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花金だ!仕事帰りに買うプラモ。タミヤのシャーマンで1番グラマラス!!「イスラエル軍 M1 スーパーシャーマン」

▲見てよ、このグラマラスな丸さと表面の細かなゴツゴツ(これを鋳造表現って言ったりします)。これをぜひとも味わってほしい!!!

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週は、タミヤのシャーマンラインナップの中でも個人的に最もグラマラスだと思っている「イスラエル軍 M1スーパーシャーマン」をお届けします。「シャーマンってアメリカでしょ? なんでイスラエルなの?」ってなったあなたは、もうすでに戦車アニキ。迷わず今週このプラモを買ってください。なってない人も、戦車模型として超かっこいいのでぜひ買ってね!

▲このイラストも、鋳造車体の丸みを強調した描き方をしていて最高!!

 アメリカ軍が生み出したシャーマン戦車には、角張った車体のものとポテ〜っと丸い車体のものがあります。この違いだけでシャーマンは結構雰囲気が変わります。
 タミヤは1/35MMシリーズで多数のシャーマンプラモをラインナップしていますが、第二次世界大戦で活躍したものは角張ったものばかり。丸みのある鋳造車体のシャーマンはなんとアメリカでもその他の連合軍の車両でもなく、イスラエルの「M1スーパーシャーマン」と「M51スーパーシャーマン」の2種のみなのです(ちなみに1/48MMシリーズでは23作目のM4A1が鋳造車体を再現しています)。僕は、この丸みのある鋳造車体のシャーマンは全体の調和が取れていて、すごくグラマラスだと思っていて大好き。角張ったシャーマンがジムなら、鋳造車体の丸みにはガンキャノン味があるんですよ。このかっこよさをドシンプルに、しかもタミヤの組みやすさで味わえるからこそ、多くの人に「M1スーパーシャーマン」をオススメしたいのです!!

 同シリーズにラインナップされている「M51スーパーシャーマン」は、M1よりも後に登場した超キメラシャーマン。族車のようなイケイケカスタムによって車体のグラマラスな雰囲気はちょっとスポイルされているな〜と感じます。でもそちらもかっこいいので、両方買っちゃいましょう。

▲手前からM4A3イージーエイト、M1、M4初期型。同じシャーマンでもこんなに車体デザインが異なります。だからシャーマンはバリエーションをモリモリ作っても楽しいのです!!

 M1スーパーシャーマンは、その背景も現代史の中東・パレスチナ問題に繋がります。僕らの世界においてもとっても重要な問題で、このシャーマンもその激動の中で生まれたものです。ちょっと駆け足で見ていきましょう。

 第二次世界大戦が終わってすぐ、1948年5月14日のユダヤ人勢力の独立宣言・イスラエル国の建国宣言が引き金となり、中東諸国との戦争、第一次中東戦争が翌日に勃発!!。辛くもイスラエルはその危機を乗り越えますが、明らかに機械化戦力と戦車に大きな問題があることが露呈されます(むしろ、かき集められる所から死に物狂いで集めたものだけで乗り切ったパワーがマジですごい)。

▲私がAMX-13!! タミヤのキットはスーパーなのと、こちらもイスラエルの戦車史において超重要車両なので今のうちに買おう!!!

 そんな中、1955年、ライバル・エジプトにソ連から「T-34/85中戦車」……そう! 第二次世界大戦でもドイツ軍を叩きのめした“あの戦車”を含む車輌・500輌が供与されます。1956年7月26日には戦力整備で自信をつけたエジプトがスエズ運河の国有化を宣言すると、イギリスとフランスが「それは違くね??」とばりに、軍事介入検討を開始。これに同調したイスラエルへの見返りに、フランスはAMX-13軽戦車・100輌と、76mm砲搭載のM4A1シャーマンないしM4A3シャーマンを250両供与しました。それまでイスラエルのM4シャーマンは75mm砲搭載型で占められていたので、この度給与された76mm砲搭載型は「M1戦車」という名で区別されたのです。フランスを故郷とするシャーマンは第二次中東戦争で大暴れし、イスラエル機甲部隊の礎となります。

 タミヤのMMシリーズにはAMX-13、M51 スーパーシャーマン、ティラン5(鹵獲したT-55を鬼改造した戦車)、メルカバMk.I(イスラエル初の国産主力戦車)といったイスラエル、中東戦争を知るピースとなるプラモがラインナップされているので、プラモを通して歴史を知るきっかけにも良いと思います。

▲これまでの75mm砲では正直T-34/85相手には苦戦必至! しかし76mm戦車砲M1/A2は、T-34/85の前面装甲を十分貫徹できる性能を持っていました

 砲身も76mm戦車砲M1/A2にマズルブレーキが付けられたタイプで、迫力ある仕上がりが楽しめます。75mm戦車砲のような控えめな佇まいは、この戦車にはありません。

▲左がM1スーパーシャーマン。右がM4シャーマン初期型の砲塔。アウトラインやハッチなどが異なっています。
▲履帯は接着&塗装可能な軟質のベルト履帯。グルンと巻いてしまえば完成です
▲イスラエルのアニキも2体セット

 イスラエルという国は、外国の戦車を購入して運用するだけでなく、自分達の環境や戦訓でカスタマイズするというガチビルドファイターズな歴史を送ってきました。そのためこの国の車輌は、どれがプラモになってもかっこいいものばかりという、すごい特性を持っています。そのスタートラインのひとつとも言えるのがこの「M1スーパーシャーマン」です。グラマラスな鋳造車体、迫力ある76mmM1/A2戦車砲、重みある歴史背景まで含めてスペシャルなシャーマンをぜひ、お楽しみください!

フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

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