希望条件ばっちり、作ってみたら最高/タミヤのアルピーヌA110が大好きだ。

 「引っ越しをしよう」なんて思うと、条件を決めてから物件を探すことになる。駅から徒歩でどれくらい? オートロック、宅配BOX、浴室乾燥機などなど。
 タミヤの1/24ルノーアルピーヌA110 は物件探しのように条件を決めて探したプラモデルだった。当時は、プラモデルを作り始めたばかりのころ。道具なんてほとんどなくて、適当なお菓子の缶に入れていた。そんな私のプラモ探しの条件は「カーモデル」「ボディパーツが白やグレーでなく、きれいな色のもの」「外国の車」「小型の車」というもので、それをすべて満たしていたのがアルピーヌA110だったというわけだ。

 改めて箱を開けてみると、今見ても「塗装でこの青色の表現は難しいな」と思うほどにきれいな青色のプラスチックが目に入る。

 ボディパーツを手に取ってみると、やっぱり小さい。ボディパーツから大体の完成サイズが推測できるので、「手に持つ瞬間」はとても好きだ。きれいな丸みでまとめられたボディに、車のことなんて知りもしないのに「やっぱりフランスの車はきれいだな」と思わず言ってしまう。これに、グレーやシルバー、クリアといったプラスチックが組み合わさることで出来上がる姿を、説明書とパーツを行ったり来たりするだけでワクワクする。

 エンジンを組み立て、シャーシを作ろうとすると「まじ?」と言いたくなるほどの頼りない形で、思わずこの設計をなんというのか調べてしまう。バックボーン型というようだ。

 「車って見た目とエンジンだけじゃないんだな……」という雑な気づきを抱いたままに車内を組み立て、「ラリー仕様だとジャングルジムみたいなパーツがつくんだな」みたいなことにも気づく。そんな車のアレコレにうなずく時間を、一切邪魔しないパーツ精度。そして、パーツを車にするためのニッパーや接着剤の素晴らしさに気づくと「俺の知らない間になんだかすごいものが世の中に普通に流通していて、それをとっくに楽しんでいる人がいる」ということに驚く。だってこのプラモデル、2005年の発売なんだもの。

 プラモを作り始めた頃のA110はまだ大切に部屋に飾ってある。引っ越すときに大事に持ってきた、数少ないプラモデルだ。
 2度目の組み立てはデカールを貼らずに、説明書には「不要パーツ」と書いてあるフロントライトのカバーをつけて街乗り仕様に仕上げることにした。「プラスチックの色がきれいな小型の外国車」という条件で選んだプラモデルなので、この姿は思った通りの仕上がり。では当時は、なぜデカールを貼ったのかというと「複雑な曲面に追従させるデカールがない」ということに気づいたからだ。

 タミヤのA110は、事前に確認した条件だけではわからない新居の良いところに気づいたりするように「これなら作れそう」が「思ったよりよくできた」という感動に繋がる(しかも2度作ってなお楽しい)、思い出深いプラモデルなのだ。

<a href="/author/crisci4mens/">クリスチ</a>
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。