「軍用機・旅客機」タグアーカイブ

ほとんどの人にとっては、自分で所有したり操縦したりという経験をしたことがないのが飛行機のロマンチックなところ。実物はとても大きく、その全体像を一望したり、古い機体の細部をじっくり眺めたりする機会はなかなかありません。だからこそ、飛行機は自分で模型を作ってそのシルエットをじっくりと味わうのに最適なモチーフ。より速く、より遠くへと飛ぶために試行錯誤されてきたからこそ研ぎ澄まされたカタチで、時代によって姿が大きく変わるのも特徴的です。

花金だ!仕事帰りに買うプラモ。初めてのヘリコプタープラモの条件を全て兼ね備えている「ハセガワ 1/72 海上自衛隊 SH-60J シーホーク」。

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週はハセガワの「1/72 海上自衛隊 SH-60J シーホーク」のプラモデルをご紹介します。1987年に発売されたプラモデルで、説明書を読むとこれから海上自衛隊で運用されますよという期待感が込められたテキストも書かれています。ハセガワが発売している「UH-60A ブラックホーク」と共に、ヘリコプターのプラモを初めてつくってみようという人にオススメしたいプラモです。

 このプラモデル、グレーのパーツではなく「白」なのがポイントです。実機をイメージしている色で成型されていて、さらにその色がとっても綺麗で「純白のヘリ」を楽しめます。パーツを見ているだけでも楽しいし、組んでいる時も綺麗な白い塊になっていくのが心地よいのです。ドアは開閉を選んで組めます。

 パーツ数も多くなく少なくなくと言ったちょうど良い塩梅。大きな胴体が竹割でランナーに収まっているのが良いですね〜。箱を開けた瞬間に全体の形がイメージできます。

 そして嬉しいのがアニキたち。全員違うポーズと造形になっています。雰囲気も良いので、アニキたちがより見えるようにドアを開けた状態で作りたいな〜って思わせてくれます。

 基地玩具的な遊びを体感させてくれる内部。このパーツが綺麗に胴体に収まります。

 ピッタリ。飛行機模型をつくっている時に見えるこの断面図みたいな景色が僕は好き。反対側の胴体で蓋をしちゃうと見えなくなるけど、作った僕だけは知っている。プラモと僕の間だけの秘密な関係っす。

 ヘリコプターのプラモを作るとメインローターの大きさにびっくりするはずです。本体より大きく4方向に張り出してくるので「置き場に困るねん!」ってなりますが、この迫力があるからこそかっこいいのですよね〜〜。キットは接着しなくても固定できるので回転させらます。ブーン。

 各パーツの合わせも良いので、流し込み接着剤でピタピタ組んで行けます。この白さ、いいでしょ〜〜。パーツを貼っていく行為の気持ちよさを増幅させてくれます。プラスチックの色にはそんな力もありますよね。

 めちゃくちゃかっこいいでしょ〜〜。これがamazon価格で1000円しないんですよ。1/72のジェット戦闘機と並べるとこのヘリのボリューム感もわかりますね。綺麗なプラスチックの色、ピタピタ組み上がる組み味、満足できるボリューム感。まさに初めてのヘリコプタープラモにもってこいの条件を全て兼ね備えています。さぁ、今週はハセガワの「1/72 海上自衛隊 SH-60J シーホーク」で花金の向こう側(それは土曜日)へフライトしようぜ!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

俺たちは何をどれくらい持つのだろうか/ゴツさの意味を教えてくれるワークブーツとタミヤのP-47 サンダーボルト

 「ワークブーツのソールがなぜ分厚いか考えたことはあるか?」と突然会社の先輩に言われたことがある。何を言い出したのかと思ったら「重いものを持ってみるとわかる」と倉庫から納品された大きいダンボールを持たされた。

 グッと足に力を入れて踏ん張ると、何を言っているのかがよくわかった。安定感が段違いなのだ。スニーカーや革靴とは違う土台の安定感に、ハッとした顔をしている私を見て「な。わかるだろ?」という先輩は得意げだった。

 アメリカのワークブーツメーカー、REDWINGのアイコンといってもいい、真っ白なトラクションソールは分厚い。柔らかさやクッション性があると言われているが、物理的なソールの厚みや足の裏が触れる中底の硬さなどが生み出す安定感が重いものを持つときの足の力の入れ方に明らかに役に立っている。とにかく硬く、馴染むまで時間のかかる革底を二重にしたダブルソールという仕上げの靴があるが、これも似たような安定感がある。こういった履き心地をタフで頼れる靴と評し、愛好家が多いのも頷けるというものだ。

 アメリカの飛行機P-47 サンダーボルトは樽型の大きなボディが特徴で、パワフルなエンジンの力で飛ばしているような見た目だ。ただ、タミヤの1/48スケールのプラモデルを作ると、「どことどこが合わせ目だ?」とパーツ同士がぴったりと合うたびに細かな部分を見てしまうので、自然と飛行機の細部へ意識が向く。そうするとエンジンを中心によくまとまった美しいデザインだということがよくわかり、力を最大限に生かす飛行機だと気付かされた。

 組み立て終わるか否かのところで、大量の武器を吊り下げられることと、珍しい形のロケットランチャーに気がついた。この重武装を実現できるのはエンジンと機体の大きさだからかと、重いものを持つときのブーツと同じような意味を感じ取ることができた。プラモデルを作ることで、ブーツの履き心地を思い出し、P47 サンダーボルトは「大きな飛行機」から「頼り甲斐のある飛行機」へと私の中で変わったのだった。

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

プラモデルが魅せる見事な作戦会議!「タミヤ 1/48 傑作機シリーズ No.107 アメリカ海軍 航空隊 パイロット・モトタグセット」

 グローブをぐっと装着するこの仕草。パーツがフィットした時に現れるこの光景を見ただけで「このフィギュアはめちゃくちゃかっこいい! パーツを接着するのが楽しすぎる!!」って気分にさせてくれます。プラモデルは最高に楽しいぜって気分が爆上がりするんです。そんなテンションに導いてくれるのがこの「タミヤ 1/48 傑作機シリーズ No.107 アメリカ海軍 航空隊 パイロット・モトタグセット」。春に松本で出会ったプラモを開封です。

 このプラモデルは、第二次世界大戦のアメリカ海軍パイロットと整備兵、空母の上で活躍する車両・モトタグがセットになったもの。タミヤの「1/48 傑作機シリーズ」において初となる、飛行機そのものではない周辺機器とフィギュアをセットにした模型で異彩を放っています。組み立てるだけで、そこは航空母艦の甲板上の景色となります。

 ランナーは2枚構成。モトタグもめちゃくちゃ仕上がりが良くてオススメ。こちらはコルセアのキットにもセットになっています。

 2009年に発売したキットですが、パイロットの彫刻がキレキレ。そしてポーズもとってもかっこいいです。装備品の細かいディテールなんて今の目で見ても最高に素晴らしいです。

 表情も見事なアメリカ人。余裕ある笑みを浮かべている人もいて、ブリーフィングの空気感が伝わってきます。

 プロッティングボードと腕を一体化して組みやすさを重視したパーツ分割も見られます。腕や足などの接着は今のフィギュアキットよりはファジーさがありますが、パーツが収まるべきところにハマると、ピタッと落ち着きます。

 隣に早く飛行機を置きたい! って思いが掻き立てられるこの構成。最高です。作戦アニキたちが生み出す空気感に胸キュンっす。真ん中のアニキがなんだか怒られている感じにも見えなくないですね。もしかしたら新米パイロットなのかもしれません。そんな妄想をしながら配置するのもフィギュアプラモの楽しみです。

 「おもて〜」って感じが伝わってくる整備兵もいい味出しています。体の傾きや腕を開いてバランスをとる様子などが見事に「重さ」を表現していますね。こういう名脇役もいるセットってなかなか無いですよ。

 飛行機の脇に添えるだけで素敵な景色が爆誕するアニキたちがひと箱にまとまった「タミヤ 1/48 傑作機シリーズ No.107 アメリカ海軍 航空隊 パイロット・モトタグセット」。どのアニキたちも見事な演技を僕たちに見せてくれる最高プラモです。店頭で見つけたら迷わずゲットしてください。絶対に飛行機模型が作りたくなる魔法が込められています!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

「光らない銀」の新定番をゲットしよう!/スーパーメタリック2 スーパーマットアルミ

 GSIクレオス SM212 Mr.スーパーメタリック2 10ml スーパーマットアルミ

 高級微細金属粒子を使用し、優れた金属感を表現することができるメタリック塗料「スーパーメタリック2」シリーズ(発売元/GSIクレオス)に、遂につや消しの銀が登場です! 銀って光っている方が良くない!? って思うじゃないですか。光らない銀があるだけで、より光る銀を目立たせたり、経年変化でツヤ感が落ち着いている銀の表情を表現できたりと、色々便利なのです!

 早速エアブラシで塗ってみます! 銀の色味も軽め。この軽さとツヤの無さが魅力的! しかも塗料のキメも細かいのでざらざらした感じもありません。

 光を受けると、うっすらと反射します。その時にほんの少し現れる粒子感が、「この塗料は金属塗料なんだ」という印象を僕たちに与えてくれます。

 タミヤの名作塗料である「フラットアルミ」の対抗馬とも言えるでしょう。非常にコントロールもしやすく、塗料1に対してうすめ液を1の割合で入れた時が僕は扱いやすかったです。ちょっと濃いめに希釈してみたら、少しざらつきが出ました。

 銀の表現に幅を与えてくれる「スーパーマットアルミ」。とても使いやすい塗料なのでオススメです!

 GSIクレオス SM212 Mr.スーパーメタリック2 10ml スーパーマットアルミ

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

あの頃気になってたプラモデルを組んでみる/童友社のマリンジャンボ

 買っちった。マリンジャンボ。ANAの機体デザイン公募で「小学生の女の子の作品が採用された」ということもあって学校向けの壁新聞的なヤツでも大々的に紹介され、飛行機に乗ったことがなくとも「クラスのみんなが知ってる」くらいの知名度だったラッピング旅客機のはしり。当時どこの模型屋さんにもなんとなく一個は並んでいたのをおぼえている。


 箱を開けると当時のラインナップを紹介するカタログも同梱されていた。マリンジャンボ自体は限定商品(のハズ)なのでここには載っていないけれどデカール以外は同じである1/144 ボーイング747-400の価格が¥3800なのでちょっと高いくらいだろうと当時価格を推察する。参考までに同じ頃店頭にあった当時のガンプラのフラッグシップ、1/60 V2ガンダムは¥3000だった。「当時両方を手にした子供はいただろうか?」などと考えてしまう。

 自分は小学生当時ビニール風船を買い与えられて、プラモじゃないのかと微妙に肩透かしをくったような気分でいた。そうはいってもプラモ売り場に行けばガンプラやミニ四駆に目を奪われていたあの頃、なにかひとつ買ってあげるよと言われた時に¥3800のマリンジャンボをねだっていたかというと中々怪しい……。自分の世代にとってスケールモデルとは既にそんな距離感の存在だった。


 そんな微妙な位置の当時の花形スケールモデル(?)は中古通販で¥7000弱で買った。生産終了した30年前の限定キットとしてはプレ値というほどでもない気がする。ガンプラだったら何個買えるのに!とかそういう皮算用をする気分はさっぱりないし、組み立てるつもりで買ったのでこの先コレクションとしての価値がつくかどうかという感情もない。かといって、先述の通り「万感の思いを込めて~」というのもちょっと違う。作りたい対象に対してこの額を出す価値を見いだせるかという一点に尽きる。自分もそういう買い物をする齢になったのだ。

 ホッチキス止めじゃない密封された袋の封を切ると、工場で袋詰めされて以来の外の空気だよって伝えたくなる。どうだい?30年ぶりのシャバの空気は。


 もう流石に黄ばんでしまっているけれど巨大な機体に貼る巨大なデカール。本当に貼れるの? 名人じゃなくてもできる? 絶対窓とかズレる自信があるよ。リタッチするかどうかとかそういうのも含めて胆力を試される気がする。

 車輪がたくさんのランディングギアもちゃんと用意されている。ジャンボなだけあって車輪の数も半端ないな。しかもこいつは形式名の末尾に「ダッシュ400」が付く拡張型。ミニ四駆もびっくりのダッシュマシンなんだぜ……(?)。


 ジェット旅客機のメカ的魅力、主翼から下げられたジェットエンジン。よく見えるファンも気持ちの良い彫刻。まぁ「あの日気になったプラモを僕はまだ組んでいない」に決着を付けたいなぁみたいな気分で向かい合っているので、ハードとしての「出来栄え」自体はあまり関係ないんだけどね。見せびらかしたかったんだ、30年越しに買ったプラモをね……だって思った以上に良く出来てるし……。

 そんなわけで、なんだかちょっと気になるな……から「思い切って買う(30年越し)」は達成した。デカールの封も切った。仮組みもした。作るしかない、もう引き返せないんだ。僕もオトナになったから。あの頃気になっていたプラモを組む。同窓会で「実はあの頃好きだったんです」というような気恥ずかしさがあるよ。オトナになってもね。

HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

南国の掩体に導かれ、紫電改のプラモデルが持つコク深いディテールに慄く!

 コッテリとした、しかしちゃんと繊細さの宿るディテールにハッとした。初めて出会う飛行機模型、ハセガワの1/48紫電改だ。零戦のカッコよさはわかるし飛燕や雷電といった飛行機の持つ個性はひと目でわかるけど、正直言って紫電改は「ここが紫電改だ!」という強烈な特徴がないように思えて、いままであまり魅力を感じたことがなかった。

 1歳になったばかりの息子を連れて高知に出かけるにあたり、モデルコースを考えるのはたぶん無意味だというのはなんとなくわかっていた。車に乗ればすぐに寝るし、腹が減ったらグズるし、そこがどんな場所であろうが生理現象は止まらない。それなら息子のペースに合わせて車を停め、そこで親は食べられるものを食べたり眺められるものを眺め、息子が好き放題に歩いたり砂利と戯れたりするのをそっと見守るくらいしかない。

 いよいよ東京へのフライトに向けてなんとなく意識を空港に向けていたら、寝るもんだと思っていた子供が寝ない。フライトまでの中途半端な時間を眠気で暴れる子供と過ごすのは気が重いから、レンタカーの返却予定時刻まで空港の周りをゆっくり流す。

 高知龍馬空港の北側を走る国道沿いは走り飽きてきたから、滑走路の東端をぐるりと回り込んで南側の田園地帯を走る。いまにも寝そうな子供をルームミラー越しにチラと眺め、外にかまぼこ型のコンクリート塊がポツポツと建っていることに気がつく。掩体だ。田んぼのあちこちに、戦時中に作られ飛行機を格納しておいた掩体が残っている。

 子供は滑走路東端をもう一度回り込む前に寝息を立てはじめ、親は田んぼのまんなかに建つファミリーマートの駐車場で昼食休憩。サンドイッチを右手で頬張りながら、左手のスマホでササッと調べると、高知海軍航空隊のあった土地に41基作られた掩体のうち、現存する7基が市の史跡に指定されているらしい。息子が寝るか寝ないかで走行ルートが不随意に変更され、偶然こんな戦争遺産に導かれる……というのはコスパ/タイパ重視の旅行の対極にあると感じた。

 水田のなかに不規則に点在する掩体を間近で眺める拠点のように建つのが前浜防災コミュニティーセンターだ。高知の海沿いを走ると大量の津波避難タワーが立ち並んでいるが、近所の防災設備や備品を格納すると同時に駐車場としての役割も果たしている。

 浅い眠りから覚めた子供を抱きかかえて屋上から眺めれば、静かな水田にコンクリの肌を晒す掩体もあれば、いまにも草木に呑まれて自然と一体化しそうな掩体もあることに気づく。それぞれに番号が振られていて、向きや大きさもまちまち。高知海軍航空隊は白菊という練習機を使ってパイロットを養成していた(そしてほどなくパイロットも機体も特攻を命ぜられた)はずだが、解説板を読んでいると、「6号掩体には紫電改が格納されているのを見たと語る住人もいる」と書いてある。

 紫電改の姿を魅力的だと思ったことはなかった。でも、いま紫電改とはどんな飛行機だったのかを知りたくなった。自分の知っていることをコンパスの軸にしても、決まった半径の円しか描けない。子供ができて、旅行に行って、まったく制御できない偶発的なナビゲーションが私を掩体に導き、そして新しい知識の軸足をもって新しいプラモデルに手を伸ばすきっかけをくれた。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

そこに置けばどこでも亜熱帯/「ICMのイギリス空軍熱帯仕様パイロット」を組む!

 ICMといえば戦車も飛行機も、なんならカーモデルも(クラシックスタイルが多いけど)艦船もと「スケールモデルならなんでもやるよ!」というメーカーなのですが、嬉しいのはフィギュアを絡める展開をしてくれているところ。自社の製品に並べて楽しめるよ! というフィギュアセットを多く発売しているメーカーなのです。

 100%とまでは言わないけど、かなりの率でこの「フィギュアと車輛や飛行機を並べられる」という展開をしてくれている気がします。今回紹介する「1/48英国空軍パイロット(熱帯仕様1941-1945年)」も、自社の英軍機に合わせた展開ですし、1/32や1/48の航空機に合わせたフィギュアのインジェクションキットはとても貴重なので新作発表されるたびにワクワクするんですよねー。

 箱を開けてみると一枚のランナーに納められた5体分のパーツが。1/48だからランナーも小ぶり。ICMはスケールが違えどディテール再現のためには1/48でも1/35クラスの分割をしてくれるのは嬉しい限り。

 腕が別パーツなのはポーズ替えの改造には楽でよいし、足も左右分割されてるから靴のモールドやズボンの細かいシワもしっかり表現されてて原型のディテールを再現しようとするメーカーさんの努力をヒシヒシと感じます。

 特にこの右手の飛行帽なんかはステキ。スケール的に一体成型されてるから強度がある。別パーツにするのは可能だったと思うけど、そうすると接着面積が小さくて強度不足になるからこういうカタチにしたんじゃないかなーとか考えて楽しめます。

 パッケージの通り、パイロット×3と整備兵×2というセット。組み立てはちょっと小さいものの、ゲートをちょいちょいと処理したらぴたぴたっと組めます。ワンセットあれば飛行機プラモを用意さえすればジオラマが作れそうです。

 本当はICMの英軍機プラモと合わせて写真撮りたかったけど、手持ちは未組み立てのものばかりなので残念。でもこうしてハセガワのハリケーンの前に立たせるだけで、ブリーフィング中な情景があっという間に生み出せます。見上げてる姿だから味方の機体が帰還してくるのを見守ってる感じにも見えるね! ちょいと地面を作って合わせたくなるフィギュアセット、オススメです。

内藤あんも

1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。

「今すぐ真似したい!」しか詰まっていない最高の飛行機模型塗装指南書。1/48 アメリカ海軍ジェット機の塗装テクニック

 先日、東京・青山の「ラパン・エ・アロ」で開催されたスケビフェス2024で先行販売された「1/48 アメリカ海軍ジェット機の塗装テクニック」(MOKEO/著)が、めちゃくちゃ最高でした! 今すぐ真似したい! しか詰まっていません!!

 飛行機模型雑誌「スケールアヴィエーション」にて、多数の作例を手掛けているMOKEO氏によるHow to本。アメリカ海軍のジェット機仕上げの二本柱である「ロービジ」と「ハイビジ」をテーマに、それぞれの塗装方法を、今購入しやすい定番マテリアルのみで仕上げていきます。ページを捲るたびに、「模型店でよく見るマテリアルだけで、こんなにすごいのができちゃうのか!!」って気分がぶち上がります。そうさせてくれるレイアウトの素晴らしさが本書にはあり、読んでいてスイスイと頭に入ってくるのです。

 模型仕上げのジャンル的には「ハイビジ」というのが光沢あるガルグレー/ホワイト迷彩機、「ロービジ」はモノトーンで地味なタクティカル・ペイント・スキームを指します。近年ではモノトーンに派手な汚しを加えるロービジ仕上げが人気にも思えますが、本書のハイビジファントムを見て俺も、「これは真似して〜〜!」って気分がぶち上がったんです。

 その理由が「ハイビジの中に潜む汚れ」を模型で超カッコ良く表現されていたから。光沢仕上げの各所にある汚れが、グレーの機体に色味を追加しながら、さらにツヤ感にも変化を与えていてとってもセクシーなファントムになっていたのです。個人的にもツヤ感がパーツごとに差異がある模型が大好きで、ハイビジ塗装の新たな表現を見せてもらえて感動しました。

 How to写真がめちゃくちゃ綺麗で、模型を作っていく過程の魅せ方も学べます。僕はHow to本の途中写真が大好きで、撮り方やアングル、下に敷いているものを、学生の頃から暗記するように見ていました。本書の途中写真はライティングが柔らかくて、読んでいる人に安心感を与えてくれます。そして写真も大きく掲載されレイアウトもすごく清潔感があります。だからこそHow toのポイントもスイスイ入ってくるのです。

 そして最後には著者MOKEOさんの模型ライフスタイルが掲載されています。この製作環境もめちゃくちゃ参考になります。プラモデルを「立って」作るスタイルには驚かされました。健康にも良さそうだし、最近腰が痛い僕にとっては超参考になりました。

 1枚1枚の写真、日本語&英語キャプション、そして最高にかっこいい完成カット。飛行機模型を作る楽しさ、魅せる楽しさが超凝縮されています。発売は2024年4月17日。ぜひゲットして、あなたの塗装の参考に読みまくって手を動かしてください。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

バキバキ濃い味、組み立てに没頭する直球の飛行機プラモデル/プラッツ F-15J

 ぐわ~、これ! これが見たくてこのプラモを選んだんです!!
 これはプラッツの1:72 F-15J、その『お腹』にあたるパーツ。わたしF-15は初めてなんですけど、この飛行機のお腹ってこんなに複雑だったんですね。起伏に富むのに、意外と平たい場所が多くて……そこにバキン! ゴキン!っと豪快なほどに濃い彫刻が入っています。しかもパーツの両サイドは腕を突き出したように飛び出ていて、その脇腹は空白ですけど……何がどう組み合わさるんでしょう?

 さて、F-15といえばファインモールドによる新製品が登場したばかり。模型誌でも盛んに取り上げられ、ここ半年間でプラモがもっとも組まれまくっている飛行機なんじゃないでしょうか。そんなF-15のプラモがタイムラインにたくさん流れてきて、わたしもとうとう作りたくなってきたというわけです。

 ──ですが、これはその新製品ではなく、2015年発売のプラッツ製のもの。選んだ理由は先ほどの通りで、バキッと深い彫刻が入りまくっているらしいから。わたし、ちょっと大げさなくらい陰影が出るプラモが好きなんです……。多くの選択肢から好きなテイストのキットを選んで作れるのは、王道メジャー機の大きな魅力ですね。

 で、この組み立てがものすごい没入感。カチッと彫りの深いパーツたちは立体的に噛み合い続け、胴体中央部をコアとして各セクションがバシバシ合体していき、だんだんとF-15の形になっていくのです。組み立てているうち「あ~、なるほどね」とか「ほう、ここがこう……」なんて独り言がつい出ちゃうタイプ。ちょっとパズルっぽい感じがあるのかもしれません。こういうときわたしは、塗装のことは一旦おいといて一気に組み上げちゃいます。いまはこのパズルに集中するのが楽しいんですからね。

 そんなこんなで組み上がりました! 彫りの深いパネルラインが模型の表情を引き締めてくれるおかげで、F-15の広い背中も間延びせず、組み立て中こちらは終始ニコニコでしたよ。

 細かなパーツの数こそ多いものの、その多くはガイド穴が明確なので心配無用。どんどん嵌まっていくので、確かな充実感のもとに組み立てが進みます。

 あとはまとめて塗るだけ。筆でザザーッと塗って完成です!

 このキットの特徴たる濃い味の彫刻は、もりもり筆塗りした後でもエッジ健在。そこにスミ入れ塗料を流せば、気持ちいいほどぐいぐい食い込んでいって、粗めの塗装でもなかなかバキッとした雰囲気になりました。そう、これがやりたかったんです……!

 彫りが深くてハッキリしたプラッツ版のF-15J。情報量豊かでありながら過剰な繊細さもなく、どんどんアクセルを踏めるF-15なのでした。ガツンと作ってワハハと飾りたいときの力強い選択肢ですね。こんな濃い味のプラモがどんどん増えますように!

出口ぶな

1993年生まれ。プラモは2日間で完成させたい派。

花金だ!仕事帰りに買うプラモ。1000円でベロベロに酔える「ハセガワ 1/72 F-8E クルーセイダー」があなたの週末を輝かせます。

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。ハセガワのジェット戦闘機プラモの「細長い箱」の中には、いつだって最高の週末が詰まっています。「1/72 アメリカ海軍・海兵隊 艦上戦闘機 F-8E クルーセイダー」もそんなプラモデルです。

 模型店の飛行機コーナーにたくさん積まれているハセガワの定番たち。その中でも箱に「C」と書いた帯が印刷されている「Cシリーズ」は、ちょっと昔のプラモデルがラインナップされています。低価格で、キット内容もシンプルな物が多く、飛行機模型をサクッと組んでみるのにはとても良いシリーズです。

 Cシリーズのクルーセイダーの箱を開けると目に飛び込んでくるのが長い棒と大きな翼! この二つの要素が合体して飛行機になるんだね! ってのが大人から子供まで分かるプラモです。脳に優しいのです。

 パネルラインの彫刻は凸。これが超かっこいい。光が当たると、各ディテールが浮き上がって、まるで全身シックスパック(??)状態。ムキムキボディのクルーセイダーなのです。

 そして主翼はたった2枚! 上下貼り合わせるだけで完成しますよ。どんどん形になっていくのです。

 いいね! って思えるのが脚庫とか脚庫カバーの内側。ここのそれらしいディテールがナイスで、開けた状態にしてもいい感じの密度感が約束されています。

 クルーセイダーといえば背中の洗濯板!! クルーセイダーには、離着艦の際の機首上げ角を抑えるため、油圧で主翼を上下に動かすことで迎角を変える唯一のシステムが搭載されています。先ほどのでっかい主翼が上方向に開くのです!! もはや戦後では無い!! そんなテンションで開けた状態でもディテールがあるので安心です。僕は閉めました。

 きますよきますよ……ステルスガオーみたいな形の翼が! 君の背中にファイナルフュージョン……

承認!!! 今週末のあなたの机は飛行甲板確定です。

 武装もシンプルなパーツ構成なので、あっという間に完成します。胴体の脇にミサイルを搭載するってのもかっこいいのです。胴体にデカールを貼る時は、デカールを貼ってから、武装を接着しましょう。

 ディテールは少なめですが、メインノズルの雰囲気はとってもセクシーなのです。

 アメリカ海軍で最初の本格的な実用超音速戦闘機として活躍した「F-8E クルーセイダー」。今の飛行機とはちょっと変わったシルエット&デザインを、1000円で楽しめる本キットは、まさに花金プラモの王道です。金曜日の夜には完成して、土曜日に塗装にチャレンジ! なんてこともすぐできます。こういう定番と過ごす週末はとても気持ち良いですよ。それでは!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

白いプラスチックがあなたをアクロバット飛行に誘う/ファインモールドのF-4E サンダーバーズ。

 泣く子も黙るアメリカ合衆国空軍のアクロバットチーム、サンダーバーズのマーキングでF-4ファントムIIのプラモデルが発売されました。ファインモールドの1/72ファントムIIは世界で一番繊細なディテールが楽しめるうえに塗り分けもだいぶ楽ちんというスゴいアイテムですが、このサンダーバーズ仕様には飛行機プラモ塗るのってなんか大変そう〜と思っているアナタにもオススメしたい特徴があります。

 プラスチックが白いんですね〜。グフのプラモデルが青いように、シャア専用ザクのプラモデルが赤いように、サンダーバーズのプラモデルは白いプラスチックであると嬉しい。なぜなら組んでデカールを貼ればだいたい本物そっくりになるからです。もちろん「タイヤをゴムっぽい色にしたい」とか「エンジンノズルは焼けた金属の色にしたい」となればそこだけ塗装するのがGOOD。それよりなにより、白をきれいに塗るのって難しいですからね。上からさらに白を塗装したいアナタにとっても、「最初から白いプラスチックだと沈んだ色にならない」というのは大きなアドバンテージです。

 1番機から8番機までを網羅したデカールが入っていますから、最大8個買う口実が存在します。サンダーバーズはタンクとかミサイルとか作らなくていいから、本体さえ出来ちまえば「完成!」と叫べるのが最高。背中から見るとほどんど白でわりと地味なんですが、アクロバットチームは下から飛行姿勢を仰ぎ見るものですから腹がド派手。下面に穴を開けてディスプレイスタンドを使った展示にしても良いでしょう。

 タミヤが設計して金型を彫ったパイロットフィギュアも2名付属。めっちゃリアルな彫刻でコクピットのなかを盛り上げてくれます。コクピットといえば窓枠を塗り分けると飛行機模型はいきなりリアルになるもんですが、こちらはカット済みのマスキングシートも手に入れれば難なくクリアできます。仲間と一緒に担当する機番を決めて持ち寄ってもヨシ、自分でずらずら揃えてもヨシ。限定品ですので、買い逃しのないよう気をつけてくださいね。そんじゃまた!

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

 

ハセガワから待望の再販!!最後にして最強のレシプロ攻撃機、1/72 アメリカ A-1H スカイレイダー

 「A-1スカイレイダー」は、朝鮮戦争やベトナム戦争で大型爆撃機に迫る積載量と、レシプロ機ならではの低速かつ頑丈な機体で対地攻撃に活躍した機体。形状としては所謂ゼロ戦などのレシプロ戦闘機と同じ「プロペラの付いた士の字」。設計時は第二次大戦末期なので、ジェット機が幅を利かせていたベトナム戦争まで飛び続けたのはシンプルなその機体構造からこそだったとか。

 そんなスカイレイダーのプラモデルですが、今回ハセガワから再販された「A-1Hスカイレイダー w/ロケットポッド」のキットを作ってみようかなと思います。再販とはいえパッケージやデカールは新規!初版は1996年なので28年前のキット! 米軍で運用されていたのは27年間なのでそれを越えたベテランキットとも言えます。定期的に再販されてるんですが、いつか買おうと思ってずっと買ってなかったのだ。

 綺麗な凹モールドとメリハリある立体的な彫刻が模型的にかっこいいぞ。実機は機体側面の大きなエアブレーキや、艦載機らしい翼を折りたたむ機構など特徴ある構造もありますが、キットは敢えて一体で作る事でパーツを抑えて作りやすいキットとなっております。

 そう、エンジン一発で単座なのにこのサイズ。デカいんです。1/48レシプロ戦闘機ぐらいある。ただデカいといっても、第二次大戦中の艦上攻撃機などに比べると小型軽量だったってのも面白い。無理して魚雷や爆弾を機体内に納めなかったっていうのも勝利のカギだったようです。

 前よりのコクピットと、ズドンと太いままの尾翼までのラインが個性的。組み立てはオーソドックスなヒコーキプラモなので、士の字(胴体と翼ができて、ほぼ飛行機の形になった状態。漢字の「士」に似ていることからそう呼ばれています)にするのには1時間もかかんないです。むしろ15か所に及ぶ翼下面のパイロン(ウェポンラック)が最大の山場とも言えそうなキット。

 仰ぎ見る事が出来るのが模型の特権。今回はその製品名通りロケットポッド×4と通常爆弾×2、増槽(燃料タンク)×1という装備ですが、そこは攻撃機ですので実機は色んな武装を積み替え載せ替え爆装する事も可能。塗装指示としてはグレーツートンのシンプルな配色ですが、機体によっては三色迷彩されていたのもありましたし、ベトナム戦争時らしいハデなデカールも色々選ぶ事が出来ます。塗装や武装で作り分けて並べて楽しみたい機体ですね! ぜひ再販されたこの機会にゲットしてください!

内藤あんも

1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。

ジブリパークには大空模型がある!/風の谷のガンシップ

 ジブリパークの商店街エリアには模型店『大空模型』がある。ジブリ作品のプラモデル以外にも国内外のスケールモデルが陳列されており「宮崎駿とは?」を見つめる展示室のひとつ として監修されている。ただ、ジブリパークをテーマパークとして往訪する多くは各ショップでオリジナル商品を手にするが、ここでプラモを買っていくのは少数派。「それは組み立てないといけないものだから」と子供を諭す親御さんを見かけたりもする。だが、大空模型はここにある。ジブリを構築する要素には模型が、プラモデルが必須なのだという気概には敬意しかない。

 今回、息子が大空模型で選んできたのはガンシップ。『風の谷のナウシカ』映画公開40周年というタイミングでのこのチョイス。やだ、ウチの子ナイスセンス。パーツ構成はヒコーキ模型のそれであるが、ひとつのランナーにクリアパーツも配置されているのがまさにバンダイスピリッツ。このドーム状の側面キャノピーは王蟲の眼の皮が用いられている設定なので、映画序盤の腐海でのナウシカの様子がよぎる。ナウシカの意匠がつまった一枚になっていることからこのパーツ配置にはきっと意図があるはずだ。

 「姫様ー!」なサムズアップミト! 小さいながらしっかりミト爺で良いー。説明書にはキャラクター以外にもガンシップの設定画がビッチリ。ボックスアートもナウシカがバーンとあったりとビジュアル面だけでも目が嬉しいキットです。

 胴体の分割とコックピットのあり様はヒコーキ模型そのもの。違いは接着剤不要のスナップキットであること。それはバンダイスピリッツのアイデンティティであり、誰でも組み立てに挑戦できるカジュアルさの根幹ともなっている。ただ、ハメ合わせる際に胴体内のパーツがズレたり落ちたりして息子が「ムキー!」となっていたので接着剤で仮止めしてあげました。状況次第でスナップキットにも接着剤を用いるのは最善手かと。

 組みきると息子が「説明書みたいに塗りたい!」と言うので、どうしたものかと考えましたが「水性プレミアムトップコートUVカットスムースクリアーつや消し」と「タミヤ スミ入れ塗料(ダークブラウン)」を用意して息子にやらせてみました。私がフォローしながらですが、つや消し吹いてダークブラウンをバシャ塗りして拭き取り、簡単フィニッシュで息子は大満足。加えて私がナウシカとミト爺を水性ホビーカラーでサッと筆塗り、エンジョイ親子モデリングとなりました。

 ジブリパークにおいてプラモデルを買えるということは多くの人の求めるものではないかもしれない。それでも、大空模型がプラモデルとの出会いの場となっているのだと私は信じています。挑戦するきっかけとしてはバツグンの背景がここにはあるから!

ダテツヨシ

「つくる」をテーマに、世間話をしています。

大真面目に宇宙戦争をやるつもり!?/中国から飛来したSF戦闘機のプラモデル

 おお、いかにもSF戦闘機。ゲームかアニメかプラモオリジナル企画か、まあ中国の模型シーンではこういう製品がわりかし多いよね……と片付けてしまうところだった。この戦闘機は2021年、第13回珠海航空ショーにて中国航空工業集団が発表した「南天門計画」というプレゼンテーションにて登場した「玄女III型(愛称はKALAVINKA)」だ。無人宇宙戦闘機であり、ハチャメチャ強力な粒子線を射出して目標を破壊することになっている。

 「中国はマジでこんなもんを実現しようとしているのか!?」と思わずビビるが、これはあくまでSF的な世界観でビジュアルと文芸を展開し、広く国防に興味を持ってもらおうというエンターテイメントコンテンツだ。HOBBY MIOブランドで発売されたプラモデルはきわめてキャラクターモデル然とした内容で、色分け済みのプラスチックパーツを接着剤無しでビシバシと嵌め込んでいけば完成する仕様。スケールは1/100だが、わりと大柄な機体なので全長25cm程度とそこそこボリュームがある。

 SFコンテンツにそれなりの実在感をもたせるならもう少しパネルラインがシャープであってほしいし、素材のほとんどがABSなのでハメ合わせは食玩ライクなもったりとした印象。完成見本の写真は塗り分けのセンスも良く、バリエーションである「隊長機バージョン」「迷彩バージョン」も非常にイカす見た目をしているので、いわゆるフツウの飛行機模型として接着剤を使ったりシャープエッジが楽しめたりする設計としても良かったんじゃないかな〜と思いながらの組み立てとなった。

 初回限定版と銘打って赤い外装部がクリアー素材になったランナーも同梱されているが、透過率が著しく低く表面もツヤ消しなのでゴージャスさに欠ける。とはいえ、中国からやってきた大資本の考えるオリジナルの宇宙戦闘機のプラモデルが日本の模型店でヒョイヒョイ買える時代になる……なんてのは10年前だとほとんど想像もできないことだった。現在の中国におけるプラモデル技術と文化の熟成具合とか、彼らの考える未来(なんせ彼の国はいまSF小説の世界的中心地として注目を集めている)を想像するのにはもってこいの製品である。

 濃淡2色の赤や差し色となるオレンジ、グレーなどはシールで再現でき、コーションマーク(細かい注意書き)も一緒に印刷されているので、組んで貼るだけでだいぶ精密な雰囲気の完成品が手に入る。自分で緻密に塗装したい人に向けて水転写デカールもセットされているが、凛々しく仕上げたければ、ABS製プラモデル特有の「なーんかいくら力を入れてもパーツ同士のスキマがちょいちょい見えるんだよなぁ」というのをどうにかすべく、全体のダボやピンをカットして接着し、あるべきところにパーツを収めてから塗装するだろう……というのが私の本音だ。

 前進翼でありながら複葉を思わせるアグレッシブな配置は見る角度によってかなり表情を変えるため、手に取ってグルグルと眺め回すのが楽しい。着陸脚もないし、異常にパーツが細分化された機体下面のビームライフル的武装(いかにも日本のロボットアニメを見て育った人が描きそうなデザイン……)を介してのみディスプレイ可能なスタンドが付属するなど、「スケールモデル的な実在感には少々欠けるがキャラクターモデルとしての完成度はそれなりに高いし、何よりモチーフの出自が面白すぎる」というその一点で財布の防衛ラインを突破するタイプのプラモデル。「将来にわたっていつでも買える」という性格の商品ではないだろうから、いまこの瞬間にビビッと来たならば、ぜひとも手に入れておきたい一品だ。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

水性ホビーカラーの匠・清水圭の筆塗りテクニックでタミヤのコルセアを塗り倒す!

 動画の向こうの人たちと一緒になって手を動かすのって何か新しいし楽しい。インターネット・SNS全盛の今であっても基本、プラモという趣向は独りで向き合うストイックなもの。でもこの1時間ほどの配信動画の向こうでは講師のメソッドを前に「えー!それぐらいで良いんですね!」「すげー!カッコいいー!」と皆で楽しく盛り上がってる。オンタイムでなくとも、このキャッキャウフフに私も混ざりたくなった今回です。いざ、筆塗りトライブ!

 各マテリアルは配信に準じるとして、キットを何にするか? 小ぶりなキットなら初の試みでもヤリきれる気がする。そこで選んだのはタミヤ1/72『F4U-1D コルセア』です。流し込み接着剤(速乾)を用いれば1時間半ほどで組み上がり、色塗りする余力は充分。メカサフで下地塗装した後、清水圭氏の筆先を見ていると「え?そんなに塗り残すの!?」と驚きつつベース色とハイライトを塗りきりました。あと、うすめ液で塗料を希釈しながら塗り進める加減を知れるのは動画でこそ。

 エナメルカラーでスポンジチッピング。動画内で皆が絶賛していましたが、これで抜群なヤレ感が生まれます。タミヤのエナメルカラーのダークグレイ、すぐ買ったほうが良い。続いてプレミアムトップコート半光沢でツヤの整えとチッピング(及び水転写デカール)の保護。ここで一気に筆塗りしました感が無くなります。「筆ムラの正体はツヤのムラ。ならばトップコートでツヤを整えよ」とはまさに筆塗りトライブ道。

 みるみる最後の工程です。タミヤ スミ入れ塗料 ダークブラウンでウォッシング。バシャバシャ塗って綿棒で拭き取っていくと筆塗りによるグラデーションがなじむなじむ。ハイライトがグッと落ち着くのと、スミ入れされて彫刻もパリッとするので「うぁ…… マジでリアル……!」と声が出ました。オレ天才!とメチャ元気がでる瞬間です。

 完成! かっこいい! 水性ホビーカラーの匠・清水圭氏の筆塗りテクニック、マジ凄い! 今回、このメソッドを試してみて印象的だったのは「思っていたより早く塗りきれる」という点。筆さばきもそんなに繊細さを求められず、凄く頑張って成し遂げた!みたいなのがない。各工程の積み重ねが最後に花開くというドラマチックな時間を過ごせました。

 汎用メソッドとツール&マテリアルが情報公開されている事は、集合知というインターネットの善性でしかないですね。まさに遠心力。またまたプラモが楽しくなってしまったー。

ダテツヨシ

「つくる」をテーマに、世間話をしています。

花金だ!仕事帰りに買うプラモ。週末にペロリと食べられるジェット戦闘機プラモはこちらです。「ハセガワ グラマン F9F-2 パンサー」

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週はハセガワの定番飛行機の中から、ペロリと食べられてしかもかっこいいジェット戦闘機「アメリカ海軍 グラマン F9F-2 パンサー」をご紹介します。

 上のリンク記事は、かつてミハイルさんが寄稿してくれた物。この記事にめちゃくちゃかっこいい完成した姿が掲載されているので、ぜひ合わせて読んでください。

 ハセガワの飛行機模型の箱には「A」とか「B」とか「C」とかプリントされています。帯のようにプリントされているので、模型の世界では「A帯」「B帯」と呼ばれたりしています。この中でも「A」と「B」は低価格帯の定番商品がラインナップされているシリーズになります。ちょっと古いけどお安い値段で、飛行機をサクッと楽しめるプラモがラインナップされているのです。

 でっかいデカールに本体ランナー2枚+クリアーパーツ1枚というシンプル構成。金曜日の仕事終わりに購入して、家に帰って箱を開けた瞬間「これはすぐ作れそう」と思わせてくれます。箱のイラストも、今のジェット戦闘機にはない特撮メカ風味なデザインのかっこよさを存分に味わえて、自ずとテンションを上げてくれます。

 細かいパーツも少なくて、それを象徴するのがこの機首と機関砲が一緒に成型されているパーツ。パンサーの大トロです。4本もの機関砲を1本ずつ接着するのはちょっとめんどいし、まっすぐ貼れないと見映えも良くなりません。でも最初から成型されているから、ビシッと決まってますね。こういうパーツに巡り会えるのもプラモの楽しさです。

 しっかりとパイロットフィギュアも付属します。アニキを乗せるだけで、キットのシンプルなコクピットの中はほぼ見えなくなり、しかも人がいることでかっこよさも増します。造形は今の目で見ると「侘び寂びですね〜」とニコニコしながら眺める物ですが、コクピットに乗った瞬間大きなパワーを発揮してくれるので、ぜひ乗せてみてください。ハセガワさんの古い飛行機模型に入っているパイロットフィギュアの存在って、飛行機プラモにとってすごく大事だよな〜と思っています。

 お腹にあるエアブレーキも成型で開口できる部分は孔が開いています。閉じている部分をお手持ちのドリルで開けてあげると、「工作してるな〜」って気分にもなれますよ。そんなワクワクポイントです。

 そしてこのきれいなボディ! 凹モールドも美しいので、完成後はとっても精悍な仕上がりになります。組み立ての際は、このボディの機首側に3gの錘を入れることになります。錘についても以下にリンク記事を貼っておくのでぜひ読んで一緒に買ってね!

 アメリカ海軍のジェット戦闘機として朝鮮戦争に参戦し、アメリカ海軍機として初めてジェット戦闘機を撃墜したという記録も持っているF9F-2 パンサー。第二次世界大戦が終わって、ジェット戦闘機の時代へと突入していく……その入り口を味わえるプラモとしてもとっても貴重です。ぜひこの週末楽しんでください。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

デカールの切れ端でタスクフォース結成/写真を見ながら作る「あの日見たシーフューリー」の姿。

 イングランドの航空博物館。その格納庫の片隅に佇んでいた一機に、わたしの目は釘付けになりました。それはホーカー・シーフューリー、機体のシリアル番号SR661。なにより特徴的なのはその塗装で、試作機の姿をまとっていたのでした。写真やプラモでおなじみの量産機カラーとは違い、どちらかといえばもっさりした暗色の迷彩塗装が、わたしの網膜に鮮烈に焼き付いたのです。

 そんなわけで、せっかくプラモを組むならご縁を感じる『あの一機』こそ作りたくなるというもの。とはいえ、お目当ての一機が都合よくキットに収録されているなんてことはそう多くないでしょう。棚から取り出したエアフィックスの1:48 ホーカー・シーフューリーにも、あの個体の機体シリアルどころか、そもそも試作機のマーキングなんて当然収録されていませんでした。ぐぬぬ。

 そんな場面で緊急招集されるのが、デカールの切れ端たち。作り終えたプラモの「使わなかったデカール」の切れ端は、誰もが無意識にストックし、その積み重ねがプラモ遍歴の地層のように蓄積されるもの。このアーカイブから使えそうなものを選抜しながら「……おっ、この組み合わせ、いけるか?」と考える時間は特別なものです。

▲ 英国の模型店ハナンツによる「エクストラデカール」の製品。国内の一部模型店でも入手可能です。

 そして、その作戦を強力にアシストするアイテムがこれ。英国機の機体シリアル番号用の英数字を大量収録したデカールシートです。これがあれば理論上どの個体でも作れるぞ、と強気になれる効能があるので、わが家では常備薬としてストックしています。さらには、試作機を示す黄色い(P)マークも専用のデカール製品が存在していてニッコリ。Pの書体やサイズ違いが数多く収録されていて、「なんでもこい!」という気持ちをさらに強くしてくれます。

 さて、塗装の段階からは、キットの説明書に描かれていないオフロードへ突入します。説明書は閉じて、機体シリアル番号の画像検索結果を次々スクロールしながら塗り進めていきましょう。もちろん、博物館で撮った写真も参考に。キットの塗装指示を気にしなくてOKになると、いきなり大胆に進められるから不思議なものです。

 各方面のシートから集結した選りすぐりのデカールたちを貼り付ければ、博物館で会ったシーフューリーが完成。本当は細かく改造が必要な差異もあるのでしょうが、塗装とデカールのおかげでどこから見ても『あの個体』に仕上がったのでうれしい気分。候補から選ぶよりも、自分でピックアップした一機というのがいっそう誇らしい気分にさせるのかもしれませんね。画像検索しながら色を塗ったり、せっせと英数字を組み合わせたりしていると愛着もわいてきますし。

 がっつり改造や手書きまではできなくとも、デカールの切れ端を組み合わせていろいろ試せそう。こうして、余りデカール地層の掘り起こし作業はさらに進むのでした……。

出口ぶな

1993年生まれ。プラモは2日間で完成させたい派。

世界一有名なステルス機のプラモデルを水性塗料の筆塗りで三色迷彩に仕立てる話。

 色違いってロマンです。エース専用色のモビルスーツやアグレッサー部隊だけが纏うド派手な識別塗装はみんな大好きなモチーフですし、尊敬するギタリストのシグネイチャーモデル、セレクトショップが別注したクレイジーパターンのスニーカー、はたまた季節限定色のコスメ……。色違いはいつだって人を惹きつける不思議な魅力があります。

 僕の好きなステルス戦闘機、F-117Aナイトホークにもどうやら特別な迷彩塗装があるらしいぞということをフォロワーさんが教えてくれた英文記事で知ったので、今回は水性塗料の筆塗りでチャレンジします。

 ナイトホークは世界初の実用的なステルス戦闘機(空戦はできないのだからステルス攻撃機と呼ぶのが正しいのだ云々、といった話は置いておきます)ということで、ヒコーキモケイとしては昔から人気のモチーフ。今回は僕が物心がついた頃からプラモコーナーに置いてあった、1/72のハセガワ製キットをチョイス。

 開封から素組み完了までだいたい30-40分、つや消しトップコートを吹いて放置すること更に30-40分。実機も夜間での迷彩効果を狙った真っ黒の塗装ですから、その日の気分によってはこれで完成と言ってもよいのです。黒いステルス機は最高。

 しかし今回は最初から筆塗り塗装をするつもりで組んでいるので、このつや消しトップコートはただの通過点!全ては後工程のための布石なのです。

 どうですか一度塗りでこの発色。最近の水性塗料はとても性能が上がっているので直にプラスチックに塗ってもなんとかなってしまうのですが、やっぱり表面のテクスチャーが多少ザラザラしている方が食いつきが良くてストレスが少ないです。コツコツやすりがけして塗装の下準備をする方法もあるのですが、ズボラな僕はつや消しスプレーに頼ってしまうことが多いです。

 今回モチーフに採用した三色迷彩は資料写真が2〜3枚しか見つからないのですが、割と淡い色味だったようで前述の記事では”Pastel scheme”という表現がされています。そこから想像を膨らませてかわいい感じの3色を選びました。色と色の境界はボヤっとしている方がそれらしいかなと考えて、あえてボサボサめの筆を使って大雑把に塗っています。

 ネバダ砂漠をイメージして(エリア51で試験していたので)薄ーくウェザリングカラーをフィルターをかけたら、おもむろに台座に固定してフィニッシュ!実は機体裏面なんて全く塗っていないのですが言わなきゃ分からないのでこれでよいのです。はー楽しかった。それではまた。

Linda

nippperに食らって10年ぶりに模型を再開した26歳。キャラクターモデルもスケールモデルも美味しく頂きます。たまにDJもやってます。

プラモの中にはあなただけの「手を動かしてみたくなるパーツの誘惑」が入っている話。

 プラモデルのパーツには「ここはもっとカッコ良くしてみたいぞ!!」って誘惑に駆られるパーツが必ずといって良いほどあります。「俺だったらこうしてみる」という心の声は、プラモを思いっきり楽しんでいる証です。こうしなきゃいけないという不思議な概念に縛られていたら絶対に聞こえない声ってもんだぜ!! やっていくぞ!!

 エアフィックスの1/72スケールで発売されている「メッサーシュミット Me262」シリーズはとっても作りやすくて傑作です。2017年に完全新規キットして発売され、以降バリエーション展開が続いています。その中でも超かっこいいバリエーションが複座&夜間戦闘機仕様に改修されている「Me 262B-1a/U1」です。このキット、見つけたらぜひゲットしてください(僕は昨年の秋のホビーショーのビーバーコーポレーションブースでゲットしました)。第二次世界大戦末期においてドイツ軍が世界で初めて実戦配備したジェット戦闘機であり、シルエットに迫力が出る複座であり、さらに機首にアンテナまでついちゃってます。全部盛りなんです。そしてそのアンテナ、鹿の角を意味する「ヒルシュゲヴァイ」という名がついたアンテナのパーツが、俺のやる気スイッチを押してきました。

 箱に描かれたアンテナのイラストがまぁ〜細い。そしてかっこいいのよ。ここだけでもいじってみればさらに俺のMe262はカッコ良くなるに違いないと思い、真鍮線を取り出しました。プラスチックの成型では難しい細さも、金属線なら大丈夫。アンテナのパーツを活かしながら、ディテールアップしてみることにしました。

 まずは真鍮線に置き換えるアンテナのおおよその長さを測ります。こういう時に製図用のスプリングコンパスがあると超便利。コンパスの幅をアンテナの幅に広げるだけで、長さがわかります。大体でも完成したらわからないので、細かな差は気にしないでいきましょう。そのマインドも成功する近道だったりしますしね。

 コンパスを開いた幅で真鍮線をカット。これでだけでアンテナパーツが完成なのです。0.3mmの真鍮線のような細い線なら、デザインナイフで押し切れますよ。

 前のアンテナ分として、真鍮線4本を切り出しました。大体同じくらいの長さになってますね。

 次に真鍮線を取り付けるために、使用しないプラのアンテナをカットします。この時、根本からズバンとアンテナを切らずに、根元に少しだけ残しておきます。この残った根元が、真鍮線を通す穴を開ける箇所の印になるんです。

 デザインナイフの先で、軽くアタリをつけておくと、ドリルの刃が入れやすいですよ〜〜。

 力を入れずに慎重に穴を開けていきます。これで真鍮線を通す穴が完成しました!

 カットした真鍮線を穴に通して、ウェーブの瞬間接着剤の高強度を爪楊枝でちょんと塗ってあげます。位置決めが完了したら、瞬間接着剤の硬化スプレーを吹いて完成です!

 アンテナがカッコ良くなりました!! 細い金属線になったので、パーツも折れにくくなって強度もアップ。夜間戦闘機仕様のアイコンでもあるので、ここがかっこいいとさらに引き締まります。アンテナの後ろ側もこれからやるぜ〜〜。

 この箇所に俺のこだわりを込めたいって思いで手を動かすのはプラモデルの醍醐味です。そしてその箇所はあなただけの特別な場所。完成後、絶対に自然とそこばかりみてニヤニヤしますよ! そしてそれが本当に幸せで楽しい瞬間なんです。あなたが手を動かしてみたいと、パーツに誘われたら是非チャレンジしてください。その誘惑はプラモをさらに楽しくするものですから。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

本家本元のテンペストは、組むのも塗るのも楽しめる最高の設計!/エアフィックス イギリス空軍 ホーカー テンペスト Mk.5

 久しぶりにイギリス人が作るイギリス空軍の名機プラモデルを食しました。本場のフィッシュ&チップスを食べた気分だぜ!!(ヒースロー空港近くのフォークを入れたらバラバラになるような奴じゃないぜ!!)
 マジで美味しいプラモで、組むから塗るへの工程にめちゃくちゃアクセスしやすい上に、パーツが合わさっていく瞬間もダイナミック。飛行機名のテンペスト(暴風という意味)の名に偽り無しな勢い満点のプラモでした。

 コロナ以降、自分の中でちょっと距離が開いてしまった赤い箱。安定して入ってこなかったりと、まぁ近年は世界が色々大変だからしょうがない。でもこうして久しぶりに英国のメーカー・エアフィックスの箱を掴む機会がやってきました。この箱のレイアウトはやっぱり好きで、買ってよかったなと思えるし、箱を開けた時の酸っぱい匂いはエアフィックスとの再会を決定づけるもの。手と鼻に馴染むこの感覚。やっぱりエアフィックスは良いのです。

 このテンペストはエアフィックスが2022年に送り出した完全新規キット。韓国のアカデミーや、チェコのKPモデルなどが1/72スケールを発売していましたが、本家本元が満を持して発売。テンペストはMk.I、Mk.IIやMk.V、Mk.VIなどのバリエーションがあるのですが、エアフィックスはその中でも最もメジャーなMk.Vに絞ることでパーツ構成をシンプルにしています。またテンペストはタイフーンの改良型という位置付けにもあります。タイフーンもエアフィックスはプラモを出していて、nippperでもきっとレビューが読めるので以下のリンクから読んでください。記事を読み比べすると、テンペストはめっちゃ似ているのに、エアフィックスがパーツ構成を全く替えてきているのが分かりますよ。

 テンペストは第二次世界大戦後半に登場。イギリスの飛行機といえばスピットファイアやハリケーン、モスキートなどが有名ですね。テンペストは、700km/hを超える高速性能を生かし、大戦末期のドイツ空軍を叩き潰すのに大いに貢献。巨大なネイピアセイバーエンジンを冷やす為のラジエーターがポカンと口を開けているみたいについています。僕はこのマッチョな感じが大好き。華麗なスピットファイアとは相反する魅力があります。イギリスのパワーが凝縮した感じです。

 機首の下にあるラジエーターのディテールも上質。本体にもシンデレラフィットして最高なのです。

 1/72スケールらしく胴体の中はシンプルなので、サクサク形になります。コクピットの椅子も3点もの軸で支えられるので、ガタつきがほとんどありません。

 組んじゃってからでも、上から下からと筆が入りそうなので、胴体内部は塗れそうですね。こういった塗りへの割り切り方もとってもうまいプラモです。こんなに胴体下部ががらんとしている理由が以下で分かります。

 主翼上面パーツに、コクピットの下側のパーツが一緒に一体成型されているのです。これによって胴体下側に大きな空間が生まれています。また主翼の内側には脚庫内のディテールが彫刻されており、裏面の主翼パーツに開けられた脚庫の穴とぴったり合わさって、ディテールが見えるようになっています。

 このパーツも最高。ラジエーター後部と脚庫の隔壁&フレームが一体になっています。これを裏面になる主翼パーツの内側に貼ると、脚庫内の壁が完成し、ラジエーターから伸びるラインも形成されます。

 アクロバット飛行のようにして、胴体と翼が合体します。ラジエーターの後ろ側を胴体の奥に思いっきり突っ込んで、スライドさせるようにして合体するのです。この時、操縦桿の位置に気をつけないと、椅子とぶつかって操縦桿が無くなり、操縦不可能なリアル暴風(テンペスト)にジョブチェンジしてしまうので気をつけてください。僕は3回やりました。そんな大胆な合体も、このキットの良いところですよ!

 キャノピーが乗るフレーム部分は別パーツ。これによって塗装が超ラクになります。これはイギリスからのおもてなしですね〜。

 英国人が作る英国人パイロット。日本のメーカーが生み出すイギリス人体型とはちょっと違って見えるもの面白いです(意外とヒョロヒョロしている)。またタミヤのバキバキのアニキなどのフィギュアに見慣れてしまうと、なんともマイルドなアニキ。でもこれがエアフィックスのちょうど良い旨味なんです。

 ここまで組んだら、一気に塗装できます。ランナーについたままにしているパーツは、ランナーに繋がったままで塗って、その後に組み付けようかな〜と思っているものです。胴体や主翼の楽しい組み立てを味わってからでも、しっかりと塗りやすい構成になっていて、本当に好感が持てるプラモです。デカールもイタリアの高品質デカールメーカー・カルトグラフのものが入っています。

 「今年イギリス行こうかな〜」と、イギリスへの思いが高まっている僕にとっては、最高のスイッチになるプラモでした。今のエアフィックスのクオリティを楽しむのにももってこいのプラモなので、ぜひ買って作ってください。それでは!

フミテシ/nippper.com 副編集長

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花金だ!仕事帰りに買うプラモ。タミヤのレジェンド飛行機プラモに込められたおもてなしを楽しむ。「1/48 日本海軍局地戦闘機 雷電21型」

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週はタミヤのレジェンド飛行機模型「タミヤ 1/48 傑作機シリーズ 日本海軍 局地戦闘機 雷電21型」をご紹介します。定価1500円(税抜)で、むっちりとしたナイスボリュームな雷電を楽しめる、最高のプラモデルです。

 箱を開けるとパーツは全てひと袋の中に納められています。これだけで完成してしまうんですね。箱を開けた時に「気軽に組めそう〜〜」って気分を上げてくれるプラモ。1973年に発売されたプラモですが、基本形状やパーツの精度も問題なく、しっかりと組めます。

 説明書は見開きで完結!! 6工程で完成するって、激ヤバです。ゴールまでの道のりをこんなにもシンプルに確認できるので、より製作意欲が湧いてきます。

 パーツ分割は極力控え目。エンジンカウルも胴体と一体になって成型されています。雷電らしいムチッとしたボリュームあるエンジンカウルから流れる迫力のボディラインが1パーツになっているので、見応え抜群なのです。排気管のパーツの彫刻もメリハリがあってナイスです。

 アニキが2体も入るんです!! コクピットに座れせてもよし、傍に立たせてもよし。ザ・日本人って体型でとても親近感が湧きます。今見ても、魅力的な造形です。

 クリアーパーツの透明度も十分。僕の部屋に飾ってある車模型が反射して写っていますね。開閉用のキャノピーとかはなく、大きな1枚キャノピーのみセットされます。

 組み上がり、塗装工程に行くぞ! っとなった人のために、とっても美しいカラーイラストが用意されています。1機は塗装が剥がれたりしている歴戦タイプ、もう1機は清潔感ばりばりの配備したてのような雰囲気で描かれています。細かなリベットも描かれていて、ディテールアップの参考にもなりますね。このイラストを見ながら塗装への妄想が広がります。

 このキット、本当に圧がなくて、しっかりとしたボリュームある1/48飛行機を「組む」「塗る」工程まで優しくエスコートしてくれるんです。手に入れやすい価格帯も魅力なので、ぜひこの週末、タミヤのレジェンド飛行状態素敵なフライトをお楽しみください。それでは。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

豊富なカラーが嬉しいメタリックマーカーでジェット戦闘機のプラモデルに味付けを!

 キャップを開けるだけで塗れるミスタホビーマーカーのメタリックセットで戦闘機の仕上げをしていくことにした。F-15のエンジンまわりは銀の塗装してい。半ツヤのラッカー塗料による基本塗装の上にシルバーをムラなく塗るのは結構難しいことがわかった。下地をつや消しにすればもっときれいに塗れることがわかっているので、広い面積を均一に塗りたいときはツヤ消し塗料で塗装しておくか、ツヤ消しのクリアーでコートしてから塗装するのがオススメだ。

 マーカーのセットに入っている「カッパー」(=銅)は使い所あるがなかなかないなと思っていたけど、F-15のキャノピーフレームはカッパーに塗る指示があった!マスキングなし、表面の凸線に筆先を引っ掛けてカーっと描けば一発で発色。こういう細いところはそんなにムラが気にならない。水性マーカーの顔料だけど、じゅうぶんにキメが細かいので透明パーツの上でも透けないのがGOOD!

 エンジンノズルは焼鉄色でまず塗る。プラスチック地に直接塗っているので少々ムラができるけど、エンジンノズルはそもそも複雑な表情をしているものなので、むしろちょっとムラがあるくらいのほうがテンションが上がる。こういう水性塗料とかマーカーの話をすると、よく「触ったら剥がれちゃうのでは?」みたいな話をされるのだが、触ったら剥がれそうなら、触らなければいいんじゃないかな、と思う。

 上からガンメタリックやシルバーでタッチを付けたら、ただの板みたいなパーツにも表情が出る。平面に規則的な模様を欠いたり、エッジ部にシルバーを乗せたりするとシンプルな形でも情報量が増える。ノズル内側はマッキーペイントマーカーの白(これは盛大にムラが出るのだけど、噴射方向にわざとスジスジが出るように塗って「味!」と割り切ることにした)。

 ただ組んで、グレーはラッカー塗料のツートン。あとはマーカーで金属色を補っただけでもだいぶかっこいいF-15が出来上がった。これにデカールを貼ったらもっとリアルな仕上がりになるはず。しかし800円のキットでこんなに遊べちゃうのだから、やっぱりプラモデルはおもしろい。新しいマテリアルを試すなら、スプーンや不要パーツの切れ端を使うんじゃなくて、こんなふうにオールドスクールで安価なキットの胸を借りるのをオススメしたい。こんな遊び方でも経験値はきっと貯まるし、達成感は新しいキットに負けず劣らずだ。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

米空軍戦闘機のグレー2色を瓶生で塗れるMr.カラー新色を使って、模型用塗料の面白さを感じよう!

 「アメリカ空軍のF-15Cを塗るのにガイアノーツからドンピシャの塗料が発売された!やったね!」と思っていたら、GSIクレオスのMr.カラーでも同じことに使える新色、#394と#395が発売されました。FS36251が薄い方のミディアムグレー、FS36176が濃い方のダークグレーということで、会社が違っても決まった色を塗料にしてりゃ同じなんじゃないですかどうなんですかというのがこの記事の趣旨でございます。行くぞ。

 まず#395を下塗り。オレがいままでいろんな写真を見てきた印象だと「ちょっと緑がかったグレー」なんですが、この塗料は黄色みがややあるけどボーッと見てたらほとんどニュートラルグレーと言っていいくらい穏やかな色味です。ラッカー塗料の筆塗りって難しいよね。ちょっと気を抜くと下地を掘り返しちゃう。練習あるのみです。

 垂直尾翼の中央部にモヤモヤと塗り重ねたのが#394です。記憶のなかでは「ちょっと紫がかったグレー」なんですが、この塗料はたしかに青み&赤み成分が入っているものの先程の#395同様かなり彩度が低く、落ち着いた印象。しかし#395と#394は補色に近い関係にあるので隣接しているとお互いの色味の違いが引き立って見える、という寸法です。

 たしかに光線状態によっては実機も地味な色に見えることはあり、つまるところ「色というのは絶対値でも表せるけど、環境によってけっこう違う印象になる」というわけで、ガイアノーツが同じ塗色を再現するべく発売したTL-004とTL-005の組み合わせは色が派手めに感じられる時の印象、GSIクレオスの#395と#394の組み合わせはニュートラル気味に見える時の印象を表現したと言い換えられます。

 ハセガワの「古い方のF-15C」にGSIクレオスのグレー2色を塗ってみたら、もうめちゃめちゃにカッコいい。実物に塗られている色は規格品ですからどこで塗ってもどれに塗っても同じ発色じゃなきゃ困りますが、プラモデルに塗る色は塗料メーカーによってある種の演出……つまり「記憶色」に寄せる工夫がされていることもしばしば。どれが正しいのか(=正確な再現なのか)悩むよりは、「どういう表現にしたいのか」を考えることで選ぶ時に自信が持てるようになるはずです。実物を追い求めるのもいいけど、「自分にはこう見えた!」をどこまでも追い求めてプレゼンテーションできるのが、模型趣味の懐の深さっちゅうわけなんだな。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

飛行機模型界の300円ガンダム、ハセガワの「古いほうのイーグル」をストレートで飲み干そう。

 F-15イーグルがアメリカ空軍に初めて実戦配備されたのが1976年。航空自衛隊にF-15が配備されたのはその翌年。ハセガワが最初に1/72のプラモデルを発売したのはなんと1974年!初号機がロールアウトして間もない「近未来の戦闘機」がプラモデルになった……と考えるとこの製品のスゴさがわかるだろう。そしてなんと、いまだに買えるのである。どの模型店でも、いつでも、ほぼ確実に、1000円以内で!

 機体表面のパネルラインはヤスリで削れば消えてなくなる凸線、コクピットはわずかに3パーツ。いまやインターネット検索で瞬時に実物の様子がいくらでも見られる時代だから、もっと解像度の高い後発のプラモデルは選び放題。でも実売800円で買える1/72のF-15イーグルはこれしかない。言うてみりゃ、真っ白でポリキャップの入っていない、初代の300円ガンダムみたいなもん。あれを真面目にギンギンに改造してキチーっと塗る楽しみも否定しないけど、キットの朴訥な昔ながらのありさまをそのままストレートにギュッと呷るのもいい。

 胴体はケツからコクピット前方まで上下にガボーンと2分割。合わせ目はガッツリと出るけど、この合わせ目が嫌なら「新しい方のイーグル」を買ってくりゃいい。合わせ目を消そうとしたらヤスリで凸線が消えちゃう?消さなければいい。ここに合わせ目があるから、完成したあとからも「1974年のイーグルだ!」とわかるんだ。ヴィンテージのジーンズを染め直したら、もったいないじゃない。

 なにより、これを今の高精度な工具と高性能な接着剤でスパスパと組めてしまうことが愉快だ。「飛行機模型ってどういうものなんだろう?」と思ったときに、800円でちゃんと飛行機になるプラモデルがまだ買えることが奇跡だし、その向こうに大きな世界が広がっていると思えば素晴らしい入口になる。

 着陸脚やミサイルなどのこまかいところを除けば、たった23パーツで「どう見てもイーグル」というカタチになる。設計自体はしっかりしているから、スキマや段差を恐れなくてもいい。イーグルがこの世でその任務を授かってから今日まで、たくさんの人々を飛行機模型の世界にいざなってきたステキな功労者がここにいる。何度も言うが、精密で正確でパーツ数が多くてビシッと端正な仕上がりのイーグルがほしければ他に選択肢はいくらでもある。このキットが教えてくれるのは、切って、貼って、そこに現れるカタチを眺める……というプリミティブな模型の喜びであり、それが50年経っても何ら変わらないことなのだ。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

巨大な飛行機を魅力的に見せてくれる「1/144スケール 飛行プラモ」で、ロングボディのハーキュリーズをこの手に!!

▲パッケージは大型機ならではのエンジェルフレア

 以前中国製のトイライクなC-130のプラモデルを取り上げましたが、今回も1/144のC-130のプラモです。韓国の模型メーカー、アカデミーから最近発売された「C-130J-30 スーパー・ハーキュリーズ」を組んでみましょ! 航空自衛隊が使っているC-130Hとは違い、バージョンアップされた最新型のハーキュリーズを立体化しています。外見的にはエンジンを新型に換装し、6枚プロペラを装備してますが、コクピット周りは最新鋭のシステムに変更したものがC-130J。これの胴長版がC-130J-30となります。

▲1/144スケールの飛行機模型らしく、程よいボリュームのランナー数
▲ランナータグには大きく「ミニクラフト」の刻印が!

 そうなのです。このキットはアカデミーオリジナルではなく、カナダのミニクラフトというメーカーの製品のOEMなのですねー。ミニクラフト製品は模型店で見かけなくはないですが、あんまり流通しておらず、この1/144のC-130もしばらく店頭から消えていた機体。この度アカデミーパッケージで流通が始まり、やっと購入する事が出来ました。まずは先行して自衛隊版のC-130Hが出て、今回のスーパーハーキュリーズに繋がっています。

▲スジボリはちょっと太いけどハッキリしてて嬉しい
▲スーパーハーキュリーズといえばこの不思議な形状のプロペラ

 1/72スケールとかになればこのプロペラもパーツ分割されていそうですが、このスケールなら一体成型のほうが強度的にも組み立て的にもラクですね。絶妙にウネった形状がユニークです。

▲1/144スケールとはいえ、大型輸送機。気持ちいいサイズ感です
▲通常胴体のC-130Hと比べてみるとこれだけ長い!!

 普段見慣れたC-130よりずいぶん長くなってるのが分かります。寸詰まり気味で可愛いバランスだったものがヌっと伸びた感じです。

▲翼の接着は強度不足ということもなく頑丈なのが嬉しい

 元を辿ればミニクラフトが2006年に新規開発したキットのため、キットとしてはそこまで新しいものではないのです。最新キットのようにバチピタでスラスラ組めるというわけでもないけど、ちゃんと順を追って丁寧に工作していけば問題はありません。

▲組み終わって飛ばしてみるのだ!!

 ランディングギアは基本は降りた状態での設計ですが、ちょこっと工作すれば閉めることも出来そう。ベースなどを用意して飛ばした状態でディスプレイしても映えそうですねー。

 キットには全6種類という多くのデカールが入っており、メインの米空軍3種に韓国空軍、イギリス空軍にオーストラリア空軍とバリエーション豊富。複数作って色違いを並べて楽しむ事も出来そうです。このハーキュリーズに限らずアカデミーパッケージのミニクラフト製品のラインナップも色々と待ち構えており、大型機としてはお手軽な1/144ヒコーキモケイ界隈が賑わう事間違いなしですね! めちゃくちゃ楽しみなので、ぜひみなさん一緒に作りましょう!

内藤あんも

1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。

プラモデルの「焼けた排気管」がペンで塗れる喜び!/ホビーマーカーのガンメタリックと焼鉄色

 F4Fって車輪が収納されるスペースがズドーンと筒抜けになっていて、機体の向こう側が見えるんですよ超かっこいいよね。ということでタミヤの1/48マートレットができました。パチパチパチおめでとうありがとう。全部水性ホビーカラーの筆塗りで飛行機模型を作るの初めてだったんだけど、毎日毎日筆塗りの本を読んで勇気づけられた。筆塗り、いいですね。ディテールが埋まっちゃうんじゃないかとか、ムラが気になるんじゃないかとか、そんなの全然問題なし!

 最後に焼けた排気管を塗ればフィニッシュ、というところで気がついた。最近激推ししている「ミスターホビーマーカー」のガンメタリックと焼鉄色、キャップの色がなんか薄茶色なんですよね。ガンメタリックって黒光りしている色だし、焼鉄色って「ちょっとだけ茶色がかった暗いシルバー」じゃないの?と思ってたんだけど……。

 塗ってみてビックリ、ちゃんとガンメタだ。しかもプラスチックの地にいきなり塗ってもムラにならないしやっぱりこのマーカーは本当にいいですね。これで完成!というときはなるべく軽やかにフィニッシュしたい。筆洗ったり塗料皿を片付けたりしたくない(ズボラ!)。しかもメタリックカラーは後回しにしがちなので、キャップを開けるだけで塗れて閉めれば片付け完了なのは超ありがたい。

 ガンメタと焼鉄色を白の上に塗るとこんな感じ。真ん中で色がブレンドされているのは、ホビーマーカーに「ぼかしペン」というのがあり、これで両者を撫でるといい具合にグラデーションになるんすよね。こういう表現もペンでできちゃうの、最高〜。

 排気管をグリグリとペンで塗って完成。ああ、完成してよかった。筆やペンで模型の表面をつつくと、模型と自分が対話するような感覚になります。ここの雰囲気、イイな!ここは失敗したな!でもそれは全部オレのせいだな。自分で成功も失敗も責任が取れる。誰かに怒られたりしないし、なんかが減ったりもしない。プラモデルって、おもしれ〜ですね。

からぱた/nippper.com 編集長

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大きいプラモデルは気合を入れて作らなきゃいけないなんて、誰が決めたんだ/タミヤの巨大なF-15Cをおもむろに組む!

 「大きいF-15、組んだことないな!」という理由だけでプラモデルを買ってもいいということが知られています。とくにタミヤの1/32スケールジェット機はお値段がわりと控えめなのにとんでもない大きさになるので軽率に机の上が埋まります。大きい模型からしか得られない栄養があるので気軽に摂取していきたい。

 プラモデルって「大きいから難しい」とか「大きいから大変」ということはあんまりないと思ってて、ただやることが大きくなるだけなので楽しい。パーツを見ているだけで「わはは、大きい」という娯楽となりうるわけです。

 わたしはことあるごとに主張しているのですが、大きい模型はそれだけでシャープかつ立体的に見えます。小さなスケールのプラモデルと同じ太さの線や同じ厚みのエッジも、大スケールだと相対的に繊細に見える。さらに視界からパーツがはみ出すので立体感が倍増します。視野の中に収まらないものって、自分の視線や頭そのものを動かさないとカタチが把握できない。動くと見える景色が変わる。そうすると、対象の持っている起伏が強調されるというわけです。

 ただ大きいだけじゃなくて、小さいスケールのプラモデルではこまかすぎて再現できないところも余裕たっぷりにパーツ化されるというメリットもあります。右インテークの側面にあるみんな大好き20mmガトリング砲(M61 バルカン)も少ないパーツ数でこのとおり。蓋をしたら見えなくなるけど、こういうところにも「大スケールっていいよなぁ……」という具材が入っています。

 コクピットもむやみにパーツ数が多いわけじゃなくて、ただひたすら大きくてはっきりした彫刻のパーツのオンパレード。しかもね、デカいから組んだあとからでもまあまあ筆が入るんですよ。こまかく指定通りに塗り分けながら組んでもいいけどさ、組んでから見えるところだけチャッチャと塗ってもいいんですよプラモデルって。

 そしてパイロットもデカい。嬉しい。フライトスーツのシワやポケット、ベルトもハッキリ見えるからルーペをしなくても塗れます。見えるって大事だね。大きいと見える。これはテストに出ます。

 パイロットが座る椅子はこれがワンパーツで用意されていて、あとは背もたれの裏側のパーツをちょっと足すぐらい。これまた実物はけっこういろんな色のカタマリになっているんだけど、大きいからラクラク塗り分けられちゃう。ちょっとハミ出してもなんか取り返しの付かない失敗にはならない。小さい模型、1mmはみ出しただけで「うーん、大失敗」って感じになるもんなぁ。大きいって、いいよなぁ。

 さあ、ゴリゴリ組んでいたら机の上からはみ出すようになってきちゃいましたよ。どうですか。いいですね。大きいイーグル、有り体に言って「どうすんだよこれ……」というサイズ感です。だけど、「人生に一度のチャレンジ!」みたいに意気込まなくても大丈夫な包容力というか、俺について来いよ的な分厚い背中というか、ついていきたくなる信頼感がある。頑丈だし。ということで、みなさんも軽率に組んで語彙をなくし、「デカい」と叫んでください。いつでもこういう驚異が模型店に並んでいるって、マジでステキなことだと思うんです。

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ド定番プラモデル、ハセガワ製F-15Cの「新しいほう」を改めて味わう話。

▲Photo by Alan Wilson

 F-15がおもしろい。たくさんのメーカーからプラモデルが発売されている。プラモデルとしては古いのも新しいのも、安いのもちょっと高いのも選び放題で、それぞれに違う特徴がある。組み比べることでメーカーごとの、時代ごとの解釈や技術も見えてくる。しかしそのカタチは万人を引き付ける強烈な個性があるわけじゃなくて、上の写真を観れば分かる通り、どうにもフラットな、無機質なカタチに感じる。翼が胴体の上面に付いているから、背中がほとんど真っ平らに見えるのが大きな理由かもしれない。

 ハセガワの1/72 F-15Cを買おうとすると、模型店の棚にはふたつのキットがある。ひとつは1974年に金型が作られたもの(品番はC6、安くて、パーツ数が少なくて、パネルラインは凸線の彫刻)、もうひとつは1988年に金型が作られたもの(品番はE13、少し値段が上がって、パーツ数はやや増えるけどシンプル、パネルラインは凹線の彫刻)だ。

 どちらのキットが優れているのか……なんてことを決められるなら、ハセガワがこのふたつを同時に棚に並べることはしないだろう。価格と仕上がりにそれぞれ特有のバランスがあるのは、たとえばひとくちに「HGUCのガンダム」と言っても複数のラインナップがあって、みんながそれぞれ好みで買っていくのと同じ。今回は「凹線の彫刻がいいな」と思ったのでE13の「新しいほう」を買ってきた。

 新しいとはいえ、36年前に開発されたプラモデルだ。どこもかしこも親切なノリシロが用意されているとか、塗り分けを考慮していい具合にパーツが分割されているといったおもてなしは受けられない。たとえば初めて作るプラモデルとしてこれを渡されたら、結構苦戦するだろう。説明書をよく読み、実際にパーツを組み込みながら「たぶんこの角度で貼るのが正解だな」というユーザーの読み取り力みたいなものが試される。

 とはいえ、自社の過去製品をリニューアルしようと考えられた設計は巧みだし、ひとつひとつのパーツの精度はキチンと出ている。組んだ印象としては「おお、ちゃんと合うように貼ればビシッと組み上がるな!」というもので、こちらの気遣いがそのまま仕上がりに反映するような、プラモとのコールアンドレスポンスがある。

 胴体上面のパーツと主翼の合わせ目がF-15のプラモデルを見る上で各社の工夫を感じるところだけど、素直に直線的な分割としていながらビシッと合うのにはちょっと感動した。「古いから合わない」みたいな先入観は捨てた方がいい。インテークの上面とサイドの膨らみの間に鋭く走るスキマはけっこう攻めた設計だけど、これも意図通りに機能してくれることに驚く。

 こうして飛行機のカタチらしくなってきたところでサイドから光を当てて眺めると、F-15の広い背中にもじつは豊かな表情があることにあらためて気付かされる。コクピットの後ろに伸びる尾根が尽きる前にふたつのエンジンに向かって立ち上がる膨らみ。もしかすると実機よりもちょっと大げさに味付けされているのかもしれないけど、この曲線美を見ると「やっぱりF-15ってカッコいいな」と惚れ直すのだ。

からぱた/nippper.com 編集長

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米空軍のイーグルにドンピシャの塗料が登場/ガイアノーツのダーク&ライトグレーに大拍手!

 タミヤの1/32 F-15Cを買って説明書を眺めていると、塗装指示がなんかヤバい!実物はグレー2色の迷彩なんですけど、「濃いほうのグレーはX-14とX-16とXF-2とXF-19を2:1:22:3で混ぜろ」「X-14とX-16とXF-2とXF-19を1:1:34:15で混ぜろ」というハードコアな私立中学入試的試練に直面。これ、目見当で混ぜてたらバケツいっぱいの塗料ができちゃうよ。そもそもこの記号の羅列ではどんな色になるのか想像もつかないし、塗料をそんな真面目に比率を計って混ぜられるかという問題があります。助けて。

 実機の写真を見るとこれがまあ微妙な色なんですよね〜。うすーく緑がかった薄いグレーと、どう見ても青紫がかった濃いグレー。「これ、そのままの塗料ないの?」と思って探したんだけど、どうしてもイメージと違う。どうして。ビンのまま塗れる生ビールみたいな塗料を出してよ。そして出た。マジか。

 ガイアノーツのタクティカルレーベルからダークグレーとライトグレーという塗料が発売されたんですよ。なんでこう、人がF-15Cを塗りたくて仕方がない時にドンピシャの塗料が売られるのか。これは神の導きと言わざるを得ません。最高。プラモは続けていると向こうからやりたいことにフィットした商品が歩いてくるので長く遊んでいる方が幸せです。

ガイアノーツが新発売したこの2色はモデラーの意見(つまり「見た感じこんな色だよね」という印象)を取り入れて調色されたらしく、いわゆる写真で言うところの「記憶色」に寄せたカラーなんですよね。じつはほぼ同じタイミングでGSIクレオスのMr.カラーからもアメリカ空軍が使っているFS36176(#394)とFS36251(#395)というグレーが発売されたので、そっちも買ってきて塗り比べしますが、今日はまずガイアノーツの塗料をテスト。

 ハセガワのF-15Cの垂直尾翼に「ライトグレー」をベタ塗り。たしかにほんの少しグリーンがかったグレー。ガイアノーツの塗料はだいたいツヤありなんですが、タクティカルレーベルは半ツヤになっているのでテカテカにならないから塗りっぱなしでも実機っぽい。

 そしてダークグレーを上から吹くと、たしかに青みがかったグレーです。そして何より両者のバランスが抜群。実物の写真をいっぱい見ましたが、「これこれ、こういうふうに発色させたかったのよ〜!」という色がそのまんま出てきたので超嬉しくなりました。みなさんもこの色の実物に似てるっぷりを味わうために米空軍のF-15を組みましょう。ありそうでなかったカラー、この世にはまだまだあるんだなぁ。そんじゃまた。

ヨドバシカメラ ガイアノーツ TL-004 ミリタリーカラー TACTICAL LABEL 15ml ライトグレーFS36251
ヨドバシカメラ ガイアノーツ TL-005 ミリタリーカラー TACTICAL LABEL 15ml ダークグレーFS36176

からぱた/nippper.com 編集長

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【ここが神パーツ!】ウクライナから飛来した超高速ステルス無人偵察機D-21は「Gパーツ」に愛がある。

 「なんだチミは!」と言いたくなるほどぶっきらぼうな見た目。全長13mの米国ロッキード社製無人偵察機、D-21である。こんな珍妙な機体をウクライナの人が新規にプラモデルとして開発し、日本に送り届けているのだからウクライナ人は本当に強い。アメリカのとんでもない飛行機が好きなオレは予約注文開始時点で一も二もなく発注し、ついにこのプラモデルが手元に届いた。やったね!

 フタを開けるとダンボールのハコがさらに出てくる方式のパッケージ。パーツの半分くらいが地上で機体を転がすためのドリー(台車)なので、だいぶシンプルな構成。美しい曲面と微妙なディテールの入った笹の葉のようなカタチのパーツが胴体の半分を占めている。

 この機体は空中で母機から発射されると敵地の上空をとんでもない速さで飛行しながらガシャガシャと写真を撮影し、フイルムの入った偵察ポッドを分離してから自爆、偵察ポッドは空中で他の飛行機が回収する……という無茶苦茶な計画であった(当然ながら実戦では意図した成果を上げられなかった)。

 母機となるのはこちら。ああ、SR-71ですね。惜しい。これはA-12と言って、米空軍がSR-71として運用する前にCIAが使っていた機体(正しくは「D-21を運用できるようにしたA-12」であり、これは特別に「M-21」と呼ばれた。ああややこしい!)なのでちょっとカタチが違う。厳密に言うと1/48スケールのD-21に合わせられる「A-12(つーかM-21)そのもの」のプラモデルは存在しない。しかし、本キットには「母機に搭載するためのパイロン」がちゃんと入っている。合体する相手はこの世にいないのに、合体に使うパーツだけがある。ロボットのおもちゃでこんなことがあったら子供は大泣きである。

 昨年のホビーショーにてこのキットを展示していた輸入代理店のアニキは言っていた。「合体できるM-21のキットはないけど、SR-71なら同じスケールのがあるよね。キットに入っているパイロンを使ってD-21を載せて、片目を瞑ればOKだよ」と。G-1とG-2のパーツはただの板切れのように見えるが、夢の超高速トンチキ偵察計画の似姿を作るために入れられた、ウクライナからのおちゃめな贈り物なのだ。じっさい、ハセガワやアメリカレベルをはじめ、いろんな模型メーカーが現実にはあり得ない組み合わせとして「SR-71とD-21のセット」を売ってきたんだし、いいじゃないっすか。1/48でその遊びができるってことよ。

 幸い、手元にはこんなこともあろうかと買っておいたドイツレベル社の1/48 SR-71がある。プラモデルのいいところは、実物に忠実に作ることもできれば、自分の見たい景色のためにそれらしいウソをつくこともできる点にある。多くの戦争映画で実在兵器が「他の兵器の役」を演じているように、このSR-71にはM-21の役をやってもらう。このふたつが合体したらなんと楽しく、カッコいい模型になるだろう。板切れ2枚が見せてくれる夢はとても大きく、エキサイティングなのだ。だからこれが、神パーツ。

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タミヤのモトタグで牽引パラダイス!あなたの好きな飛行機模型を引っ張ろうぜ!!

▲プラモの聖地のひとつ「タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店」

 東京・新橋にある「タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店」には、必ず出会いが待っている。先日打ち合わせのついでにふらっと寄ってみると、ずっと欲しかったアニキが入っているランナー(プラモのパーツが繋がっている枠)が単品で販売されていた。タミヤ プラモデルファクトリーにはオフィシャルショップらしくプラモデルの一部をバラ売りしているコーナーがあり、そこを見るのも楽しみのひとつなのだ。

 今回出会った「牽引アニキ」は、アメリカ海軍で使用されたモトタグと呼ばれる航空機牽引用トラクターに乗っている。このアニキとモトタグを飛行機模型に添えれば、なんでも引っ張って行ってくれそうな景色になり楽しいのだ。

▲モジモジくんみたいな服装のアニキ。アメリカ海軍の空母の上で大活躍したのだ

 このアニキは「1/48 ヴォート F4U-1D コルセア モトタグ牽引セット」や「1/48 アメリカ海軍航空隊パイロット・モトタグセット」の中に入っている。今回のランナーは「1/48 ヴォート F4U-1D コルセア モトタグ牽引セット」のもので、牽引アニキの他に、もう一人のアニキもセットされた大トロランナーなのだ。

▲この美しいパーツ!! 惚れ惚れ〜〜。モトタグの作りも素晴らしいぞ!

 大トロの理由として、もう一つが「モトタグ」の素晴らしさだ。エンジンや立体感ある大型バンパーのパーツがプラモキッズのハートを捉えて離さない。主役の飛行機模型を引っ張るだけに、主役にしっかりと花を添える存在となっているのだ。

▲カバーをつけると見えなくなってしまうエンジンも、メリハリある彫刻で表現されている
▲ここまで内部機関を楽しめる!! すごい

 組むことによって、小さい体に搭載された45馬力のエンジンパワーを体感できる。1.8トンもの牽引能力でアメリカ海軍空母の甲板で飛行機を引っ張りまくったのだ!!

▲アニキの彫刻も素晴らしい! 牽引アニキと一緒にセットになるパイロットもみてみよう
▲後方に視線をやるアニキ。モトタグに引っ張られている景色と見事に融合するポーズなのだ!

 パイロットはポーズや服装のディテールが完璧! 様々なアメリカ海軍の飛行機に搭乗させたくなる。牽引されている様子だけでなく、周囲に整備スタッフ、仲間のパイロットを置いても素敵な景色ができると思わせてくれる。

▲ドイツ軍の飛行機を鹵獲したよ〜〜。USAに持って帰るぞ!! 博物館に展示だ〜〜

 牽引方法のパーツは尾輪にかけるものと、主車輪にかけるものの2つが付属し、自由に選択できる。小さな体にパワフルさをもったモトタグを飛行機模型の隣に置けば、たちまち牽引パラダイス! プラモだからこそできる、楽しい遊びがあなたを待っている!! お好きな飛行機をひっぱちゃおうぜ。ではまた〜〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

ちょっとユルめの時間に寄り添うプラモデル/PMモデル製シーフューリーのいい湯加減。

 なんか作りたいけど気合いを入れて作業するほどでもない。だけどちょっと手を動かしたいしそれなりに達成感も味わいたい。そんな「小腹がすいたような気分」のとき、私はPMモデルのシーフューリーを作ることにしています。

 シーフューリーとはイギリスはホーカー社が大戦末期に開発した艦上戦闘機で、戦後ジェット戦闘機が導入されるまでイギリス海軍ほか数カ国で使用されました。このキットはもともとイギリスのPioneer2というメーカーが開発し、現在はトルコのPMモデルから販売されています。単座と複座2タイプの計3タイプがあり、模型店の片隅でオレンジのキャラメル箱に入って数百円で売られているのをしばしば見かけます。

 開封すると最低限に分割された厚めの部品が出てきます。細かい部品もあまりなくディテールもマイルドな雰囲気なので最近の飛行機プラモの基準からすれば古くさく感じられるかもしれませんが、あなどるのは早計です。「部品が最低限」ということは手早く形になり、「パーツが厚め」というのはがっちり接着できることを意味しています。

 一般に飛行機プラモは手が切れそうなシャープさと繊細さに注目が集まりがちですが、それゆえパーツを切り出しキレイに整えてから接着したり、それこそ手で持ったりすることにすら相応の慎重さ・緊張感を要求されるのも事実。そんななか、このキットは肩の力を抜いて組み立てられるイージーゴーイングな態度にも応えてくれるので、作りながらリラックスできるのです。パーツ同士の合いはパチピタというわけでもありませんが、モチモチした感触のプラスチックでできているので調整も簡単です。

 その一方で、増槽やロケット弾が付属していたり翼下面の着陸灯がクリアパーツで再現されていたりするので簡素一辺倒というわけでもありません。デカールも充実しており、塗装バリエーションも豊富。味変できて何機作っても飽きません。そしてなにより実機の持つマッシブで頑丈そうなイメージをよく再現しているのが嬉しいところです。

 手軽に組み立てられて心地いい満足感を得られる、そんなPMモデルのシーフューリーは仕事に学校に模型製作に疲れた人がほっと一息つきたいときや、飛行機プラモや海外キットに興味があるけどハードルが高そうだと思っている方に是非お勧めしたい好キットです。サクッと作るのもいいし気になるところだけ手を加えれば見違えるようになるので、ぜひとも気軽にチャレンジしてください!

Branz01

静岡県出身・大阪府在住の1985年生まれ。本業はマシーンの研究開発で模型は心の栄養です。

プラモ世界の上質なヴィンテージが味わえる飛行機模型。「エアフィックス ヴィンテージクラシックス デ・ハビランド ビーバー」

▲上質のヴィンテージをゲットしました。最高にかっこいい飛行機模型です

 世の中にはさまざまなヴィンテージがあります。プラモの世界でも自ら「ヴィンテージ」と名乗って、一昔前のキットに最新パッケージ&最新デカールをセットして販売しているシリーズがあります。それが「エアフィックス ヴィンテージクラシックス」です。

▲1971年生まれ。まさにヴィンテージ!! でもパーツはとっても綺麗なの

 「デ・ハビランド ビーバー」のデザインに一目惚れし、店頭でこの箱を見た瞬間に買ってしまいました。第二次世界大戦の時の飛行機かな? って感じがするデザインですが、戦後にすぐに生まれた飛行機(開発計画は戦中に終わっていました)です。辺境の未開の地での運行を目的とした飛行機という、ちょっと面白いバックボーンも魅力。だから箱を開けると、パッケージイラストにない仕様のパーツがどさっと入っています。

▲凸リベットの存在感が最高のボディ! たまりませんね〜
▲どこまでも凸リベットの世界。1/72スケールの小さな飛行機模型ですが、思いっきり目を楽しませてくれます

 そしてエアフィックスの飛行機模型といえば「フィギュア」。ほとんどのキットにアニキがセットされています。このドーバーのアニキも素敵なのです。

▲ちょっと首を傾げたようなこの演技!! 名俳優です

 箱絵にはタイヤの着陸脚の機体が描かれていますが、キットの中にはスキーのパーツやフロートのパーツまでセットされています。まさに辺境の地へ! っと言った感じの装備を選択できます。プラモは箱を開けてみないと、どんなパーツが入っているかわからない! 楽しいですね〜〜。

▲こちらはスキーパーツ。雪上や氷上へGO!!
▲ビーバーのフロート装備は超美しい飛行機なので、俺はこの仕様で作ります

 ネットで機体名を入れるとフロート装備の機体がたくさん表示されます。これがどれも美しくて最高なのです。白や黄色、緑やオレンジ……さまざまな色で塗られたビーバーが水面からの照り返しの光を浴びている……。その姿をプラモで楽しめると思うと、ワクワクが止まりません!! 本当に素敵なプラモなので、ぜひゲットしてくださいね。それでは〜〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

手のひらに収まる怪鳥/ピットロードのAn-225 ムリーヤ

 たまごんだよ。今年の目標は世界一の大富豪になることだよ。
 突然だけど「世界最大の航空機」ってなんだか知っているかな? そう、「An-225 ムリーヤ」だね。
聞いたことないぞ、という人は検索して実機の写真を見てみよう。あまりの迫力に驚くハズ。このムリーヤもプラモデルになっているけど、世界最大の航空機はプラモデルになっても超弩級サイズ。

 1/144スケールのほか、全長全幅がそれぞれ1mオーバーの1/72スケールなんてものも(お値段10万円越え!)。ほ、欲しい……惹かれるけどさすがにウチでは飼えないよなぁ、なんてお思いのあなたに朗報!
ピットロード社よりお手軽サイズでムリーヤのプラモデルが出ているぞ。

 てなワケで早速お迎えしてきました、ピットロード製・1/700スケールのムリーヤ。このキットはムリーヤの他に「軌道船ブラン」という宇宙船もセットになっているのだ。セットになっている、というより、ムリーヤに ” おんぶ ” されちゃっている。かわいいね。というのも、近年は大型貨物輸送機として活躍していたムリーヤの開発当初の目的は「宇宙船ブランを背中に乗っけて輸送する」ためだけの存在だったんだって。

 箱を開けると3枚のランナーとご対面。そのうち1枚は宇宙船ブランのもので、ムリーヤを構成するのはたった2枚のランナーのみ。1/700スケールなのに、細かすぎて組むのが難しそうなパーツが無くていきなり好印象だね。

 1枚目。Aランナーの中央に配置された美しい胴体に目が行きがちだけど、個人的な見どころは大型機ならではの14脚×左右分の特盛りランディングギア。そして実機さながらのヨコ一列に配置された6発分のファンケース! ランナー状態から、ムリーヤの迫力をひしひしと感じちゃうね。

 2枚目のBランナーには主に翼パーツが配置されているよ。1/700スケールだしモールドがヌルいんじゃないの?と思っていたけど、主翼のシャッキシャキな彫刻が「ナメてもらっちゃ困るぜ」と訴えかけてくる。先述の宇宙船ブランを背中に乗せるために「H字型」となった双尾翼も3パーツでカッチリ組めそうだね。

 速乾の流し込み接着剤があれば、1時間ほどで形になっちゃう気軽さ。世界最大の怪鳥を、手乗りインコのように可愛がっちゃおう!

たまごん

ごく稀に真面目にプラモデルを作るらしいが、基本的には酒の力を借りながら夜な夜なミキシングでモンスターを生み出す等の活動に力を入れている。

世界中で愛されているレシプロ練習機の最強プラモ!「モノクローム 1/48 航空自衛隊 T-34 メンター」

 箱を開けた瞬間ビビりました。このリベット!! 脊髄反射で「かっこいい!」と思えたるパーツに出会えた瞬間って最高です。そんな飛行機プラモが今回ご紹介する「モノクローム 1/48 航空自衛隊 T-34 メンター」です。ミニクラフト社のキットを韓国のメーカー・アカデミーが流通させていて、日本のモノクロームが自衛隊機のデカールなどをセットした商品。1/48スケールで、新規デカール、エッチングパーツ、塗装用のマスキングシートまで入って、実売価格2500円ほど。超お得な飛行機模型です。

▲総パーツ数100に満たないコンパクトなプラモ。でも完成すると1/48スケールなりのボリューム感も味わえます

 T-34というと戦車の歴史に燦然と輝く傑作ロシア戦車を思い浮かべちゃいますね。空にもT-34がおります。優れた指導者という意味の「メンター」という名を冠したその飛行機は、その名の通り世界中で愛されている練習機。この飛行機は数々のパイロットを育ててきた、とっても大事な飛行機なのです。

▲窓枠やタイヤの塗り分けに使用できる、カット済みのシートが入ります。とってもありがたい!
▲凸と凹のモールドが共存したセクシーなパーツ。どのパーツも本当にかっこいいのです

 実機写真を見てもらうとわかるのですが、メンターはリベットの主張がとってもセクシーな飛行機です。展示されているもの、飛行しているもの、どんな写真でもバリバリっとリベットが目立っていて本当にかっこいいです。その雰囲気を見事にプラモに凝縮。むしろカッコ良くなるように誇張されていて、メリハリある姿を楽しめます。

▲尾翼チーム。洗濯できるんじゃないかってくらいのメリハリ。超かっこいいですよね
▲接着ガイドもしっかりしているのでパーツの合わせも問題なし。ガンガン組んでいけちゃう!
▲コクピットを胴体に合わせた状態。バチピタです。そしてこのかっこいいリベットを常に目にしながら作れるたのしさ。健康になりますね
▲脚収納庫のディテール表現と、主翼を安定して固定するための桁としての役割を兼ねたパーツ構成もお見事です

 表面のディテールだけでなく、各パーツの接着箇所には的確なガイドが設けられています。カチッと合わせてから流し込み接着剤を流せるので、安心して組んでいけます。クセのないパーツ分割になっているのもまさに「練習機」という感じで、飛行機模型組み立ての手順も気持ちよく体感させてくれます。

▲ここだけは注意! うっかりオモリを入れるのを忘れました。機首の内側にオモリをいれて、尻餅をtかないようにしましょう
▲完成!! 凸リベットがセクシーすぎます!! 超楽しいプラモでした

 飛行機模型って楽しい! かっこいい!! って気分がめっちゃライジングしました。この完成したお姿、最高でしょ!? 組むだけで存在感抜群です。メンターは銀色が最高に映える飛行機でもあるので、もう1ステップ行きたい人は、キャノピーのマスクシートを貼って、ぜひ銀のスプレーを吹いちゃってください。さらに最高な体験ができますよ。超オススメのプラモ、ぜひ堪能してください。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

胃もたれに効く、日本食みたいなスタンダードプラモ/ファインモールドの1:48烈風

 濃い味の舶来プラモを組み続け、ちょっと胃もたれ気味の年末。たまにはやさしい味付けの一箱も組みたいですね~……と仕事帰りに買ってきたのはこちら。ファインモールドの1:48 試製 烈風。なんとなく凛としていて切れ味よさそうでしょ。同社の烈風は1:72と1:48の2スケールで展開されていて、こっちは『大きいほう』になります。

 『大きいほう』を選ぶ醍醐味はこれ! 全幅30cmに迫る伸びやかな主翼がベロ~ンと入っています。途中からクキッとわずかに上反角が付いたところも、このサイズだと結構迫力が出ますよね。こんな大きなパーツをどしどし貼り合わせて、存在感あるサイズの模型をガツンと卓上に呼び出すのが気持ちいいのです。

 シャキっとしたパーツたちと対面。『あるべきものがそこにある』という印象で、奇をてらわない教科書通りの構成には背筋が伸びるような気持ちです。いずれのパーツも、思ったよりちょっと大きいのが嬉しいところ。

 組み始めてみれば、細かな立体感がキュッと詰まったコクピットと、ズドーンと伸びる機体の緩急が心地よく感じられます。全工程を通して、各パーツが想像通りの場所に確実に収まっていく感覚が心にやさしい……。組む側の意表を突く斬新な工夫とか、驚異的な細密表現なんかが売りのプラモではありませんから、キットに対して変に気を使った組み方をしなくていいのも、今は心地よく感じられますね。

 できました! 今回はあっさり、スミ入れも汚しもせずツルンと完成としてみました。こんなの初めてですが、新年らしくてちょうどいいかもしれません。大柄で伸びやかなフォルムを描く烈風の特徴を『大きいほう』で存分に味わえていい気持ちです。

 キットは寸分の狂いなくパーツが吸いつく……という感じではありませんが、とはいえわざわざパテやプラ板を持ち出すような場面もありません。100%完璧超人ではないけど、定期テストで必ず80点以上を取る秀才……というイメージでしょうか。このくらいのほうが、多少ラフにでも気負わずガッと組み上げられるように感じます。王道をいくスタンダードな構成で、まっすぐ組んでいけば確かに完成するこのプラモ。疲れた胃腸にやさしい日本食という感じです。おかげさまで、だいぶ胃腸が整ってきた年始となりました。

出口ぶな

1993年生まれ。プラモは2日間で完成させたい派。

タミヤの傑作飛行機プラモデル、ワイルドキャットが「超傑作」に進化した3つの理由!

 突然ですが、タミヤのワイルドキャットがとっても好きでした。過去形なのは、今回の「新キット」登場のおかげで、もっと好きになってしまったからです。必要最低限のパーツ数に、それぞれがガッチリと組み合わさる堅実な設計。ひとつひとつにくっきりハッキリと入れられた濃いめの彫刻。組み上がるのはズドンと頑丈そうなアメリカの艦載機。F4Fという飛行機のことを知らなくても、いちどタミヤの1/48モデルを組めば、たちまちファンになってしまうはずです。

 つい先日発売されたタミヤの「グラマン FM-1 ワイルドキャット/マートレット Mk.V」は、1994年に発売された「グラマン F4F-4 ワイルドキャット」をアップデートした内容。グラマン社からゼネラル・モーターズ社に製造拠点を移管したモデルは主翼の機銃が6挺から4挺に減らされ、搭載できる弾数が増加。米海軍の艦載機としてはもちろん、イギリスでも「マートレット」と呼ばれて重宝されました。

 超傑作化のワケ、その1。不思議なことに、上の写真のF4Fと新しいFM-1は確かに主翼のディテールがちまちまと異なるのに、それ以外のパーツはどう見ても同じ形状に見えます。ランナーの脇に走るパーティングラインとそれにまとわりつく小さなバリも「最新キットのために新しく彫った金型」じゃなくて、なんか同じ……。このカラクリをタミヤに問い合わせたところ、「従来品であるF4Fの金型を直接改造し、新しくFM-1という製品に仕立て直した」とのこと。つまり、今回新たに金型を起こしたのではなく、「既存の金型を改造して飛行機の違いを再現する」(=今後は従来の形状のF4Fを製造することはできなくなる)という大胆な決断です。

 超傑作化のワケ、その2。タミヤは英海軍機としてのマートレット(グレー/グリーンの迷彩)をメインビジュアルに推していますが、米海軍仕様で作ることも可能な本キット。主翼の変更だけでなく、パイロットもまるまる新しく作り起こされたことで「傑作キット」が「超傑作キット」に進化したと言っていい内容になっています。

 超傑作化のワケ、その3。米/英3種類のマーキングを再現できるデカール、窓のマスキングに超便利なマスクシール(ユーザーがカッターナイフでカットする必要アリ)も同梱され、大判の塗装図や詳細な解説も付属したことで、まさに完全体となったこと。

 ただのリデコレーションやバリエーションではなく、飛行機模型を作る楽しさと作りやすさをブラッシュアップしたワイルドキャット。「傑作プラモの現在形」をパッケージにうまく収めたナイスなアイテムとして、これからもタミヤの1/48傑作機シリーズに堂々とラインナップされ続けることになりそうです。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

 

花金だ!仕事帰りに買うプラモ。2024年のプラモ初めは「ブラックバニー」でスタートダッシュだバニー!!

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けしている「花金プラモ」。今日から2024年の花金シーズンが開幕です。年末年始で曜日感覚を失ってしまったあなた!! 金曜日ですよ!! 明日なんて土曜日……正月気分が抜けない罠がそこにはある!!!

 ……ってな感じを吹っ飛ばすのが、今回ご紹介するとってもセクシーなブラックバニー「ドイツレベル 1/144 F-14A トムキャット ブラックバニー」でございます。ウサギといえば2023年の干支でしたね〜。そんな2023年の思い出と共に、このプラモで2024年のスタートダッシュをかましましょう!!

▲本キットと内容物は同じ。組み味ポイントはこちらの記事を参考にしてね

 ブラックバニー、ブラックトムキャットと呼ばれているスペシャルな黒いトムキャット。VX-4という戦闘機の兵装システムの試験評価をする飛行隊で運用されていたトムキャットです。黒いボディにうさぎのマーキングという、超セクシーなジェット機。そして、本キットは箱をあけた瞬間から「できてる!」って叫びたくなるような仕様満載なのです。

▲黒いのよ!! もう組むだけでかっこいいブラックバニーになるの!!

 成型色(プラスチックの色)って本当に大事。箱に書かれた「ブラックトムキャット」という文字に偽りなし!! 箱を開けた瞬間に、真っ黒いトムキャットのパーツとご対面なのです。パーツの表面も綺麗で、見ているだけでワクワクしちゃいます。

▲胴体上面。可変翼部分のグローブのモールドやパネルラインがくっきり入っています。1/144スケールでも存在感を失わないように、メリハリあるモールドが各所に刻まれているんですね

 小さいパーツ分割はいっさい無し! 水平尾翼まで一体成型された胴体上部、1パーツで成型された胴体下部など、ランナーの中ですべて何のパーツかわかると言えるくらいです。だから「初めてトムキャットを作る」という人にもぜひオススメしたいんですよ〜。

▲機首も左右貼り合わせれば完成。ここもパネルラインが密集していて、ついつい目が喜んじゃうパーツです
▲キャノピーも1パーツ。組み上がった機首にポンと乗せるだけでOK
▲ブラックバニーの他に、ゴーストライダースのデカールがセットされます。組んだキットにバニーを貼るだけでもいいですね!

 軽快に組めて、さらにかっこいいトムキャットが手に入っちゃう超素敵なプラモ。ブラックバニーだけでなく、グレーの成型色の「ジョリーロジャース」仕様もめちゃくちゃかっこいいのでオススメです。1/144スケールの傑作ジェット機プラモは新年のプラモ初めにぴったりですよ!! それでは。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

花金だ!仕事帰りに買うプラモ。2023年に読まれた「花金プラモ」ベスト10発表!!!

▲今年も毎週金曜日に、様々なプラモデルをご紹介しました。その中から注目を集めたTOP10をご紹介します

 毎週金曜日に週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でご紹介している「花金プラモ」コーナー! 2023年で読まれた本コーナーの記事ベスト10をお届けします。花金が楽しくなっちゃうんですから、年末年始にもピッタリなプラモばかり!! ぜひ読んで2024年のプラモ初めの参考にしてください!

第10位
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。ノスタルジーな美しさをストレスなく楽しめる「F-15」。ハセガワの定番ヴィンテージで乾杯。

 ハセガワは、1998年にリニューアルキットとして「F-15J イーグル」を発売。ここでご紹介するF-15のプラモは、旧キットの方なんて呼ばれたりする古いF-15。定期的に定番キットとして発売されているので、お店では新旧入り混じって販売されているんです。しかし、古いからって侮るなかれ。F-15の形を爆速で楽しみたい! って人にはすごく寄り添ってくれるアニキなプラモなんですぜ!

第9位
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。真夏の海に「桜」で行こうぜ!「タミヤ 1/700 日本駆逐艦 桜」

 ウォーターラインシリーズの中にある、ポッキーの箱くらいのプラモって妙に手に取りたくなるんですよ。箱のサイズ感とイラストの凝縮感がマッチしているのかもしれません。このサイズの艦船模型、本当に楽しいのがたくさんあります。「桜」もそのひとつ。この船は太平洋戦争の末期に、日本海軍がなんとか短期間で数多くを建造し船団護衛などの任務に適する船を送り出そうと計画された「丁型及び改丁型駆逐艦」に属します。シンプルですが必要な武装などもしっかりと揃えられていて、大戦末期の戦いに合わせた合理的な設計になっている船なのです。

第8位
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。マクロスプラモのマスターピースを楽しもうぜ!/ハセガワ マクロスプラス 1/48 YF-19

 最高に“かっこいいディテールで目が喜んじゃうでっかい飛行機プラモ”を刺身で楽しみましょう!! ハセガワマクロス模型の中でも、個人的にパーツ分割、剛性、ディテールと全てが高次元でまとまっているスーパーキットだと思います。マジでかっこいいので、ぜひこの年末年始に楽しんでください。

第7位
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。ちっちゃいのに超作りやすいタミヤ新作戦車模型!「1/48 アメリカ M8 自走榴弾砲」

 これだけ小さな車両を少ないパーツ数、キレのあるモールドで立体化できると僕たちに見せてくれた素晴らしいプラモデル。タミヤの今後のラインナップに期待を膨らませながら乾杯したくなります!

第6位
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。12月8日の花金は「零戦」を買おう。

 12月8日は真珠湾攻撃が行われた日。その日と花金がちょうど交わった年でした。タミヤとハセガワの零戦は、コンセプトは違えど、どちらも素晴らしいプラモデルです。ぜひ日本を代表する戦闘機をこの年末年始に作ってくださいね。

第5位
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。私が戦車プラモの楽しさを伝令します!「タミヤ 1/35 スケール限定 ドイツ IV号戦車F型・伝令バイクセット 北アフリカ戦線」

 戦車模型の幕の内弁当とも言える「1/35スケール限定 ドイツ IV号戦車F型・伝令バイクセット 北アフリカ戦線」。すでに発売中のタミヤミリタリーミニチュアのキットを、うまくコンバートしてひとつのセットに収めたものです。だからタミヤの戦車模型の良いところ取りなんですね。「これから戦車模型を始めたい!」って人にピッタリなんですよ。そして特にピッタリな理由が、このセットに「伝令バイク」のプラモが入っているということです。

第4位
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。日本の最強戦車を最高の組みやすさで楽しもう!!「タミヤ 1/48 ミリタリーミニチュアシリーズ 陸上自衛隊 10式戦車」

 超絶日本人なアニキ、各装甲に超細かく刻まれたディテール、そして柔らかさまで表現されたパーツと各部を見ているだけでワクワクしてきます。そして各部のディテールや情報量の凄さを保ちながら、少ないパーツ数に抑えているのもポイント。大きめのパーツをカチカチと合わせていくこと工程が多いので、スイスイと形になっていくとっても楽しいプラモです。

第3位
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。心躍る「本棚のプラモデル」をあなたのお部屋に置いてみよう!/ミニアート 1/35 本棚

 個人的にもこの記事をたくさんの人が読んでくれて嬉しいです!! 日常的な景色をプラモ化しているミニアートにはぜひ注目してほしいです。本はランナーから切り離すだけで完成しましす、棚の組み立てもそれほど難しくありません。様々な模型の横に添えたくなるプラモです。

第2位
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。マックスファクトリーが再構築したダグラムでGet truth!「COMBAT ARMORS MAX27 1/72 ダグラム Ver.GT」

 エントリーグレードガンダム発売以降「ガンダム以外のキャラクターモデル」で、あの組みやすいフォーマットを、しかも他メーカーが取り入れてきたという殴り込み系のメカプラモです。そんなアグレッシブさが花金の向こう側へと僕たちを誘ってくれます。こちらのダグラムは、太田垣康男氏が描く大好評連載中コミックス「Get Truth 太陽の牙ダグラム」に登場するデザインをキット化したもの。かつてコミック特装版には右腕がカッターアームの状態のキットが特典として付属しました。そのキットをベースに、劇中第1話の姿を立体化したのがこのプラモです。

第1位
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。今だからこそ作って欲しい、2001年にタミヤが提示した「組みやすい車模型」

 映えある第1位は「タミヤ 1/24 スポーツカーシリーズ No.231 スバル インプレッサ WRX STi」!! おめでとうございます!!! このプラモは2001年5月に発売されたのですが、マジで時代を先取りしまくっていたのかのような、今の車模型のトレンドのひとつとなっている「とにかく組みやすくて、組んだだけですごく満足するパーツ構成」というものをとっても大事にしたプラモとなっています。まさにタミヤ版の楽プラ(アオシマ文化教材社が発売しているザ☆スナップの車模型などの愛称)とも言える車模型なのです。今こそ組んで欲しい、時代を超えてやってきて名作です。

 花金プラモは最新キットからお店の棚に並んでいる定番キットまで、僕自身が「週末が楽しくなるプラモ」として超独断セレクトでお届けしています。この中には初めて組んだプラモも多いので、記事を書きながらも出会いを楽しんでいます。2024年も一人でも多くの方と、毎週模型で乾杯できることを願ってやっていきます!! それでは年末年始、乾杯をもっと美味しくをキーワードにお過ごしください。それでは!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

当時のアメリカの兵のように「タミヤが印刷した虎」を眺めた話/タミヤ 1/48 百式司偵III型

 箱を開けたら虎のマーク! 水転写デカールにドキリとさせられ、このプラモ「タミヤ 1/48スケール 百式司偵III型」が愛しくなってしまったお話です。

▲プラモデルという商品において、プラスチックパーツと共に多くの人に愛されているのが、この水色のシート「水転写デカール」です

 プラモデルの箱を開けると、プラスチックのパーツの他に水色の台紙に綺麗な印刷が施されている「水転写デカール」というものが入っていたりします。戦車や飛行機のプラモにはほぼ確実に入っています。これは非常に極薄のシールのような物。使いたいマークの部分を切り取り、水につけることでマーキングが浮いてきます。その浮いたマーキングをぺたりとプラモに貼ることで、非常に美しく注意書きや部隊マークなどを表現できます。プラモデルにおいてはとっても大事であり、マーキングを施す手法としては最もポピュラーな方法のひとつです。

▲タミヤの百式司偵には、本機のストーリーブックがセットされます。この中の1枚の写真に心を奪われました

 時には「こんな派手なマーキングが実在したのか!?」と驚くものとも出会えます。デカールは驚きに溢れているのです。戦意高揚という意味や、舞台で心を一つにするためなど様々な想いや願いが込められているんだろうな〜と、デカールを見ながら勝手に妄想するのも好きです。派手なマークは、視線や感情を奪っていく……。そして当時の人も同じだったであろうことが、本キットの中に入っている冊子でわかります。

▲飛行機に虎が描いてあったら、そりゃみんな興味津々ですよ

 撃墜された百式司偵に描かれた「虎」をしげしげと眺めるアメリカ兵。まさにプラモの箱を開けた時の僕と同じような目をしています。しかも、モノクロ写真でもわかる絵の迫力。「虎部隊」を背負った人たちの猛々しさがこの尾翼に描き込まれています。ひとつのマークが魂を震わせる……タミヤが、自身の製品をさらに魅力的に見せるためのバックボーンも箱に詰めてくれているおかげで、水転写デカールに印刷された物語も楽しめる。プラモデルという商品を“見る楽しみ“を、改めてタミヤの百式司偵察に教えてもらいました。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)