タミヤの飛行機模型「1/48 傑作機シリーズ」の中で異彩を放つプラモがあります。それが「1/48 グラマン F4F-4 ワイルドキャット」。タミヤの飛行機模型の中でも多くの人に手に取って欲しい・作って欲しい怪作です!
このプラモ、ワイルドキャットの無骨な雰囲気を強調するために、各所のモールドやリベットのメリハリが凄まじいのが特徴です。昨今のタミヤの飛行機模型とは違った「味濃いめ・脂多め」の濃厚な味わいを楽しめます。パネルラインの段差なんて、スポーツ選手の筋肉みたいな迫力がありますし、ワイルドキャットの特徴でもある各部の凸と凹のリベットなんかもバシバシと表現されています。各パーツのマッシブさで言えば、タミヤの飛行機模型シリーズの中でもトップだと思えます。アメリカのマッシブさというか、そしてどこかグラマラスな雰囲気がボディやお腹周りから感じることでしょう! 最高にセクシーなんですよ。
1/48スケールの飛行機模型で、ここまでやったら映える!(発売の1994年当時には映えるという言葉は使わなかったかもしれませんが)というギリギリのところを攻めたディテール表現が、あなたの目を確実に楽しませてくれます。パーツを枠からカットする前から、目が喜ぶ模型なのです。
そしてこのプラモが最高なのが、パーツ数の少なさ。ワイルドキャットは外見がシンプルだから、そりゃそうだろうと思うかもしれませんが、着陸脚がかなり複雑な構成をしていたりするので、そのような部分で細かなパーツが登場しがちです。しかし、タミヤのキットは細分化することなく、それぞれのフレームを大きな1パーツとすることで、組み立てやすさを上げながら実機の雰囲気を見事に表現しています。
少ないパーツ数でもコクピットや複雑な主脚構造を表現したパーツによって、胴体の中はさまざまな要素が詰め込まれます。そうなってくると不安になってくるのが胴体と翼のフィッティング。臓物が邪魔をしてうまくフィットしないという経験を、僕もさまざまな飛行機模型で経験しました。でも、そんな心配は杞憂に終わりました。スコン! って感じではまり、ワイルドさのかけらもない感じで胴体と主翼は合体したのでした。めでたし。
完成すると、ボディラインの美しさ、全身のリベットが生み出す陰影のかっこよさにくらくらします。ワイルドキャットはさまざまなメーカーから発売されていますが、1994年に登場したこのタミヤのワイルドキャットは、今でも最高な模型だと言えます。1/48スケールで、ワイルドキャットの無骨さを表現するために、ギリギリまで攻めたメリハリ。それによって生まれた最高のかっこよさは、手にした全員が笑顔になること間違いなし! どの零戦の隣においても、立派なライバルとして存在感を放つことでしょう。
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)