

ジープのようでジープじゃない、ちょっとジープみたいな万能軽車両。それがフォードM151、通称MUTT(Military Utility Tactical Truckの略。「マット」と読みます)です。第二次大戦で大活躍した、いわゆるジープの後継となる1/4トン積載の車両です。

見た目はほぼジープなので、採用された時の大統領の名前をとって「ケネディジープ」とも渾名されているM151。縦スリットのフロントグリルはジープを製造したウィリス・オーバーランド社によって商標登録されているので、やむなく横スリットになっているのが特徴です。各形式合わせて合計16万台が生産されたという、大ヒット車両です。



アメリカ陸軍ではベトナム戦争から90年代初頭までの長期間使われた車両なので、それなりに色々なバリエーションがあるM151ですが、タミヤは1982年4月にM151A2のキットを発売。翌年にはTOWミサイルを搭載したバージョンもリリースしています。さらにその翌年には車両本体に加えてM416トレーラー(ついでに荷物も)をつけたキットを発売。以降もグレナダ侵攻仕様や、今回紹介するベトナム戦争で運用されたM151A1といったキットを発売しております。SASジープくらいしか目立ったバリエーションのないジープより、細かく展開されているんですねえ。


で、このM151A1、先に発売されていたA2に比べると前後のウインカーが小さく、またリアサスペンションの構造が異なるという特徴があります。並べてみるとわかるんですが、確かにA1のウインカーは小さく、おまけに A2とはフロントフェンダーの形が違います。まあ、最大の違いはその程度ではあるんですが、差のある部分をかっちり追ってるな……と嬉しくなりますね。

そしてタミヤのM151で嬉しくなるポイントが、ジープと異なる車体構造を作りながら理解できる点。ジープは梯子型のフレームに車体が乗っかる構造でしたが、M151はボディがモノコック構造となっており、車体底面の一部を分厚くした箇所にエンジンやサスペンションが乗っかる作りになっています。

これによって構造が簡略化でき、車重も軽くなり、低床化することもできたわけですね。この構造がM151最大の特徴なんですが、タミヤのキットでは限られたパーツ数でこれを再現。裏から見ると「なるほどこれがモノコックの車……」と納得できる作りになっています。同社製のジープと作り比べてみると一目瞭然なんですが、見た目は似てるのにジープとM151の車体構造って全然別物で、そういうことがスパッと理解できるのもプラモデルのワンダーなところだなあと思う所存です。


というわけで組み上がるとこんな感じ。ジープに比べて直線的になった車体形状が、いかにも生産性一本槍な軍用車両っぽくてグッときますね。上にニュ~ッと伸びているのは、海兵隊のM151によく見られる防水型の吸気管と排気管です。今となっては米軍のこの手の車両はほぼ全部ハンヴィーになってしまったため、M151はすでにレトロなトラックなんですが、各部の直線的なデザインはなかなかモダンな雰囲気です。こんなにまっすぐな線が多い車だったんですねえ。

なんせザ・ベトナムな東南アジア剥き出しの一台なので、同時期にベトナムに展開していたM48パットンあたりと組み合わせて並べるとよりゴキゲンに。インドシナ半島特有の赤茶色な汚れを、ガンガン擦り込みたくなる雰囲気です。ジープ、そしてハンヴィーと並べて米軍ソフトスキンの進化を味わうもよし、がっちり汚して濃厚なナム味を味わうもよし、遊びごたえのあるキットです。