com 副編集長

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Mr.タンクに何入れる!? 模型用にカスタムされた水筆ペンセットで塗装を楽しもう!!

▲文具メーカー呉竹とGSIクレオスがタッグを組んで開発した模型用水筆ペンセット!

 ペンと合体できる「Mr.タンク」(ナイスネーミング!!!)の中に、水性塗料の溶剤(水性ホビーカラーうすめ液やタミヤアクリル溶剤)や、Mr.ウェザリングカラー、水を入れることですぐに筆塗りが楽しめちゃう模型用水筆ペンが登場しました。文具メーカーの呉竹と模型塗料・工具を数多く手掛けるGSIクレオスのコラボレーション商品です。僕はそもそも水筆ペンというものに触れたことがなかったので、良い機会と思い今回触ってみました。僕の体験レビューをどうぞ!

▲Mr.タンクの口!! ここから溶剤や水をタンク内にスポイトのように吸い込みます

 ペンに合体しているタンク内に入れた水・溶剤を、タンクを押すことで筆に送り出せます。筆が潤った状態になるので、塗料を含ませればそのまま筆塗り可能! 色を薄めたい時も、タンクを押して水や溶剤を足せばすぐ調整できるので快適です。

▲タンクに水を入れた状態で、PUSHと書いてある部分を押すと、筆に水分が補充されます。押すだけで塗装のクラウチングスタート!

 このセットは、細筆と平筆のセット。個人的にはどちらもボリューミーな毛量だったので、基本塗装よりも汚しやぼかし塗装に向いているな〜と思いました。そこで汚しやぼかしのスペシャル塗料「Mr.ウェザリングカラー」とのコンビで使用してみました。Mr.タンクの中には「Mr.ウェザリングカラー専用うすめ液」を入れてみます!!

▲Mr.タンク、入らんのかい!!!!

 Mr.ウェザリングカラー専用うすめ液には特大と通常のサイズがあるのですが、通常のビンの口にタンクを挿入しようとしたら入りませんでした。悲しい!!! 特大の方の口には余裕で入るので安心してください(家にある特大のボトルが空っぽだったのよ……)。

▲Mr.タンクをうすめ液の中に入れて、タンクを押してうすめ液を吸い上げます。スポイトと同じです
▲タンクの中にMr.ウェザリングカラー専用うすめ液が入りました!!! これで準備完了です。早速汚し塗装をしてみましょう

 タンクに溶剤や水を入れれば、使い切るまでは余計な準備の必要がなくなります。水筆ペンを取り出すだけで、溶剤と筆の準備ができてしまうのです。お手軽ですな〜。

▲Mr.ウェザリングカラーを模型全体に塗り広げます
▲Mr.タンクを押して筆にうすめ液を送ります。ワンタッチで筆の中にうすめ液が充填されるので、Mr.ウェザリングカラーをぼかし放題できます!! 
▲筆が汚れたら、タンクを押してタンクからうすめ液を出して、ペーパータオルの上でトントンと叩くようにして拭き取りましょう。筆を洗うのにもタンク内のうすめ液が使えて便利です
▲平筆を使えば、入り組んだ箇所もガシガシと塗料をぼかせます
▲うすめ液を継ぎ足ししたりせずに、ダイレクトにぼかし、筆洗いができて快適!!

 水筆ペンに入れた溶剤や水は、長期間でなければタンクの中に入れて保存して置けます。その時はきちんとキャップだけはしてくださいね。またラッカー塗料やラッカー塗料用うすめ液のような強い溶剤だと、タンクや筆が著しくダメージを受けてしまうので、使うのはやめてください。

 僕はウェザリングをやってみましたが、水性ホビーカラーやアクリジョン、ファレホやシタデルカラーなんかだとどのような結果が生まれるのか楽しみです。ぜひみなさんのレポートが読みたいので、この「タンク付き水筆ペン 2本セット<細筆・平筆>」のレビューをお待ちしていますよ〜〜!!! またね〜〜〜。

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「接着剤で生まれた小さなドラマ」にときめいた話。/ARTPLA 1/35 観光客とキリンセット

 「手と手を接着する」ことで、優しさが生まれるプラモがある。それが海洋堂ARTPLAの「子供連れ観光客」だ。「1/35 観光客とキリンセット」の中に、このプラモはセットされている。

▲小さな坊ちゃんの手とお母さんの手。接着剤が親子を繋ぐ

 大好きなお母さんの手を握ってはしゃぐ坊ちゃん。我が子が楽しそうにしている姿を楽しみながらも、飛び出さないように優しく手を取るお母さん。この組み合わせは、近年発売された人形プラモの中でも一番気に入っている。

 プラモ作りの楽しさに「パーツの接着時の気持ちよさ」ってのがあると思っている。タミヤのトムキャットのプラモのように、吸い付くようにパーツが合わさる瞬間はまさにそれだ。そのような瞬間がさまざまなプラモの中に隠れている。接着の気持ちよさに巡り会えた時、プラモって楽しいな〜という気分になるのだ。親子の手と手を接着する瞬間は気持ち良いを凌駕して、優しい気持ちになってしまった。お互いを接着しないと景色も生まれないし、自立も安定しない。まさに親と子があってこそのプラモなのだ。

▲手と手が接着点。こんな小さな接着面積も、プラモ用接着剤なら大丈夫!! 
▲白い蓋でも、緑の流し込み接着剤でもどちらでもOKだ

 僕たちがプラモ用接着剤をチョンと塗るだけで、親子は手を握り合える。あなたのひと塗りで、手と手を握らせよう。そして二人に楽しい景色を作ってあげよう。組み上がると、坊ちゃんが大はしゃぎするような景色を作ってあげたいと、絶対に思うはずだ。

▲さぁ、お母さん。息子さんの手をしっかりと握ってやってください
▲「どれがすごいの? 遠くにいっちゃだめだよ」なんて声が聞こえてきそうです。手と手がつながった優しい景色がそこに生まれる

 接着剤を使わないプラモよりも、形状やパーツの重なる部分に、より自由度が出る「接着剤を使うプラモ」。だからこそ接着するという行為は楽しいし、接着で生まれるさまざまなドラマに酔える。もしこの親子の手が最初からつながった状態で分割されていたら、また違った感想を僕は持ったと思う。たかがパーツ同士を接着するということだけでも、こんなに感情が昂る。プラモってシンプルな中にこそ、最高な楽しみがあるものなのだ。

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はじめて作るヒコーキ模型は「銀1色」で最高にカッコ良くなる!

▲飛行機模型が恋に落ちる色、「銀」。銀1色塗装は、何度やっても本当に楽しい

 飛行機のプラモデルが一撃でカッコ良くなる塗料、それが「銀」だ!! どんな塗料の「銀」でも良い。手元にある銀を思いっきり筆で塗ったり、缶スプレーやエアブラシで吹き付けたりして欲しい。それだけで、飛行機ってかっこいい! プラモって楽しい!! って絶対になるから!!

 あまりにも快晴だったので、僕は水性ホビーカラーの「シルバー」1本と、コードレスのエアブラシ、ハセガワの飛燕を持って外に出た。天気が良い日に、外で模型を塗るってのは気持ちが良いもんだ。僕が愛用している水性ホビーカラーなら匂いもマイルドなので、周囲に迷惑をかけることもほとんどない。

▲家のベランダへ。外の光は、エアブラシもカッコ良く見せてくれる。こいつもシルバーじゃないか!! やっぱ銀は最強なのよ

 ハセガワの飛燕は、ハセガワの1/72スケールにある飛行機模型の中でも「早い、安い、うまい」を兼ね備えたスーパーキット。ここでのスーパーというのは精密や緻密ではない。箱を開けた瞬間にモデラーにぺた〜っと寄り添ってくれる最高のフレンドリーさが、スーパーなのだ。良い塩梅、まるで慣れ親しんだかぁちゃんの味噌汁のように、いつでも胃をあったかく包んでくれるような優しさに満ちたプラモなのだ。だから、僕は好きな時に、好きな味で楽しめるように常に複数ストックしている。複数購入できる価格帯なので、そう言った思い切りもできる。

▲パーツはこれしかない。パーツが枠に繋がったままの状態で水性ホビーカラーのシルバーを吹き付けるのだ!!
▲外で塗装すると、塗り立ての塗料が光を浴びてキラキラする瞬間が最高にセクシーなのだ。プラモのパーツが何倍もカッコ良く見える。だから自然とテンションが上がり、塗装が楽しくてしょうがなくなる

 プラモのパーツが枠に収まった状態のまま、一気にシルバーを吹き付ける。無機質なグレーの塊が、輝きを放ち、いきなりスペシャルなものへと変貌していく。完全に塗料が乾いたら、後は説明書通りに組み立てるだけだ。

▲キャノピーを銀で筆塗り、タイヤを黒で塗れば、かっこいいシルバー飛燕の完成だ!! よっしゃ!! 今日もプラモが楽しかったぜ

 僕は飛行機模型と銀の組み合わせは、本当に鉄板なかっこよさをゲットできると思っている。ぜひこれから飛行機模型を作るぞという人は、僕のようにランナーのままで塗ったり、一旦全部組んでから「銀」を思いっきり塗って欲しい。美しい輝きを纏った飛行機模型を作り上げられたという、あなたの成功体験が、必ず次のプラモの楽しさへと繋がる。ぜひ新年度の新たなチャレンジのような感じで、やってみて!! 本当に楽しいよ。

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バンダイの恐竜の骨プラモが息子に「筆」を取らせた話。

▲BANDAI SPIRITSの恐竜プラモ「プラノサウルス」シリーズのティラノサウルス

 「お父さん、なんか違うよ。土の色にしたいよ!」。この一言が、息子に筆を取らせ、息子は初めてプラモを全塗装した。俺にとって最高の記念日がやってきた。

 BANDAI SPIRITSのプラノサウルスシリーズは、骨格と肉がついた姿の2種を楽しめるプラモだ。初めに骨を作り、そこに外皮となる肉パーツを被せていく。うちの息子は骨こそが恐竜であり、化石が一番かっこいいと思っている。だから、プラノサウルスの骨が組み上がった時に「なんか違くね??」が発動した。そしてそのギャップを埋めてやるぜとばかりに、俺に「土の色(化石の色のこと)にする方法は無いの?」と聞いてきた。そんな嬉しい言葉を聞いた俺、「秒で化石にできるぞ、やってみな」と塗料と筆を渡したのだった。

▲白や明るいグレーに塗ると、勝手にいい感じのグラデショーンを発生させながらパーツが染まっていく「シタデルコントラスト」。さぁ、息子を最高の楽しさへと導いてくれ!!

 白い成型色にぴったりの塗料。それがシタデルコントラストだ。シャバシャバの塗料を筆に含ませて、さっとプラモに塗るだけで、模型が染まる。奥まった部分に塗料が溜まり、出っ張ったところは塗料が流れてしまうのでうっすら染まる。そのことにより、計算では出ないようなグラデーションが目の前に生まれるのだ。

 この塗料には、塗れば「骨」、しかも経年変化したような色の骨を表現できる「スケルトン・ホード」という色がある。これをそのまま塗るだけで良いのだ!! さぁ、楽しんでこい!! 子供の思い切りの良さとシタデルコントラストの特徴は、最高に相性が良いはずだ。

▲ひと塗りした瞬間から完全に没入。筆にたっぷりついた塗料をベタベタ塗る!! みるみる化石のような色に変化していく!!

 無言。完全にプラノサウルスと息子の一騎討ちがスタート。染まりきっていない場所を探しては、筆でべしべし塗っていく。見ているこっちも筆塗りをやりたくなるほど楽しそうだ。 

▲お気に入りのLEGOと対決だ!!!

 塗り上がったティラノサウルスの骨は、超かっこよかった。息子も「この色が好きだよ!! やったー!!」と喜んでいた。自分で組んだ骨格ティラノサウルスを、自分の手で化石状態にまで塗ってしまった。もう、最高じゃないか。自分がこう作りたい、こう塗りたいというどストレートなパワーを受け取れた、俺にとっても最高の1日となったのだった。おしまい。

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超かっこいい戦車を気軽にひと摘み!「ピットロード 1/144 ドイツ陸軍 パンター戦車D/A型(3両入り)」

 今フミテシがゾッコンの戦車模型が「ピットロードの1/144スケール」シリーズ! 指でつまめるくらいのサイズに濃厚なモールドが刻まれていて、完成後の姿がとにかくかっこいい! パーツ分割も作りやすさ重視になっているので苦労するところもないです。そしてひと箱に1両ではなく、複数入っているのも嬉しいです。

 今回は1/144スケールの中でも新作の「SGK10 1/144 ドイツ陸軍 パンター戦車D/A型(3両入り)」をご紹介します。第二次世界大戦のドイツ軍を代表する人気戦車を、爆速で楽しんじゃおうぜ。

▲同じランナーが3枚。このキットはパンターD型とその後の改修型であるパンターA型のパーツを選択して作れます
▲小さい戦車模型は「見立て」で勝負できるという最高のアドバンテージがあるので、足回りを思い切ってこのように1パーツにしているメーカーが多いです

 このパンターの足回りのディテールが素晴らしいです。奥にある転輪と手前にある転輪の成型精度が素晴らしく、奥行きのある立体に仕上がっています。

▲予備履帯や車外装備品も側面の装甲に直接モールドされています。この成型もキレイです
▲左がD型。右がA型。このように2種のパンターのパーツが入っています。説明書の指示ではパンターA型前期の作り方も載っており、実質3パターン作れます。3両あるから全部違う仕様を楽しめるのも最高ですね
▲車体上部。完成後も目立つエンジングリル周辺は特に濃いめのディテールとなっています
▲下アゴでパンター!! 傾斜装甲を受け止めろ!

 砲塔も車体もこのように上下のパーツを組んでから、周りの装甲をぐるっと回るように接着していきます。パンターは各部に傾斜装甲と言う斜めになった装甲板で構成されているのが特徴です。それぞれ角度がついたパーツもピタピタ貼り合わさっていくので、組み立てがとっても気持ち良いですよ。

▲シャシーからも棒が生えている! ここに1パーツの足回りを接着するだけでできちゃう!!
▲以前の記事で紹介した1/144スケールのティーガーIとの比較。奥のパンターの方が確実にパーツの成型精度がよくなっていて、シャキッとしています

 少ないパーツ数で、小さいけどメリハリがしっかりとしたかっこいいパンターが「3両」もゲットできる最高のプラモ。小さいのにこんなに満足感の高いミニスケール戦車(以下ミニスケ戦車)プラモが、国内メーカーから発売されているだけでも、俺は嬉しい!! 今すぐにでもシャーマンやパーシングとかが欲しいと思っています。本当に超おすすめのミニスケ戦車プラモなので、今すぐゲットしてくださいね!!

▲満足度満点!! まあ、食べてみてよ!!(ミスター味っ子)

フミテシ/nippper.com 副編集長

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花金だ!仕事帰りに買うプラモ。マシーネンの世界に“突撃”する最高の時が来た!!/「ウェーブ 1/20 S.A.F.S. Mk.III A8/R8」

▲原作者の横山さんも完成後に自宅前で撮影しています。A8/R8を作ったら、根性棒を持ってみんなで外に出ようぜ!!

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週は、ロボットプラモの中でもとってもかっこよくて特異な世界を作り出している「マシーネンクリガー」から、「ウェーブ 1/20 傭兵軍 増加装甲型戦闘服 S.A.F.S. Mk.III A8/R8」をご紹介します。このスーツですが、「マシーネンの世界にまだ入ったことがない」「nippperの記事を読んでマシーネンに興味を持ったぞ」って人にこそゲットして欲しいプラモなのです!!

▲ジャーマングレー、もしくはRLMグレーバイオレットのような成型色。そう、このスーツはドイツ軍の文脈を名前に背負っているのです
▲このキットに合わせて作られた新規パーツ。とってもボリューミー! 増加装甲タイプということでボディ関係の新規パーツがふんだんに入っています

 イラストレーター・横山宏さんによって描かれ、さらに横山さん自身によって作り出された立体物のかっこよさで多くのファンを獲得した「マシーネンクリーガー」。ストーリーとかはまず置いておいて、とにかくどのメカも超かっこいいのです!! だからこそぜひ一度プラモを作って欲しいです!!

 マシーネンクリーガーを代表する戦闘服に「S.A.F.S.」(みんなサフスって読んでます。スーパーアーマードファイティングスーツの略です)というものがありまして、さまざまなバリエーションが存在します。このA8/R8は、その中でもファン待望の超人気バリエーションなのです。だから、カッコよくて人気のスーツが出た今がまさにマシーネンの世界に飛び込むチャンスなのです!!

▲増加装甲の上を這う配線。配線の留め具、増加装甲を止めるボルト。こういう「ありそうな雰囲気」が各パーツに散りばめられています

 マシーネンの良いところはミリタリー&スケールモデルとキャラクターロボットプラモをすごくスムーズに繋げてくれるところにあると、僕は思っています。かつて横山さんとお話しした時も「かっこいい飛行機や戦車の要素を取り入れているからね〜」という言葉を聞きました。このA8/R8の名前も、フォッケウルフ Fw180 A8/R2というドイツ軍の戦闘機が由来となっています。だから、本キットの成型色もフォッケウルフに塗られたRLMグレーバイオレット、もしくはジャーマングレーとも言えるようなグレーになっていて素敵です。ただのグレーじゃないんです。成型色で何かを表現するってことのかっこいいメッセージがこのプラモにはあります。

▲この棒、通称「根性棒」があなたをマシーネンの世界へとお連れします

 A8/R8が何でかっこいいのか。それは数あるS.A.F.S.バリエーションの中でもアニキな要素が満載だからなんです。工兵隊で資材運搬や障害物除去などに活用されたので固定武装は無し。増加装甲はそのような作業時に身を守るためのものとされていました。そんな中、増加装甲が敵のレーザー攻撃に有効と分かると、丸腰アニキなスーツにたったひとつの武器が支給されます。それが「根性棒」という一度のみ使用可能な爆導索(至近距離用バズーカのような武器)……これを持って特攻するという突撃スーツとなったのです。鎧を纏ったような外見に、1度しか使えない根性棒を持って突撃する……こんなハードな任務に向かうスーツに、燃えないわけないじゃ無いですか! まさにマシーネンファンの突撃ハートを刺激するスーツなのです。

▲このプラモで一番好きなパーツが手首。根性棒をグッと握れる上に、形状も最高にかっこいい!
▲大日本絵画より発売されている本「Ma.K.B.D.」にちょろっと登場した上腕に大型装甲を付けたスーツを再現できるボーナスパーツ
▲皆さん、行きますよ。花金の向こう側へ(それは土曜日)

 マシーネンのアイコンであるS.A.F.S.に触れられるだけでなく、人気のバリエーションからこの世界に突撃できる。A8/R8を作ったあなたには、絶対に幸せな未来が待っています!! A8/R8は刺身で最高にかっこいいので、マシーネンの素のうまさを体験できます。そしてそのうまさは、ミリタリーモデルの楽しさや飛行機模型の楽しい世界へと続く道を照らし、あなたに新しい興味を待たせてくれることでしょう! さぁ、楽しいプラモの世界へ根性棒で突撃しようぜ!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

「フィギュアにデニムを穿かせたい」ならこれを塗れ!! シタデルコントラスト ウルトラマリーンブルー

▲ミニチュアゲーム『ウォーハンマー』の最強アニキ集団・スペースマリーンのウルトラマリーンの青! これがデニムになる!

 兵隊さんやお侍さんと言ったものだけでなく、普通の人の人形プラモも増えてきました。そういうのを見ると、僕はデニムが好きだから、ズボンのパーツにデニムのような青を塗装して、大好きな日常着を纏わせたいと思ってしまいます。しかし……デニムって色落ちとかのグラデーションがかっこいいじゃないですか……一瞬筆が止まります。あの雰囲気をなんとかいい感じに塗装できないかな〜って考えていたら、良い塗料が見つかりました。「シタデルカラーコントラスト ウルトラマリンブルー」です。

▲蓋を開けるとインディゴっぽいブルーとご対面。これはいけそうですね!

 「コントラスト」は、白い下地や明るいグレーの下地を塗った上から塗ることで、模型の凹凸に沿って自然に塗料が流れていき、グラデーションのように染め上がります。バシャバシャと染めるだけなので、塗装が苦手な人でも筆とコントラストがあれば、「なんか良くね?」って思える塗装ができちゃうんです。早速白いスプレーを拭いたフィギュアにウルトラマリンブルーを塗ってみましょう。

▲さっと塗るだけでシワのところに濃淡が現れた!! 自然に塗料が流れて、いい感じのグラデーションになってます
▲お気に入りはフィギュアの右モモ〜ヒザにかけて。ブルーのグラデーションがなんともデニムっぽい

 このお姉さんは、動物園の飼育員さんのプラモ(1/35スケール)。塗装したパンツの色を見ると、作業後に太モモで手を拭いたり、よく右ヒザをついて作業してるのかな〜ってのがイメージできるデニムの色になったと思います。ウルトラマリンブルーがあれば、1/35スケールくらいの小さなフィギュアのスボンに、経年変化したデニムの青が塗れるんです! そしてデニムは日常着の代表。一気に普通な人のプラモになって、さまざまな模型と合わせられるようになります。ぜひウルトラマリンブルーで、プラモに日常を纏わせてください! またね〜〜〜。

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「幌が緑色のプラスチック」なだけでドラマチック/オーナーズクラブ ’58 マツダ K360 幌つき(昭和33年)

▲戦後日本の情景には欠かせない3輪トラック。オーナーズクラブでも愛されている車種です

 箱を開けた瞬間、白いプラスチックの中にひときわ目立つ「緑のプラスチックの塊」が目に飛び込んできた。ひと目で「幌」とわかる造形(幌つきって書いてあるプラモを買ったわけだしね)に、トラックの幌と言えば「緑」という現在の街でもよく見る印象が合体! ここだけ差別化して、特別感を出しているなんて憎いぜ。

▲なんとな〜くなシワの雰囲気、こういう心の余裕がある造形大好きです
▲車体パーツに乗せるだけで「2色」の車に! これで間も無く完成だね!!

 オーナーズクラブは1/32スケールという手のひらに収まるサイズに、ノスタルジー全開な車種からネオクラシックな車種の車をラインナップしているシリーズ。シリーズ自体も一昔前のプラモなので、各部の造形やパーツ精度はちょっとだけ難ありなものがあるが、箱のデザインと中のパーツの佇まいは、このシリーズにしかない魅力がある。その中でもこの「マツダ K360」や「ダイハツ ミゼット」のような3輪トラックは、とても風情があるプラモで、多くの人から愛されている。

▲本体やインテリアのパーツはこれしかない! 40分で組み上がるぜ

 ちょっと古いプラモなので、パーツにはバリ(金型同士が合わさった時にできた微妙な隙間にプラが流れてしまって、羽付餃子の羽もしくは鯛焼きの端っこみたいなものができること)がみられるが、デザインナイフで削いでちょっとヤスリをかけてやるだけで、その車らしいプラモのパーツになってくれる。組み立て自体は簡単なので、大体の車が1時間もしないうちに形にもなる。

▲タイヤのパーツが黒いのも最高。白・緑の本体の足元を締める黒があることで、完全に自動車の完成品になる。また本体とシャシーは組んだ後も外せるので、塗装もしやすい

 僕の視線を奪った「緑の幌」、そしてタイヤの黒のおかげで組み立てただけでテンションが上がる姿になった。街でよく見るトラックの配色にそっくりじゃないか。組み立て後の時間と視線を楽しませてくれる模型ってのは、やっぱり良い。この状態を見ながら次にやってみたい塗装やディスプレイ方法を妄想している時間はとっても楽しいのだ。

 まさにオーナー気分。オーナーズクラブの魂は、実はこういった細部のちょっとした色に宿っているのかもしれない。こんな幌のようなパーツが入っているなら、オーナーズクラブの他のプラモもどんどん開けたくなってくる。また車模型の棚を見る楽しみができた1日だった。

▲幌が開いているのも最高。お好きなものをジャンジャン積んじゃおう。スケールの近い1/35のキットから持ってきたら絶対に楽しい
▲幌の中を山盛りにしたくなるノスタルジーギャグが封印されたデカール

フミテシ/nippper.com 副編集長

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零戦の隣に置きたい超絶グラマーなタミヤの傑作飛行機模型/「1/48 グラマン F4F-4 ワイルドキャット」

▲甲板から飛び立つ瞬間のワイルドキャットを描いた1枚。特徴的な着陸脚のアピールもバッチリ

 タミヤの飛行機模型「1/48 傑作機シリーズ」の中で異彩を放つプラモがあります。それが「1/48 グラマン F4F-4 ワイルドキャット」。タミヤの飛行機模型の中でも多くの人に手に取って欲しい・作って欲しい怪作です!

▲メリハリがすごいパネルラインの段差に、凸リベット(胴体表面の細かな点々)がびっしり!

 このプラモ、ワイルドキャットの無骨な雰囲気を強調するために、各所のモールドやリベットのメリハリが凄まじいのが特徴です。昨今のタミヤの飛行機模型とは違った「味濃いめ・脂多め」の濃厚な味わいを楽しめます。パネルラインの段差なんて、スポーツ選手の筋肉みたいな迫力がありますし、ワイルドキャットの特徴でもある各部の凸と凹のリベットなんかもバシバシと表現されています。各パーツのマッシブさで言えば、タミヤの飛行機模型シリーズの中でもトップだと思えます。アメリカのマッシブさというか、そしてどこかグラマラスな雰囲気がボディやお腹周りから感じることでしょう! 最高にセクシーなんですよ。

▲見てください、このお腹の膨らみのグラマーなこと。そしてリベットの共演。言うことなし!!!

 1/48スケールの飛行機模型で、ここまでやったら映える!(発売の1994年当時には映えるという言葉は使わなかったかもしれませんが)というギリギリのところを攻めたディテール表現が、あなたの目を確実に楽しませてくれます。パーツを枠からカットする前から、目が喜ぶ模型なのです。

▲アメリカのシカゴ空港で見たF4F-3 ワイルドキャット。お腹周辺を見てもらうと、無数のリベットが確認できますね
▲主翼。写真で見ると同じようなリベットに見えますが、ここも凸リベットと凹リベットが撃ち分けられています。指で触ると、すんごい気持ち良いです

 そしてこのプラモが最高なのが、パーツ数の少なさ。ワイルドキャットは外見がシンプルだから、そりゃそうだろうと思うかもしれませんが、着陸脚がかなり複雑な構成をしていたりするので、そのような部分で細かなパーツが登場しがちです。しかし、タミヤのキットは細分化することなく、それぞれのフレームを大きな1パーツとすることで、組み立てやすさを上げながら実機の雰囲気を見事に表現しています。

▲すぐできそうなワイルド感!! 
▲着陸脚のパーツ。切り離すだけで各ユニットが完成します。今のタミヤの飛行機模型よりも糊代は少なめですが、しっかりとパーツの形状を見れば綺麗に接着できますよ
▲水平尾翼は、誰でも正位置で組み立てられる安心設計。1体になった水平尾翼を胴体に差し込み、最後は垂直尾翼で蓋をします
▲アメリカ人ってでかいんなだな〜って感想が脊髄反射で出ちゃうコクピット。各ボタンやレバーは、一つのパーツに最初から彫刻されています

 少ないパーツ数でもコクピットや複雑な主脚構造を表現したパーツによって、胴体の中はさまざまな要素が詰め込まれます。そうなってくると不安になってくるのが胴体と翼のフィッティング。臓物が邪魔をしてうまくフィットしないという経験を、僕もさまざまな飛行機模型で経験しました。でも、そんな心配は杞憂に終わりました。スコン! って感じではまり、ワイルドさのかけらもない感じで胴体と主翼は合体したのでした。めでたし。

▲まじで気持ち良いくらいに合います。最高です
▲エンジンは、配線もモールドされてていい感じ。完成後にチラッと見える分にはこのくらいで十分!

 完成すると、ボディラインの美しさ、全身のリベットが生み出す陰影のかっこよさにくらくらします。ワイルドキャットはさまざまなメーカーから発売されていますが、1994年に登場したこのタミヤのワイルドキャットは、今でも最高な模型だと言えます。1/48スケールで、ワイルドキャットの無骨さを表現するために、ギリギリまで攻めたメリハリ。それによって生まれた最高のかっこよさは、手にした全員が笑顔になること間違いなし! どの零戦の隣においても、立派なライバルとして存在感を放つことでしょう。

▲光が当たると凸リベットが浮き上がって超かっこいいぜ!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

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うまい!はやい!で味わえる「ドイツ軍の贅沢握り3種盛り」。ピットロード 1/144 ドイツ陸軍 軍用車両セット2

▲ドイツ軍の戦車・装甲車のアイドル車両をひと箱で楽しめる!!

 ピットロードが発売している「1/144スケール」の戦車模型。マジで面白いです!! これまで陸上自衛隊車両のプラモは組んできたのですが、第二次世界大戦のキットは組んでいませんでした。ちょっと気軽に組んでみるかと思い、休日に組んだら大当たり!! ピットロードというメーカーはディテールの味が濃いめな家系ラーメンプラモ(メーカー所在地も家系ラーメン発祥の横浜のお隣、川崎だしね! 強引)が多いのですが、その良さが全部盛り込まれています。小さい模型だけど各モチーフの特徴的なディテールがバキッと入っていて、非常に見応えある立体物に仕上がっています。

▲このドイツ陸軍 軍用車両セット2のセレクトはマジで神! 贅沢握り3種盛りです

 僕はよく「はま寿司」に行きます。その中でもちょっと贅沢な握り3種盛りはついつい頼んじゃうメニュー。このプラモがまさにそれで、ティーガーI、8tハーフトラック、キューベルワーゲンとドイツ軍のかっこいい車両3種が一つの箱に入っています。まさにマグロ3種盛り。とっても「はまい!」プラモデルです。

▲各車両、ランナー1枚で構成。それぞれ2枚入るので、合計で6両も作れます! 贅沢
▲1/144スケールの車体にやれるだけやりました!! って感じのディテールが最高
▲ティーガーIの無数の転輪や履帯を組まなくてよし! 左右2枚のパーツを貼り合わせるだけで完成!!
▲パーツ同士はピタッと合うので、流し込み接着剤を流してやるだけで簡単に完成します
▲戦車模型界の大トロ爆誕。10分で完成します。このサイズで、この密度。最高だぜ
▲8tハーフトラックというモチーフをこんなにも最速で、しかもカッコよく組めるプラモは他にないでしょ!

 「8tハーフトラック」はドイツ軍で活躍した牽引車両。「88mm砲」を牽引したり、後部に高射砲をセットしたりとさまざまな運用がなされました。実車は足回りとか結構複雑なのですが、このプラモは車両ごと4枚に開いていて、箱を組むようにパーツを接着していくだけで、車体&足回りが完成します。すんごい気軽に作れて、しかもきちんと「8tハーフトラック」に見えるものがあなたの目の前に出現します。

▲このパーツ分割、素敵すぎます。5分で車両の形が見えます
▲赤身的な渋さがありますね〜〜。幌の装着は選択式
▲最後にキューベルワーゲン(まぐろのたたきだね〜)を添えれば、全車両集合!!

 1/144スケールというミニサイズにバキバキのディテールが入ったパーツ、最速で形になるパーツ分割、そしてかっこいいモチーフが3つも入っている「ピットロード ドイツ陸軍 軍用車両セット2」。気軽にうまいが味わえる、ミニスケールプラモの3種盛りは、あなたのプラモタイムに幸せな時間をもたらしてくれること間違いなし!! あまりに楽しかったので、他の車両も買ってしまいました。そちらも今後レビューしていくので、お楽しみに! ミニスケ、めっちゃ面白いね!!

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マッキーの魔法でバイク模型は一気に楽しくなる!「ゼブラ マッキー極細 12色セット」

▲本当に最高のテクなので、何万回でも紹介します!! クリアーパーツ塗装には「マッキー」ですよ!

 車模型、バイク模型、ロボット模型のクリアーセンサーの塗装が超快適でしかもカッコよく仕上がるのが「マッキー」です。ペンで塗るだけで、透明感ある仕上がりになります。マジでクリアーパーツ塗装の超近道テクなので、何回でも紹介します!! マッキーのおかげで車やバイクのプラモがさらに楽しくなってしまったといっても過言ではないです。ありがとうゼブラ!! マッキーはプラモの強い味方です。

 車やバイク模型は、ライトのクリアーパーツが塗装されているだけでかなり見映えがアップします。透明のクリアーパーツにクリアーオレンジやクリアーレッドを塗ることが多いのですが、模型用のクリアー塗料は粘性もあったりして少し扱いが難しいです。しかし!! マッキーは多くの人が使ったことがあるあの感じで、カッコよく塗装できるんです。塗ってもクリアーパーツの透明度を殺すことが無く、しっかりと透け感をキープしてくれます。

▲パーツの裏から塗るだけ。細い方のペン先を使えば、ディテールの溝にもしっかり塗れまっせ
▲説明書の指示で裏を銀に塗るパーツは、表から直接マッキーを塗っちゃいます
▲フロントガラスのフチの黒塗装。こちらもマッキー先輩のパワーで楽勝です。フチのモールドにペンの腹を乗せるようにして塗っていくと良いです
▲クリアーパーツの透明度を失うことなく彩色できました! ペンで塗りつぶすだけだからとってもお手軽
▲フロントガラスの接着面も黒で塗り分ける指示があるので、そこもマッキーできゅ〜っと塗りました
▲やっほー! めっちゃ楽しくオリジナルカラーの「タミヤ 1/12 スズキ GR250Γ」が完成したぜ〜〜。最高に楽しい!! カウルの塗装は、タミヤのキャメルイエローの缶スプレーを使いました

 自分の塗りたい色を1色スプレーして、ライトをマッキーで塗る。それだけでとっても良い感じなバイクになるぜ! みんなもかっこいいと思ったバイク模型を買ってきて、自分の好きな色1色とマッキーセットを揃えて、あなただけのマシンを爆誕させてください! またね〜。

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花金だ!仕事帰りに買うプラモ。プラモを楽しみたい人全員に寄り添ってくれる6体の恐竜!/「タミヤ 1/35 恐竜世界シリーズ No.05 ベロキラプトル 6体セット」

▲パーツの切り出し、接着。プラモを組む楽しさを6体のベロキラプトルが教えてくれるぞ!

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週は、タミヤの名作「タミヤ 1/35 恐竜世界シリーズ No.05 ベロキラプトル 6体セット」をご紹介します。ここ最近、動物や恐竜のプラモは各メーカーから続々と発売されており以前にも増してバラエティ豊かなラインナップとなりました。そして生物のプラモの中でも「恐竜」というモチーフはプラモの歴史の中でも、長い間世界中で愛されているのです。タミヤの「1/35 恐竜シリーズ」は、1993年に発売され、その当時の最新の研究結果をベースに立体化されています(恐竜は研究成果によって姿が変わってくるというのも、プラモにはぴったりのモチーフですね!)。

▲1枚のランナーに3体のベロキラプトルがおります。キットはランナーが2枚入るので、合計6体作れます

 このプラモはニッパー、デザインナイフ、接着剤とプラモの基本道具を使って組み立てます。恐竜を6体(それぞれパーツの組み合わせで完成後のポーズは異なります)も組むので、まさにベロキラプトルがプラモの組み立ての所作を教えてくれます。このプラモを組んだ後、あなたは完全に「切る」と「貼る」を理解することでしょう。そして6体のベロキラプトルはとっても組み立てやすいので、1時間もあればあなたの机の上がジュラシックパーク状態になります。

▲腕や脚にそれぞれ表情があります。これによって完成後のポーズに差異がでます
▲プラモ用ニッパーでカット! かわいいベロキラプトルちゃんのパーツをたくさんカットするので、プラモのパーツをカットする感覚がどんどん体で理解していきます

 このプラモの良いところが接着剤を使うということ。小さな恐竜のパーツをしっかりと接着剤で貼れれば、もうプラモ作りで怖いことは無し! ベロキラプトルのプラモは、全ての模型のパスポートとなるプラ用接着剤の性能を、楽しく体感できる最高の模型のひとつではないかと思っています。接着剤を使わないという考えは、プラモの世界を狭めると僕は思ってますし、今ではプラ用接着剤はこんなに手軽に簡単に使えるというのを多くの人に体感してほしいとマジで思っています。

▲左がパーツとパーツの間に流し込んで使用するタイプ。右が直にペタペタをパーツに塗って、接着するタイプ
▲nippperを代表する記事です。ぜひ読んでください! あなたも接着剤を使ってプラモが作れます
▲蓋にハケが付いているから、手がベタベタになるなんてことはないし、狙ったところに塗れます
▲後は接着剤を塗った箇所に、パーツを持っていくだけ。これで接着完了
▲流し込み接着剤は、パーツとパーツが合わさっている隙間に、蓋裏についている筆をチョンと置くだけ。これで勝手に接着剤が流れ込んで、パーツ同士が接着されます

 接着剤を使う工程も6体分です。最初は慣れなくて、接着剤の分量や流し込み接着剤の感覚に戸惑うかもしれません。しかし、3体、4体と組んでいくと「あれ? なんかわかってきたぞ!」と絶対になると思います。この接着剤の「わかってきたぞ!」を体感する前に、そもそも入場せずに頭でっかちになってしまう人、退場してしまう人がすごく多いですが、ベロキラプトル6体はそんな人たちを絶対に見逃しません。プラモが楽しくなるように導いてくれます。あと恐竜の造形&サイズによって、接着剤がはみ出したりしてもそんなに目立ちません。表面はゴツゴツしてますし、パーツが合わさる部分は目立たないようにタミヤが考えてくれています。

▲俺たちでどんどんプラモ作りの感覚を養ってくれよな!

 プラモのパーツを切る、プラモのパーツを接着剤で貼るという楽しさを導く6体のベロキラプトル。花金にあなた自身が作っても良いですし、お友達とお家でお酒やお菓子を楽しみながら、みんなでワイワイプラモを組んでみるのにもぴったり。プラモ作ってみたいのよね〜って友人がいたらサッとオススメするのにも最高です。プラモを作る工具とも相性抜群のベロキラプトルは、さまざまな人の花金に寄り添ってくれる素敵な模型ですよ。

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“タミヤのバイク模型”でバイクに触れる/「1/12 オートバイシリーズNo.24 スズキRG250Γ(ガンマ)」

▲タミヤ「1/12 オートバイシリーズ」が楽しくてしょうがないっす!

 タミヤの「1/12 カワサキ Ninja H2R」を組んで以降、バイク模型の楽しさにやられているフミテシ。バイク模型って実物の雰囲気が十分に味わえる縮尺なので、パーツ単位がめちゃくちゃにかっこいい!! さらに、パーツたちはプラモ用の接着剤で貼り合わせるだけでなく、ネジでググッと締めた時に一つのユニットとして剛性が爆誕。この時に「俺の手の中でバイクが生まれていくぞ〜〜!! 楽しい!!!」って気分が最高潮になります。
 ピニールパイプがいつの間にかスポンと抜けてさびしい……シュンッ……ってなる時もありますが、ビーニルパイプたちが紡ぐ道も、バイクのメカニズムを体感できる通り道となっていて、繋ぐことが最高に楽しいのです。模型のアクセントにもなってかっこいいですしね!! まじでバイク模型、今楽しいんですよ。組むだけでこんなにメカニカルな特濃ジュースをゴクゴク飲める模型、他にはないと思います。

▲このフレームが多くのバイクファンに衝撃を与えました。市販車として初めてレーサー同様のアルミ合金角パイプが使用されたボックスフレーム

 タミヤのバイク模型をもっともっと組んでみたいぞ〜って気分が、今まさに絶好調なので「タミヤ 1/12 オートバイシリーズ」の公式ページを眺めては、気になったプラモをポチっています。 今回は「1/12 スズキ RG250Γ (ガンマ)」ってバイクをゲットしてみました。

 これまで僕が作ってきたのは、HONDAのモンキーやエイプと言ったミニバイクと、H2RやHONDA CB750といった大型なバイクでした。ちょうどその中間の排気量とサイズのバイクを作ったことがなかったのです。サイズ感や組んだ時の気持ち良さはどんなものかな〜と思って「1/12 スズキ RG250Γ (ガンマ)」をセレクトしてみました。あとデザインもイイぜ!! って思ったのもの大きな理由のひとつですよ。

▲バイク模型の完成品を見るとなんかめっちゃ細かそうって思うじゃないですか。細かいのももちろんありますが、「タミヤ 1/12 オートバイシリーズ」は安心してください。絶対に組めます!

 プラモデルになるモチーフには必ずストーリーがあります。僕のようにバイク模型を始めたばかりの人間にとっては、そのようなストーリーと出会えることも楽しみの一つ。説明書の解説を読む、ネットで検索して写真や背景をさらっと読んでみる。それだけで模型って一気に距離が縮まります。
 このバイクは今のレーサーレプリカ(レース用のマシンをもとに製作された公道用のバイクのこと)のコンセプトを打ち立てた記念すべきバイクという立ち位置ということがわかり、それはプラモになるよね〜と感慨に浸れます。そんなことを知ると俄然製作意欲もアップします。スケールモデルがめっちゃ楽しくなるアクションとして、ぜひスマホで一度「名前を打ち込んで検索してみる」ということをしてみてください。それだけで目の前のプラモが違って見えてくるもんです。

▲メッキパーツはバキバキの光沢ではなく、ツヤが抑えられた軽さのある質感

 1983年3月に登場したRG250Γには、すでに当時のロードレースで実用化していたアルミフレームや前輪16インチホイール、フルカウル、そして市販車で初めてミシュランタイヤを純正採用するという当時のバイクファンをワクワクさせるような過激装備をバンバン投入。特に注目を集めたフレームは、レーサー同様のアルミ合金角パイプを採用。さらに各ステップやリヤスイングアームなどにも徹底してアルミを使用し、大幅な軽量化を実現。お金さえ出せばまもなくレースマシンというモデルを購入でき、公道を走ることができる! そんな夢を可能としたバイクなのです。

▲まるで鳩サブレのような形状ですが、アルミボックスフレームにエンジンがピシッと納まる無駄のない美しさがありますね。とてもかっこいいです。
▲タミヤのバイク模型の、この景色が大好き!!

 タミヤのバイク模型はシルバー、黒、ボディ色やメッキパーツと、箱を開けるとメカな雰囲気がぎゅっと詰まった色に溢れています。それを組み合わせていくだけで素晴らしい塊が爆誕するのです。カウルやタンクを取り付ける前に剥き出しのメカをじっくりと堪能する。この時間とこの景色が最高なんですよ。

▲しかもこのプラモは、カウルなどをこんなふうにバラせる。塗装したい人にも安心な設計

 1983年と、僕と同い年のプラモですが、パーツはぴったり合うし、メカのディテールのシャープさも抜群。サイズ感やパーツのボリュームも、ガンプラで言えば「1/144 HGUC」クラスなので、1日でしっかりと形になってくれて、満足感も十分。机の上に飾っても全く邪魔にならないサイズなので、

 このバイクは今年生誕40周年となるんですね! ぜひオートバイの歴史に一石を投じたこのマシンを、この機会にプラモで楽しんでください!! 早速僕は好きな色1色だけ使って、僕だけのRG250Γに仕上げます!! またね〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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僕の「プラモを見に行く旅の楽しみ方」/長野松本城下町モデルコレクション

▲その日受けた感動のまま模型を買う!! 僕の模型展示会の楽しみ方

 人が作ったプラモを見に行く旅へ。長野県松本で3月18日・19日と開催された「松本城下町モデルコレクション」へ行ってきた。模型の世界には、公共のスペース(公民館やイベントホールなど)を借りて、各々が作った模型を展示する「模型展示会」というものがある。作った模型を持って参加したり、来場者として展示を見に行き、同じ趣味を持つ仲間同士、交流を深めたりして楽しむのだ。

▲公民館のイベントホールに机を並べ、その上に模型が展示される。展示会のオーソドックスな姿だ

 模型を見に一歩外に出るというのはとても良いもんだ。人が作った模型を見て、「これはいいな〜」って思ったものがあるとこちらもテンションが上がる。そして作った人だけが持っている「そのプラモのストーリー」を直に聞けるのも最高だ。

▲KAWASAKI USAにいる友人との交流で得た資料により、「トップガン・マーヴェリック」でトム・クルーズが乗った仕様のNinjaへと改造した模型。仲間との交流がひとつの模型のカタチになった話を聞くと、さらにこの模型が魅力的に見えてくる
▲アウトビアンキをコンパクトな情景に。ブロンドヘアーをまさにゴールドで塗る大胆さに僕は目を奪われた。本展示会では車模型、しかも情景作品が多数あり、僕も人と車の景色を作りたい欲求が非常に高まった

 そして僕の中での模型展示会のお楽しみとして絶対に外せないのが「食」だ。地方だけでなく都内近郊で開催された模型展示会でも、地元のモデラーさんやその土地に詳しそうな人に「うまいもんが食べたいとです!!」と直球を投げることが多い。自分で探すのも良いけど、会場で出会った人にうまい店を聞くというのは、とっても良いコミュニケーションになる。食べ物にはそれだけすごいパワーがあるもんだ。

▲松本の地元の人も愛する「高橋食堂」。カツ丼、トンカツ、カレー、ラーメン、生姜焼き……。遠征先では、その土地の名産だけで無く、「地元の味」というものも味わいたくなるもの
▲運ばれてきた瞬間「勝った」と思ったロースカツ(中)。カツが2枚にご飯、味噌汁。カツは(大)もあり、まさに長野を囲む山々のような迫力がある

 教えてもらったお店でご飯を食べて「めっちゃ美味かったですよ!」なんて返答ができたら、その日の展示会はハッピーだ。展示会後には宴会などもあり、そこでさらに交流が深められる。飲み会まで行くと、僕なんかは一旦模型の話はしなくなる。最近楽しかったことや、その人の他の趣味の話など、展示会場では知ることができなかったちょっとだけパーソナルな部分をお互い見せ合うのだ。そして意外にも、そう言った話からの方が模型製作のヒントが出たりする。だから酒と会話は楽しいのだ。

▲遠征先はホテル選びも楽しみのひとつ。今回は古民家に泊まったのだ。テレビ無し! ラジオのみ。グルーヴ満点なお部屋だった
▲地方の展示会に行ったら街をぶらつくのも良い。知らない街を歩くってのは刺激に満ち溢れている

 ずっと会場にいて模型と対話するのも楽しい時間だが、展示会はほぼ1日行われているので、ご飯を食べに行くついでなどにその街をぷらぷら散歩するのもオススメだ。馴染みのない地であればあるほど、この時間が本当に楽しい。僕にとって食と同じくらい、この時間が本当に好きで、模型展示会に遊びに行った際の大きな楽しみとなっている。

▲あ〜よかったね。で終われないのが俺! 会場でポチる、もしくは近所の模型店へGOするのだ!

 模型展示会を見たあと、僕は必ずと言って良いほど模型を買う。その場で見て作りたいと思ったキットやジャンルを速攻でゲットする。会場に居ながらスマホで模型は買えるので、即ポチ待った無しなんてことも。今まで「食」だ「散歩」だと言ってきたが、「展示会で高まった感情のまま模型を買う」。それこそが本当の、そして最高の楽しみだ! 誰かが僕の知らないプラモを完成させている。そこで見た感動や発見を、次は自分の手で楽しんでみたい!! そうやって自分のプラモの世界も広がっていく。まさに展示会を楽しみに外へ行くってことは、自分の模型の世界の外へと行くってことなのかもしれないね。

▲展示会を見たらぜひ、あなたが気になった模型をすぐ作って欲しい。あなたの模型の世界が広がること間違い無し!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

 

タミヤの色に完全に甘えて楽しむ車模型/「1/24 スポーツカーシリーズ No.229 ポルシェ 911」

▲こんなにも美しい黄色がプラスチックで味わえる!!

 いっちょ車模型作ってみるか! って人に激推ししたいのが「タミヤの色付きプラスチックボディ」が入った車のプラモです。赤や黄色、メタリックブルーにシルバーなどどれも高級感ある色で組み立てるだけでとてもかっこいい仕上がりになります(プラスチックの色のことを「成型色」なんて言ったりします)。

 つまり、タミヤの色に完全に甘えてプラモを楽しめるのです! この「1/24 ポルシェ 911 GT3」なんて、箱を開けた瞬間大勝利!! って思える、すごい綺麗な黄色のボディパーツが入ってます。ご馳走様です!! と言いながら後は説明書に従って組むだけで最高の気分になれるのです。

▲優勝ランナー!! この照りを見てください!! うまそうだな〜〜〜

 光沢成型で仕上げられたパーツが自然と光を反射します。美しいボディラインを際立たせる光の反射によって、「マジでグラマラス……」と感動。ついごくりと唾を飲んでしまうほど魅了されてしまいました。

▲シャシーに彫刻されたエンジン。半身で感じるポルシェの鼓動
▲プラスチックの色の共演! 様々なパーツが組み合わさることで生まれる立体感! 組み立てるだけでこんなにかっこいい景色を拝めます。
▲室内のリヤのカーペットは、粘着シートで表現します。これを貼るだけで、なんともラグジュアリーな雰囲気になるのです。完成後もチラリと窓から見えるのですが、それがまたかっこいいんですよ
▲メッキはギラつかないしっとりメッキ。足回りをクールに締めてくれます

 後はよく切れるニッパー、デザインナイフ、流し込み接着剤を準備して黄色のパーツを汚さないようにして組み立てるだけで最高にかっこいいポルシェが爆誕します。

 こんなに綺麗な黄色の模型を完成させたのは初めてかも! っと思えるほど大満足。サイドミラーがシルバーだけど、それもアクセントな感じでいいじゃない! タミヤの色付きボディがセットされた車は、組み立てるだけでマジなかっこよさをゲットできるので、本当に楽しいですよ。刺身で楽しめる最高の車模型の世界が「タミヤ」にはあります! さぁ、あなたもニッパーをハンドルがわりにして思いっきり楽しみましょう。ではでは〜。

▲タミヤに思いっきり甘えちゃいましょう。良いことしかないです!
▲外に置いて撮影すると、マジで最高

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

俺の模型の故郷と紫電改。福島県いわき市「いいじまホビー」

▲故郷に帰った。そして僕の中で「紫電改」が特別な飛行機となってしまった

 久しぶりにゆっくり故郷の福島県いわき市に帰った。1983年に生まれてから高校生まで、僕はこの町でサッカーとプラモに夢中な生活を送ってきた。そんなプラモ生活を支えてくれたのがいわき市の中心地・平にある「いいじまホビー」だ。

▲この道、この風景を何度見てきたことだろうか

 「ホビーのやかた」というパンチフレーズの通り、かつては1階から3階(もしかしたら4階だった頃も……)に渡って、プラモ、ラジコン、鉄道模型、トイガン、モデルガンなどオールジャンルで扱っていた。さらに隣の建物ではミニ四駆のコースとミニ四駆を製作できるスペースがあり、そこで大いに遊んだもんだ。僕と同世代のいわき人は、必ず1回は行ったことがあるんじゃないかと言える場所である。現在は1階のみの営業で、模型と工具を中心に販売している。

 小学生の頃なんかは、僕が住んでいたいわき市南部の町「植田」から約400円の片道切符(いわき市は広い!! 同じ市内とは思えないほどの切符料金なのよ。家のお手伝いをして切符代を稼ぐのだ!!)で平のいいじまホビーに遊びに行くのは、本当にスペシャルなことだった。高校生になると平にある高校へと通っていたので、部活が休みの日なんかは、高校がある小高い山から坂を駆け降りてお店に直行したものだ。

▲久しぶりに訪れたお店で、「まぁ座って行きなさいよ」とコーヒーが出された。そしてコーヒーを飲みながら聞いた話に僕は震える

 5年ぶりくらいに訪れたお店でうろうろしていると、現在お店の顧問を務めているという今井様という方に「どんな模型を作るんですか?」と声をかけられた。僕自身お会いするのが初めてなもので、簡単な自己紹介を終えた後、ちょっとお店のことを聞いてみたくなった。すると今井様の口から、

 「先生(飯島 登司氏。いいじまホビーの創業者)はね、戦時中川西航空機(かつて日本にあった航空機メーカーで現在の新明和工業の前身)にいて飛行機の設計をしていたんだよ。数学がとっても得意でね。きっと君も知っている飛行機だと思うよ。「紫電改」さ。川西航空機第3設計課ってところでね。主翼の強度計算を主にしていたんだよ」

▲アメリカのオハイオ州デイトンにある国立アメリカ空軍博物館で見た紫電改。もしかしたら、この体験も不思議な力に導かれていたのかもしれない
▲ハセガワの1/48 紫電改。翼を見るたびに、僕はいいじまホビーを思い出せる!

 いわき市で紫電改の名を聞くとは思わなかった。紫電改というのは日本軍の中でも最優秀のひとつと言われる太平洋戦争末期に登場した戦闘機。僕もプラモで何機も組んだことがある飛行機だ。その飛行機に関わっていた人のお店で俺は思いっきり模型ライフを楽しんでいたのか……とこの日初めて知り、胸が熱くなってしまった。

▲動くものが大好きだった飯島氏は、飛行機だけでなくヨットの模型なども地域の仲間たちと作り楽しんでいた

 今井氏は話しながら様々な物を見せてくれた。当時の写真、展示コーナーに普通に置かれている本物のラムジェットエンジンなどなど、どれもが素敵だった。

▲ラムジェットエンジンがショーケースに吊るされているのに驚き……

 日本軍を代表する戦闘機に関わり、その後は教職を経てこのお店をオープンさせた飯島登司氏。僕にとってはレジでニコニコしていたおじいちゃんって感じだった人に、そんな歴史があったのかと感動してしまった。この話を聞けただけでも、故郷に帰ってよかったと思う。そして、この日を境に「紫電改」のプラモは僕にとって特別なものとなった。

▲店内の模型の配置は変わらない。ここで様々な模型を手にした思い出が蘇る
▲これだけ立派な常設展示コーナーがある。ここをまたいっぱいにしたい! そんな活動にもチャレンジしたい

 いいじまホビーは震災・コロナの中でも、福島県の海側地方である浜通りの模型サークルや、顧問の今井様のサポートによってお店の営業を続けている。僕が訪れた日には、次の日から仙台の大学へ行くと言っていた学生が、その前にこのお店に顔を出して模型を買って行く様子も見られた。そう、このお店には模型が好きな人を惹きつける魅力が確実にあるのだ。

 自分自身のプラモルーツへの帰郷は、思いがけないお土産を僕にくれた。ここでもらった感動は、この日に買った紫電改を完成させて、お店に持っていって返そうと思う。

いいじまホビー
 住所/福島県いわき市平字南町72-2

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花金だ!仕事帰りに買うプラモ。誰でも爆速で作れるスーパー飛行機模型/ハセガワ F-20 タイガーシャーク

▲かっこいいジェット戦闘機を手頃な値段でサクッと楽しみたい時はこれ!!「ハセガワ 1/72 F-20 タイガーシャーク」

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週は、週末2日でとってもかっこいいジェット戦闘機を楽しめちゃう「ハセガワ 1/72 F-20 タイガーシャーク」をお届けします。このプラモ、1000円でお釣りがきちゃうほどの超お手頃価格なのに、中身はシュッとしています。本当にこういう塩梅の飛行機プラモがあってありがてぇ〜〜ってなること間違いなしなのです。組み立ても一切癖がないので、何度でもおかわりしたくなる魅力があるんですよ!!

▲ランナー3枚で完成! しかも小さなパーツは操縦桿くらいしかないです。最高だぜ
▲パイロットがいるってだけで嬉しい!
▲1/72スケールらしい情報量。各部のスジ彫も綺麗。パーツ形状もご覧の通り、シャキッとしているでしょう〜

 このプラモは1984年生まれ。まもなく40年選手となります。しかしその内容は、これから飛行機模型を始める人も、ジェット戦闘機を試しに組んでみたい人にも全推しできる内容です。各パーツは今の目でも見ても歪みもなく綺麗で、箱を開けた時に不安な気持ちに一切なりません。そしてパーツ数もコンパクトに抑えられているので、飛行機の形に30分でなります。これ大袈裟でなく、撮影しながら組んで30分でブンドドできたので、組み立てだけに集中してもらえればもっと早く組めると思います。

▲飛行機模型の組み立てで、ちょっとだけめんどい着陸脚。このキットはパーツを枠から切り離すだけでほぼ完成します

 小さなパーツは操縦桿くらいで、ほとんどが大き目なパーツで成型されています。だから組み立てスピードが落ちることなく、一気に形にできるのです! ここまでバシバシ組み上がっていくジェット戦闘機のプラモはなかなか無いと思います。

▲胴体の左右貼り合わせもノーストレス。パーツ同士がピッタリ合います
▲主翼と胴体も、仮組み段階でガタつきません。流し込み接着剤をチョンと流してやるだけでピッタリ貼り合わさります
▲かっこいいぜ!! F-20 タイガーシャーク

 とってもスタイリッシュにまとめられた機体でありながら、エアインテークからエンジンノズルまでのセクシーなボディラインは、まるでメリハリあるモデルさんのよう。美しさとかっこよさを兼ね備えたF-20 タイガーシャークというジェット戦闘機を、ランチ価格でゲットできて、しかも爆速で組み立てられるというまさに「花金プラモ」の鑑と言えます。ぜひ今週はこの傑作プラモ「ハセガワ 1/72 F-20 タイガーシャーク」で最高のフライトをお楽しみください!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

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大きいプラモは「プラモ製作スペース」で思いっきり楽しもうぜ!/タミヤのヨンパチ F-14A トムキャット(後期型)

▲タミヤの超傑作飛行機模型「1/48 グラマン F-14A トムキャット (後期型) 」。完成すると全長39.8cmにもなるぜ!! デッカくてかっこいいぞ!!

 先日、僕は東京代々木上原の模型製作スペース「クラフトネスト」で、“製作スペースでプラモを作る”ということを初体験した。僕の家にも塗装環境や、組み立てる場所がある。だからわざわざ製作スペースに行かなくても……と思っていたのだが、その考えは間違っていた。

 「模型を作るための専用店舗」という特別な場所での模型製作は、異常なまでに集中力が持続し、しかも模型製作以外の余計な物が机の上にないので、広いスペースでプラモを組める。今回製作した「タミヤ 1/48 グラマン F-14A トムキャット (後期型) 」のような大きな模型も超快適に組めたのだ。

▲模型製作スペースは、プラモの組み立て&塗装ができるスペースと、それらに必要な道具や塗料が揃えられた場所

 クラフトネストは、工具や塗料、エアブラシなど全て準備されており、それらを自由に使用できる。だから作りたいプラモだけ持っていけば良い。工具がまだ揃ってない人にも安心なのだ。

▲でっかいトムキャットをどんと置いても余裕がある机の上。この環境がとにかく素晴らしい

 我が家の製作机とは段違いの広さでプラモが作れる! 大きなトムキャット本体を置いても悠々と他のパーツを組んでいける。机の余裕が、こちらにも心の余裕を与えてくれる。だからこそ集中力がいつもより持続する。

▲タミヤトムキャット組み立ての最高に気持ちが良い瞬間!! 最高の環境のおかげで、いつもより胸が昂まる

 これだけ気持ちよくプラモを作れると、よりキットとも向き合える。タミヤトムキャットの機首が胴体にす〜っと吸い込まれるようなあの感覚も、いつもより気持ちが良い。心の余裕によって、よりプラモを楽しめている証拠だ。

▲さぁ、翼をはめれば完成だ!!

 お昼の12時くらいから組み立てて、休憩も入れながらではあるが夕方の6時にはトムキャットが完成した。タミヤのトムキャットはとても組みやすいこともあり、集中力が持続すれば1日で最高にかっこいい姿を拝める。デカくて大きなプラモを気持ちよく作りたいなら、ぜひ製作スペースに持っていって欲しい。組んだ後のお持ち帰り方も考えておけば、帰り道も安心だ!(トムキャットの場合は主翼と垂直尾翼を接着しないでおいた)また、製作スペースによっては組み立て途中のものを一時保管してもらえる。そういうサービスも利用すれば、どんどんプラモ作りが快適になる。自分の部屋を飛び出してプラモを作ってみる。きっとあなたが思っているよりも最高の体験が待っているので、ぜひ思いっきり楽しんで欲しい!

▲1日でこの景色があなたの目の前に爆誕!! 最高だぜ!!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

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「人のプラモ」が気になって、初めて無人航空機のプラモを手にした話。アカデミー 1/35 RQ-7B UAV 無人航空機

▲全く興味がなかった無人機も、アニキのおかげで触ることができたぜ!!

 やっぱり「人」のプラモは偉大だ! いい感じの人のプラモが入っていると分かっただけでその模型が作りたくなる。

 この「アカデミー 1/35 RQ-7B UAV 無人航空機」は、飛行機模型に戦車模型のメインスケールである1/35の要素を組み合わせたようなプラモ。無人機とアメリカンアニキが2体、そして地面がひと箱に入っている。パッケージには無人機がブーンと描いてあるイラストしかないのだが、側面を見たら何やら楽しそうなアニキと一緒の完成見本写真が……。こんな楽しそうなアニキが入っているのなら、それをもっと前面に押した方がいいじゃん! もう! とか言いながらレジへと向かうのだった。

▲無人機は、まもなくR2-D2のようなものを装備しているのね!
▲無線機と手首は一体! サングラスやヘッドセットも頭部と一緒に成型されている
▲意外とパーツの多いエンジン。黒とグレーの成型色で色分けされているので、組むだけで雰囲気が出る

 まず、パーツが単色では無いのが最高。地面&エンジンは黒、人は肌色、飛行機のボディはグレーと3色の成型色を使用している。なので組み上がった後に地面、人、飛行機と「色だけ」でそれぞれのキャラクター性が立つナイスなプラモとなっているのだ。エンジンだけは小さいパーツがちょこっとあるので、ピンセット片手に落ち着いて組み立てよう。

 フィギュアは2体とも単品では自立せず、無線機を持っているアニキは地面パーツと接着、無人機に手を添えているアニキは、無人機に接着する、もしくは手をいい感じに添えさせることで自立する。無人機は飛行状態も選択できて、キットに入っているスタンドを使えば飛んでいる状態で飾れる。しかし、飛ばしてしまうとアニキたちが置いてけぼりになってしまうので、僕は地面に固定することにした。

▲こんな特徴的なポーズのアニキを組めるだけでも楽しい! また地面があるので、こうやって置くだけで情景になる

 人のプラモは物差しとしてとっても有用なので、イメージの湧きにくい無人機の大きさがより鮮明になる。さらにこのような1セットで「無人機のある景色」が作れるようなプラモを実際に組むことで、情景のイメージも植え付けられ、モチーフとの距離もより一層縮まるのだ。

 今まで興味のなかった無人機の世界の扉が少しだけ開いた。現代の戦いにおいては欠かすことのできない兵器であり、常に進化を遂げていっているこの分野への第1歩を、アニキたちのプラモデルが導いてくれたのだった。

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あなたの好きな1色を塗るだけで、プラモは最高に楽しい。「タミヤ 1/12 オートバイシリーズ CB750F」

▲白いパーツだけ塗ってみよう!!

 プラモに色を塗る。初めての人にはとってもハードルが高いように見えるかも知れない。それならまずは、あなたの好きな色「1色」だけを模型に塗ってみてほしい。全部のパーツを塗らなくても、1色塗るだけでその色はあなたの模型をスペシャルなものにしてくれる。

▲鮮やかなみず色。俺のバイクをこの色で塗るぞ

 私は今回、タミヤの「1/12 ホンダCB750F」の白いランナーのパーツだけ、大好きな水性ホビーカラーの水色で塗った。黒やシルバー、メッキパーツはそのまま。何より最初からそれだけ色が分かれている。それなら白いパーツだけに自分の個性を入れれば、プラモの見映えを大きく変えられるに違いないと思い、この1色だけを塗ることにした。

▲コードレスタイプのエアブラシがあれば、好きな色をマッハで塗れる
▲大満足!! 筆塗りや缶スプレーでももちろんOKだ!

 結果は大満足!! このようにバイクの燃料タンクやカウル、車のボディ、ガンプラのようなロボットプラモのメインとなるカラーを1色だけ自分の好きな色に塗る……。全部塗ろうとするとさまざまなハードルを超えていく必要があるけれど、「1色」ならそのハードルも低く、そして少なくなる。

 プラモは組むだけでも楽しいけど、塗装も最高の時間。全部塗らなくても、1色塗るだけであなただけのかっこいいプラモは絶対に爆誕する。難しいことは考えずにまずは1色だけ塗装して、プラモに色を塗る楽しさをぜひ体感してほしい。

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かっこいいと思った直感を信じてプラモと共に完走しようぜ!「タミヤ 1/12 オートバイシリーズ No.6 ホンダCB750F」

▲タミヤの1/12 オートバイシリーズの第6弾。かなり初期のバイク模型ってどんなプラモなんだ!

 タミヤ 1/12 オートバイシリーズの「カワサキ Ninja H2R」が本当に最高のプラモだった。これまでミニバイクくらいしか作ってこなかった自分に、本気なバイクのかっこよさを見せてくれた。こうなると他の「タミヤのバイク」も作ってみたくなる。そこで模型店で、次は君に決めた! とばかりに「1/12 オートバイシリーズ No.6 ホンダCB750F」を手に取った。その理由はデザインに一目惚れしたから。まだまだバイク模型の楽しさの入り口にたったばかりの自分にとっては、模型を買う理由はそれだけで十分だろう。難しいことは考えない。かっこいいと思ったものに正直に向かい、作り、そこからこのバイクの魅力を知ればいいじゃないか。

▲パーツが少ない!! いけるぞ!! フェンダーやタンクなどのパーツは白い成型色。キットは3色のカラーバリエーションが作れる仕様になっている

 プラモは、シリーズの中でも6番目という若さ(現在の最新作1/12 ドゥカティ スーパーレッジェーラV4は140作目)で、1982年に発売されたそうだ。箱を開けるとパーツ数が少なく、これなら1日で形になりそうだと俺の胸を高鳴らせてくれる。燃料タンクやテールカウルのパーツは真っ白。「好きな色に塗ってくれ」というタミヤのメッセージも確かに受け取った。

▲パーツのシャープさの差か、昨今のキットよりも厚く重めに感じるメッキパーツ。でもこの重量感と輝きはなんともスペシャル。このままで味わいたい
▲タミヤのプラモには必ずと言って良いほど、発売当時の時代を感じさせないパーツが入っている。このDOHCエンジンに刻まれたディテールはランナーの中でもひときわ美しさを放っている

 1982年生まれのパーツとは思えないほどかっこいいエンジン。プラモは、この大トロを一番最初に味わえる。全くずれがないほどピッタリとパーツが合わさり、大きくて迫力あるエンジンが、10分ほどで自分の目の前に誕生するのだ。

▲エンジンが組み上がるとすぐにフレームで挟み込む工程に入り、合わせてリヤのタイヤも連結。あっという間にバイクらしくなってくる

 またこのキットのおかげで久しぶりに「マイナスネジ」に触れた。バイク模型は、接着の他に各パーツをネジで固定する。最近のキットはプラスネジが多いが、このキットはマイナスネジだった。ちょっと不意をつかれて、久しぶりに握ったマイナスドライバーの感触も、なんだか新鮮だった。

▲大迫力のマフラー。ボリュームもあるので、ハイグレード模型用のような多用途接着剤を使用するよりも、接着部のメッキをナイフで剥がして、プラ用接着剤で貼ることをオススメする

 ちょっとだけ苦戦したマフラー。ハイグレード模型用で接着しようとしたら、そのボリュームでうまく接着することができなかった。定石通り、デザインナイフでメッキを剥がしてプラ用接着剤で貼り合わせた。4気筒エンジンから伸びるマフラーの無骨さ。この姿を見た瞬間、「このプラモを買ってよかった」と本気で思った。

▲完成!! ボディカラーを好きな色で塗って、ライトはマッキーで塗装。あとは全てプラのまま

 今まで自分には無理だな〜と思っていたちょっと大きめのバイク模型のハードルは、「いいな」と思ったNinjaを組んで突破できた。そしてホンダCB750Fでは、一部自分の好きな色を塗って完成できた!! 少しずつだけど確実に自分がやってみたいことにチャレンジできている。こういう時期のプラモライフは楽しさしかない。興味を持った対象に、まずはニッパーを握ってご挨拶すれば、きっとプラモが応えてくれる。そんな姿勢で取り組んだプラモは、ご褒美として楽しい時間を絶対に提供してくれる。いいなと思ったら、その直感を信じてあなたの中の完走を目指して駆け抜けてほしい。あなたも俺たちと一緒に、どんどんプラモの世界を広げていこうぜ!

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花金だ!仕事帰りに買うプラモ。今夜は赤ちゃんゴリラと乾杯です。「ARTPLA 飼育員と仔ゴリラセット」

▲乾杯! ウホ!!

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でご紹介する「花金プラモ」。今週は動物園の人気者たちと触れ合えるプラモ「ARTPLA 飼育員と仔ゴリラセット」をご紹介します。飼育員と仔ゴリラといってもこの商品は他に仔キリン、ハイエナ、仔サイ、ツチブタもラインナップされています。ひと箱ずつ摘めますが、BOXで買って一気にコンプリートしちゃうのがオススメです。

▲こちらA〜Cの3セットがラインナップされていて、それぞれ成型色が2色あります
▲BOXを開けると、クローズド仕様(中を開けるまで何が入っているのかわからない仕様)で梱包されています。店頭ではこの単品版でも売られています

 箱を開けると小さなランナーに、かわいい動物たちがみっちり。しかもそれぞれのセットは、成型色がとっても鮮やかなブルーとピンクで、さらに可愛さ倍増なのです。実際の動物は、それぞれ色が異なるので、このようにキャッチーでかわいい色を成型色として選択しているのは大正解だと思います。

▲各セット、ブルーとピンクの2種の成型色でラインナップ。二つのパーツを混ぜて組んでも楽しそうですね!

 組み立ては、糊代や軸が大きく取られているのでとってもスムーズに楽しめます。ニッパーと流し込み接着剤1本あればOKです。

▲動物の体を接着していくということ自体が、すでに楽しい! パーツ分割も考えられているので、組み上がった後にどこで分割されているのか分かりにくいようになっています
▲武器ではなくエサ。草食動物に与える草を持った飼育員さんのプラモなんて、これまでなかったでしょ!
▲どでかい哺乳瓶を仔ゴリラに渡すミューズ。ブロックと柵のパーツを置けば、情景が爆誕します

 週末に動物園に行くのも楽しいけど、動物園のプラモを作るってのもまた楽しいことでしょう! ここまで完成度の高い仔ゴリラや他の動物、そして飼育員さんたちを短時間で楽しめるプラモはARTPLAしか存在しません。しかも人と動物を一緒に置くだけで景色ができるようなキット構成になっています。動物園の中でありそうな素敵でワクワクな景色をぜひ、あなたの手で組んで楽しんでくださいね。

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プラモを買って空を見よう!/「青島文化教材社 1/700 陸上自衛隊ヘリコプターセット」

 息子と公園で遊んでいると、自衛隊のヘリが上空を通過していった。「お父さん、あのヘリコプター何?」「え〜っとね……」と、目を細めているうちにヘリコプターは識別するのが難しいくらいちっちゃくなってしまったのだった……。ちょっと悔しかった。

 昔の人も、他国の飛行機の形を覚えるのに模型を使って覚えたという。そう、模型はシルエットを覚えるのに最高なのだ!! そして形を知るのに最高な模型が、今はたくさん売られている。こちらの「1/700 陸上自衛隊ヘリコプターセット」もそのひとつだ。これを買ってきて、ランナーを見るだけでも陸上自衛隊のヘリのシルエットは頭に入るし、組めばさらに特徴がわかるという代物。

▲ランナー(パーツが収まっている枠のこと)がヘリ祭り。胴体が開きになっているので、シルエットがわかりやすい
▲あれ? これはオスプレイ。箱のイラストにはいないはず……
▲文字におった。このプラモの隠れミッキーだね!

 箱を開けると緑の成型色のランナーとご対面。この色のおかげで自衛隊だな〜っと、ちょっとテンションがあがる。さらになんかめっちゃパーツが細かい。1/700スケールでここまで分割してるのどうかしてるぜ! って気分にもなる。しかし、胴体は左右分割パーツになっているので、全体のシルエットがはっきりとわかる。これによって、このプラモのランナーを見るだけでも、ヘリの形状が頭に入るのだ。「見る」だけでもナイスなプラモというわけだ。

▲またまた隠れミッキー。トラックと高機動車までいる
▲そこまでやらんでも! めっちゃ細部までパーツ分割されている

 組み立てると、ちっちゃいパーツにちっちゃいパーツを接着するという行為の連続。ピンセット二刀流で勝負した。組み上がるともちろんかっこいいが、1機作るのにかなり集中力がいるので、1日1機に会いに行く感じで作るのが良い。1機作るならさほど苦ではないから。

▲対戦車ヘリコプターAH-1S コブラ。アウトラインがしっかりしているので、このサイズでも特徴を把握できる

 キットにはOH-1 ニンジャ(1機)、AH-64D アパッチ・ロングボウ(2機)、AH-1S コブラ(2機)、CH-47J チヌーク(1機)、UH-60JA(1機)、V-22 オスプレイ(2機)がセット。このひと箱でメインのヘリコプターを総浚いできるのだ。このプラモを買ってお外を見上げるだけでもいつもより楽しい景色が見えるし、このプラモを起点に、かっこいいな〜と思ったヘリは、より大型なスケールのプラモを買って作っても良い。「1/700 陸上自衛隊ヘリコプターセット」はプラモの楽しみ方の枝葉を広げてくれる、素敵なプラモ。ぜひゲットして、空を見上げてほしい。

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30分でかつてのライバルと一本勝負できるプラモデル/「童友社 1/700 世界の潜水艦シリーズ No.13 アメリカ海軍 SS-212 ガトー 1944年」

 日本海軍の船の脇にそっと置いてください! あなたの机の上にまもなく訪れる緊張感!! 今回は太平洋戦争で日本海軍の船を苦しめまくった張本人「ガトー級 潜水艦」のプラモをご紹介します。

 キットは童友社から発売されているもので、1000円でお釣りが来る上に、組み立て簡単&かっこいいというマクドナルド的なプラモっす。早速箱を開けていきますよ。

▲その日に完成すること確定なボリューム!!

 パーツはこれしかありません。これを接着剤で貼るだけで、翔鶴や大鳳、愛宕、摩耶、長良といった日本海軍のプラモで人気の艦艇を撃沈したガトー級が爆誕するのです。震えるぜ〜〜〜。

▲左上に一段高く配置されているパーツが艦橋です。甲板のパーツに貼るパーツのほとんどは、これで完結です
このパーツが大トロ!! スクリューと方向舵が1パーツになってるのよ。ちっちゃなスクリューを切ったり貼ったりしなくて済む!! 最高
▲船体と艦底部は、接着剤を使わなくてガチッと合わさるナイスな嵌合でした。ここからさらに接着剤を流せばより強固に貼り合わさりますね
▲船の模型に台座が入っていると本当に嬉しいですよね。しかも艦名がプリント済み。いいですね〜〜

 昨日の敵は今日の友。超ナイスなプラモです。ガトー級ってこんなにカッコよかったのね〜〜と感心してしまいました。30分で完成しちゃうので、作ったその日に塗装まで楽しんじゃってもカロリーは低いですね。個人的に日本艦艇の隣に最も似合うライバルだと思っているので、ぜひ童友社のガトー級を作って、さらに日本の船も作って艦船模型の楽しさにどっぷり浸かってください! それでは〜〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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レジェンドの心意気をお得な価格で味わえる飛行機模型/「マイクロエース 1/48 大戦機シリーズ 日本軍 中島 4式戦闘機 疾風 甲型」

▲どれが入っているの!? 博打なの!? 落ち着いて……箱の側面を見るのよ

 店頭でこの箱を見るたびに「中身はどんなものが入っているんだ……」と気になってしまう飛行機模型があります。それがマクロエースの1/48 大戦機シリーズです。箱からして駄菓子屋さんのくじみたいな感じで、博打感をより盛り上げてくれます。狙ってやっていたらマイクロエースの思う壺……手のひらで踊らされているフミテシなのです。

 nippperでもこの中のキットは紹介されたことがあり、しかもどれも良い感じ。この機会に俺も作ってみようと思い「疾風」を買ってきました。ちょうど去年の今頃、鹿児島の知覧で実物を見ていたな〜なんて思い出も蘇ります。そしてレジに持って行った時に「え? これ1/48の飛行機模型ですよね?」と聞きたくなるくらい安かったのにもびっくりしました。

▲濃いめのグレーの上で、リベット祭りが開催されていました

 どんな疾風かな〜と開けた瞬間、「勝った……」て思いました。主翼や胴体に、「これぞ模型映え」と言える超メリハリMAXなリベットがこれでもか〜〜と刻まれています。もう、パーツを見ているだけで楽しい・幸せなプラモです。調べてみると、このキットは今はなき模型メーカー・オオタキが1973年に発売したもの。その金型を引き継いで発売されています。1973年って俺が生まれる10年前。その頃にこんな派手で、今見てもかっこいい飛行機模型を生み出していた開発マンがいたってことを思うと、胸が熱くなります。

▲ハヤテ。バリや傷は時代経過の歴戦の証。こういうのもいいじゃない
▲HAYATEMAN!!!

 レジェンドプラモらしさを伝えてくれるアニキもいます。飛行機のパーツと人のパーツでこれだけ差が生まれてしまうというのを見ると、人間をプラモに落とし込んでいくのは本当に大変なことなのだと実感します。現在の、まもなく人間! という精巧さのプラモたちも、このようなアニキたちの歴史の上に成り立っているんですね。

▲さぁ、メインディッシュと行きましょう。主翼です
▲胴体の美しいラインとリベットが奏でるリズム。最高です

 実際はこんなメリハリがあるようにリベットは見えないと思いますが、これは模型! リベットがたくさんあったら情報量も多くてかっこいいよね! という提案が、どストレートに俺たちに向かってきます。思いっきり受け止めましょうぜ!

▲カウルのフィッティングはちょっと癖がありました

 実際に組み立ててみると、ちょこちょこすり合わせは必要です。でも現代の強力な流し込み接着剤「Mr.セメントSP」さえあれば、時代を一気に飛び越して、力技で組み立てられます。1時間もあればリベットバキバキの疾風が目の前にやってきます。

▲大迫力!! めちゃくちゃ強そうだぞ!!

 これは最高の刺身! 圧倒的リベットの存在感で、めちゃくちゃ強そうに見えます。買う時にどんなキットなんだろう〜って不安もあったので、完成後のこの姿をみると、よりテンションが爆上がりします。1500円以内で、1/48スケールのかっこいい疾風が堪能できますので、ぜひマイクロエースのBOXから疾風をゲットしてください。このリベットを見ながら飲むビールは最高でしたよ……。プラモを作って乾杯といきましょうぜ!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

誰もが自己肯定感MAXになれる究極のバイク模型/「タミヤ 1/12 オートバイシリーズ No.131 カワサキ Ninja H2R」

 組んだだけで「どえらいものを完成させたぞ!」という自己肯定感でライジングできるバイクプラモ。それがこの「タミヤ 1/12 オートバイシリーズ No.131 カワサキ Ninja H2R」だ。この写真は本当に組んだだけ。デカールやシールも貼っていない。説明書通りに組むだけで、この到達点が用意されているプラモなのである。

▲僕はタミヤのシルバーの成型色が大好きだ。今のメッキ塗料やシルバーの塗料のようなギラギラさがないのが良い。この銀こそ慣れ親しんだプラモらしい銀なのだ
▲バイク模型はパーツ形状も面白いものが多く、ランナーをぐるぐる冒険する楽しみが待っている。H2Rにも名所がたくさん。こちらはフレームのパーツ

 バイク自体が戦車や飛行機といった他にプラモになっているスケールモデルよりも実物が小さいので、模型と実物の距離感が最も近いと言える。そのためパーツに刻まれたディテールはすごく実感があり、模型を組む前にパーツを見ているだけでもすごく幸せな気分になれる。

▲成型色のこだわりがすごい。これによりこのバイク模型は組み立てるだけで圧倒的存在感を放つのだ

 フューエルタンクのパーツが収められたランナーには、金属粒子が練り込まれた成型色が採用され、ガンメタリックな輝きを放っている。パーツを傾けたりすると、成型色の中のフレークがキラキラと光を反射してとても美しい。このパーツがしっとりとした銀と黒の成型色ににより奏でるリズムが、組んだ時に僕たちに幸せな景色を見せてくれるのだ。

▲これがタミヤのパーツの美しさ。ラジエーターに刻まれた彫刻の美しさに遭遇すると、ずっと眺めていたくなって組み立てる手が止まるほどだ
▲タミヤのバイク模型には必ずドライバーがつく。このドライバーが何本も自宅にある人はツワモノプラモライダーってことだね

 バイク模型はプラとプラの接着だけでなく、ビスやビニールパイプ、スプリングなどのパーツを組み合わせていく楽しみがある。タミヤの高いパーツ精度で貼り合わさったパーツに、ビスをドライバーで締めていく。その時、手から伝わってくる「パーツ剛性が強化されていく」瞬間は、バイク模型組み立てのハイライトだ。

▲ビスを回すことで伝わってくるパーツ同士がしっかりと噛み合った感覚。これがとても気持ち良い
▲バイク模型は、組み上がっていく段階で異常なまでにメカニカルな景色を僕たちに見せてくれる。常に興奮の連続なのだ

 H2Rのデザインはエンジンを見せる(魅せる)ようにデザインされたハーフカウルを装備。そのため、完成後もみちみちのメカな要素を楽しめる。

▲そしてエアダクトからスーパーチャージャーへとパーツが繋がった時、これがH2Rの夢の通り道かとひとり震えたのだった

 約4時間。僕はH2Rに没頭した。時間でみると長いのかもしれない。しかし僕にとっては一瞬。いつの間にかランナーからは全てのパーツが無くなっていた。そして完成した姿は、僕の心を大いに満足させてくれた。こんなにも挑戦的なフォルムのバイクなのに、プラモの方は僕たちを優しく完成へと導いてくれる。これからバイク模型に触れたいという人に、タミヤの「1/12 カワサキ Ninja H2R」は間違いなくベストな選択と言えるだろう。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)