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タミヤの傑作飛行機プラモデル、ワイルドキャットが「超傑作」に進化した3つの理由!

 突然ですが、タミヤのワイルドキャットがとっても好きでした。過去形なのは、今回の「新キット」登場のおかげで、もっと好きになってしまったからです。必要最低限のパーツ数に、それぞれがガッチリと組み合わさる堅実な設計。ひとつひとつにくっきりハッキリと入れられた濃いめの彫刻。組み上がるのはズドンと頑丈そうなアメリカの艦載機。F4Fという飛行機のことを知らなくても、いちどタミヤの1/48モデルを組めば、たちまちファンになってしまうはずです。

 つい先日発売されたタミヤの「グラマン FM-1 ワイルドキャット/マートレット Mk.V」は、1994年に発売された「グラマン F4F-4 ワイルドキャット」をアップデートした内容。グラマン社からゼネラル・モーターズ社に製造拠点を移管したモデルは主翼の機銃が6挺から4挺に減らされ、搭載できる弾数が増加。米海軍の艦載機としてはもちろん、イギリスでも「マートレット」と呼ばれて重宝されました。

 超傑作化のワケ、その1。不思議なことに、上の写真のF4Fと新しいFM-1は確かに主翼のディテールがちまちまと異なるのに、それ以外のパーツはどう見ても同じ形状に見えます。ランナーの脇に走るパーティングラインとそれにまとわりつく小さなバリも「最新キットのために新しく彫った金型」じゃなくて、なんか同じ……。このカラクリをタミヤに問い合わせたところ、「従来品であるF4Fの金型を直接改造し、新しくFM-1という製品に仕立て直した」とのこと。つまり、今回新たに金型を起こしたのではなく、「既存の金型を改造して飛行機の違いを再現する」(=今後は従来の形状のF4Fを製造することはできなくなる)という大胆な決断です。

 超傑作化のワケ、その2。タミヤは英海軍機としてのマートレット(グレー/グリーンの迷彩)をメインビジュアルに推していますが、米海軍仕様で作ることも可能な本キット。主翼の変更だけでなく、パイロットもまるまる新しく作り起こされたことで「傑作キット」が「超傑作キット」に進化したと言っていい内容になっています。

 超傑作化のワケ、その3。米/英3種類のマーキングを再現できるデカール、窓のマスキングに超便利なマスクシール(ユーザーがカッターナイフでカットする必要アリ)も同梱され、大判の塗装図や詳細な解説も付属したことで、まさに完全体となったこと。

 ただのリデコレーションやバリエーションではなく、飛行機模型を作る楽しさと作りやすさをブラッシュアップしたワイルドキャット。「傑作プラモの現在形」をパッケージにうまく収めたナイスなアイテムとして、これからもタミヤの1/48傑作機シリーズに堂々とラインナップされ続けることになりそうです。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

 

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