無塗装で乗り込む説明書どおりのプラモ組み立てツアー

 無塗装、それは箱を開け、説明書を読み、切って貼る世界。からぱたさんが「刺身」と表現したおかげもあり、この世界に対する認識が変わった人も多いのではないでしょうか。かくいう私もその1人。無塗装ってかっこいいぞ!と思えるその視点が身についたのは衝撃的な体験でした。

 今となっては私もすっかり塗装もこなすモデラーになっていますが、未だに無塗装で仕上げるものの方が多いです。楽しいんですよね、無塗装。何が楽しいのかって、テンポがいいんです。

 すっかり慣れきったモデラーからすると、「塗料を塗ったり乾かしたりって時間がマルッとなくなること」がすぐに思い浮かぶかもしれませんが、初心者サイドから見ると「説明書の最初から最後まで順番通りに作れば完成する」という確かなガイドがある感じが最高なんですよね。初めて無塗装で作って、その後に塗装しようとしたら説明書の手順とは順番が前後する工程が発生し、途端に難易度が上がったことをよく覚えています。

 なので、私は無塗装の面白さは「説明書の順番どおりに進められる」というところにあると思います。最初から最後まで約束された手順をなぞりながらその時々の感動を味わう遊び。テーマパークのアトラクションのような、ツアー旅行のような楽しさです。そしてこれ、どんなに遊んでも味わいがいつも違うんですよね。

 タミヤのミリタリーミニチュアなどはその高いパーツ精度から、ピタッと合う感覚や思わぬ形同士が組み合わさりひとつの部分を生み出す抽象度の高い分割に手品を見させられているような気持ち。ハセガワの飛行機なんかは少ないパーツ点数で全体の姿を味合わせてくれるので達人のような心地よい脱力感であっという間に出来上がります。

 海外キットなどは異様に細かなパーツ分割のものも見受けられますが「ここを作らせたい!」とエンジンや足回りの解像度がグッと上がっていることが分かると設計者の思いが手に取るようにわかります。それに、全体的に設計思想が異なるのか、まるで海外の人と仕事やスポーツを一緒にしているような感覚になります。日本のものと違う組み心地は一度味わうとクセになります。

 ……なんてことは私がここ2年くらい無塗装で作った模型を通じて感じた出来事です。箱を開けてパーツを切って貼り終わるまでに起きる些細なドラマの積み重ねをフルに味わうには無塗装はもってこいの遊びなんです。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。