友達がプラモデルを作りたがっていたら、待ち時間をゼロにする方法を教えよう。

 ワニを見たのでワニのプラモが欲しくなり、結局ワニそのものが入っているのはタミヤの「1/35 小型恐竜セット」だということを知って、買ってきた。小さな恐竜たちが5匹、そして始祖鳥が1羽。深緑のランナー2枚にキレイに並んでいて、カチカチとしたメカニカルなパーツではなくて、柔らかな曲面同士が合わさる生物的な質感が新鮮な印象だ。

 恐竜一匹につき、パーツは多くても8パーツ。’94年発売のアイテムだが、パーツの合いはとってもいい。恐竜の色はいまでもよくわかっていないことが多いから、何色に塗っても楽しいだろう。切って、貼って、塗るというプラモの所作をいちばんコンパクトに、自分の思うがまま楽しむことができる素晴らしいアイテムだと思う。

 ニッパーでパーツを切る。楽しい。ランナーとパーツを繋ぐゲートが少し残ってしまったら、デザインナイフでカリカリと削ってキレイな恐竜のカタチに整えてやると、なんだか少しレベルアップした気分になる。パーツを切り離したら、接着だ。昔だったら「トロトロの接着剤を慎重に塗って、パーツ同士を貼り合わせて乾燥させて……」というのはひと晩待つ仕事だった。しかし、いまはものの数分で恐竜たちはカタチになっていく。なぜなら、接着剤が猛烈に進化しているからだ。

▲こんな曲面同士でも、いまは一瞬で貼り合わせることができる。
▲左右のパーツを左手で持って、合わせ目のラインに接着剤を流すだけ。

 「タミヤセメント(流し込みタイプ)速乾」は、昔プラモを触ったことがある人にとってこそ衝撃的な製品だと思う。ほんの少しの接着剤をパーツの接合ラインにちょんと流し込んで、時計の秒針を見ながら30秒じっと待つ。それでもうパーツ同士が動くことはない(完全乾燥には1日待ったほうがいいだろうが、次の作業に進むことはできる)。

 曖昧に見える胴体と四肢の接着ラインだって同じだ。少し流し込んで、むにゅっと押さえておけばすぐにくっついてくれる。「脚の付け根の接着剤が乾燥するまで飾って眺めることができない」なんてことはなく、スッとプラモが形になって、それを保持してくれるのは驚きだ。

 「ひと晩待つ」という時間が極限まで短くなったおかげで、プラモを作るという遊びのタイムスパンは大きく変わった。休憩のちょっとした時間、夕飯後の少しの時間でプラモを貼り合わせて眺めることができる。

 深緑の恐竜たちは、確かな造形で勢揃いしてくれた。このままガラスの戸棚にそっと飾るもよし、PCモニタの脇をちょっとしたジュラシック・パークにするもよし。もちろん、地面を仕立てて自分で塗り上げた恐竜を並べるのもいいだろう。この、「どう仕上げても、どう飾っても”成立する”」という感じが、このプラモの素敵なところだと改めて思う。

 あなたの周りにもしプラモを始めようとしている友人がいたら、どんなプラモを組みたいかはその人に任せるとして、ぜひともこの接着剤を勧めてほしい。組み上がるスピードと仕上がりの美しさは、プラモを楽しんだ時間をきっと美しいものにしてくれる。「これがあれば、どんなプラモも組めそうだな」と思ってもらえれば大成功だ。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。