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「接着剤で生まれた小さなドラマ」にときめいた話。/ARTPLA 1/35 観光客とキリンセット

 「手と手を接着する」ことで、優しさが生まれるプラモがある。それが海洋堂ARTPLAの「子供連れ観光客」だ。「1/35 観光客とキリンセット」の中に、このプラモはセットされている。

▲小さな坊ちゃんの手とお母さんの手。接着剤が親子を繋ぐ

 大好きなお母さんの手を握ってはしゃぐ坊ちゃん。我が子が楽しそうにしている姿を楽しみながらも、飛び出さないように優しく手を取るお母さん。この組み合わせは、近年発売された人形プラモの中でも一番気に入っている。

 プラモ作りの楽しさに「パーツの接着時の気持ちよさ」ってのがあると思っている。タミヤのトムキャットのプラモのように、吸い付くようにパーツが合わさる瞬間はまさにそれだ。そのような瞬間がさまざまなプラモの中に隠れている。接着の気持ちよさに巡り会えた時、プラモって楽しいな〜という気分になるのだ。親子の手と手を接着する瞬間は気持ち良いを凌駕して、優しい気持ちになってしまった。お互いを接着しないと景色も生まれないし、自立も安定しない。まさに親と子があってこそのプラモなのだ。

▲手と手が接着点。こんな小さな接着面積も、プラモ用接着剤なら大丈夫!! 
▲白い蓋でも、緑の流し込み接着剤でもどちらでもOKだ

 僕たちがプラモ用接着剤をチョンと塗るだけで、親子は手を握り合える。あなたのひと塗りで、手と手を握らせよう。そして二人に楽しい景色を作ってあげよう。組み上がると、坊ちゃんが大はしゃぎするような景色を作ってあげたいと、絶対に思うはずだ。

▲さぁ、お母さん。息子さんの手をしっかりと握ってやってください
▲「どれがすごいの? 遠くにいっちゃだめだよ」なんて声が聞こえてきそうです。手と手がつながった優しい景色がそこに生まれる

 接着剤を使わないプラモよりも、形状やパーツの重なる部分に、より自由度が出る「接着剤を使うプラモ」。だからこそ接着するという行為は楽しいし、接着で生まれるさまざまなドラマに酔える。もしこの親子の手が最初からつながった状態で分割されていたら、また違った感想を僕は持ったと思う。たかがパーツ同士を接着するということだけでも、こんなに感情が昂る。プラモってシンプルな中にこそ、最高な楽しみがあるものなのだ。

<a href="/author/fumiteshi/">フミテシ</a>/nippper.com 副編集長
フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。月刊ホビージャパンで12年間雑誌編集&広告営業として勤務。ホビージャパンで様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。「ホビージャパンnext」、「ホビージャパンエクストラ」、「ミリタリーモデリングマニュアル」、「製作の教科書シリーズ」などを企画・編集。

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