イギリスのアニキと英語を使わずに会話する/エアフィックスのタイフーン・愛。

 「なーんか飛行機、サクッと組みたいな」とハコを開けて、こういうパーツが出てくると驚きますよね。一見なんだかわからない。これは飛行機のどこなんじゃ……と説明書を読むと、どうも空冷エンジンの空気取入口と着陸脚の収納庫とコクピットの床が一体になったパーツらしい。裏にも表にも意味があるパーツって飛行機プラモだとけっこう珍しいので(水平尾翼みたいな薄いパーツを除けば、だいたい「表」に彫刻が入っていて、それを貼り合わせてカタチを作っていくからね)、嬉しくなっちゃいます。

 しかしイギリス人……というかエアフィックスという会社はタイフーンという飛行機が相当好きですねこれは。1/24でも異常なコダワリを見せたプラスチックの狂気みたいなプラモを発売してますが、1/72でもちょっと解像度が高すぎる。普通の飛行機模型ならサラッと流しちゃいそうなところも、どうしても再現したくなっちゃうんでしょうね。

 とりあえずコクピット周りと胴体を仮に合わせてムフフな時間を過ごす。「意味のない空間」がほとんどなくて、飛行機って案外ミチミチと機能が詰め込まれているんだよなぁ、と改めて思い知らされます。こういうのは完成するとわからなくなりがちなので、みなさん組みながら「ほほーう」と感心するといいです。この「組む過程で刷り込まれる感触」がプラモのいいところだぜ。

 イギリス空軍といえばスピットファイア……?ノンノン、これを見ろ!と言わんばかりの主翼に取り付けられた4本の機銃。翼の中に収められて見えなくなっちゃう機関部と弾帯までびしゃーっと彫刻してあって、「いや、こんなん見えなくなりますやん!」って叫んじゃった。胴体の中のディテールもコクピット周辺だけ執念深く再現してるし、やっぱりエアフィックスはこの飛行機だけ特別扱いしてるよね……。

 説明書を見ると「内臓を見せたければパネルを切り離せ!」と書いてありました。スパルタです。パーツの裏にカットライン……なんて親切な計らいもなかったので、スジ彫りに沿ってナイフを何度か走らせ、スパッと切り取り。エアフィックスの柔らかいプラスチックがこういうときにすっごくありがたく思えます。そう、プラモはプラスチックがどんな感触で切れるかも全部違うんだよね。この会社のプラスチックは工作の楽しさをまざまざと見せつけてくれる粘り気とソフトなタッチがたまらんのよ。

 開いた状態のガンパネルのパーツが用意されてるやんけ!とワクワクしながらこれを開口部に接着。いいねいいね。基地で機銃に弾薬を補給している光景がパァーッと思い浮かびます。飛んでるタイフーンもいいけど、地上にいるタイフーンが俺らにとっちゃあ「らしい」ってもんよ!というジョンブルアニキの心の声が、こうしてプラスチックのパーツに乗っかって届いてくるわけです。言葉にはなっていないけど、設計だけで伝わってくるラブとアピール、こうやってキャッチすると、外国語を喋れなくても海外の人とコミュニケーションがとれるっちゅうことだね。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。