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本家本元のテンペストは、組むのも塗るのも楽しめる最高の設計!/エアフィックス イギリス空軍 ホーカー テンペスト Mk.5

 久しぶりにイギリス人が作るイギリス空軍の名機プラモデルを食しました。本場のフィッシュ&チップスを食べた気分だぜ!!(ヒースロー空港近くのフォークを入れたらバラバラになるような奴じゃないぜ!!)
 マジで美味しいプラモで、組むから塗るへの工程にめちゃくちゃアクセスしやすい上に、パーツが合わさっていく瞬間もダイナミック。飛行機名のテンペスト(暴風という意味)の名に偽り無しな勢い満点のプラモでした。

 コロナ以降、自分の中でちょっと距離が開いてしまった赤い箱。安定して入ってこなかったりと、まぁ近年は世界が色々大変だからしょうがない。でもこうして久しぶりに英国のメーカー・エアフィックスの箱を掴む機会がやってきました。この箱のレイアウトはやっぱり好きで、買ってよかったなと思えるし、箱を開けた時の酸っぱい匂いはエアフィックスとの再会を決定づけるもの。手と鼻に馴染むこの感覚。やっぱりエアフィックスは良いのです。

 このテンペストはエアフィックスが2022年に送り出した完全新規キット。韓国のアカデミーや、チェコのKPモデルなどが1/72スケールを発売していましたが、本家本元が満を持して発売。テンペストはMk.I、Mk.IIやMk.V、Mk.VIなどのバリエーションがあるのですが、エアフィックスはその中でも最もメジャーなMk.Vに絞ることでパーツ構成をシンプルにしています。またテンペストはタイフーンの改良型という位置付けにもあります。タイフーンもエアフィックスはプラモを出していて、nippperでもきっとレビューが読めるので以下のリンクから読んでください。記事を読み比べすると、テンペストはめっちゃ似ているのに、エアフィックスがパーツ構成を全く替えてきているのが分かりますよ。

 テンペストは第二次世界大戦後半に登場。イギリスの飛行機といえばスピットファイアやハリケーン、モスキートなどが有名ですね。テンペストは、700km/hを超える高速性能を生かし、大戦末期のドイツ空軍を叩き潰すのに大いに貢献。巨大なネイピアセイバーエンジンを冷やす為のラジエーターがポカンと口を開けているみたいについています。僕はこのマッチョな感じが大好き。華麗なスピットファイアとは相反する魅力があります。イギリスのパワーが凝縮した感じです。

 機首の下にあるラジエーターのディテールも上質。本体にもシンデレラフィットして最高なのです。

 1/72スケールらしく胴体の中はシンプルなので、サクサク形になります。コクピットの椅子も3点もの軸で支えられるので、ガタつきがほとんどありません。

 組んじゃってからでも、上から下からと筆が入りそうなので、胴体内部は塗れそうですね。こういった塗りへの割り切り方もとってもうまいプラモです。こんなに胴体下部ががらんとしている理由が以下で分かります。

 主翼上面パーツに、コクピットの下側のパーツが一緒に一体成型されているのです。これによって胴体下側に大きな空間が生まれています。また主翼の内側には脚庫内のディテールが彫刻されており、裏面の主翼パーツに開けられた脚庫の穴とぴったり合わさって、ディテールが見えるようになっています。

 このパーツも最高。ラジエーター後部と脚庫の隔壁&フレームが一体になっています。これを裏面になる主翼パーツの内側に貼ると、脚庫内の壁が完成し、ラジエーターから伸びるラインも形成されます。

 アクロバット飛行のようにして、胴体と翼が合体します。ラジエーターの後ろ側を胴体の奥に思いっきり突っ込んで、スライドさせるようにして合体するのです。この時、操縦桿の位置に気をつけないと、椅子とぶつかって操縦桿が無くなり、操縦不可能なリアル暴風(テンペスト)にジョブチェンジしてしまうので気をつけてください。僕は3回やりました。そんな大胆な合体も、このキットの良いところですよ!

 キャノピーが乗るフレーム部分は別パーツ。これによって塗装が超ラクになります。これはイギリスからのおもてなしですね〜。

 英国人が作る英国人パイロット。日本のメーカーが生み出すイギリス人体型とはちょっと違って見えるもの面白いです(意外とヒョロヒョロしている)。またタミヤのバキバキのアニキなどのフィギュアに見慣れてしまうと、なんともマイルドなアニキ。でもこれがエアフィックスのちょうど良い旨味なんです。

 ここまで組んだら、一気に塗装できます。ランナーについたままにしているパーツは、ランナーに繋がったままで塗って、その後に組み付けようかな〜と思っているものです。胴体や主翼の楽しい組み立てを味わってからでも、しっかりと塗りやすい構成になっていて、本当に好感が持てるプラモです。デカールもイタリアの高品質デカールメーカー・カルトグラフのものが入っています。

 「今年イギリス行こうかな〜」と、イギリスへの思いが高まっている僕にとっては、最高のスイッチになるプラモでした。今のエアフィックスのクオリティを楽しむのにももってこいのプラモなので、ぜひ買って作ってください。それでは!

フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

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