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大きいプラモデルは気合を入れて作らなきゃいけないなんて、誰が決めたんだ/タミヤの巨大なF-15Cをおもむろに組む!

 「大きいF-15、組んだことないな!」という理由だけでプラモデルを買ってもいいということが知られています。とくにタミヤの1/32スケールジェット機はお値段がわりと控えめなのにとんでもない大きさになるので軽率に机の上が埋まります。大きい模型からしか得られない栄養があるので気軽に摂取していきたい。

 プラモデルって「大きいから難しい」とか「大きいから大変」ということはあんまりないと思ってて、ただやることが大きくなるだけなので楽しい。パーツを見ているだけで「わはは、大きい」という娯楽となりうるわけです。

 わたしはことあるごとに主張しているのですが、大きい模型はそれだけでシャープかつ立体的に見えます。小さなスケールのプラモデルと同じ太さの線や同じ厚みのエッジも、大スケールだと相対的に繊細に見える。さらに視界からパーツがはみ出すので立体感が倍増します。視野の中に収まらないものって、自分の視線や頭そのものを動かさないとカタチが把握できない。動くと見える景色が変わる。そうすると、対象の持っている起伏が強調されるというわけです。

 ただ大きいだけじゃなくて、小さいスケールのプラモデルではこまかすぎて再現できないところも余裕たっぷりにパーツ化されるというメリットもあります。右インテークの側面にあるみんな大好き20mmガトリング砲(M61 バルカン)も少ないパーツ数でこのとおり。蓋をしたら見えなくなるけど、こういうところにも「大スケールっていいよなぁ……」という具材が入っています。

 コクピットもむやみにパーツ数が多いわけじゃなくて、ただひたすら大きくてはっきりした彫刻のパーツのオンパレード。しかもね、デカいから組んだあとからでもまあまあ筆が入るんですよ。こまかく指定通りに塗り分けながら組んでもいいけどさ、組んでから見えるところだけチャッチャと塗ってもいいんですよプラモデルって。

 そしてパイロットもデカい。嬉しい。フライトスーツのシワやポケット、ベルトもハッキリ見えるからルーペをしなくても塗れます。見えるって大事だね。大きいと見える。これはテストに出ます。

 パイロットが座る椅子はこれがワンパーツで用意されていて、あとは背もたれの裏側のパーツをちょっと足すぐらい。これまた実物はけっこういろんな色のカタマリになっているんだけど、大きいからラクラク塗り分けられちゃう。ちょっとハミ出してもなんか取り返しの付かない失敗にはならない。小さい模型、1mmはみ出しただけで「うーん、大失敗」って感じになるもんなぁ。大きいって、いいよなぁ。

 さあ、ゴリゴリ組んでいたら机の上からはみ出すようになってきちゃいましたよ。どうですか。いいですね。大きいイーグル、有り体に言って「どうすんだよこれ……」というサイズ感です。だけど、「人生に一度のチャレンジ!」みたいに意気込まなくても大丈夫な包容力というか、俺について来いよ的な分厚い背中というか、ついていきたくなる信頼感がある。頑丈だし。ということで、みなさんも軽率に組んで語彙をなくし、「デカい」と叫んでください。いつでもこういう驚異が模型店に並んでいるって、マジでステキなことだと思うんです。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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