タミヤ最新のバイクモデルと実車の製造ラインが目の前で直結した話!/ドゥカティ スーパーレッジェーラV4、ここに完成す。


 タミヤの最新バイクモデル、1/12 ドゥカティ スーパーレッジェーラV4が完成した。「これが世界限定500台のスーパーバイクか〜。かっこいいもんなぁ〜。ところでこのバイクって、実際のところどんくらい強いの!?」というマジで頭の悪い疑問が浮かんできたためYouTubeを検索した。そしてオレはビビり倒した。オレがいま組み終えたプラモデルのパーツのひとつひとつを、イタリアの工場で!人間が!手作業で!オレと同じように組んでいる!

 「いやプラモデルなんだから実物も同じように組むもんでしょ……」みたいなツッコミは無粋 of 無粋である。この模型がバイクであり、スーパーレッジェーラV4がハンドメイドであることに大感動したのだ。誰も止めるな。そしてキミも上の動画を見るんだ。組む前に見れば組みたくなり、組んだあとで見ればもう一台組みたくなる。恐ろしい動画だ。

 まずこのサイドカウルの白いパーツなんだけど、動画だとこのビスで留められていない状態で塗装されたカウルがビニール袋からドバーンと出てきてツヤツヤのテッカテカなんだよね。実物はカーボンコンポジットの薄くてカチッとした雰囲気で、なるほどこれは軽くて頑丈そうだ。プラモを組んでるときは「いや〜、タミヤのパーツすごいな」だったんだけど、今のオレはドゥカティの工員なのでこれがもう12倍の大きさ、つまり実物そのものに見えるのである。倒錯的!

 プラモデルにおいて、白いプラスチックは「塗ると化けるぞ」の合図だ。塗装指示はピュアーレッドという目に痛いほどの赤。なんならこのプラモデルはこの赤だけをツヤツヤに吹き付ければ完全勝利できると言っても過言ではない。あとは黒とか銀のプラスチックが雰囲気を盛り上げてくれるからだ。タミヤのバイク模型は「この一色」を決めればあとは組むだけでも最高にかっこよくなるというのは覚えておいていい。

 エンジンを挟み込むどデカいアッパーフレームも全体がカーボンコンポジット(当然中身は中空だろうから、工員が軽々片手で持ちながらその出来栄えを眺め回している!)。「レッジェーラ」というのはイタリア語で「軽い」という意味。スーパーレッジェーラというのはつまり、「めちゃめちゃ軽い」ということである。

 そう考えたら「ドゥカティ スーパーレッジェーラ」というマシンネームは「どんだけ〜!」と驚くポイントだろう。例えるなら「ホンダ 超軽量」とか「ヤマハ 激高速」とかそういう次元のネーミングである。ありえない。しかしここにはその哲学が塊となり、たしかに存在している。そういうことを感じながら、ただ無心で組め。組むのだ。

 こまかいパーツがそこかしこで不思議にピタリと吸い付くように集合していき、どんどんバイクらしさを獲得していく。正直それがなんだかわからずに取り付けているパーツもあったけど、動画を見たら「いやそれオレも組み立てた!オレもいまからそこにバイトとして加わっていいですか?」と言いたくなる。なんならいまからドゥカティの工場に行ってスーパーレッジェーラの組み立てスタッフと会話することになっても、身振り手振りで10分くらいはなんとなく話が続きそうである。オレはバイクの免許すら持っていないのに!

 カーモデルやバイクモデルに顕著なのだが、つやつやピカピカのパーツを最後の最後に組み上げるのは大変な緊張感を伴う。一滴の接着剤がいらんところにピトッとくっついただけで、今までの労力が水の泡になってしまうからだ。先がどんどん細くなっていく鉄骨渡りの様相である。しかしこのスーパーレッジェーラ、赤いカウル類を取り付けるのに接着剤を要するところは存在しない。

 それぞれ別に仕上げたタンクやカウルを微妙な凹凸に従って所定の位置に置き、絶妙な角度で設けられたピンに引っ掛け、最後に左右からネジで留めていけば、そうとしかハマらないようにガチッと位置が固定されていく。露出するネジはサイドカウル後端だけ。あとはウイングやらなんやらを微小な磁石でピシャっと取り付けると隠されてしまう。なんたるおもてなし。なんたる着地。ウルトラC連続の空中殺法から、1260°回転をしつつ途中でマックツイストを挟み、最後は美しいテレマーク姿勢で200点を追加してくるようなキットだ。「途中で競技が変わったのか?」と思うくらい、すごいのである。

 愛とガッツの2日が過ぎ、こうしてスーパーレッジェーラV4は完成した。「見た目にカッコいい」というのはもちろん、私はこのマシンのすべてを脳内に刻み込むことができた。だからこそ、最初にお見せした実車の組み立て動画はあたかもオレのドキュメンタリーであったかのように映る。まだこのプラモデルを組んでいない人に言っておくなら、動画で見た組み立て工程が、あなたの目の前で、まったく同じように展開される。飛行機や戦車ではそうはいかない。実物とプラモデルが極めて近いパーツ構成になってしまう宿命を背負った機械だからこそ味わえるこのこの感覚こそが、バイク模型のおもしろく、素敵なところだとオレは確信している。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>/nippper.com 編集長
からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。