「解体屋ゲン」という当初は爆破解体をメインに取り扱いながらも、回を追うごとに時代の変化に応じるように、地域活性化やリフォームなども取り扱う漫画がある。
80巻を超える単行本の中には当然さまざまな話があるのだけども、第2巻には「十三尺」と呼ばれる車が登場する。十三尺とはマツダのT2000という3輪トラックのことだ。通常のトラックでは通れない道を、3輪という特性を活かして通り抜けてしまうという話で、T2000の構造の単純さから整備性の良さにも触れているのが良い。
そんなT2000だが、オーナーズクラブから1/32スケールで販売されている。
箱を開けると青と緑の嬉しい2色成型で、すぐに「色を塗らなくていいか」と思わせる良さがある。それに加えてゴロンとした一体成型のボディ全面と、非常に長いシャーシ。
13尺というおよそ4メートルの長さが、このマツダT2000のニックネームになる理由が一発で理解できる。制作に関してはボディ前面のパーツのバリやパーティングラインの処理に少し手間がかかる。ただ、精密に作らなくとも個性豊かな趣があるので、ガリガリ削ってみたり、やすりで面を整えたりすると、案外サマになったので驚いた。
それ以外はスムースに組み立てられるので、あっという間にボディ/シャーシ/荷台/幌ができあがる。
緑色の幌以外の3つのパーツの接続方法はネジ止めで、すんなりとT2000の姿が現れる。
当然のように前輪は左右に方向を変えることができるので、解体屋ゲンよろしく、驚異の小回りを体感することができる。容易くノスタルジーを語りたくなる見た目ではあるが、日本の狭く入り組んだ道路事情に合わせて誕生した「局地仕様の車」でもある。
「限られた環境ではどんな最新のマシンよりも活躍する」という魅力を持っているマツダT2000。このキットを作ることで、車というのは道路に合わせて作られるものであり、それは人々の暮らしに合わせた存在であるということがよくわかった。
1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。