週末が楽しくなる模型をフミテシの独断と偏見でご紹介する「花金プラモ」。今週は買ってきたその日に組み上がって、超濃密なディテールを楽しめる軽戦車「タミヤ 1/35 アメリカ軽戦車 M3スチュアート 後期型」をご紹介します。こちら今ではあまり考えることができない米ソの友好も感じることができるプラモなんですよ!
完成すると12.9cmというコンパクトサイズの中に、リベット構造車体特有の情報量を味わえるのが楽しいM3スチュアート。砲塔や車体のあちこちにある溶接痕は美しく、これをみると「これこれ!こういうディテールを味わえるのが戦車模型の楽しさよ!」と僕は1人納得してしまいます。この戦車、ご覧の通り小さいのでパワーはありませんが、軽快なので第二次世界大戦の中盤以降は偵察車両などとして活躍しました。またもう一つこのキットの売りとして、「レンドリース車両」を存分に楽しめるというのがあります。これはその名の通り、主にアメリカ軍が各連合国軍に兵器を貸し出すというもの。ヨーロッパにおけるドイツ軍の進行によりとにかく兵器の数を揃えたかったイギリスやソビエトはこれによって兵器を補充します。このM3スチュアートもソ連に多数送られたため、このキットのようにアメリカとソ連が共存している面白い仕様が生まれたのです。M4シャーマンなんかもそんなプラモが出ているのでチェックしてみてね。
体は1つ!頭脳は2つ!! このキット、アメリカ人とソ連人を頭部の選択で決定することができます。体は一緒なので、頭部を接着せずにシンチュウ線などで接続できるようにしておけば、いつでも国籍チェンジできます。
M3スチュアートはとてもコンパクトな車両で、派手さはないのですが、こういった軽戦車のプラモこそ実はMMの真髄である「人と戦車の一体感」をより強く感じることができます。特にこのキットは車両の濃密なディテールと、ハイディテールなフィギュアが合体するので砲塔周りはまさにエスプレッソのような濃度です。アメリカンな戦車だけど決して薄くない、濃厚な味わいに加えソビエトの景色も見ることができるこの「M3スチュアート」。全プラモファンにおすすめしたい戦車模型であります!!
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)