元少年よ、大志を抱け!令和版「出戻りプラモデル作りの三種の神器」、仮に決めておきます。

小さいときにプラモ作ったけどそれっきり、という人に向けて書きます。いまも毎日プラモ作ってる人はブラウザの「戻るボタン」を押したほうがいいかもしれません。それでも最後まで読むもんね、という人はこの先「ひさびさにプラモつくろうかな……」と言っているお友達を見つけるたびにこの記事をシェアしてください。お願いしますよ。

▲三種の神器、これです。ニッパー、接着剤、ツヤ消しスプレー。詳細は以下を読んでね!

 さて、先日出社ついでにヨドバシカメラをウロウロしてたらプラモ買いたいパワーが上昇。最新キットもいいけどあれもこれもいいなぁ……とか品定めして、どういうわけかリガードのプラモを買いましたよ。『超時空要塞マクロス』に出てくる逆関節二本足のヤバイやつです。箱絵がかっこよすぎる。

 このリガード、1982年生まれなのでオレと同い年。つまり当時この箱絵にワクワクした中学2年生は現在52歳ということになります。たぶん当時は模型誌にめちゃくちゃかっこよく改造した作例が掲載されていたり、模型屋さんのショーウィンドウには街の模型がウマいアニキの作った完成品があったりしたんじゃないでしょうか。そして「ああ、オレには無理だ……」と挫折した人もいるかもしれません。が、「このプラモはこういうもんなので、そのまま作ってかっこいいかどうかオレが判断するのだ」というのをすっとばしたまま忘れてやいませんでしょうか。

 プラモについてはかなりおおらかな性格のオレが見ても「このキットはよく見ると箱絵と全然違うところがいっぱいある」というのは明らか。しかし、キットがダメとか絵がかっこよすぎるとか言ってもいきなり絵のとおりに改造できるわけじゃないし、「改造できるようになるまで作らない」などと言っていると改造スキルが溜まらないので永久に作れない。PDCAを回すんだ。PとDがないとCとAがやって来ません。D、つまり「とりあえず貼る」が超大事。貼ってみて、「やっぱ気に入らないなぁ」か「あれ、案外かっこいいじゃん」と思えるかで人生けっこう変わってきます。

 とりあえず大人なので「リガードのカタチをしたかっこいい置物がほしい」あたりを目標にします。なにせ現在模型屋さんで売ってるリガードはこれしかないので世界一リガードに似ているプラモです。組んだだけで世界一リガードに近くなるのはすごい。そしてガシガシ動かして遊ぶのはこの時代のプラモの構造上かなり難しいので、置物としてかっこいいポーズで固まってもらいましょう(ガンプラでは普通になったポリキャップなどはいっさいないモデルだし、当時動くように組んでいたアニキたちはめちゃめちゃ器用だったか、すごい改造をしていたということで納得してください)。

 まずパーツを切るのは片刃ニッパーです。ニッパーにはおよそ5000円払うと世界が変わります。高いと思うかもしれませんが、釣り竿やゴルフクラブに比べたら安い。しかも値段が張るだけあって現代のニッパーはすごい。なぜなら切った跡が見えないくらいツルンと切れます。ここでケチると神器ではなくなるので、とにかく「ニッパーの予算は5000円くらいだと考えておいたほうがいいのね」と思っておくと、切るのも組むのも楽しくなります。

 箱絵のイケてるポーズのまま全部固定してビャーッと貼ります。使うのは速乾タイプの流し込み接着剤です。タミヤとGSIクレオス(昔のグンゼ産業)という会社から発売されていますので、買いましょう。サラサラの液状で、いわゆるフツウのプラモ用接着剤みたいにトロトロしていません。これはパーツに塗るのではなく、パーツを合わせてからキャップの筆でちょびっとだけ流し込みます。指でパーツを押さえたままぼーっと待っていると、15秒くらいでカチカチに乾燥します。本当です。38年ぶりにリガード作る人は多分びっくりするはず。

▲こういうゲキムズな接着ポイントも秒でくっつく時代です。ホントに。
▲ムニューッと合わせてひと晩放置、とかやってる時間はない現代のサラリーマンにもオススメ
▲でっかいパーツはサーッと接着剤を流してムギューっと押さえたまま30秒待ちます。これで完璧。

 合わせ目を消すとか小さいパーツに先に色を塗っておくとか、そういうのは一旦忘れてください。時間がかかり、こだわりがこだわりを呼び、完成が一生遠のいていきます。アキレスと亀状態。ならばまずは「組み立てた」というゴールラインを設定してそこまでたどり着きましょう。とにかくいいニッパーとマッハで乾く現代の接着剤があると、昔苦労したはずのプラモがドシドシ組み上がっていきます。あれ、プラモってこんなに楽しかったっけ……。

 最後にGSIクレオスのつや消しスプレー「プレミアムトップコート つや消し」をよく振ってから全体に吹き付けます。家の中でやるのはちょっと……という場合はベランダか近所の広いところで。ちなみにオレはかっこいいポーズで固定したかったのと、スプレーを吹くときの持ち手にしたかったので460円で買ってきたかっこいい板を足の裏に貼りました(瞬間接着剤をなみなみ盛っておくと貼れる)。

▲往生際が悪いので目を何色にするか悩んでまだ接着していない。あと組み上がるとむっちゃデカい。幸せ。

 つや消しトップコートのおかげで全体的にめちゃくちゃ落ち着いた大人のトーンになりました。このまま置いといて「うーん、わりとかっこいいじゃん……」と思うのもアリ。まずは自分にとってのトロフィーみたいなもんですから、いい酒の入ってるガラス戸の付いた棚とかに飾ってみてください。プラスチックのままでも「そういうもの」と思えばかっこいいし、いくつか貼ってるうちに欲が出てきたら塗ってみるのもアリです。つや消しトップコートは水性塗料(これもいまめちゃくちゃ性能の良いものがいっぱいあります)の下地塗料としても働いてくれますよ。

 ということで、「プラモ、久々に触りたいんだけど道具とか全部揃えたらしんどいな」という人はアラウンド5000円のニッパー、めちゃくちゃ早く乾く流し込み接着剤、そしてプレミアムトップコート つや消しを買いましょう。プラスチックを貼ってカタチが出来て、なんだかしっとりとしたオブジェになる。ただそれだけでも、忘れていた工作魂が燃え上がって来るはずです。次に何をするかは、またそのうち考えましょうか。

<em><a href="/author/kalapattar/">からぱた<br></a></em><a rel="noreferrer noopener" href="https://twitter.com/kalapattar" target="_blank">@kalapattar</a>
からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。