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あの頃気になってたプラモデルを組んでみる/童友社のマリンジャンボ

 買っちった。マリンジャンボ。ANAの機体デザイン公募で「小学生の女の子の作品が採用された」ということもあって学校向けの壁新聞的なヤツでも大々的に紹介され、飛行機に乗ったことがなくとも「クラスのみんなが知ってる」くらいの知名度だったラッピング旅客機のはしり。当時どこの模型屋さんにもなんとなく一個は並んでいたのをおぼえている。


 箱を開けると当時のラインナップを紹介するカタログも同梱されていた。マリンジャンボ自体は限定商品(のハズ)なのでここには載っていないけれどデカール以外は同じである1/144 ボーイング747-400の価格が¥3800なのでちょっと高いくらいだろうと当時価格を推察する。参考までに同じ頃店頭にあった当時のガンプラのフラッグシップ、1/60 V2ガンダムは¥3000だった。「当時両方を手にした子供はいただろうか?」などと考えてしまう。

 自分は小学生当時ビニール風船を買い与えられて、プラモじゃないのかと微妙に肩透かしをくったような気分でいた。そうはいってもプラモ売り場に行けばガンプラやミニ四駆に目を奪われていたあの頃、なにかひとつ買ってあげるよと言われた時に¥3800のマリンジャンボをねだっていたかというと中々怪しい……。自分の世代にとってスケールモデルとは既にそんな距離感の存在だった。


 そんな微妙な位置の当時の花形スケールモデル(?)は中古通販で¥7000弱で買った。生産終了した30年前の限定キットとしてはプレ値というほどでもない気がする。ガンプラだったら何個買えるのに!とかそういう皮算用をする気分はさっぱりないし、組み立てるつもりで買ったのでこの先コレクションとしての価値がつくかどうかという感情もない。かといって、先述の通り「万感の思いを込めて~」というのもちょっと違う。作りたい対象に対してこの額を出す価値を見いだせるかという一点に尽きる。自分もそういう買い物をする齢になったのだ。

 ホッチキス止めじゃない密封された袋の封を切ると、工場で袋詰めされて以来の外の空気だよって伝えたくなる。どうだい?30年ぶりのシャバの空気は。


 もう流石に黄ばんでしまっているけれど巨大な機体に貼る巨大なデカール。本当に貼れるの? 名人じゃなくてもできる? 絶対窓とかズレる自信があるよ。リタッチするかどうかとかそういうのも含めて胆力を試される気がする。

 車輪がたくさんのランディングギアもちゃんと用意されている。ジャンボなだけあって車輪の数も半端ないな。しかもこいつは形式名の末尾に「ダッシュ400」が付く拡張型。ミニ四駆もびっくりのダッシュマシンなんだぜ……(?)。


 ジェット旅客機のメカ的魅力、主翼から下げられたジェットエンジン。よく見えるファンも気持ちの良い彫刻。まぁ「あの日気になったプラモを僕はまだ組んでいない」に決着を付けたいなぁみたいな気分で向かい合っているので、ハードとしての「出来栄え」自体はあまり関係ないんだけどね。見せびらかしたかったんだ、30年越しに買ったプラモをね……だって思った以上に良く出来てるし……。

 そんなわけで、なんだかちょっと気になるな……から「思い切って買う(30年越し)」は達成した。デカールの封も切った。仮組みもした。作るしかない、もう引き返せないんだ。僕もオトナになったから。あの頃気になっていたプラモを組む。同窓会で「実はあの頃好きだったんです」というような気恥ずかしさがあるよ。オトナになってもね。

HIROFUMIXのプロフィール

HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

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