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片道550kmの旅先にある望郷プラモデル。色褪せても今なおそこにある凄み/フジミのNISMOマーチ

 いわき植田には私の故郷から失われてしまった「玩具店兼模型店」がまだ残っていました。先日の模型展示会「春のタン祭り」へ往訪した際に寄った老舗おもちゃ屋さん「おもちゃのトダ」。店内には最新のプラモデルもたくさん並んでいて、ちゃんと品物が新陳代謝していることから(単なるノスタルジアにとどまることなく!)店も客も現役バリバリであることがちゃんとわかります。

 しかし、お土産にしたフジミのNISMOマーチは色褪せてしまった箱がお店と共に歴史を刻んできたように感じて手にしたのでした。色褪せたプラモを好んで買うとか初めて。今回の旅の余韻を反芻するのと合わせて、今はなき地元の老舗おもちゃ屋さんに思いを馳せる今日この頃です。

 生まれ育った名古屋市東部に「おもちゃのバンビ」という老舗があり、地方都市にとっては貴重な文化の交差点でした。トダさんのように「玩具店兼模型店」でそれぞれのコーナーがほぼ等しい面積で設けられており、模型に関してはプラモデルの他にガレージキット、模型誌のムック本や『ファイブスター物語』関連書籍など、他ではお目にかかれない濃厚な品揃えでした。閉店してから20年は経つのですが、このバンビの値札がついた空瓶は捨てられずにいます。ここ数年模型をガシガシ触れるようになった自分にとって、もし現存していれば実家に帰るたびに寄るお店になっていたはず。

 遠く離れたいわきの地で自分のノスタルジーが重なる旅にもなるとはなぁ。そんな心持ちでキットをながめていると息子が「組み立てみたい!」というので親子モデリングが勃発です。実はフジミのクルマ模型を触れるのは初めてで、親子して新鮮な気持ちでランナーと向き合いました。パーツの彫刻と造形が「カッチリしているなー」というのが最初の印象。

 息子がどんどんパーツを切り出していくのでパーツ配置がナイスなのでしょう。のりしろがしっかり用意されていて、タミヤセメントの通常角瓶と流し込み速乾でみるみるカタチになっていきます。後輪車軸やヘッドレストとかが位置決めのダボ穴となかくてツルッと平面。接着剤の固定頼みなのにはギョッとしましたが、そこは「角瓶白ブタのトロミで仮止めからの位置決め、緑ブタの流し込みで速乾接着固定」のテクニックが活かされます。

 後々塗装するつもりなのでクリアパーツはいっさい付けずにいったんのゴール。特徴的なインテリアが眺めやすくてこれはこれでナイス。外装も内装もパーツ表面がグロス仕上げで輝いており、白磁のような趣があります。さて、ボディは何色にしようかな。息子と相談して缶スプレー塗装でバーッと仕上げようと思います。

 おもちゃのトダさんみたいに玩具と模型を等しく扱うお店って、ゲームやカードとかへの購買の移り変わりとか、大型家電量販店の進出とか、浮き沈みに何度もさらされて多くが退場してしまいました。そんな中で今なお子供にはじまるホビーのファンたちに向き合い続けた姿勢には敬意しかありません。しかし550kmも離れた土地に失われた望郷を抱くとは、旅の体験って予想の範疇に収まらないワンダーがある。旅、いいな。旅、もっとしたいーっ!

産業編集センター

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