ご苦労様です。働くアニキのプラモデルです。私の住んでいる街には陸上自衛隊の駐屯地があるので、通勤時間帯には自転車で通勤する迷彩服の隊員さん達とよくすれ違うんです。そんな彼らがプラモデルのパーツになってバラバラと卓上に現れると、既視感と非現実感がないまぜになって不思議な感じです。
まずランナーを眺めると目を引くのは、とてもリアルな顔面の彫刻です。どこかですれ違ったかもしれない、ほんとにそのあたりで出くわしそうなアニキの顔がプラスチックになっていてどこかファニー。それもそのハズ、実はこのプラモデル、本物の自衛官さんの3Dスキャンデータを元にして作られたとのことなんです。リアリティがある……というよりも、リアルをプラモデルに落とし込んだ模型なんですね。すごい。
人間のプラモといえど、表面はほとんど衣服なわけです。迷彩は色を塗らないと現れませんが、迷彩服のしっかりとした生地感、シワのでき方が、ありありと表現されております。私はイラストとか描かないのですが、絵描きの人はこれを手に持って見回すことで、迷彩服のシワの陰影表現なんかの参考資料になるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
合わせ目がシワの山に来てたりしますので、パーツをしっかり重ね合わせたら、接着剤が滴らないように瓶の口でがっつり雫を落として、筆ペンでなぞるように、ツーっとなぞっていくとよい思います。
あれ?砲手君、箱絵よりだいぶ……っていうか、こっちも元島さん(を調整した?)顔じゃないですか!?いやでも、かっこいいから大丈夫です!しかし、どちらとも背筋にピンと芯が入っていながらも、落ち着き放ったベテランの佇まい。アクションの無い超ニュートラルな姿勢が逆に独特です。個人的見どころは、砲手氏の迷彩パンツの折り目と、生地が重みでストンと落ちたところの絶妙なシワが造形として素晴らしいと思います。それと、半身の車長は1/16のRC 10式戦車に乗せられるようですよ。こうなると、そっちもめっちゃ欲しくなりますね。
1/35や1/48のミリタリーミニチュアより、かなり巨大なので、なかなか迫力のあるキットです。そして、迷彩と肌色を塗ったら、ホントに動き出してしまうんじゃあないだろうか、明日どこかで元島さんに会うんじゃないだろうか……と思うぐらい生気を感じさせられる造形で、ハラハラさせられた面白いキットなのでした。