

はじめて艦船模型を作る人にとってのバイブル『艦船模型製作の教科書』が、近年の新しい潮流の艦船模型を取り入れて、2024年3月『艦船模型製作の教科書2.0』としてバージョンアップして帰ってきました!!!
「2.0」と言っても初代より難しいこと・高度なテクニックにチャレンジするのではなく、近年の艦船模型を題材に、「はじめて艦船模型を作る人への入り口」として編集されています。まずは組んでみよう! 組み立てにおいて絶対に知っておいてほしいポイントなど塗装仕上げ前の段階の解説から踏み込んでいます。また艦船模型が店頭でどのように販売されているのかという、ショーウィンドウ的体験ページもあります。初代艦船模型製作の教科書よりも、より1歩手前から始まるのが本書最大の特徴なのです。本書の後半は「テクニックのみに特化したTips集」となっているので、ここだけ知りたい! って人にもとても役にたつと思います。

今回、私はアオシマ文化教材社からリニューアル版として発売となる高雄をメインに製作。このキットは、既存キットに完全新規パーツの装備品をセットしたバージョンになっています。新旧が融合した、多くの人におすすめしたいプラモデルです。模型の組み立ての基本から、よりパーツを綺麗に組み立てるポイントなどを解説しながら、新しい高雄を完成させています。


初代「艦船模型製作の教科書」は、およそ10年前に発売されました。その頃は艦船模型の細密化が一気に進んだ頃でした。既存のパーツと交換するだけでじゅうぶん精密にできる、というアイテムや、キット自体が高密度なディテールをもったプラモデルがラインナップされたのです。
またこの時期に模型雑誌作例も精密化へと一気に進んでいき、どれもがまるで本物かのようなものばかりが誌面に並んでいたのでした。
しかし当時ホビージャパン編集部にいたフミテシ氏は「艦船模型はそのまま作っても楽しいし、かっこいい。普通に作る楽しさ、入り口の本が作りたいんだ」と、時代の流れに逆行しているかのような言葉と共に、艦船模型製作の教科書チームに私を引き込みました。

艦船模型の入り口としての本ということで、箱の中にあるパーツだけを使用する作り方、ちょい足しでカッコよくできるプラ製ディテールアップパーツの使い方など、艦船模型に躓かずに楽しめるHow to本が「艦船模型製作の教科書」なのです。こちらはタミヤの傑作艦船模型「1/700 阿武隈」の製作途中写真。
このキットのHow toで撮影した枚数は、なんと1200枚。入り口となる本というのも初めてで、とにかく手あたり次第、一挙手一投足を撮る。自分にとっては次の工程がイメージできても、初めて艦船模型を作る人にとってはもしかしたら工程が飛んでしまっているかもしれない……そんなことをイメージしていると自然と撮影枚数も膨大になっていたのでした。
ここだけではなく、全体で各モデラーからすごい途中写真が集結。おかげさまで『艦船模型製作の教科書』は、基本からちょっと手を出してみたいところまで、技術が詰まった本になりました。

結果的に、その翌年から艦隊これくしょん、艦これのブームが来て、にわかに艦船模型が盛り上がりを見せました。そこからこの書籍を手に取っていただけたようです。全部が詰まっている本だからこそ、胸を張っておすすめできます。

そして結果的に、はじめての人が艦船模型を手に取ったときに、困らないような作り方も必要だよね、という動きがメーカーでも加速します。フジミの艦NEXTは、キャラクタープラモデルのように、接着剤を使わないで組めて、かつ組むだけで色分けも済んでいる、という仕様になりました。艦EASYという、既存のキットにシールで色分けを、というシリーズもあって、迷彩塗装の瑞鶴甲板を貼るアイテムもありました(これが意外なまでにうまくいったものでした)。

またいっぽうでヤマシタホビーのような新たなメーカーの誕生やピットロードの躍進などもあり、キットの”ほどよい”精密化という流れもありました。ただただパーツをバラバラにするのではなく、うまく整理しながら近年のレベルのパーツ成型を施していくという方向性です。

ほかにもピックアップしたいのが2009年に新パッケージになっているハセガワの青葉です。青葉も2007年に発売されたキットで、ハセガワの艦船模型の上品で流麗なところがよく出た、キレイなキットです。こちらを「艦船模型製作の教科書2.0」では缶スプレーと筆で仕立てました。パーツの合いがいいキットなので、甲板を別にして組む、という2010年以降の艦船模型ならほとんどでいける技を実践しています。

現在の艦船模型は、箱の中だけのパーツで既に超高解像度なプラモデル、そこそこ解像度が高いもの、シルエットを優先して組みやすいもの、プラスチックの色とシールで色分けがなされているものと、初代艦船模型製作の教科書を編集した頃とは世界が大きく変わりました。だからこそ最初のコンセプトである「艦船模型の入り口」としての本が再度必要だよねとなったのです。結果的にほぼリニューアルし、「2.0」という名にふさわしい内容になったと自負しています。
上の写真は2012年の頭に、どれだけ艦船模型のパーツに寄れるだろう、とテストで撮影したものです。これは本番では使用していない、本当に一番最初のショット。本当に2012年はこの仕事を皮切りに、ハードな製作をたくさんしています。秋にはガールズ&パンツァーの三凸もあり……。年初からはじまったこの『艦船模型製作の教科書』、自分にとってまさにターニングポイントとなった仕事でした。

艦船模型の新しい時代とともに、我々も新たに本を作ることができました。読んでいると、自分もまた違う艦船模型を作りたくなってきます(じつは阿武隈を作ってしまった)。みなさまも、新しい「艦船模型製作の教科書2.0」とともに、新しい艦船模型をぜひ作ってください!