

ベトナム戦争後に急速に装備の刷新が進み、「コットンの装備に金属のヘルメット」から「ナイロンの装備にプラスチックのヘルメット」へと、兵隊の見た目も大きく変わった80年代のアメリカ軍。戦車もカクカクしたエイブラムスになり、ブラッドレーのような新カテゴリーの車両も登場しました。そんな「無敵の最新ハイテクアメリカ軍!」というイメージを、ヘリ部門で象徴したのがUH-60 ブラックホークです。
都合100回以上見ているミリタリーマニアがゴロゴロいるというド名作映画『ブラックホークダウン』で超カッコよく飛んでいた(そしてハデに撃墜されていた)有名ヘリですが、ブラックホーク以前の米軍の多目的軍用ヘリといえばUH-1。どこかオート三輪みたいな顔つきのUH-1に比べ、より大型で物々しく強そうで猛禽類っぽい(そして名前もカッコいい)ブラックホークには、「ウオォォ、これがモダンなウォーフェアじゃい!」という説得力があるように思います。

そんなイメージをそのままパッケージしたようなキットが、ハセガワの1/72 UH-60A。なんせ発売されたのが1985年。ブラックホークの運用開始が1979年ですから、先ほど書いたような驚きがそのままパーツになっております。



どのへんからハセガワの驚きが伝わってくるかと言いますと、当時の最新装備を身につけたアメリカ兵が4人も付属している点。防弾チョッキやヘルメットの彫刻は妙にシャッキリしてるし、1/72なのに超ちっちゃいライフルが別部品になってるし、「すげーヘリからヤベー兵隊が出てきてカッケー!」という、当時のハセガワ社員のテンションが伝わってくるようです。この点からは、80年代半ばにやたらと当時の現用アメリカ軍アイテムを発売していた、タミヤMMにも通じるバイブスを感じますね。



もちろんハセガワなんで、ヘリ部分にも手抜きなし。特にキャビンの内部は操縦席に加えて、3列ある歩兵用シートや外に向いているドアガンナー用のシートも立体化されており、ブラックホークはパンパンに積めば14人も乗れるヘリであるということをわかりやすく納得させてくれます。14人も乗れるのか。改めて見るとスゲーな。


そして完成してしまえば、そこに現れるのは『ブラックホークダウン』で何万回と見たあのシルエット。このキットは運用開始からさほど時間が経っていない、ほぼスッピンのUH-60を立体化しているので映画に出てきた機体とは細かいところが色々違うんですが、しかし大筋では同じなのでヨシ! 排気管からテールブームにつながるところの、マラソン選手のアキレス腱見たいなキュ~ッとしたラインとか、超カッコいいです。


そしてこのキットの激オモロポイントが、付属の歩兵のみなさんと組み合わせての人形遊び。ビークルとちっちゃいフィギュアを組み合わせたプレイセット的な面白みがあり、このキットからはかなりダイアクロンと同じ味がします。兵隊の服装や装備もほとんど『ブラックホークダウン』の時のレンジャーの皆さんと同じだし、これ一箱で気分はもうリドリー・スコットです。
というわけでハセガワのブラックホークは、80年代米軍に対するワクワク感を見事に閉じ込めた一箱となっております。ガッチリ手を入れて作るのも全然アリなんですが、個人的にはそのまま組み立てて机の上をバカラマーケットにしたり、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの『Voodoo Chile』を流しながらブンドドするのもオススメ。ぜひとも試してくださいませ。