高貴なる立ち姿を万人の手に!ボークス製IMS最新作、オージェ・アルスキュルのテストショットに見る「固定ポーズの新たなる扉」。

 見よ、天使の翼のごときバインダーの輝きを!……ということで、ボークスが贈る1/100スケールのプラスチックモデル最新作は、オージェ・アルスキュル。「プロトタイプ・ナイト・オブ・ゴールド」にして、ミラージュ・シリーズやK.O.G.の礎として意義深いこの騎体を、大迫力の全高252mm×幅276mmというボリュームで立体化しています。

 ニッパーで切る、接着剤で貼る……という基本的な所作が身についていれば誰でも組み上げることができるというのがプラスチックモデルの優れたところ。さらに塗装や細かな工作もしっかりと受け止めてくれますから、そのポテンシャルは無限大と言えましょう。

 さて、世は可動ロボットモデル全盛。いかに動くか、どれだけ動くかがキットレビューの華になっている感はありますが、このキットを触っていちばん感動したのは「固定ポーズ」への執念とその飽くなき追求です。従来のIMS同様に可動ギミックを搭載しつつ、同時に美しい立ち姿を求めるユーザーにも寄り添う設計が秀逸かつエキサイティングなのです。

 ちなみに上の写真は上半身を組み上げたところですが、なんとここまで組んでもほぼ可動部位はなく、位置・角度・強度がバッチリ決まっております。スケールモデルライクなディテールの洪水と立体感あふれる構造美に「剛性感」が加わったこのオージェ・アルスキュル、そのパーツ群と組み味を一緒に見て参ろうではありませんか。

 外装パーツのほとんどは薄く黄色みがかったホワイト。説明書ではアイボリーの塗装指示がありますが、このまま組み立ててもじゅうぶん見栄えのする成型色です。K.O.G.はどうしても「光り輝くゴールド」というイメージがあるため塗装を前提に捉えていたユーザーも多いかもしれませんが、オージェ・アルスキュルはプラスチックそのままでも楽しめる騎体と言えましょう。

 脚部前面装甲はロイヤルパープルで成形。内部フレームにある程度近い色であるにも関わらず、左右合わせて4パーツのためだけにここが別ランナーになっているのは好感が持てます!また、アンダーゲートではなく表面のヤスリがけも一気にできるサイドゲート仕様になっているのも個人的には褒めたいポイントのひとつ。

 シルバーのランナーは3枚。とくにオージェ・バインダー周辺のパーツは有機的な曲面とメカニカルな機構のディテールがせめぎあい、見ているだけでもワクワクします。流麗な外装とこまかなディテールのコントラストは永野護デザインの華!塗装で立体感を強調するのも楽しみです。

 さて、なかでも目を引くのが濃いブルーグレーの内部フレームです。かなり大きな部位がワンパーツになっていて、従来のロボットモデルとは違った感触が味わえそうじゃないですか……。

 腕やアクティブ・バインダーを保持するためのポリパーツや内部の桁を除くと、上の写真の形状が出来上がるのにたった4パーツしか要しません。重量のある艤装や武器を保持しながら、安定感のある立ち姿を実現するために体軸となる内部構造を極力一体化し、ディテール表現と強固な骨組みを両立する作戦と見ました……。

 腕部を始め、各所に可動ギミックや小パーツの保持のためのポリパーツも使用します。とはいえすべてを使うわけではないし、「あちこちが自由自在に動く」というよりも「しっかりとした立ち姿を調整するための微細な可動」にコンセプトを置いた本モデル。むしろ注目すべきは……?

 このHランナーです。こちらには「下半身を完全に固定ポーズにするためのパーツ」がまとめられています。

 たとえば股関節のフレーム。右はボールジョイントによる可動を想定したパーツですが、左は2本のピンが左右にそれぞれ突き出ており、角度を固定して完全に接着して組み立てることもできるのです。すべては「重厚な装備と美しい立ちポーズの両立」のために……!

 大腿部上端のユニット内部にふたつのダボがあり、ここで股関節を固定してしまうわけですね。もちろん可動モデルとして仕上げたい人はポリパーツによるボールジョイントを選択してもOK。「どう遊ぶか、どう飾るか」をユーザーに委ねつつ、メーカーは「この立ち姿がおすすめですよ!」というガイドビーコンを出しているわけですね……。すごく好きです。この設計思想。

 足首のめちゃくちゃ複雑な機構も説明書に指示どおりに漫然と組んでいると左右それぞれビシッと決まった角度に傾いたユニットが出現します。足の裏がどっしりと広いロボットでは足首関節を二重にするなどして可動範囲を稼ぎ、ハの字に開いた脚で立ちポーズをキメるのが常識となりつつありますが、このモデルでは「流麗な外装のラインを最初からビシッと角度の決まったフレームでつなぎとめる」というコンセプトがここにも適用されていることがわかります。

 大量のユニットが重層的に組み合わさっているのがモーターヘッドのデザイン的魅力ですが、それぞれがてんでバラバラにすべて動くモデルだとしたら、左右対称ですべての流れがデザインの意図する方向を向いたディスプレイはとてもむずかしいものになります(これは可動ロボットモデルの抱える大きなテーゼと言えます)。

 しかし、ボークスのオージェ・アルスキュルはそこに「あえての固定」という概念持ち込み、ひとつの回答例を示しています。個人的にすごく感動したのは足首装甲の固定方法。足首の動きを邪魔せずにアウトラインを整え、さらに少し腕に自身のある人ならば調整可能なピンとダボの設定がしてあります。

 「どうとでも動くモデルをあえて固定していく」というよりも、「美しい立ち姿を第一義とし、かなりの部分を固定モデルとして組み、発想次第で多彩な表情をつけることもできる」という立ち位置のボークス製新キット。説明書通りに固定ポーズで組んでいけば、あっと驚くほどの安定感と流麗なシルエットを楽しめる新しいコンセプトを備えています。

 ……ということで、今回のインボックスレビューはここまで。コンセプトについてご理解いただけたら、次回はオージェ・バインダーを含むさらに詳細な注目ポイントをご紹介していこうと思っております。本アイテムの予約開始は明日10/30スタート!以下リンクから確実にゲットしてください。みなさんも、ぜひ!

>ボークス IMS 1/100 オージェ・アルスキュル 商品サイト
ボークスホビー天国オンラインストア

■『ファイブスター物語』 オージェ・アルスキュル(通常版)
1/100 scale
4色成型インジェクションプラキット(ベージュ、ネイビー、パープル、シルバー)
全高252mm、全幅276mm、全長247mm、パーツ総数:367
原型制作:造形村F.S.S.プロジェクトチーム
価格 ¥9,680(税込)
10月30日~11月28日予約受付、12月25日お渡し予定 12月5日ホビーラウンド25先行発売

※一部ランナーがシルバーメッキ仕様の「限定版」同時予約受付(ボークスGL/VS/VIP会員限定品)
価格 ¥12,110(税込)

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>/nippper.com 編集長
からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。