

F-15イーグルがアメリカ空軍に初めて実戦配備されたのが1976年。航空自衛隊にF-15が配備されたのはその翌年。ハセガワが最初に1/72のプラモデルを発売したのはなんと1974年!初号機がロールアウトして間もない「近未来の戦闘機」がプラモデルになった……と考えるとこの製品のスゴさがわかるだろう。そしてなんと、いまだに買えるのである。どの模型店でも、いつでも、ほぼ確実に、1000円以内で!

機体表面のパネルラインはヤスリで削れば消えてなくなる凸線、コクピットはわずかに3パーツ。いまやインターネット検索で瞬時に実物の様子がいくらでも見られる時代だから、もっと解像度の高い後発のプラモデルは選び放題。でも実売800円で買える1/72のF-15イーグルはこれしかない。言うてみりゃ、真っ白でポリキャップの入っていない、初代の300円ガンダムみたいなもん。あれを真面目にギンギンに改造してキチーっと塗る楽しみも否定しないけど、キットの朴訥な昔ながらのありさまをそのままストレートにギュッと呷るのもいい。

胴体はケツからコクピット前方まで上下にガボーンと2分割。合わせ目はガッツリと出るけど、この合わせ目が嫌なら「新しい方のイーグル」を買ってくりゃいい。合わせ目を消そうとしたらヤスリで凸線が消えちゃう?消さなければいい。ここに合わせ目があるから、完成したあとからも「1974年のイーグルだ!」とわかるんだ。ヴィンテージのジーンズを染め直したら、もったいないじゃない。
なにより、これを今の高精度な工具と高性能な接着剤でスパスパと組めてしまうことが愉快だ。「飛行機模型ってどういうものなんだろう?」と思ったときに、800円でちゃんと飛行機になるプラモデルがまだ買えることが奇跡だし、その向こうに大きな世界が広がっていると思えば素晴らしい入口になる。

着陸脚やミサイルなどのこまかいところを除けば、たった23パーツで「どう見てもイーグル」というカタチになる。設計自体はしっかりしているから、スキマや段差を恐れなくてもいい。イーグルがこの世でその任務を授かってから今日まで、たくさんの人々を飛行機模型の世界にいざなってきたステキな功労者がここにいる。何度も言うが、精密で正確でパーツ数が多くてビシッと端正な仕上がりのイーグルがほしければ他に選択肢はいくらでもある。このキットが教えてくれるのは、切って、貼って、そこに現れるカタチを眺める……というプリミティブな模型の喜びであり、それが50年経っても何ら変わらないことなのだ。