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ファインモールドの最新キット、F-15イーグルを組んでビビろう!

 ファインモールド製F-15の主翼上面、エルロンを取り付ける前の状態です。フラップとエルロンの間に超小さい三角形の出っ張りがあります。プラモデルを設計して「こんな金型を作ってくれ」と言ったらおそらく金型職人にめっちゃ怒られますが、ファインモールドはそういえば自分で設計して自分で金型を彫っているのでした。「自分で考えたことの責任は自分で取るぜ!」というファインモールドの自負がビシバシ伝わってきます。

 大戦機のみならず、F-14、F-4、F-2とジェット戦闘機を手掛けてきたファインモールドの最新作、F-15です。まずは航空自衛隊の初期仕様「ホットスクランブル1984」が発売されましたが、続いて改修型の「“J-MSIP”(近代化改修機)」が発売予定。さらに複座のDJ型、米空軍のC型およびD型も順次模型店に並ぶことになっております。ところで『ひそねとまそたん』はマジで良いアニメなので観ましょう。

 ファインモールドのF-15はとにかく「パーツの位置決め」に本気です。F-15って全体的にシンプルなカタチをしているので昔はざっくりとしたパーツ構成のプラモデルが多かったのですが、それだと50年以上の長きにわたってちょっとずつ各部のカタチやディテールを変えて進化してきたのを正確に再現するバリエーションキットを出すときに「全部作り直し!」ということになってしまいます。そこで「バリエーションキットを出すときに変化するところを最初から分けておこう」と考えるわけですが、今度はパーツ分割がめっちゃ細かくなります。これがスケールモデルの悩みのタネ。

 たとえば胴体下面の左右がごっそり別パーツになっているのも、「あとでE型まで作っちゃおうかな〜」という構想を伺わせるものですが、パーツが増えるとピシッと貼るのが難しくなります。プラモデルのパーツがビシッと合うというのは設計だけでなく、金型を加工したり成形するときに寸法通りになるように温度や圧力や冷却時間を調整したり、さらにユーザーが狙ったところにパーツを寸分違わずはめ込み、接着できるか……といったいろんな要素が絡み合います。ファインモールドは今回F-15を模型化するにあたり、「とにかく位置決めがしっかりできるようにするぞ!」という設計を随所に盛り込んでいます。

 コクピットがバシッと組めるのはまあいいとして、例えば脚収納庫後方に伸びた機体下面のパネルが機首左右パーツとツライチになってくれるか、とかノーズコーンが機首パーツとツライチに貼れるか、みたいなことも重要です。飛行機の表面に段差があったら嫌だもんね。

 合わせ目が出ないようにパネルを割っているのはもちろん、ノーズコーンもただ面と面で貼り合わせるのではなく、機首内部から飛び出た丸い出っ張りに被せるような構造になっています。なんとなーく組んでいてもパーツが所定の位置に収まってくれるのはこのおかげ。もちろんパーツをカットした跡が残っているとキレイに組めませんので、そこの処理だけはしっかりやってください。

 胴体と機首ブロックの接続も丸い軸と周囲の段差によってバッチリキレイに位置決めできます。「誰が組んでも、必ず正しい位置にパーツを貼れる」というのはプラモデルを確実に組めるようにする工夫ですが、これって案外難しいこと。ひとつひとつのパーツがどう組み合わさるのかを想像しながらていねいに設計されたF-15、これから10年以上にわたって多くの人に組まれることでしょう。日本とアメリカ、さらにイスラエルやサウジアラビアでもいまだに第一線級の能力を持ったイーグルの姿を、ぜひみなさんの手で組み上げてください。「イーグルってこんなにかっこよかったっけ!?」と驚かせてくれるはずです。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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