「ピックアップ」カテゴリーアーカイブ

ご覧、ソハヤノツルキ。あれが富士山だよ/家康とプラモデルの総本山、久能山東照宮に詣る

 GWも終盤、5月5日が何の日か、という問いはまさに愚問ですね。そう、模型の日です。今年の模型の日にあわせ、静岡にある久能山東照宮において頒布されたのが、冒頭のランナー風御朱印。家康公の愛刀として知られるソハヤノツルキ、金色に輝く三つ葉葵がデザインされています。

 江戸時代家康公が駿府城や静岡浅間神社や久能山東照宮の造営のため全国各地より集めた職人たちが静岡に定住しその後漆器家具などの産業が発展しました、その木端を活用すべく木製模型が始まりプラスチックへの変遷を経て現在の模型の世界首都・静岡が誕生したわけです、家康公が関ヶ原で負けていたら或いはタミヤも存在していなかったと思うと感慨深いものがありますね(早口

 さて、その家康公が祀られているのが久能山。模型の総本山とすらいえるわけで、このような御朱印が出て然るべき、というか遅いくらいでしょう。頒布は4月27日からでしたが、模型の日に合わせて訪れることにしました。久能山東照宮は静岡県、清水駅から車で20分、いちご海岸通りのその先にあります。

 眼下に駿河湾を臨む本殿へは昔ながらの石段を登って行きます。その段数が1159段。イチイチゴクローサンて喧しいわ、という気分ですね。

 不揃いな階段に体力を削られながら何とか踏破。社務所が見えてきますので御朱印をお願いして無事にゲット。本質はあくまで御朱印なので御朱印帳に貼れるように紙でできているわけですね。いつか御朱印風ランナーも出して欲しい。

 せっかくなので本殿にもお参りして行きます。久能山東照宮が模型の総本山などと言ったのはただ嘯いたわけではありません。ほら、プラモが奉納されています。なかなか少ないんじゃないですか?スターウォーズと戦車と戦闘機とガンダムとミニオンが奉納されている神社というのは。そしてなんと、バンダイスピリッツのMGも買えるのです。

 本殿や門など、職人達がその技術でもって作り出した造形を見ると心に熱く燃え上がるものが有りますね。あなた達の残した炎を絶やさずに燃やし続けたい。うおお、こうしてはいられない。早速家に帰って、家康公のプラモデルを引っ掴みます。

 家康公、見ていてください。貴方のおかげで今日もプラモが楽しいです。

いち

16の頃に別れたプラモデルと36で再会した82年生まれ。

母の日にすべてのモデラーへ贈る「捨てるための二度切り術」。


 ゴミ出しを家族にしてもらっている頃には、ランナー捨てるのが大変なんて気づかなかった。

 プラモデルにまつわるアレコレのなかで意外と大変なのがランナーの捨て方だ。そのままゴミ箱に入れるとそれだけで溢れてしまうなんて言うのもザラ。ランナー枠は体積に対してかなり嵩張るし、部品を外した突起は引っ掛かりゴミ袋を突き破ってしまう。だから生ゴミとは別のゴミ袋でださなきゃとか、住んでいる地域によっては専用のゴミ袋が必要なのでいちいち分けるのもなぁ…とか事情が発生したりもする。盆暮れ正月に帰省した先で暇つぶしに組んだプラモのランナーをゴミ箱からはみ出させたりしちゃうのもバツが悪い。

  そんな時に試してほしいのが「捨てるための二度切り」である。本来的な意味で広く知られているのは「部品を美しく切り出す丁寧な技法」なのだけれども、一度目の切り出しで部品に通じる枝の根本や周りのランナーごと切り取るのが今回紹介するやり方のポイント。枝というか、枠を細かくしながら切っていくのだ。

 そういう切り方をするとモノによっては「部品よりも余計なランナー部分の方が大きい」なんてこともままあるのだけれど、副次的に「余計なランナーが大きくくっついてくる」おかげで、もし床まで落としてしまうことがあっても見つけやすい。そして2回目のカットでは部品の方を手に持ってニッパーの刃を入れればポトっと落ちるのはランナーのほう。ランナーから部品を切り取るというより、部品から余計なランナーを切り落とすイメージ。細かい部品の方が摘まんだ指の中に残るという二度切りの利点はそのままですね。

 そうやって作り進めて行くと、プラモが完成した後にランナーがこんな感じに残ります。幾らか長いものも残るのだけど、そのへんは都度捨てるために切っていけばいい。コレならゴミ袋を破るリスクもかなり減ってゴミ出しも快適になる。最後にまとめて細かく刻むより楽だし、先述の転げる部品を見失いづらいという利点もあって、自分は今では自宅でもやっている。柔らかめのプラ素材のキット(要は最近のBANDAI SPIRITSのプラモ)と切れ味の良い片刃ニッパーの組み合わせだとランナーを切るにもスパスパ切れてその感触も心地よいのでとくにオススメ。

 ランナーが枠のまま残ってゴミ箱からはみ出した状態で次のゴミの日まで過ごしたり、いざゴミ袋に入れたら突き破ったりというのがしんどいという経験をしている人はぜひ実行してほしい。実家で暇つぶしにプラモデルを組んだ時にコレをしたら母に褒められた。そうか、僕が実家を出る前はプラモを作って発生していたランナー、母さんがゴミに出してくれていたんだな……。

 ありがとう、母さん。僕はなんとかやっていけてます。 

HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

花金だ!仕事帰りに買うプラモ。カッコよくてカワイイ「オート三輪の最終進化形」を楽しもう。「オーナーズクラブ ’56 マツダ T2000オート三輪」

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週は、手のひらサイズの1/32スケールカーモデルシリーズ「マイクロエース 1/32オーナーズクラブ」の人気モデル「’56 マツダ T2000オート三輪」をご紹介します。

 オーナーズクラブはノスタルジーを感じる車両からネオクラシックまで多数の車種をラインナップ。一昔前のプラモデルなのでおおらかな仕上がりではあるのですが、完成後の佇まいと手のひらに収まるそのサイズ感は作った人の心を捉えて離しません。特にこの「マツダT2000」のようなオート三輪と呼ばれる車種は、オーナーズクラブの中でも多くの人に愛されているモデルです。

 箱を開けると真っ青なランナーが飛び込んできます。これに合わせてタイヤはゴム製の黒なので、組んだだけで大まかな色分けができて十分雰囲気を味わえます。

 組み立てはいたって簡単。パーツ数も少ないので、ニッパーとデザインナイフに接着剤、そしてドライバーが1本あればスイスイ組み立てられます。本キットはシャシー、荷台、運転席というパーツ構成になっており、そえれらをがっちりと固定するためにねじ止めが採用されています。

 見てください、この荷台の迫力! T2000は1960年代に登場したオート三輪の最終進化系。オート三輪は小さくて安価というものだったのが、どんどん大型化していき、このような姿に到達します。マツダT2000はモビルスーツの恐竜的進化とまではいかないまでも、オート三輪の枠を超えそうなギリギリ感がとってもかっこいいのです。

 パーツ数も少なく、安価でとても手に入れやすいので、車の模型をさくっと組んでみるかという人にもピッタリ。ランナーにバリというか、ノスタルジーが漏れまくっていたりしますが、そこはデザインナイフでカットして整えてあげてください。そうするだけで、カッコよくて可愛いオート3輪のプラモデルがあなたの前に納車されますよ。ぜひこの機会に「マイクロエース 1/32オーナーズクラブ ’56 マツダ T2000オート三輪」を作ってください!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

筆塗り名人・清水圭プロデュースの平筆を静岡ホビーショーでゲットしよう!「筆塗り模型専用 チタン平筆 SSD BRUSH」

 多数の模型雑誌で活躍する筆塗り名人・清水圭がプロデュースした「筆塗り模型専用 チタン平筆 SSD BRUSH」が、第62回静岡ホビーショー (一般公開日 5月11日(土)、5月12日(日))のモデルカステン・大日本絵画ブースで発売となります! 会場に行かれる方全員にオススメします。マジでマストバイな使い心地でしたので、記事を読んだらぜひゲットしてください。

 清水圭氏の筆塗りは、水性ホビーカラーを「平筆」で塗っていくのが特徴。そのためサイズの異なる平筆3種がリリースされます。大日本絵画から発売されている書籍「清水 圭 飛行機模型筆塗り塗装テクニック: SIMSONIC DESTRUCTION」とも連動しているので、筆幅を飛行機のスケールに合わせているのも特徴です。筆幅の一番広いサイズが「32」(税抜1200円)、中間が「48」(税抜1100円)、細めが「72」(税抜1000円)となっています。大きなものから小さいものまで、各1本ずつ購入すれば対応可能です。

 本ブラシは化繊100パーセント。チタンを練り込むことで溶剤への耐性も強化しています。化繊ならではの反発力を抑えながら、弾力としなやかさにこだわった筆となっています。

 実際にパーツに押し付けてみると、先端の適度なコシによりしなやかにしなります。そしてそっと筆をはらってみると……。

 スッと筆先が綺麗に戻ります。このしなりと戻りの具合が素晴らしく、細かなタッチを繰り返してもブレることなく快適に筆塗りが楽しめます。

 あえて幅広の「32」筆で、1/72スケール「PLAMAX VF-1」のモールドのキワを塗ってみます。筆先がパーツのキワでしっかりと止まりながら細かなタッチに追従。筆をパーツから離した時に筆先が揃ってくれるので、スムーズに細かなタッチを繰り返して塗っていけます。

 そしてもう一つ驚いたのが、溶剤や水を溜め込む「タンク性能」です。上の写真は筆を水性ホビーカラーうすめ液につけた状態です。筆の根本がぷっくりと膨らんで、しっかりと溶剤を溜め込んでいます。この溜め込んだ溶剤が、塗料を押し出すポンプの役割を果たします。これだけしっかり溜め込んでくれるので、筆先から塗料がスムーズに押しだされるわけです。

 1/72スケール VF-1の機首を、「72」筆で塗装。筆塗りによる筆目のスケール感がバッチリ! これまで説明した性能の通り、スイスイ塗れちゃいます。

 「72」筆で、水性ホビーカラーの白を2回ほど塗った状態。良い平筆で模型を塗ることの楽しさを直球で教えてくれます!!

 「48」や「32」筆も、1/48スケール・1/32スケールしか塗っちゃいけないということはありません。上の2枚の写真は上が「48」、下を「32」で塗っている状態です。あえて幅広の筆で筆目を大胆にすることで、他の部分と表情を変えることもできます。筆の使い分けによって、あなただけの塗面を演出可能なのです!

 本ブラシはツインメッセ静岡で開催の「第62回静岡ホビーショー」(一般公開日 5月11日(土)、5月12日(日))、モデルカステン・大日本絵画ブースで発売されます。その後順次モデルカステンのホームページや模型店・量販店などで販売開始されます。平筆の決定版とも言える「筆塗り模型専用 チタン平筆 SSD BRUSH」。静岡ホビーショーで、ぜひゲットしてください!!

 また本ブラシの発売を記念し、筆塗り実演会を静岡ホビーショーのモデルカステン・大日本絵画ブースで開催!! 11日(土)は12時〜13時、12日(日)は14時〜15時となっています。こちらもぜひ楽しんでください。それでは〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

黄ばんだデカールは陽干しすると白くなるってホント!?/試してみた!

 古いプラモデルを買うとデカールが変色して黄ばんでいることがある。もうこれでは昭和の写真みたいな黄ばんだ仕上がりにしかならないガックリした…という話をしたら、「陽に干せばいいんじゃない?」アドバイスを貰った。なんなんだその都市伝説みたいな対処法は……。


 言われたようにデカールを朝日のあたる窓ガラスに図版のある面を外に向けてマスキングテープで貼り付けた。窓が結露する時期にはできない、とても季節感のある行為なんだな。

 快晴の2日程そのままにしていたら驚きの白さとまではいかないものの、目に見えて黄ばみが減ったのを認識できた。2セット用意して対照実験したわけでもないので「それはアナタの主観ですね」と言われたらそりゃそうすぎるし、写真だと加工できてしまうのでどのくらい白くなったというのを伝えるのは難しいのだけど。


 何時間、何日間でOK……とかは特に定説が無いらしく、各自判断しましょうということらしい。人伝えで聞いたのをみんな何となく実践してまたなんとなく人に伝えている。まるで民間療法みたいなテクニックだ。

 なぜ陽に当てると黄ばみが抜けるのか? 紫外線に当たるとむしろ陽に焼けて黄ばんでしまうのではないか?僕には何ひとつわからない。ただ陽に干したら明らかにデカールの黄ばみが改善されたと思えるのは事実であり、自分は今日も「もう少し白くならないかな」と追い干ししているのだ……。信じるかどうかはアナタ次第。ただ、見た目には「効き目アリ」だと感じます。

HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

100円ショップに売っている「防振粘着マット」があれば、とっても便利な筆塗り持ち手が完成します。

 貼るだけで家具やインテリアを振動や衝撃から守る便利アイテム「防振粘着マット」。これを使うだけで、筆塗りの持ち手問題が大幅に改善されます! 筆塗りフレンズから教えてもらって試したら最高だったので、ぜひ真似してください。

 プラモデルの持ち手の定番といえば、棒にクリップがついたものです。この持ち手、エアブラシ塗装などにはとっても適しているのですが、ある程度パーツの塊状態で塗装していく筆塗りだと、パーツの重さや塗っている時の筆圧によってパーツがグラグラしてしまうこともあるんです。なので、筆塗り時にはある程度しっかりと固定できて、手に持ちやすい持ち手があると一気に塗りやすくなります。

 そんな時に大活躍するのが防振粘着マット。本来は家具の裏などに貼って、家具などを手軽に固定するためのものです。これがプラモの固定にもぴったりなのです!

 100円ショップで売っている木材や、使い終わった缶スプレーなどに貼るだけで良いです。これで安定感がありながら、手に持ちやすい筆塗り持ち手が完成します。

 缶スプレーのキャップの3箇所くらいに貼っておくと〜〜。

 こんな大きな車のボディもしっかりと固定してくれます! ボディ内側の天面と側面を粘着マットで支えているので、かなり安定感があります。

 塗装面に粘着マットをぺたりとして固定したい時……。塗料によってデータが異なるので、あまりオススメしませんが、実験してみましょう。僕がよく使う「水性ホビーカラー」を筆塗りした面を、粘着マットにぺたりとしてみます。しっかりと押し付けてから剥がしてみましょう。

 塗膜も大丈夫! しかしこれは塗料の乾燥時間や塗膜の厚さによっても変わってくるので、できるだけ塗装していない面や、塗装をしなくても良い箇所で固定するようにしましょう。

 筆圧でもぶれないので、とっても快適に筆塗りが楽しめます。そしてこのマットは「汚れても、水洗いし、自然乾燥で粘着力がもどる」と言う性能があります。埃などがついて汚くなっても安心ですね。

 筆塗り専用の持ち手を作るだけで、すごく快適に塗装が楽しめますよ。ぜひ防振粘着マットを活用して、身の回りにあるものを「筆塗り持ち手」にジョブチェンジさせてください! それでは〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

エアブラシ塗装実例多数収録!「ひとまずやってみる!」を後押しするパワーが込められた「エアブラシの教科書」。

 とにかくエアブラシを吹いてみたい、何ができるかを見たい、そしてエアブラシで使って実際に塗ってみた後にもう一度読むと、「あぁポイントはここか」、ということが書いてある。そんな一冊が、今回ご紹介する「エアブラシの教科書」です。

 こちらは去る2024年4月23日、ホビージャパンから発売となりました。私けんたろうもこのなかで色々製作や文章で関わっていますので、本の中身の紹介とつくるときに考えていたことなど、本書をご紹介しつつ書いていきます。

 エアブラシは塗装用具として筆に並ぶツールであり、初期投資費用こそ据え置きゲーム機ぐらいかかりますが、永らく使えて便利なツールです。コンプレッサーは本当に長持ち。

 私が使っているのはワーサー15Aです。もう10年は使っていますね。静かで空気圧も強力、頼もしい相棒です。

 今回のエアブラシの教科書は、フラットに塗ることやグラデーションなどエアブラシならではの定番テクニックだけで無く、とにかく多数の技法が詰まっています。ラップ塗装とか、アルコール落としとか、そのほかにも「これもエアブラシでできるの?」なんて裏技まで収録されています。

 エアブラシは理論も大事なのですが、最も大事なのが「ひとまずやってみること」。これは模型にとってとっても大事です。本書はそのステップを後押しするように、理論より実践が多め、という内容なんですね。すぐに実践に入ります。その実践例がたくさん掲載されていて、How toとカタログ合わせて162ページものボリュームになっています。

 もしかしたら、エアブラシを一度買ってみたものの、うまく使いこなせないでしまっているという人がいるかもしれません。そんな人にもまたエアブラシを触って欲しい、ちょっと面白いテクニックを見て再度興味を持ってくれたら……など、何か小さなことがきっかけでエアブラシをもう一度使ってみて欲しいと言う思いも込めています。

 いま市販の模型用エアブラシシステムは、どれも性能がよいものがそろっています。私は仕事の都合でさまざまな組み合わせで使うミッションをしてきたのですが、現在はコンパクトで静音重視の空気圧が小さなコンプレッサーでも広めの面積が塗れたりします。そんな今のエアブラシ関連アイテムが巻末に多数収録されています。

 こういったカタログで、今のエアブラシアイテムを俯瞰してみると、「今は本当にどれもいいものだな」と隔世の感があります。GSIクレオスより発売されているカロンのちょうどよさは、実際に使ってみて本当に楽しいアイテムでした。

 これから導入を考える方には、カタログのスペックも大事ですが、コンセントの位置や数、自宅でのスペース展開について考えてみてください。ライトや排気ファンのコードの取りまわしや、タップの数は結構必要だったりします。

 たくさんの工具のなかで、私けんたろうが一番好きな工具はエアブラシです。はじめてエアブラシを使ったときの、すごい速さで好きな色にプラモデルが変化したとき、入念なグラデーションで重みを魅せる塗装ができたとき、完成品ができたときの感動は忘れません。少しずつ実践で積み上げて、現在のいい完成品が作れるようになったと思っています……。

 自分の経験や一緒に本書を作ったメンバーの経験がうまく合わさって、1冊で基本から応用まで収録された本に仕上がっています。ぜひエアブラシ塗装にチャレンジしたい! エアブラシ塗装で悩みがあると言う方は、ぜひ本書をゲットしてくださいね。

けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。

お馴染みの掃除用品で塗装をトラブルフリーに/カーモデルのボディはメラミンスポンジで磨こう。

 カーモデルのボディを塗装する際、塗料が弾かれムラになってしまうことがたまにあります。また乾燥後に塗料の密着が悪く、エッジのところから剥がれてしまうトラブルも避けたいところです。そのためには塗装前のボディの表面の汚れを取り除き、細かい傷をつけておく必要があります。そのためにおすすめなのが掃除でおなじみのメラミンスポンジです。安価でどこでも手に入るこのお掃除用品によってボディの塗装トラブルを回避することができます。

 今回はアオシマの楽プラ、GR86のボディを例にメラミンスポンジを使って下地を簡単に整えてみます。今回はスプレーで塗装するため、必要に応じて各部のパネルラインが塗料で埋まらないようにラインチゼルで彫りなおしておきます。

 台所で湿らせたメラミンスポンジに食器用洗剤を2,3滴垂らし、ボディの表面に押し当てながらこすっていきます。メラミンスポンジなら普段紙やすりでは磨きにくい奥まった部分も簡単に研磨できます。

 全体を磨いたら流水を当てながら新しい歯ブラシでこすって洗い、パネルラインに詰まった削りカスを除去します。そして清潔なタオルなどで拭きとり、よく乾燥させれば理想的な下地が完成します。カーモデルのボディを塗装する際には、お手軽掃除用品のひと手間を加えてトラブルフリーな下地を整えてください。

SOF

1993年生まれな静岡のオートモデラー。たまに車バイク以外も作ります。モデルアートより単行本発売中!

片道550kmの旅先にある望郷プラモデル。色褪せても今なおそこにある凄み/フジミのNISMOマーチ

 いわき植田には私の故郷から失われてしまった「玩具店兼模型店」がまだ残っていました。先日の模型展示会「春のタン祭り」へ往訪した際に寄った老舗おもちゃ屋さん「おもちゃのトダ」。店内には最新のプラモデルもたくさん並んでいて、ちゃんと品物が新陳代謝していることから(単なるノスタルジアにとどまることなく!)店も客も現役バリバリであることがちゃんとわかります。

 しかし、お土産にしたフジミのNISMOマーチは色褪せてしまった箱がお店と共に歴史を刻んできたように感じて手にしたのでした。色褪せたプラモを好んで買うとか初めて。今回の旅の余韻を反芻するのと合わせて、今はなき地元の老舗おもちゃ屋さんに思いを馳せる今日この頃です。

 生まれ育った名古屋市東部に「おもちゃのバンビ」という老舗があり、地方都市にとっては貴重な文化の交差点でした。トダさんのように「玩具店兼模型店」でそれぞれのコーナーがほぼ等しい面積で設けられており、模型に関してはプラモデルの他にガレージキット、模型誌のムック本や『ファイブスター物語』関連書籍など、他ではお目にかかれない濃厚な品揃えでした。閉店してから20年は経つのですが、このバンビの値札がついた空瓶は捨てられずにいます。ここ数年模型をガシガシ触れるようになった自分にとって、もし現存していれば実家に帰るたびに寄るお店になっていたはず。

 遠く離れたいわきの地で自分のノスタルジーが重なる旅にもなるとはなぁ。そんな心持ちでキットをながめていると息子が「組み立てみたい!」というので親子モデリングが勃発です。実はフジミのクルマ模型を触れるのは初めてで、親子して新鮮な気持ちでランナーと向き合いました。パーツの彫刻と造形が「カッチリしているなー」というのが最初の印象。

 息子がどんどんパーツを切り出していくのでパーツ配置がナイスなのでしょう。のりしろがしっかり用意されていて、タミヤセメントの通常角瓶と流し込み速乾でみるみるカタチになっていきます。後輪車軸やヘッドレストとかが位置決めのダボ穴となかくてツルッと平面。接着剤の固定頼みなのにはギョッとしましたが、そこは「角瓶白ブタのトロミで仮止めからの位置決め、緑ブタの流し込みで速乾接着固定」のテクニックが活かされます。

 後々塗装するつもりなのでクリアパーツはいっさい付けずにいったんのゴール。特徴的なインテリアが眺めやすくてこれはこれでナイス。外装も内装もパーツ表面がグロス仕上げで輝いており、白磁のような趣があります。さて、ボディは何色にしようかな。息子と相談して缶スプレー塗装でバーッと仕上げようと思います。

 おもちゃのトダさんみたいに玩具と模型を等しく扱うお店って、ゲームやカードとかへの購買の移り変わりとか、大型家電量販店の進出とか、浮き沈みに何度もさらされて多くが退場してしまいました。そんな中で今なお子供にはじまるホビーのファンたちに向き合い続けた姿勢には敬意しかありません。しかし550kmも離れた土地に失われた望郷を抱くとは、旅の体験って予想の範疇に収まらないワンダーがある。旅、いいな。旅、もっとしたいーっ!

ダテツヨシ

「つくる」をテーマに、世間話をしています。

叢とプラモデル/「鉢」と「台座」の共通関係。

 その植物に似合う鉢を。僕たちがプラモデルで大事にしている「台座」と同じ考えを持っている植物屋があります。その名も「叢(くさむら)」。僕は植物をたくさん買ったり集めたり、部屋を植物でいっぱいにしたい! という願望はないのですが、お部屋のどこかに緑が欲しいと思うタイプです。

 そこでよくみているウェブサイトが「」です。僕がホビージャパンを辞めた時に、今でも一緒にお仕事をしているデザイナーさんが「お疲れ様でした」と叢さんの植物をプレゼントしてくれたのが、僕と叢さんの出会いです。それが一番上の写真の植物になります。この時植物にも驚いたのですが、鉢にも驚かされました。「これもいただけるんですか!?」と聞くと、「この鉢とセットでひとつの世界であり商品なんです」と教えてくれました。その時に、僕が大好きなプラモデルと同じじゃないか……と思ったんですね。

 確かに植物も素敵な鉢に入っていると見え方が一気に変わります。プラモデルもそう。ハードな汚し塗装をしているものでも、ソリッドな木材の上におけば軽い印象になる。主題を彩る力が、鉢や台座にはあるのです。

 叢のウェブサイトには「店主みずからが日本中を旅して集めた個性あふれる植物を、その個体の特徴を引き出す器とあわせて提案する」とあります。僕たちが作り出したプラモデルも同じですよね。それぞれしっかりと個性があります。

 先日僕の実家で開催した模型展示会「春のタンまつり」では、みんなで示し合わせたわけでもないのに、自分が作った模型をさらにかっこよく見せたいと、皆が「台座」を持ち寄って来てくれました。テーブルの上に直置きしないだけで、模型はテーブルの空間から切り離されて、より際立って見えます。台座に使用したものも、それぞれの製作者のイメージが反映されて、とても素敵な景色となっていました。

 僕は、いつもだったら使い終わったら捨ててしまうペーパーパレットや綿棒、スポンジなども一緒に展示しました。これも僕にとっての模型であり台座です。作っている途中に、「消耗品たちも一緒に走ってくれた相棒」のように思えたのです。だからこそ、これは僕のザブングルをより良く見せるための台座となっているのです。

 台座があると模型がカッコよく見える。そして次は、その台座にどんな思いを込めてみるか。叢の鉢の思想を持って、僕も自分の模型を家に展示できたらめちゃくちゃ楽しいだろうなと本気で思うのでした。大好きな模型だからね。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

「吊るしてしまうデカール収納」でプラモデル作りの機嫌が爆アガりします。

 デカールは余った分も何となくとっておくって人も多いと思う。別売りデカールでまかなってしまい、付属デカールを新品のままストックするなんてこともある。使う時も端から順番というわけでもなく不定形に不規則に切り取られていくこともしばしば。ケースやクリアファイルといろいろ収納を試してみたけれど意外とうまくしまえない。大きさがまちまちだとこんなに扱いに困るものなのか……。

 そんなデカール整理に対する回答がコレ。チャック付きポリ袋とフックシールのコンボである。

 差し替えパーツの保管や展示会への移動時に取り外す小パーツの管理なんかでモデラーにも浸透しているチャック袋。実はジャンクなシート素材の整理にも使いやすい存在なのだ。

 まちまちになったサイズ毎に袋を分けることで具合よく整理できる。チャック袋は大きさのバリエーションが豊富なので調子が良い。重なることで一方を完全に覆い隠せる程に大きさの差があるモノを同じ袋にいれると中に何が入っているのか分かりづらくなるし、探すのに苦労すると実作業を始める際の腰も重くなってしまう。

 粉々に小さくなってしまうコーションマークの整理には特にオススメ。極小のチャック袋に極小のデカール片なら袋の外からも確認しやすいし、かさばらないのである程度の種類毎に分けて使うのも容易。再び使うときにはトレーなどに袋の中身を全部広げてしまったほうが、任意のマークを探すのにも摘まむのにも具合がいい。小分けにしておけば中身を丸ごと出し入れするのにもそれほど面倒を感じないハズ。

 事細かに仕分けしても、その仕分けたものを管理できないと本末転倒。幾らかのジャンル毎に大きい袋の中に小さい袋をまとめてしまうと吉。

 デカール以外にもシールにプラバン、メッシュやエッチング等、シート状で使うごとにサイズがまちまちに変化していく素材は同じように扱うことができる。チェーンやチューブ、スプリングといったひも状小物もこの収納と相性がいい。

 そして最後にチャック袋の上端にフックシールを貼って吊るしている。めくったりして奥の方のコレクションを覗くように探したりもできるし、箱や引き出しに平たく重ねたり、ファイリングして本棚にしまったりするより快適。アクセスが良くなって「探すのが面倒で作業が進まない」みたいなことが減って日々の機嫌が良くなること請け合い。機嫌がいいとプラモも上手に作れそうだよね。

HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

いざ、いわき植田の春のタン祭りへ! 模型とお酒を愛する人たちの引力

 美術館で酒を飲みたいタイプの私です。いや、飲酒が許される美術館はない。酒をちびちびやりながら延々と作品の奥行きを舐めまわしたいんだけどな。同じくプラモ、模型の展示会においても酒が飲める会場ってのは聞いたことがない。それを「入場1ドリンク制。酒屋オススメのアルコールを各種用意」と掲げたのがnippper副編集長のフミテシ氏が主催する模型展示会『春のタンまつり』なのである。「だってウチが酒屋だから」とか、なにそれ最高。行くしかない!

 私の住まう愛知県常滑市から会場である福島県いわき市植田までは電車を乗り継いで5時間半ほど。遠い。だが陸続きの先に日本を代表するモデラーと作品がアベンジャーズしているうえに酒が飲める。即断で仕事と家族の都合をつけて植田のホテルを予約した。

 3回の電車乗換を最短ノーミスでこなし、遠路はるばるたどり着いたカタルシスたるや。旅情が爆発しているうえ、会場の情報量が過多すぎていったん落ち着け俺。いったんビールだ。

 土地の酒から自然派ワイン、閉会まで5時間は飲んだ。心底うまい酒だった。何度も作品を眺めなおし、写真では知覚できないツヤや色味、フォルムやディテールを味わいまくった。そうこうしていると各モデラーさんが気さくに声がけしてくれて、作品の解像度がさらに深まる。加えてご本人のライフスタイルなどうかがえると興味が尽きなくて酒がススム。あと「名古屋の南の方から来ました」からの「遠い!凄い!」のドヤ顔でさらに酒が美味い。

 matさんはSNSが世に放たれる以前、blog全盛のころからのファンだったのですが、後にオラザク大賞でホビージャパンの表紙を飾った時には書店で声を出したものです。それをご本人に話せてカンパイできる機会が訪れるとは。たまらずライジングです。

 書籍の販売ブースではプロモデラーのオールスターたちがサインに追われる事もしばしば。私は買おう買おうと思っていた松本州平氏の著書がまさかのサイン本に。加えてその雑誌の編集長の話も聞けたりとか、とにかく距離が近い近い。

 閉会後の打ち上げでのフミテシこと丹さん、酒屋のお兄さんとお母さん。丹ファミリーがお届けするイベントだからタン祭り。直球! その土地の、家族と仲間たちが迎えてくれるローカルの説得力。皆さんの模型とお酒への愛をビシバシ感じる現場でした。こんなこと今までなかったし、今後もぜひ開催していってほしい。

 フミテシさんのルーツである「おもちゃのトダ」も会場スグなので大盛況でしたね。自分はこのフジミのNISMOマーチを手にしました。お店の雰囲気とこの色あせた箱がこの旅の思い出になるかと思って。今回の旅では14年前のCanon S95をひっぱり出してきました。デジイチをここ2年、ガシガシ使ってきてからのこのサイズ感がたまらない。詰められた機能を駆使するのが面白い。なにせコンパクトでフットワーク軽くてナイス。またこれ持って旅にいきたいな。

ダテツヨシ

「つくる」をテーマに、世間話をしています。

プラモのパーツを外すための大ヒット工具パーツ・オープナーがさらに進化して帰ってきた!!「ウェーブ パーツ・オープナーV2」

 プラモデルのパーツを間違って組んでしまった! 塗装しやすくするためにパーツをバラしたい! そんな時に大活躍するのが「パーツ・オープナー」。プラモデルの世界には組んだパーツを分解するための工具もあるのです。面白いですね〜。レゴの世界にも似たような工具があります。

 その元祖がウェーブが発売した「パーツ・オープナー」。この元祖がパワーアップして「パーツ・オープナーV2」という名前で帰ってきしまた。光の翼です。

 パーツが合わさっている合わせ目部分に、このパーツ・オープナーの先を差し込み。こじ開けます。セイヤっ! と一気にこじ開けると破損してしまうことが多いので、ゆっくり優しくキコキコとこじ開けます。

 「V2を信じるんだ!」と言っている暇もなくパカっとパーツが外れます。パーツの破損も少なくなるし、少ない力でパーツを外せるので、一度使うと病みつきなのです。キャップもボディ内に収納可能なのも嬉しいです。

 V2は先の幅が小型になり、より狭いところや小さいパーツにも対応可能となりました。そしてナックルダスター(メリケンサック)のような薄くてフィットする持ち手にもなり、より中2ハートを刺激してくれる姿に変貌しました。

 そしてボディには6角穴と数字が書いてある丸穴が空いています。6角穴はストラップなどをつけられるために、数字の書いてある穴は「軸径」をお手軽にチェックできるために空いています。

 このように3mm軸を通してみると、ぴたりとフィット。他に5mm、2mmの丸棒を計れます。パーツをこじ開けるだけでなく、ちょっとしたアイディアもボディに搭載された「パーツ・オープナーV2」。パーツを外したりバラしたりする時にとっても力になってくれるので、ぜひこの機会にゲットしてください。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

ワンコインで大満足!/グリーンマックス製、保線区車両のプラモデル。

 ごきげんよう。たまごんだよ。
 令和になってもう6年も経っちゃった。そういえば「ワンコインランチ」を売りにしているお店も減った気がするなぁ。最近は物価高のせいで気軽に買い物や外食ができなくて悲しいよね。500円で満足できる体験、探すとなかなかないもんです。

 しかし、この令和の時代に、まさかのワンコイン以下で楽しめる鉄道模型があるのです。それがこちらの「グリーンマックス 保線区車両」! 見慣れない・聞き慣れない車両だけど、お客さんを乗せて運ぶような車両ではなくて、鉄道の命である線路の点検や交換を行う、とても重要な役割を持った可愛い車両なのです。このキット、なんと税込440円!実売価格だと400円を切るお店もあったりと、まさしくワンコインランチのような気軽さで楽しめるプラスチックモデルなのです。

 ランナーはたった1枚。梱包されている姿からも分かるように、とにかく起伏のないパーツたちが並んでいます。多くの鉄道車両は四角い箱のような形をしているため、自分で組み立てるタイプの鉄道模型では平たいパーツたちを箱状に組み立てることで立体的にしていくのです。このため、真っ平らなランナーの組み立て式鉄道模型は「板キット」と呼ばれていたりするよ。

 自分で組み立てる鉄道模型って敷居が高いイメージがあるけれど、なんたってワンコイン!失敗を恐れず気軽につまみ食いできるのがこのキットの素晴らしいところ。丁寧にゲート処理をして、流し込み接着剤で貼っていくよ。

 成型色がオレンジ色なのでそのままでも良い雰囲気になるんだけど、今回はもう一手間加えちゃおう。組み立てた状態でつや消しスプレーを吹いてから、手すりや車輪に筆塗りで色差しをしてみるよ。Nゲージサイズ(1/150スケール)なのでなかなか細かい作業!呼吸を止めて集中だ!

 組み立てに1時間、塗装で2時間ほどと、晩ごはん後の息抜きモデリングにも最適!ディスプレイモデルなので走行はできないものの、ちょこんと置いておくだけで癒されちゃうね。

 グリーンマックス社から発売されているキットは、実は鉄道車両だけでなくストラクチャーキット(鉄道模型を盛り上げる建造物など)も充実していて、何より安いのが嬉しい!模型屋に行った際には、ぜひ鉄道模型コーナーも覗いてね。ふぅ〜、おなかいっぱい。ごちそうさま!

たまごん

ごく稀に真面目にプラモデルを作るらしいが、基本的には酒の力を借りながら夜な夜なミキシングでモンスターを生み出す等の活動に力を入れている。

安心と楽チンと楽しいがいっぺんに手に入る最強の撹拌マシン「LACHOI ミニボルテックスミキサー」

 塗料を置いて押すだけ! それだけで攪拌完了なのです!!!

 最近、僕がペイントをする上で手放せないアイテムリストに新しく加わった最強のマシンがあるので紹介させてください。「LACHOI ミニボルテックスミキサー」です。シンプルで省スペース、そして僕がメインで使用しているシタデルカラーやファレホにシンデレラフィットする受け口がまさに奇跡、って感じの撹拌マシンを手に入れました。シタデルカラーと同じくらいの大きさの容器まで攪拌できます。

 臭いが少なく、速乾、水だけで希釈が出来る手軽さから重宝しているこれらの塗料(水性エマルション塗料)。その乾燥時間の早さゆえ、あまり空気に触れないよう、塗料を出す時は撹拌スティックなどを使って塗料を混ぜるのではなく、ビンを思いっきりよく振ってから使用するのが良いとされています。

 塗り分ける箇所の多いモデルの完成間際、とにかくいろんな種類の塗料をとっかえひっかえ、ぶんぶんと腕を振りまくっていると、なんなら軽く汗ばんでいる時がありました。そんなところに現れたのがこのアイテムだったのです。

 すんごいぴったりサイズ。この撹拌マシンを使ってムラなく気持ちのいい塗料でペイントするためのステップはとてもシンプル。てっぺんにビンの底を押し当てて、グッと押し込むだけ。押し込んでいる間だけ振動し続け、「ヴィイイイイ」といいながら、分離した各種成分をいい感じに撹拌してくれます。僕が使用しているのは振動スピードが固定されているタイプなので、設定すら必要なしです。

 こんなに下側に顔料が溜まっています。久しぶりに使うシタデルカラーでも、30秒もしないうちに分離がなくなって、気持ちよくペイントできちゃいます。

 30秒押し付けるだけでこの攪拌っぷり。素晴らしい仕上がりです。

 底面に貼り付けるシリコンのマットも付属しているので、机の上にしっかりと固定できます。

 撹拌するために鼻息を荒げながら「これでもか!」と腕をぶんぶんしまくっていましたが、めちゃくちゃ楽になりました。使っている様子もちょっと、ラボ感みたいなのがあってカッコいいのもミソで、なにより楽しいんです。

 安心と楽チンと楽しいがいっぺんに手に入る最強の撹拌マシン、「LACHOI ミニボルテックスミキサー」の紹介でした。みなさんも良きペイントライフを!

むっちょ

平成2年生まれ。水性アクリルボーイ。ボーイと名乗るには厳しい年齢になりだしている。模型の他にゲームも大好き。

俺プラモのフォトブック/富士フィルムで憧れのオリジナルハードカバー写真集を!

 マッド・マックスな荒廃した世界が訪れても良いように、電子制御がないと動かないクルマではなくキャブレターなど電気いらずのカラクリで作動するクルマを手にしておくべきでは……。なら、やっぱV8だよな〜。と、今なお妄想はかどる厨二病な私ではありますが一児の父としてもそれなりにやれている2024年。

 親子モデリングを含めてプラモが日常になるなか「カッコ良く写真を撮る」が嗜みのひとつに。自らの行いが写真でブーストされた際には「俺スゴい!」が爆発します。ただその後、写真を眺めるのはスマホが一番手軽な反面、デバイスが必須であることが制約的にも感じてしまう。データでの保存は便利だが一本槍な状況にも不安がある。やはり物理でもほしい。そこで今回目をつけたのが富士フイルム公式『FUJIFILMプリント&ギフト』を活用した「俺プラモのフォトブック化」です。

 富士フイルムのフォトブックはPCのWEBブラウザアプリに写真をアップロードしていき、直感的な操作でページにレイアウトできるカジュアルさ。写真の縦横比の変更、拡大はページに貼ってから自由にできるので写真の選択に悩むことは少なかったです。見開きにでっかく写真を置けるのが嬉しい。今回は「ハードカバー」の「こだわり作成」を選択。A5相当のサイズで16ページだと価格は3,500円ほど。あこがれのハードカバー装丁でオリジナル写真集を作れるなら高くはないなと。

 そもそも富士フイルムのフォトブックを知ったきっかけは「そろそろ子どもの写真をフォトブックにして!」と妻にせっつかれたから。なまじAdobeのソフトを使ってきたので億劫になっていたところ「富士フィルムのフォトブック注文ソフトがリニューアル!さらに使いやすく!」とのニュースが目に止まりました。使ってみると動作も工程も軽いこと軽いこと。なによりも、DTPソフトを持ってなくてもハイクオリティな印刷物をつくれるのは皆が嬉しいはず!

 余白をまったく作らない「裁ち落とし」というレイアウトもできるのも嬉しい。ただ、削除されるグレー部へコマを充分に広げておかないと余白がつくられてしまいます。削除の目安となるグレー部に少しでもかかれば裁ち落としになるというわけではなさそう。今回の反省点。

 レイアウトにこだわらずとも写真を並べるだけで充分にグッときます。テキストを入れられるのでキットのプロフィールだけ置いておきました。プラモをつくって写真撮って、デジタル現像してSNSへ放流して自己肯定ライジングするまでが一連の楽しみでしたが、定期的に俺プラモのフォトブックをつくるという楽しみが追加されて嬉しい!プラモに限らずですけども、自画自賛な写真が撮れたときには物理のフォトブックをつくるのもなかなかの愉悦です。みなさんも、是非。

>富士フイルム公式『FUJIFILMプリント&ギフト』

ダテツヨシ

「つくる」をテーマに、世間話をしています。

選び放題の豊かな艦船模型の世界になった今だからこその「入り口」は、「艦船模型製作の教科書2.0」にお任せください。

 はじめて艦船模型を作る人にとってのバイブル『艦船模型製作の教科書』が、近年の新しい潮流の艦船模型を取り入れて、2024年3月『艦船模型製作の教科書2.0』としてバージョンアップして帰ってきました!!! 

 「2.0」と言っても初代より難しいこと・高度なテクニックにチャレンジするのではなく、近年の艦船模型を題材に、「はじめて艦船模型を作る人への入り口」として編集されています。まずは組んでみよう! 組み立てにおいて絶対に知っておいてほしいポイントなど塗装仕上げ前の段階の解説から踏み込んでいます。また艦船模型が店頭でどのように販売されているのかという、ショーウィンドウ的体験ページもあります。初代艦船模型製作の教科書よりも、より1歩手前から始まるのが本書最大の特徴なのです。本書の後半は「テクニックのみに特化したTips集」となっているので、ここだけ知りたい! って人にもとても役にたつと思います。

 今回、私はアオシマ文化教材社からリニューアル版として発売となる高雄をメインに製作。このキットは、既存キットに完全新規パーツの装備品をセットしたバージョンになっています。新旧が融合した、多くの人におすすめしたいプラモデルです。模型の組み立ての基本から、よりパーツを綺麗に組み立てるポイントなどを解説しながら、新しい高雄を完成させています。

 初代「艦船模型製作の教科書」は、およそ10年前に発売されました。その頃は艦船模型の細密化が一気に進んだ頃でした。既存のパーツと交換するだけでじゅうぶん精密にできる、というアイテムや、キット自体が高密度なディテールをもったプラモデルがラインナップされたのです。

 またこの時期に模型雑誌作例も精密化へと一気に進んでいき、どれもがまるで本物かのようなものばかりが誌面に並んでいたのでした。

 しかし当時ホビージャパン編集部にいたフミテシ氏は「艦船模型はそのまま作っても楽しいし、かっこいい。普通に作る楽しさ、入り口の本が作りたいんだ」と、時代の流れに逆行しているかのような言葉と共に、艦船模型製作の教科書チームに私を引き込みました。

 艦船模型の入り口としての本ということで、箱の中にあるパーツだけを使用する作り方、ちょい足しでカッコよくできるプラ製ディテールアップパーツの使い方など、艦船模型に躓かずに楽しめるHow to本が「艦船模型製作の教科書」なのです。こちらはタミヤの傑作艦船模型「1/700 阿武隈」の製作途中写真。

 このキットのHow toで撮影した枚数は、なんと1200枚。入り口となる本というのも初めてで、とにかく手あたり次第、一挙手一投足を撮る。自分にとっては次の工程がイメージできても、初めて艦船模型を作る人にとってはもしかしたら工程が飛んでしまっているかもしれない……そんなことをイメージしていると自然と撮影枚数も膨大になっていたのでした。

 ここだけではなく、全体で各モデラーからすごい途中写真が集結。おかげさまで『艦船模型製作の教科書』は、基本からちょっと手を出してみたいところまで、技術が詰まった本になりました。

 結果的に、その翌年から艦隊これくしょん、艦これのブームが来て、にわかに艦船模型が盛り上がりを見せました。そこからこの書籍を手に取っていただけたようです。全部が詰まっている本だからこそ、胸を張っておすすめできます。

 そして結果的に、はじめての人が艦船模型を手に取ったときに、困らないような作り方も必要だよね、という動きがメーカーでも加速します。フジミの艦NEXTは、キャラクタープラモデルのように、接着剤を使わないで組めて、かつ組むだけで色分けも済んでいる、という仕様になりました。艦EASYという、既存のキットにシールで色分けを、というシリーズもあって、迷彩塗装の瑞鶴甲板を貼るアイテムもありました(これが意外なまでにうまくいったものでした)。

 またいっぽうでヤマシタホビーのような新たなメーカーの誕生やピットロードの躍進などもあり、キットの”ほどよい”精密化という流れもありました。ただただパーツをバラバラにするのではなく、うまく整理しながら近年のレベルのパーツ成型を施していくという方向性です。

 ほかにもピックアップしたいのが2009年に新パッケージになっているハセガワの青葉です。青葉も2007年に発売されたキットで、ハセガワの艦船模型の上品で流麗なところがよく出た、キレイなキットです。こちらを「艦船模型製作の教科書2.0」では缶スプレーと筆で仕立てました。パーツの合いがいいキットなので、甲板を別にして組む、という2010年以降の艦船模型ならほとんどでいける技を実践しています。

 現在の艦船模型は、箱の中だけのパーツで既に超高解像度なプラモデル、そこそこ解像度が高いもの、シルエットを優先して組みやすいもの、プラスチックの色とシールで色分けがなされているものと、初代艦船模型製作の教科書を編集した頃とは世界が大きく変わりました。だからこそ最初のコンセプトである「艦船模型の入り口」としての本が再度必要だよねとなったのです。結果的にほぼリニューアルし、「2.0」という名にふさわしい内容になったと自負しています。

 上の写真は2012年の頭に、どれだけ艦船模型のパーツに寄れるだろう、とテストで撮影したものです。これは本番では使用していない、本当に一番最初のショット。本当に2012年はこの仕事を皮切りに、ハードな製作をたくさんしています。秋にはガールズ&パンツァーの三凸もあり……。年初からはじまったこの『艦船模型製作の教科書』、自分にとってまさにターニングポイントとなった仕事でした。

 艦船模型の新しい時代とともに、我々も新たに本を作ることができました。読んでいると、自分もまた違う艦船模型を作りたくなってきます(じつは阿武隈を作ってしまった)。みなさまも、新しい「艦船模型製作の教科書2.0」とともに、新しい艦船模型をぜひ作ってください!

けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。

花金だ!仕事帰りに買うプラモ。個性的荷物をあなたの机上にお届けします。「ファインモールド 帝国陸軍 軍馬輸送隊セット 三九式輜重車 甲」

 干物! 切いか! 貝紐! まさに花金のあてとも言えるワードがびっしり!! そんなハイテンションプラモの登場です。

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でご紹介する「花金プラモ」。今週はファインモールドから発売された「 1/35 ミリタリーシリーズ 帝国陸軍 軍馬輸送隊セット 三九式輜重車 甲」をご紹介。パッケージからも分かる通り「荷物輸送」をテーマとした人と馬の景色を楽しめるプラモデルです。

 馬1頭、人ひとり、輜重(しちょう)車1両のほかに箱や樽がわんさかセットされています。輜重という聞き慣れない言葉ですが、これは軍需物資の輸送に使用される人や馬がひく車を指し、転じて荷物そのものや輸送を行う人員・機器材を意味するそうです。

 戦闘ではなく、戦いを支えるための景色もこうやってプラモ化される。またひとつ、豊かな景色を楽しめるプラモデルが生まれたことに乾杯なのです。

 輜重車に乗せる荷物の塊がとってもファインなモールドです。荷物に布が被せられた状態を1パーツで表現しています。これだけ眺めていてもめちゃくちゃ楽しいです。うっすらと中の荷物の雰囲気が凹凸で感じられます。さらにファインモールドのプラモのすごいところは、組み立て説明書のディープな解説。荷物の固定方法の詳細さは、まるで迷路ブックを読んでいるかのよう。

 輜重車には1パーツの荷物だけでなく、樽や箱を個別でも詰めるので、その際にはこの固定方法を参考にディテールアップも楽しめます。

 そしてこちら「生物」がひしめくランナー(プラモのパーツが収められた枠のこと)。ひとめ見て、馬の装備が細かい! 荷物を引く馬のプラモ化ってこんなに細かくなるのね! って思わされます。

 馬のモールドもとってもファイン。成型が良すぎて肌ツヤ抜群。プラモパドックに登場したら間違いなく一番人気。みんなの視線を独り占めでございます。装備品を取り付ける場所やボディパーツを合わせる場所にはしっかりと軸や糊代が用意されているのも素敵です。

 兵隊さんのほうも手綱と手首が一体化されたりしていて、パーツ分割がとてもユニーク。今回、馬や人には3Dモデリングが導入されているので、より細かな細部表現や今までのファインモールドのフィギュアプラモには見られなかったパーツ分割なども堪能できます。ファインモールドにとっても新たなチャレンジの幕開けとなるプラモと言えます。

 馬、人、輜重車を堪能した後に待っているのがデザートと言える荷物。こちらに先ほどのユニークなデカールを貼っていくことで「俺は味噌樽! 俺はひじき!」とそれぞれに個性が生まれます。あなたが無効性な箱や樽に個性を与えて運ぶのです。あなたの模型世界には何を持っていきましょうか。そんなことも考えながら楽しめる素敵なプラモ。まさにパーツやデカールを眺めているだけでも花金の向こう側(土曜日)へと突入してしまいます。めちゃくちゃ最高のプラモなので、ぜひこの週末楽しんでください!

1/35 ミリタリーシリーズ 帝国陸軍 軍馬輸送隊セット 三九式輜重車 甲

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

あなたのお気に入り塗料の引っ越し先はすぐ目の前にあった/使い終わった溶剤のボトルは最高の物件です!

 プラモの塗装を楽しめば楽しむほど空っぽになっていくのが「溶剤」。そして思い出はいっぱいになっていきます。いつも何も気にせず処分していた容器ですが……これ再利用できるやんって40歳になって気がつきました。

 こちら、模型塗料メーカーとしても最大手のGSIクレオスが発売しているうすめ液のボトルです。うすめ液というのはその名の通り「塗料を薄めるもの」。筆塗りする時に伸びを良くしたり、エアブラシで塗料を吹き付けるために薄めるのに使用します。その溶剤を入れておくボトルやビンなので、塗料への耐性も考えられています。模型用塗料の耐性がしっかりしているボトルやビンを一から探すのは結構大変。だから使い終わったボトルって実はお宝だったりします。

 溶剤の中でも超強力なのがツールクリーナー。プラモのパーツも溶かすほどのパワーです。その溶剤にも耐えうるように作られているので、この中に大量に作り置きしたい塗料を入れてもへっちゃら。スパーキングしません!!

 今、水性塗料筆塗りの下地塗料として超話題の「ガイアノーツ メカサフ HEAVY」。これをすぐにエアブラシで塗装できる濃度に希釈しておいて保存したい時、使い終わったボトルがとっても便利なのです。

 そしてそれを可能としてくれるのが、こちら。「GSIクレオス うすめ液 大・特大ボトル用 Mr.注ぎ口キャップ」です。これをボトルに取り付けるだけで、蓋を開けることなく、つまみを捻るだけで塗料を適量出せます。空ボトルが、この帽子を被っただけで転職しちゃうんです。

 攪拌ボールなんかも入れておくと最高ですね。これで使う前に振れば、中の塗料もしっかりと混ざります。

 空のボトルに塗料を入れる時、希釈率がイマイチわからない! ってときは焦らずに「移す塗料のビン」を活用しましょう。もし満杯の状態の塗料をすべて空のボトルに移したら、ビンに同じ量のうすめ液を入れて、ボトルに注げば1:1ですね(主に塗料1:溶剤1の割合が良いとされています。やってみて自分の好みの濃さを見つけてみてね)。すでに何回か使って、減っている塗料でも、ボトルに注ぐ前におおよその塗料の量を目で見て覚えて、塗料をボトルに移し終えた後に同じくらいの溶剤をビンに注いでからボトルに移せば、大体1:1で割れます。

 あとは軽くシェイク。キャップのつまみが閉まっていることを確認してからシェイクしないと、注ぎ口からスパーキングするので気をつけてください。

 今日から君は「メカサフ HEAVY」だ!! よろしくな!!

 特にこのMr.ウェザリングカラー うすめ液(大)に使われている250mlボトルは、とっても使い勝手の良いサイズでオススメです。使い切ったボトルを全部取って置くとそれはそれで邪魔ですので、いい感じにセレクトしながら再利用すると良いでしょう。サフやお気に入りの白、あなただけの勝負色などを大量に保管してみてね! それでは〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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「今すぐ真似したい!」しか詰まっていない最高の飛行機模型塗装指南書。1/48 アメリカ海軍ジェット機の塗装テクニック

 先日、東京・青山の「ラパン・エ・アロ」で開催されたスケビフェス2024で先行販売された「1/48 アメリカ海軍ジェット機の塗装テクニック」(MOKEO/著)が、めちゃくちゃ最高でした! 今すぐ真似したい! しか詰まっていません!!

 飛行機模型雑誌「スケールアヴィエーション」にて、多数の作例を手掛けているMOKEO氏によるHow to本。アメリカ海軍のジェット機仕上げの二本柱である「ロービジ」と「ハイビジ」をテーマに、それぞれの塗装方法を、今購入しやすい定番マテリアルのみで仕上げていきます。ページを捲るたびに、「模型店でよく見るマテリアルだけで、こんなにすごいのができちゃうのか!!」って気分がぶち上がります。そうさせてくれるレイアウトの素晴らしさが本書にはあり、読んでいてスイスイと頭に入ってくるのです。

 模型仕上げのジャンル的には「ハイビジ」というのが光沢あるガルグレー/ホワイト迷彩機、「ロービジ」はモノトーンで地味なタクティカル・ペイント・スキームを指します。近年ではモノトーンに派手な汚しを加えるロービジ仕上げが人気にも思えますが、本書のハイビジファントムを見て俺も、「これは真似して〜〜!」って気分がぶち上がったんです。

 その理由が「ハイビジの中に潜む汚れ」を模型で超カッコ良く表現されていたから。光沢仕上げの各所にある汚れが、グレーの機体に色味を追加しながら、さらにツヤ感にも変化を与えていてとってもセクシーなファントムになっていたのです。個人的にもツヤ感がパーツごとに差異がある模型が大好きで、ハイビジ塗装の新たな表現を見せてもらえて感動しました。

 How to写真がめちゃくちゃ綺麗で、模型を作っていく過程の魅せ方も学べます。僕はHow to本の途中写真が大好きで、撮り方やアングル、下に敷いているものを、学生の頃から暗記するように見ていました。本書の途中写真はライティングが柔らかくて、読んでいる人に安心感を与えてくれます。そして写真も大きく掲載されレイアウトもすごく清潔感があります。だからこそHow toのポイントもスイスイ入ってくるのです。

 そして最後には著者MOKEOさんの模型ライフスタイルが掲載されています。この製作環境もめちゃくちゃ参考になります。プラモデルを「立って」作るスタイルには驚かされました。健康にも良さそうだし、最近腰が痛い僕にとっては超参考になりました。

 1枚1枚の写真、日本語&英語キャプション、そして最高にかっこいい完成カット。飛行機模型を作る楽しさ、魅せる楽しさが超凝縮されています。発売は2024年4月17日。ぜひゲットして、あなたの塗装の参考に読みまくって手を動かしてください。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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【特集】水性塗料の筆塗りで複雑な塗り分けもガンガン攻められる記事、総まとめ!

 SDガンダムの水性塗料を使った筆塗りの記事、だいぶ書いてるのにまとまってないな?ということに気がついたのでまとめます。まずプラスチックに色を塗るのはめっちゃおもしろい。水性塗料と筆の組み合わせなら気が向いたときにサクッと色を乗せられます。必要なのは良い筆と良い塗料。まずは何が面白いのか、基本的にどうやって塗ればいいのかを紹介!

 でもプラスチックに水性塗料を直接塗ったら弾くんじゃないのか。弾きません。水で薄めすぎると弾くけど。「では弾きづらい下地を作るならどうすればいいのか?しかもプラモデルの持っているプラスチックの色はそのまま活かしたい!」というアナタのためにこの記事。「色付きのガンプラをチョイ塗りするなら、サフ代わりにつや消しコートしませんか?」です。

 下地に使うならつや消しのプレミアムトップコートが抜群。プラスチックのツヤが消えてカッコよくなるし、筆塗りの下地にもなってくれます!

 筆だとたくさんのパーツを一気に塗ったり広い面積をキレイに塗ったりするのが大変……という問題を解決すべく、エアブラシを使ってシタデルカラーを吹いてみたのがこちら。結論から言うと、シタデルカラーは適切に薄めれば吹けるし下地がつや消しならちゃんと定着します。無臭、安全な水性エマルジョン系塗料をとにかく幅広く使ってまいりましょう。

 水性塗料の筆塗りと併用するなら缶スプレーだって味方になってくれます。下地を一気にキレイな色で覆い、その上に筆で塗るのがめっちゃ快適になるシタデルブランドの缶スプレー。筆塗り用の塗料と色味もカンペキに合わせてあるので、両方持っていれば鬼に金棒です。

 筆塗りで悩ましいのは白!キレイにムラなく発色させるのが難しくて、何度も塗っているうちに厚塗りになって悲しい……という日もありますが、そもそも白を塗るってどういうことなのか。白ってどれくらい白になっていれば白なのか?うーん、だいたい白くなっていれば白なんじゃないですか……という提案をしているのが下の記事でございます。

 で、複雑な塗り分けは筆だとはみ出しちゃうし凹んだところはどうすればいいんだとかいろんな問題が発生します。これを水性塗料ならではの特性を活かして解決しちゃうのがキッチンマジックリンです!

 マスキング無しでプラモデルの塗り分けがすべて解決しちゃいます。ラッカー塗料と組み合わせればだいぶ複雑な塗り分けでもスイスイ。とにかく今の時代、筆塗りするならキッチンマジックリンと綿棒を傍らに常備しておきましょう。絶対だぞ!

 マジックリンを使った塗り分け法ならシールとの組み合わせなんかも全然余裕なのではないか……ということで、スプレーとシールと水性塗料を使った塗り分けにもチャレンジ。

 SDガンダムのシールって本当によくできているので、最初から「使わない」と決めてしまわず、塗装とプラスチックの地色と適材適所で組み合わせることでだいぶリッチな見た目の完成品が手に入ります!

 もちろんプラモデルはSDガンダムだけじゃないぜ。スケールモデルでも凹んだところに違う色を塗る場面はたくさんあります。プラスチックの色を活かして作りたいプラモデルだってたくさん。そんなとき、水性塗料やアクリル系塗料を使えば「いままでの悩みはなんだったんだ!?」というくらい塗り分けが楽ちんになります。

 つい最近まで「SDガンダムの塗り分けは達人にのみ許されたすごい技術!」と思っていたんですが、高性能な水性塗料の普及とマジックリンの発見、そしてみんなの「水性塗料を筆塗りしたい!」という欲望によってテキパキと塗り分けられる方法が広まりつつあります。これを読んだ人は手元にあるプラモデルをよく観察して「ここ、水性塗料で塗り分けたらイッパツじゃん!」というのを探してください。難しそうで諦めていたプラモデルも、一気に作りたくなること間違いなしです。そんじゃまた!

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

今、「水性ホビーカラー最大の弱点」が克服されようとしている転換期!水性ガンダムカラーが水性ホビーカラーの世界を変える。

 近年完全リニューアルされて、同じ名前ながらもまったくの別物塗料に進化した「水性ホビーカラー」。しかし、1点だけ弱点があると指摘されてきました。それは「色数がすくない」ってことです。確かにラッカー塗料のMr.カラーに比べると色数がとても少ないのです。でもこの弱点を、GSIクレオスは国内最強プラモワールドと紐づけて解決しようとしています。そう「水性ガンダムカラー」です……。まじで今、水性ガンダムカラーのラインナップが大変なことになっているんです。侮らないでよ……。

 上の写真は通常の水性ホビーカラーにあるホワイトとグランプリホワイト。他につや消しホワイトなんかもありますが、白の選択肢がやっぱり少ないです。

 しかし! 水性ホビーカラーの特色シリーズ「水性ガンダムカラー」にはとっても使えそうで良い白がたくさんラインナップされています!! 境界戦機シリーズも入れれば、さらに白の選択肢が広がります。ガンプラの色を増やすことで、通常カラーのラインナップの少なさを補完していく……それがGSIクレオスの戦略なんだね!

 ガンダムの白はとっても好みが分かれるので、さまざまな白が出ているのは超ありがたい。またグレーの強い白なんかはスケールモデルでも大活躍。闇雲に専用色を増やしているのでは無く、各モビルスーツやキャラクターに合わせたラインナップとなっているので、使いやすい色、使ってみたい色が多いのです。

 そして通常ラインナップの方では蛍光カラーやメタリックカラーが追加されてきています。水性ガンダムカラーでアニメメカの独特の中間色などをフォローし、蛍光やメタリックといった部分を通常ラインナップで広げていく。とても頭の良い戦略が今の水性ホビーカラーにはあるのです。

 オレンジの部分に蛍光オレンジを薄く筆塗りするだけで、下地のオレンジを透かしながらツヤ感と色味を追加できます。こういう独特の変化も水性ホビーカラーで表現できるのです。

 通常の水性ホビーカラーと、水性ガンダムカラー、その他のキャラクター系特色を使用すれば、きっとあなたが思い描く色で塗装が楽しめます。通常の水性ホビーカラーの隣にある「水性ガンダムカラー」もじっくりと観察してくださいね! めちゃくちゃ良い色ありまっせ。それでは!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

プラモの塗料を混ぜる棒の先にあるお玉様で「筆塗りが快適になる秘密」。

 僕にとって塗料を混ぜる撹拌棒には「お玉様」がとっても大事なのです! 業務用のマドラーがとっても良いです。

 模型用の塗料はしっかりと混ぜてから使います。その行為は必須なので「混ぜる」ことに関するグッズでもひと勢力作れるくらい商品が展開されています。メジャーなのは上の写真の「ヘラ」状のもの。塗料瓶の中の塗料の塊を「切る」ように混ぜられます。

 対して僕が好んで使っているお玉様は、塗料の塊を「潰す」ように攪拌します。どちらもしっかり混ざれば問題ないので、混ぜる感覚の好みで使い分けて良いです。僕は「切る」感じで混ぜた時に、塗料塊にヘラが突っかかって瓶の中で跳ねて、塗料が飛び散ったりした経験があるので、「潰す」ように混ぜるほうが好みです。

 こちらはグレー寄りの黒い塗料なのですが、瓶を裏返すと黒とは思えない色になっていますね。これが顔料の塊。しっかり混ぜないと本来の色が出ないのです。

 コーヒーを混ぜるようにぐるぐる回します。顔料の塊に当たった感覚があれば、潰してみてまた混ぜます。

 黒くなりましたね! これが本来の色。こうなるまでしっかりと混ぜます。

 で、一番「お玉様」を崇め奉っている理由がこれ。「筆塗り1回分」くらいの塗料を1撃でペーパーパレットに移せるのです。瓶から出したお玉様を、ペーパーパレットの上に降臨させます。するといい感じの雫がパレットに落ちていきますね〜。

 最高です。筆塗り時にまさにベストな量。塗料を使いすぎることもなく、経済的なのです。撹拌棒は混ぜるだけでなく、塗料を移すという役割も重要です。その部分こそ、僕がお玉様に心惹かれている理由です。電動で塗料を混ぜるアイテムと一緒に使っても良いと思います。撹拌棒ひとつでも、みんなと意見が出し合える。プラモデルって本当に面白い趣味ですね。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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「ちょっと待ったー!」なボックスアートがコミュニケーションのトリガー/マイクロエース 日野コンテッサ

 「これは『卒業』じゃないか!」と映画好きの知り合いがボックスアートを指していった。車に乗ろうとしている男女。ドアを開けられないように取ってに差し込んだ十字架、ガラス越しの群衆。マイクロエースの1/32 日野コンテッサの話だ。

 その後「でも品川ナンバーなんだね……品川ナンバーの卒業」と何度も繰り返しながら笑っていたので、この絵はパロディとして十分に成立していることがわかり、何だか私も面白くなってしまった。

 映画『卒業』について調べてみると、「ちょっと待ったー!」と言わんばかりに結婚式に乱入する作品じゃんこれ。最後のシーンだけ記憶の片隅に残っている。真っ赤なアルファロメオに主人公の男が乗って結婚式に向かうようで、箱に書かれたイラストの日野コンテッサが真っ赤な理由はそれをイメージしているからだろう。

 中身のプラモデルはというと、真っ白のボディパーツの前後に黒いパーツを取り付けるので、グリルのないつるんとした実車の見た目とは違うプラモデルならではの分割を見られる。こうして、プラモになるために考えられた設計を味わえるのは楽しい。

 ボディの前後が別パーツなので、しっかりと接着されたことを確認してからシャーシをはめ込んだほうがいい。あと、難しそうならシャーシの先端と後端をヤスリで削っておくとはめ込みが楽になる。後輪のホイールにはシャフトに軽く差し込み、流し込み接着剤をつけるとするっと奥まで入る。

 ボディ以外は黒色のプラスチックとライトなどを表現するクリアパーツなので、ボディだけ塗装すればそれっぽい姿になることは間違いない。しかし、このツギハギ感のある姿もいかにもプラモデルという感じがするし、当時の設計者のアイデアがあらわになっている感じがして私は愛おしいと思う。

 完成品を友人知人に見せるのも楽しみの一つだけど、プラモの箱絵を見せるとマイクロエースの1/32 日野コンテッサのように「え、これって!」と思わぬ驚きをあなたに教えてくれる人が現れるかもしれない。

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

己の作りたかった世界観をプラモに貼れ!直球で伝えるあなたの思い。

 模型展示会に行くと、作った模型の機体名や作品タイトルが札やプレートになって置かれている。それには「何を作ったものか」、「作った人がどんな思いを込めて作ったのか」がみる人に伝わってくる効果がある。松本で開催された松本城下町モデルコレクションに参加したときに、僕はそういう札やプレートを持っていかなかった。これはちょっと後悔していたのだ。

 そんな思いが頭の片隅に残りながら、マイクロエースの1/24 ダッジチャレンジャーを作っていた。そして女性も隣に添えようとしていた。女性プラモが塗りあがると、プラモのパッケージとは異なるなんとも迫力あるアネキになってしまった。キラキラカワイイは、今の俺には遠い世界。80年代ロボットアニメで硝煙や砂埃の中を強く生きる女性のような雰囲気に仕上がってしまったのだ。「ちょっとボス味がすごいな……ボス!?」、そのとき閃いたのだ。もうこの女性を、そこら辺を仕切っている姉御って設定にして、迫力あるダッジチャレンジャーに添えようと。車にも似合う。あとは誰が見てもボスの車に見えるようにメッセージ性を込めるだけだ!

 そういう場合はデカールだ! デカールにはマークや文字でキャラクター性を演出できる魔法がある。頼む……良いのがあってくれ……。家のデカールストックファイルを隅々まで探してみた。

 勝った……ど直球「THE BOSS」のデカール。もうこれを貼れば、俺が作ったダッジチャレンジャーはボスの車だ。誰もこの車には敵わない。そしてその隣に姉御を置けば、街の治安は守られるのだ。まさにTHE BOSS。これが俺の作品タイトルだ!

 飛行機模型のデカールの中にあったノーズアートを貼れば、さらに色気も出てくる。ボスの色気ってもんがさ。

 台座に乗せれば、もうタイトルプレートがなくてもわかるだろう! 俺が作りたかった世界が。見せたい世界、感じてほしいメッセージがあったら「模型に直接貼る」。そんな選択肢があってもいいじゃないか! 実際に貼ってみて、俺はすごく気に入っている。

 プラモってのは人が作った分だけさまざまな思いがこもっている。それをひっそりと模型の中に閉じ込めておくのも、俺は粋でかっこいいと思う。でも時には、メッセージ性を解放して「俺の歌を聴け」状態になっても良いと思う。そんな時は、模型に直接貼ったり塗ったりしてしまおう! プラモに思いっきり語らせようぜ!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

【100均DIY】大理石調のプラモデル展示用台座を200円で作るコツ!

 自宅でもプラモデルの展示会でも、ただ机の上にプラモデルを置いただけではちょっと淋しい。そんなときは台座があるといいですね。なるべく背が高くて質感の良いものを用意するといいのですが、これを100円均一ショップにあるものだけで作ったところ、結構褒めてくれる人が多かったので作り方を書きます。

 まず100円の木箱を買います。裏返して使うので底面がまっ平らなものを選びます。問題はたいがいの木箱において側面に何かしらのフレーバーテキストが印刷されていることです。このままでは字が天地逆になるし、「家で落ち着いてください。落ち着け。」と言われても困る。塗装で消すのもダルい。そこでリメイクシートを貼ります。黒い大理石調の模様が印刷されたものも100円で売られています。

 まず台座天面(木箱底面)にリメイクシートを貼ります。木箱のサイズよりも一回り大きく切り出します。金尺とカッターナイフくらいは……プラモデルを作るなら持っていると信じています。

 気泡が入らないよう端から空気を押し出すように力を入れてびしーっと貼っていきます。四辺からリメイクシートがはみ出しているのが正解。リメイクシートは賃貸住宅でも安全に使えるよう貼って剥がせるタイプのものがほとんどなので、粘着力があまり強くありません。とにかく圧着して浮いてこないようにします。

 木箱のフチに沿ってカッターを滑らせます。木箱を切らないように、しかしリメイクシートはイッパツで切れるように、カッターナイフの刃は新品にしておくのがオススメ。

 サイド面は金尺でまっすぐ切ったものを天面のカドに合わせて貼ります。残りの三辺はさきほどと同じように少し大きめに切り出してはみ出すように貼るのがコツです。「サイドはぐるり一周貼るんだから寸法測って細長い帯を巻きつけるように貼ればいいのではないか」と思うかもしれませんが、100円で売られている木箱のカドはきっちり直角ではないので、結論から言うと無理です。

 それから粘着力が弱いのでカドを回り込むように貼るとリメイクシートがカドの両脇で微妙に浮きます。そうすっとせっかくの平面性が失われてなんか硬い台座に見えないのでイヤなのです。少々面倒でも、一面ずつ貼って余ったところをカッターでキレイに切り取る……というのを5回繰り返すことを強くオススメします。

 ものの数分で大理石調の台座が完成しました。リメイクシートの面積はそれなりにあるので複数の木箱を大理石調に化けさせられます。そうそう、DAISOの木箱の底面に貼ってある商品説明のステッカーは死ぬほど剥がしにくいことが知られていますが、アイロンを10秒くらい当てると信じられないくらいキレイに剥がれます。こちらも覚えておくとすごく便利なのでみんなもやりましょう。好きな柄のリメイクシートでかっこいい台座を!そんじゃまた。

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

カーモデルのロゴやエンブレムの塗り分けも「マジックリン拭き取り」でとっても快適!

 最近の車模型のメーカーのロゴやエンブレムは、硬くてキラリと輝き、立体感もある高級なシールで表現したり、巧みなパーツ分割と彫刻で塗りやすまで考慮したりしてきます。でもちょっと前の車模型だとこのようにパーツに直接彫刻されていたりします。小さい彫刻を塗り分けるのって大変ですよね。でもここでも「マジックリン」が大活躍! 最初にロゴをラッカー塗料で塗って、上塗りを水性ホビーカラーで行うだけで良いのです。マジックリンはラッカー塗料の塗面を侵すことは無く、水性塗料だけきれいに拭き取れます。

 「DODGE」に文字にラッカー塗料の銀を吹きます。その後にボディのメインカラーを水性ホビーカラーで塗ります。今回のボディの塗装は、全てメイク用のファンデーションスポンジに塗料を含ませてポンポン叩いただけです。あえて銀をすかしたことで黒ズミみたいになり、汚しのアクセントになるのであえて銀を透かしています。銀をしっかりと隠蔽したいなら、再度上から水性ホビーカラーのつや消し白(ボディの下塗りは全てラッカーのつや消しホワイトを吹いています)を吹いて、周囲の銀を塗りつぶします。

 あとは少量のマジックリンを綿棒に含ませて、ロゴ部分だけを拭き取るだけで塗り分けが完了します。

 キラリとロゴが光りました! マスキング無し! 筆でプルプルと震えながら塗る必要も無し! お手軽に塗り分け完了です。塗料の使い分けができるようになると、より塗装は快適になります。「水性塗料はマジックリンで落とせる」。その性能を知っているだけで、さらにラッカー塗料塗装の可能性も広がるので、ぜひ一度試してください! それでは!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

マジックリン洗車!「ラッカー塗料+水性塗料」の組み合わせでカーモデルの塗り分けが爆速で楽しくなる話。

 家庭台所用洗剤「キッチンマジックリン」は、ラッカー塗料にダメージを与えることなく上に塗った水性塗料をつるんと拭き取ることもできる凄いヤツ。この性能を活用して車模型を塗ると、めちゃくちゃ爆速でめんどくさそうな塗り分けをスイスイ回避していけますよ! それでは、レッツドライブ!!

 今回はアメリカの隅っこで走ってそうな、つや消し車にしたいので、ラッカースプレーからつや消しホワイト(シタデルカラースプレーのホワイトスカーを塗装。マジ最強のつや消しホワイトスプレーです)を塗装。お次は窓周辺のモールをラッカーのシルバーで塗っていきます。車模型はこの部分の塗り分けに細かなマスキングをしたりするのですが、今回ご紹介する塗り方なら細かなマスキングは入りません。大雑把にボディ周辺だけマスキングします。

 モール部分にラッカー塗料の銀を塗ります。つや消し黒などを指定されている車ならラッカー塗料の黒を塗ります。エアブラシを細吹きできるように絞って狙いを定めていきましょう。

 シルバーを塗り終えたら、ルーフ部分は水性ホビーカラーで塗り分け。ネイビーブルーにつや消しブラックを少量混ぜたもので塗装しています。真っ黒より青っぽい黒になってかっこいいです。銀で塗ったモール部分にバンバンはみ出して、なんなら塗り潰しちゃっても問題ないですよ。

 そして登場するのがキッチンマジックリンです。原液にそのまま綿棒を突っ込んでください。その後ティッシュの上で綿棒をトントンと叩いて、余分なマジックリンをティッシュに吸わせます。

 モール部分を綿棒で拭き取ってください。すると上塗りした黒だけがきれいに拭き取れます。下のシルバーはいっさいダメージが無く、ピカピカのままです! 気持ちよし!

 最高です! たった10分で塗り分けが完了しました。ラッカー塗料、水性塗料、マジックリンを合わせて使うだけでこんなにも快適に塗り分け可能です。

 めちゃくちゃ周囲に水性ホビーカラーの黒が飛び散っています。これがラッカー塗料だったら頭を抱えてしまいますね。安心してください。水性ホビーカラー、その他の水性塗料ならマジックリンで簡単に拭き取れます。

 マジックリン洗車完了! きれいに拭き取れました。ボディはつや消し塗料なので、表面がざらついているのにも関わらずきれいに拭き取れました。ツルツルの光沢塗料面ならもっと簡単につるんと拭き取れますよ。

 ラッカー塗料と水性塗料をうまく使い分けることで、車模型の塗り分けはとっても楽になります。また水性ホビーカラーの性能アップによって、ラッカー塗料の上から塗った塗り分け部分のクオリティの差も全くありません。ラッカー塗料だけで塗装していたそこのあなた! 今すぐ水性塗料とキッチンマジックリンを準備して快適なドライブに出かけましょうぜ! アディオス!!!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

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花金だ!仕事帰りに買うプラモ。ギミック満載!国産プラモのアメ車「ダッジチャレンジャー」で花金を駆け抜けろ!!

 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週は、車模型コーナーの棚の中でもひときわレトロな雰囲気を醸し出している「マイクロエース オーナーズクラブ」シリーズでゲットできる迫力満点のアメ車「ダッジチャレンジャー」をご紹介します! ギミック満載、ガシガシ組めてマッスルな雰囲気をすぐに楽しめるプラモですよ!

 nippperでも度々紹介しているオーナーズクラブ。このシリーズは手のひらサイズの「1/32スケール」だけでなく、「1/24スケール」も展開されています。その中に貴重なアメ車がいるんですね。世界中の模型メーカーからプラモ化されている人気車種「ダッジチャレンジャー」です。元はオオタキという模型メーカーが発売したプラモデルで、それをアリイが引き取り、マイクロエースブランドで発売しています。1974年のプラモですが、エンジン再現やドアの開閉、そしてモーターライズで走る(現在はディスプレイモデル)というてんこ盛りプラモだったのです。こういうプラモが今でも買いやすい価格で店頭に置かれているのって、やっぱり嬉しいのです。

 箱を開けた瞬間にマッスル! 国産自動車では味わえないパワフルボディが登場です。そしてよ〜くみてください。この収納方法。箱のスペースを確保するために、ボディの中にシャシーを収納しています。箱を開けた瞬間にダッジチャレンジャーのボリューム感を堪能できちゃうんですよ。手に持った瞬間大興奮しちゃいました。

 かっちりハマっているから、取り出すまでに2分くらいかかりました。いきなりシャシーを粉砕して金曜の夜が終わってしまうのでは……と不安になりましたが、そんなパワフルに外そうとする人は僕以外いないでしょう。

 メッキパーツもふんだんに入っているので、組むだけで白・黒・メッキと色が分かれて見た目も華やかになります。

 こちらがエンジンのパーツ。ランナーの状態でエンジンも激っているので、バリ(金型からプラスチックがはみ出して餃子の羽のようになっている状態)が飛び出しまくっています。古いキットのこういうところをデザインナイフで削ぐの、嫌いじゃないです。

 パーツの組み合わせ自体は悪くないので、バリを丁寧にカットしてあげればいい造形を味わえますよ。

 さらにこのキットはボンネットが開いたり、左右のドアも開閉します。お気に入りのフィギュアを添えれば、さらに車の景色が広がるのです………めちゃくちゃ可能性あるプラモですね。

 組んでいて、あまりに気に入ってしまったので塗装しようと思い、メッキパーツやクリアパーツは一部つけていません。キット的には細部や車高などいろいろと指摘されているようですが、デカくてギミック満載の車が低価格で楽しめるってだけですごく価値があると思います。手を入れたければバンバン入れらるほどキットの構成もシンプルです。このプラモを買ってくれば、間違いなくマッスルな週末を過ごせますので、ぜひ花金の向こう側である土曜日までぶっ飛ばしてください! それでは!!

フミテシ/nippper.com 副編集長

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俺の筆塗りステーションは汚し放題!!セリアのMDFボードは塗装作業に最高です。

 僕はカッティングマットや模型製作に使用している木のお盆に塗料が付くのが嫌い……。特にカッティングマットに塗料が着くと一撃で見た目が悪くなるし、塗料を拭き取るとカッティングマットにプリントされたマス目も一緒に消えたりする。そうなると模型を作っている時、塗っている時に途中写真をパシャリと撮影したときも「ちょっと汚いな……」となって自分のテンションも下がる。そんなモヤモヤを解決してくれたのが100円ショップのセリアに売っていた「MDFボード(A3)」だ。硬くて、デカい。そして木質なので見た目も暖かい。これは俺の塗装ステーションにピッタリだと思えたのだ。

 でかい木質の板というのが良い。MDFボードは細かく粉砕した木材等を板状に成形したもの。木を切って板材にしたものより見た目は劣るが、ぬくもりがあり、A3サイズが100円で買えるというコストパフォーマンスが魅力だ。木の板を製作台にしているアーティストの動画を見た時に、その木の板にはたくさんの塗料が付いていたのだけれど、むしろそれがすごくカッコよかった。カッティングマットに着いた塗料や傷とは全く異なる雰囲気を醸し出していた。つまり、木と塗料はとても良い関係を築けるのだ。

 そして一番気に入っている点がコレ。硬い板に塗ることでよりパーツに塗った時のようなシミュレーションができる。さらに、繊維を固めて作られたMDFボードの表面がいい感じに筆の中の塗料や溶剤を吸ってくれるので、筆の中の塗料量の調整もできる。俺はタオルと併用することで、筆の中の塗料環境を調整している(タオルのほうがより余分な塗料を吸い取る。MDFボードはタオルより吸い取る力が弱いので塗料を若干多めにしたい時はこちらを活用する)。

 1日の作業を終えて、スマホやコンデジでパシャリと撮影してもこのような雰囲気になってカッコいい。MDFボード上に塗料の付着が増えてくると、さらに味が出てきてカッコよくなるだろう。汚し放題で、使い込むほど雰囲気が出てくるMDFボード。まさに筆塗りステーションとしてとても良い材質だ。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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ジオラマ用のかっこいいコンクリ地面は「ハレパネとピンセット」だけで完成します!

 上のようなそれっぽい地面が15分で完成します! 造形に主に使用するのは「ハレパネ」、「カッター」、「ピンセット」。塗装は「缶スプレー」と「Mr.ウェザリングカラー グランドブラン」のみです。

 ハレパネはスチレンボードの裏に粘着剤がついたもの。イベントの看板や解説パネルなどによく使用されています。ハレパネはディオラマの地面や簡易的なベースを作るのにとっても便利なんです。

 まずは使いたいサイズにカットします。粘着剤を保護している剥離紙にはマス目がプリントされているので、これを活用すればきれいにカットできます。

 手頃なサイズにカットできました。剥離紙は剥がさずに、完成後に木の台などに貼り付ける際に剥がしましょう。

 それっぽいアスファルトの地面なら、ツル首のピンセットがあれば製作できます。まずは表面をトントンと叩いて細かな凹みを表現します。プスッと刺して深い穴を作ってメリハリを出しても良いです。

 次にひび割れです。ハレパネをピンセットの先で引っ掻いて見てください。それだけでひび割れたような雰囲気になります。トントン叩く、引っ掻くの2パターンの動きだけで地面の表情が完成します。

 タミヤのエアーモデルスプレー AS-7 ニュートラルグレイはコンクリートの色にピッタリ! これをハレパネに吹き付けます。

 塗料が乾燥したらMr.ウェザリングカラーのグランドブラウンを全体に薄く塗り広げます。

 平筆で叩いたり、キムワイプで拭き取ったりすることでランダムな表情が出ます。ひび割れ部分などには濃いめに塗料を残して見ました。

 アップでみるとこんな感じ。ひび割れも凹凸もいい感じですね! ピンセットだけでやったとは思えない雰囲気です。ハレパネとピンセットの相性はとっても良いので、お手軽に表情がつけられますよ。

 動物を上に置けばそこはZOO。動物園を作ろうとすると大変ですが、動物園の地面を切り取るならこの方法でOKでしょう!

 車が完成したけど、良い地面が無いな〜って時も、この方法でお手軽に地面が作れます。ハレパネの粘着面を活用して貼り合わせて、歩道と車道の高低差を出したりも可能です。本当にお手軽で良い感じの地面が作れる方法なのでオススメです! それでは〜。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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「プラモデルが大好きな仲間との旅」で見る景色と味。松本城下町モデルコレクションを終えて。

 プラモな仲間と一緒に旅をする。これは本当に面白い。同じ景色を見ていても、それぞれ視点が違くて常にニコニコできるのだ。僕は2017年にからぱたとイギリスへ行った時、本当にひとりでは無く仲間と行って良かったと思っている。2024年3月16日、17日に開催された「松本城下町モデルコレクション」では、久しぶりに模型仲間と旅をし、あの時のイギリスと同じような体験ができたのだ。

 僕は仲良くしてもらっているモデラーの清水圭さん(水性ホビーカラー筆塗りが鬼ウマな人)と現在長野県に在住している奥川泰弘さん(著書/ランドスケープ・クリエイションなどで素晴らしい車模型を発表している人)と一緒に、松本の後に上諏訪へプチ旅行に出かけた。上諏訪は長野県を代表する酒蔵の町で温泉もあり、渋くて良い場所なのだ。

 酒蔵を見れば「この壁やべ〜な〜。こういう壁と人のプラモあるだけで情景完成するね!」とか、「あそこに奥川さんみたいな情景ありますよ!」と言って激渋な雰囲気を醸し出している建物を見つけじっくりと観察したり。プラモが好きな仲間と街を歩くだけで、その全てが観察対象となり、観光名所に行かなくてもめちゃくちゃ楽しいのだ! 上諏訪のグルーヴ感と僕たちがいいな〜と思える趣向が見事にマッチして、すごく楽しい時間を過ごせた。

 そして、旅の醍醐味は「ご飯」。良い街並みには絶対に良い味がある。知らない街の味を探すため、いつもよりスマホに集中力を注ぐ。検索して出てきた数件をさらに吟味する。レビュー写真と睨めっこ。まさにこれは模型完成品をじっくり見て「ここ真似して〜〜」という見方と同じ。「ここうまそ〜」を探すのだ。物を見るってことはさまざまなことにリンクしているのだ。

 そして僕らは「まごころの味」に辿り着いた。お店の名は「まとい」。地元の人にも観光客にも愛されている定食屋さんだ。入った瞬間、「カウンター席がまるで情景王のディオラマか!?」と思えるほどの良さ。最高すぎる……。

 そしてメニューだ。人は選択肢が多いと思考が止まる……。プラモもあれもこれもできますよ! って言われると迷っちゃうのと同じだ。

 散々悩んだ挙句にフミテシは「チャーシューメン」をセレクト! 定食屋さんのラーメンってさ、街の味じゃん! こういうお店ですごく食べたくなってしまうのである。味はもうね、最近食べた醤油ラーメンの中でもトップ。スープに溶け込んだチャーシューの甘みが、醤油の中に上品な甘味とオイル感を加えてくれてすごくまろやか。完飲したのであった!

 清水さんと奥川さんは僕よりやんちゃなチキンカツ定食。枕みたいなチキンカツが出てきて、唖然。でもでかいだけじゃなくて、胸肉なのにぷりぷりの食感。衣に染みたソースと鳥のうまさのマリアージュ。お二人ともソースのかけ方がうまくて、「ウェザリングがうまい人はソースをかけるのもうまいな〜」と感心し、お肉を眺めていると、奥川さんがチキンカツ1枚とお米を恵んでくれたのだ。

 プラモに導かれて松本へ行き、松本城、松本の街並みを堪能し、宇宙堂やアサヒ堂といったその土地のホビーの老舗にも訪れ話を聞く。そしてまだ行ったことがなかった上諏訪で新たな知見を得た。ただの旅行と見ればそうかもしれない。でもきっかけは全て「プラモ」だ。プラモってのは自分が見たことがない世界に、こうやって連れて行ってくれる。

 そしてプラモが好きな仲間は全国にいる。僕たちがちょっとだけ勇気を出して一歩踏み出せば、そこには素晴らしい仲間と体験が待っているのだ。プラモを持っていかなくても良い。プラモが好きな心と目と、人と一緒に楽しむ優しささえあれば、きっとあなたの人生に幸せな時間をもたらしてくれるだろう。改めて松本城下町モデルコレクションに感謝。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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いつでも安全に、カッターナイフの切れ味バツグンをキープしてくれるオルファのポケットポキ。

 なくても模型が作れるけど、あるとめっっっっちゃくちゃ便利! しかしその良さを人に話しても地味なのでいまいち伝わりにくい、そんなアイテム。それがオルファ株式会社の「ポケットポキ」です。

 模型を作る時はカッターやデザインナイフがよく登場しますが、切れない刃物は怪我の元です。こまめに折ったり交換することで怪我を減らせますし、快適に使用できます。
「ポキ」のシリーズにはコンパクトな「ポケットポキ」の他に容量の大きい「安全刃折処理器ポキ」などもありますが、今回ご紹介するのは机の引き出しにもしまいやすいサイズの「ポケットポキ」です。

 さっそく折ってみましょう。カッター刃を1目盛だけ出してスリットに差し込み、刃の折れ目と反対方向に折ります。軽い力でピシッと気持ちよく折れます。折った刃はストンと内部に落ちます。使い終わったデザインナイフの刃もスリットから入れられます。刃がいっぱいになったらケースごと廃棄できます(詳しい捨て方は各自治体の廃棄方法をご確認ください)。

 ケースには安全カバーが付いているのでカッター刃がポロッと出てくる心配もありません。カッターを使う前に刃を1枚ポキンと折ってから始めるとストレスも怪我の心配も少なくなります。実売200円以下の投資ですのでぜひ使って「切れ味の良い刃物」のある生活を始めてください。今日の模型ライフも一日、ご安全に!

森砂季

模型の挫折を繰り返したのち、ウォーハンマーとの出会いでアクリル筆塗りの手軽さと楽しさに目覚めたペインター。
サイズが小さめなプラモとガレージキットが好き。

レトロゲーのRTAのように、昔のプラモだって作り方は進歩する/オーナーズクラブのパブリカに漂うゴールの予感

 昔のプラモも、レトロゲームのようにまだまだ作り方を考えつくす余地がある。

 そんなふうに思ったのは、『不思議のダンジョンRTAフェス』というイベントを見ていたからだ。様々なローグライクゲームをタイムアタック形式でどんどんクリアしていくといった内容で、2月23日からの三連休に開催されたイベントだ。

 その中で惹かれたのが「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」だ。当時プレイしていたこともあり、プラモデルを作る合間に眺めていたのに洗練された攻略方法でどんどん進んでいく姿には驚いた。20年以上前に発売されたゲームが長く愛され、遊ばれ、研究が進んだ証のようにあっという間にクリアしてしまった。

 アリイのマイクロエースは安い価格、小さい箱、かわいらしい昔の車のラインナップ、そして他所とはテイストの違うボックスアートが魅力のプラモデル。バリなどを丁寧に取り除き、パーツを整えることで真の姿が生まれるのだが、整えた後に塗装まで一気にやろうとすると結構大変。ただいつまでも完成しない姿を見ていると気づいたら埃をかぶってしまうということも考えられる。

 そこで、ある程度のユニットに組んでからスプレーを吹くことにした。真っ白な1/32 トヨタ パブリカを見てボディをシルバーにするとかなり早く出来上がるのでは?という仮説を立てたのだ。試してみると、シルバーに塗られたボディは見た目の満足度がそもそも十分。同じタイミングでブラックのスプレーを吹いたシャーシやホイールなどをそのまま組み合わせたら完成といっても良いくらいの出来栄えだ。

 クリアパーツに輝きを与える下地としてもシルバーは適しているし、バンパーやガラス周りのシルバーも一気に塗ることが出来た。あとはシルバーを残してボディを塗っていけば完成しそうだ。

 パーツを整えるのに使ったスポンジヤスリなども当時は販売されていなかっただろうし、これからも作り方は進歩し続けるだろう。シルバーに塗られたパブリカは私の好きな色に塗られる日を待っている。

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
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模型店のワクワクとドキドキが濃密に味わえる店。「模型のアサヒ堂」/松本城下町モデルコレクションが繋いでくれた体験。

 長野県松本市で開催された松本城下町モデルコレクションでは、宇宙堂の他にもう1店ぜひ行ってほしいと教えてもらったお店があった。それが「模型のアサヒ堂」だ。宇宙堂がホビーの玄関なら、アサヒ堂はプラモデル・ラジコンの玄関だそうだ。「店主の雰囲気も昔ながらの模型店のオヤジさんって感じでクセが強いですよ。でも優しい方なんでお話してみてください」と一言アドバイスをもらった。いいじゃないか。そういう雰囲気は大好きだし、僕も小さい頃頑固親父がいる玩具屋さんに育ててもらったもんだ。

 アサヒ堂へは、松本城へ行ったその足で行ける。だから松本に残る古い建築や街並み、路地なんかに入って散歩も楽しめる。美味しそうなお菓子屋さんも近所にあった。知らない街並みの先に模型店があるってだけで、心がワクワクしてくる。

 到着するなり、その外観に心打たれてしまった。これぞ模型店。感動しかない。地元の人にとっては当たり前の景色なのかもしれないが、松本の街並みを見ながらこの模型店が現れるのだ。街の歴史にもマッチしたその外観。松本のプラモの柱がここに立っているではないか。

 お店に入ると「松本城下町モデルコレクション」のリーフレットが貼ってあった。そこで店主に展示会で松本に来たこと、このお店で色々とプラモやラジコンの面白さを知ったという地元の人のお話を聞いて来店したことを伝えた。すると一言「そう。いいね。」とだけ返してくれた。でもタバコを口に運びながらの口元には笑みがあった。模型が好き、ラジコンが好きって人のことをきっと大事にするんだろうなってことがその表情だけで伝わってくる。店内を見ると模型が綺麗に陳列されている。それがこの店主の生き方を表していると思うのだ。

 ショーケースには、模型店と一緒の時を過ごしてきた魅力的な模型が、素敵な景色を作り出している。埃がかぶっていようが色が褪せていようが、楽しく作られたプラモは人の心に訴えてくるものがあるのだ。

 オヤジさんにお礼を言いながら、僕は一つプラモデルを買った。それは今度nippperの記事で紹介しようと思う。メーカーの袋やお店のロゴがプリントされた袋に入れてもらえるのも、昔ながらの模型店の良さ。ミニ四駆のかっこいいビニール袋を手にしながら松本の街を歩く。「nippper?? 知らないね。頑張りなよ」。オヤジさんの最高の激励が沁みた体に、松本の風は心地よかったのだった。

フミテシ/nippper.com 副編集長

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その土地の「ホビーの玄関」を訪れる。松本 宇宙堂/松本城下町モデルコレクションが繋いでくれた体験。

 2024年3月16日、17日と長野県松本市で開催された「松本城下町モデルコレクション」にnippperも参加してきた。模型展示会と呼ばれるイベントは、上の写真のようにモデラーがそれぞれ作ったものを持ち寄って展示・公開して交流を深めるものだ。SNSや模型雑誌の写真で見たことがあるもの、イベントで初お披露目されるものなどもあり、模型大好き人間にとっては天国のような場所なのだ。

 そして模型展示会の最大の魅力は「交流」。模型を通して人と話すことで、自分の中に新たな経験値が蓄えられる。僕はそのような会話の中では「その町の模型風土」というを聞くのが大好きだ。模型が僕を知らない場所に連れて行ってくれる……そのような機会は人生の中でも特別な時間なのだ。地元の人との交流というのは本当に素敵な出会いを僕に与えてくれる。

 今回の展示会で初めてお知り合いになれた地元の方に「松本市民にとってのホビーの入り口です」というお店を教えてもらった。まさにその地の模型風土を作り上げてきた場所ではないか。僕は展示会をちょっと抜け出して、教えてもらったお店「宇宙堂 ナワテ店」へと向かった。

 なわて通り商店街は、松本城にも近く多くの観光客で賑わう場所。歩いていると「タミヤ」のマークが目に飛び込んできた。間違いなくあそこだ! ツインスターのパワーは偉大である。

 まさに町の玩具屋さんと言える外観。パーフェクトだ。向かい側にはアナログゲーム関係を扱うフロアもあり、そちらは松本のアナログゲームの聖地とも言われているそうだ。

 お店に入ると店主が気さくに出迎えてくれた。フライトジャケットのフィット感が素晴らしく、まさに地元のホビーを支えてきたアニキの貫禄がある。店内も見やすく、整理整頓されていて、タミヤ、ハセガワ、アオシマなどの主要商品はしっかりとラインナップされている。

 松本の展示会に東京から来たことを伝えると「私も昔タミヤさんやハセガワさんなんかを呼んで、コンテストもやったんですよ。展示会を主催している人たちの中にも参加してくれた子がいると思うんですよね。そういう人たちがまた、ああやって模型が好きな人を集めてイベントをやっていると聞くと、私も嬉しくなりますよ。作ったものを見せて語り合うのは本当に楽しいですからね。そして今の人はみんなお上手でしょ。どんどん見せあって盛り上がってほしいですね」。

 宇宙堂のドアは松本のモデラー、ホビーが大好きな人たちを何人も送り出してきたのだろう。店主はお話好きな方だから、きっといろんな人にホビーの楽しさを届けたに違いない。そんなお店の雰囲気を感じられた。それも模型展示会を通しての交流が産んでくれたこと。プラモデルは人を繋ぐのだ。

 そして僕は、自宅でモトタグに乗っているロンリーアニキのために、仲間を購入した。プラモも人が増えると楽しい景色が生まれる。松本で買った模型と東京・新橋で買った模型を交流させよう。俺の部屋でも小さな模型展示会がこれから始まるのだ。おしまい。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

プラモと本の良い関係は「イーゼル」で築く。あなたの推しをステージへ届ける話。

 今自分が作っている模型の参考によく読んでいる本を置く場所として、「イーゼル」を買いました。本屋さんに行った時に、今推しの本をイーゼルに置いて目立たせていたのです。これ、自分の部屋でもやってみたいなと思ったんです

 最高でした。今車作りたいな〜って気分が上がっていて、以前nippperでも紹介した「時代を超えて愛される、デザインの良い車。」をパラパラとめくる機会が多いです。今自分が夢中なことやもの、覚えたい技法の本などをこうやって置いておくと、自分の意識にもブレがなくて集中できます。

 そして、このイーゼルに本を置き換えるのも楽しいのです。「次はこのジャンルの模型作るから、参考書はこれにしよう」ってな感じで模型とセットで自分の気持ちを持っていけます。ライフスタイルや旅行の本なんかもいいですね。僕はグルメ本も置いてみましたが、食いしん坊に火がついてしまい逆に集中できなくてやめました。

 技法とか動画で見せるってのがどんどん主流になってきますが、本は自分のリズムでゆっくりと大好きなことに没入できる素敵なメディアです。今あなたの推しの模型ライフにぴったりな本を、他の本もよりも目立つイーゼルに置いてください。あなたにとっての模型と本の良い関係がきっと築けるはずです。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

水性ホビーカラー塗装がさらに楽しくなる秘密兵器は「ヒートガン」です!!

 「ヒートガン」があるだけで、水性ホビーカラーの塗装が最高に快適になって、より綺麗に塗れるようになります。しっかりと塗料が乾いている状態って本当に大事なんだと改めて気付かされます。

 ヒートガンはドライヤーよりも強力! 当てすぎるとプラが変形するので、1箇所に長時間ヒートガンを当てるのではなく、ドライヤーで乾かすのと同じように、全体に満遍なく風を当てるようにします。それだけで、ほんの数秒で塗料が乾きます。速乾のラッカー塗料ならマジで一瞬。5分ほど乾燥がかかる水性ホビーカラーも数秒で乾きます。指で触っても問題なしです。

 僕が購入したのは強弱のスイッチがあるタイプ。強は350℃、弱は200℃の熱風が出ます。数字だけ聞くとやばすぎ!! って思うかもしれませんが、本当にドライヤーを使う感覚でいけます。発射口もしっかりとガードパーツが付いていますので、安心してください。でも使用後はノズル付近を触らないようにしましょうね。

 最も恩恵を受けるのが筆塗り。しっかり乾かせる環境ができると、より薄い塗料でも攻めていける精神状態になれます。薄い塗料を塗って乾かして〜ってやっていると、待っている時間がモヤモヤタイムになり、つい触ってしまったりしてしまいます。しかし、ヒートガンがあれば一気に乾かせるので、リズム良く塗っていけます。

 下地がガンガン透けているくらい薄く塗った水性ホビーカラーのダークシーグレー。このくらいならもう一瞬で乾きます。全体に10秒くらい当てれば乾いてしまいます。

 塗料が完全に乾いていれば塗膜ももちろん強くなります。そのため、この上から重ね塗りすると下の塗料を抉ったりすることも減り、より綺麗に塗り上げられます。

 2回塗りした状態。薄い塗料を重ねているので厚さもあまりありません。完全乾燥した塗料が下地としてもしっかりと生きているので、薄い塗料を2回塗っただけでも色がちゃんと発色します。

 乾いたダークシーグレーの上から水性ガンダムカラーのガンダムホワイトを塗って、イギリス軍機の下面色であるシーグレーを表現しました。ダークシーグレーがしっかりと乾いているので、上塗りしたガンダムホワイトと溶け合うことが無く、綺麗に透けてくれます。これもヒートガンの完全乾燥による恩恵なのです。筆や塗料の希釈も筆塗では大事ですが、「しっかり塗料を乾かす」というのも同じくらい大事です。ぜひヒートガンをゲットして、楽しい塗装ライフをお送りください!

フミテシ/nippper.com 副編集長

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ゴージャスな金型技術のオンパレード/スピノサウルスのプラモデルはエクスプラスの得意技連発だ!

 スピノサウルス、めっちゃデカい。エクスプラスから発売されたスピノサウルスは1/35スケール。『ジュラシック・パークIII』に登場したキャラクターとしてのスピノサウルスを臨場感たっぷりのジオラマ仕立てで楽しめちゃうプラモデルです。ゴツゴツした表皮の表現がたまらんわけですが、このプラモデル、本当にリッチな金型の見本市みたいになっていてすごい。

 脚ドゥーン、泥水バッシャアの台座パーツの奥行きがたまらん。動的な水の動きが硬質なプラスチックに静止した状態で彫刻になっていて思わずニコニコしてしまいます。もちろん足のパーツとバッチリ合う造形になっていて、デジタル時代の造形〜金型設計技術にありがとうと伝えたい。

 そんでキミ、この背びれのパーツですよ。こんなに分厚いとプラスチックが冷えて収縮するとカタチが変わっちゃうのですが、スライド金型という技法によって中身がごっそり肉抜きしてある。スライド金型じたいは珍しいもんじゃありませんが、中空にする面積とスライド量はプラモデルだとほとんど見たことがないレベル。こんなの左右に貼り合わせればオッケーじゃん?と思うけど、パーツを切り出すだけで大ぶりな塊が手に入ることのダイナミズムを選択しているわけですね。合わせ目を消さなくていいのもアドです。

 なにより盛り上がっちゃうのがジオラマの添え物に過ぎない「沈みゆくクレーン車」のブームがトラス構造イッパツ抜きの3ピース構成になっていて、繊細さと組み立てやすさと剛性を一気に両立させていること。これは同社前作の『シン・ウルトラマン』でも見られた手法ですが、さてはエクスプラスの中の人、トラスをプラモデルにするのが楽しくなっちゃっているな?

 メーカーの完成見本はとってもリアルに(劇中のスピノサウルスそっくりに)塗られていますが、その方法はあっと驚く意外な方法が説明書でオススメされています。巨大で強い恐竜の有機的なポーズと表皮の生々しさと、対比的に配置された人間の作る直線的なメカ。ギリギリまで切り詰められた台座の面積や配置も「プロならではの巧みさ」でセットされていますから、誰が組んでも達人のジオラマが手に入っちゃうというのがホントいいっすね。そんじゃまた!

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

ガンダムマーカーで塗ったものが「木」に変身!リアルタッチマーカー ブラウン1で遊ぼう!!

 ハセガワの10円ゲームが「ガンダムリアルタッチマーカー ブラウン1」でさらにレトロな雰囲気を纏いました。茶色とかベージュの成型色(プラスチックの色のこと)の上から、塗って拭き取るだけで、マジで木に変身します。それが上の写真。筐体の背面だけ時間経過してしまったかのようです。

 ガンダムマーカー リアルタッチマーカーは水性塗料で、プラの上から、Mr.カラーや水性ホビーカラーで塗った上からも色を描き足すことができる超便利マーカー。成型色仕上げのちょい足しに使うんでしょ? って思っていたそこのあなた。侮らないでね! スミ入れ、ぼかし、塗り込みと幅広い活躍をしてくれます。持ってない人はセット1、セット2を今すぐ買ってください。僕はウェザリング、塗装後のスミ入れや陰影表現にめっちゃ使います。そして戦車に装備されている「木」のパーツの塗りなんかにもこのブラウン1を使用してきました。

 茶色い成型色や、茶色で塗ったパーツにこのブラウン1を塗ります。ペンで塗ったムラがすでに「木」の雰囲気を感じさせてくれます。塗り終えたらメラミンスポンジを準備しましょう。

 メラミンスポンジで拭き取るのがポイント。メラミンスポンジはプラの表面をほんの少しだけ削ります。その表面に塗料が擦り込まれて、ランダムなブラウン塗装がパーツに施されるのです。そこで生まれたブラウンの濃淡によって「木」に見えてきます。

 筐体の足。左側がキットのパーツのまま。右がブラウン1で塗って、メラミンスポンジで擦ったもの。めっちゃ「木」になってますね。

 筐体の隅にブラウンが溜まるように塗料拭き取ると、長年の汚れが溜まって木が変色したような感じにもなります。今回塗った箇所でとってもお気に入りの雰囲気に仕上がった場所です。

 ガンダムリアルタッチマーカーは塗るだけでなく、「拭き取る」、「専用のぼかしペンでぼかす」など塗った後の工程で面白い表現が生まれるというとっても面白いペンです。他にもこんな表現できるぜ!! ってアイディアがある方はどしどしnippperに寄稿してくださいね!! それでは。

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)