
ハセガワの1/48 零式水上観測機、通称「零観」といえば、飛行機モデラーがこぞって「傑作!」と太鼓判を押すアイテム。誰に聞いても「あれはいいプラモだよ〜」とは言ってくれるんですが、ただ実際のところ何がそこまで傑作なのか、自分にはよくわかっていませんでした。ということで今回改めて作ってみて、まずビックリ。確かにこれは傑作、飛行機模型にあんまり触れたことのない人にこそいじってみてほしいプラモデルだな……と思った次第です。



箱を開けてまず驚いたのが、パーツ表面の彫刻の見事さ。2009年発売なのでいわゆる「最新キット」ではないですが、モールドのダレはほとんど見られず、どの彫刻もシャキッと粒が立っています。特に上下主翼表面の羽布張り部分のメリハリは見事。ちゃんと「細いフレームの上に薄い布が張られていますよ!」というジャスチャーが効いており、さらに周囲の金属部分のカッチリしたリベットの彫刻との対比もあって、パーツを見てるだけで面白い。水上機らしいフロートも、いかにも「薄い金属でできた、中ががらんどうの物体」という雰囲気があります。確かにこれは出来がいい。


工程的には「まずコクピットを組み立てます」という飛行機模型のオーソドックスな構成。なので最初は細かい部品と格闘することになります。1/48ということで再現度は高め、なおかつ複座でパーツ数も多めということで、慣れていないとここはちょっと大変かも。組み上がってみれば、精密感のあるみっしりしたコクピットができあがるので、各種接着剤とちょっといいピンセットを手に立ち向かってほしいところです。コクピットさえ乗り越えてしまえば、あとは胴体や主翼といった大きいパーツをバンバン貼り付けていく工程が続き、一気に飛行機の形になっていきます。最初にこういうダイナミックな工程があれば勢いもつくんですが、これはもう「胴体のガワの中に一番細かい部分が埋まっている」という飛行機模型の宿命ですね。


組んでて「すげ〜」となったのがパーツの合わせ目の処理。主翼や尾翼のパーツを胴体に組み合わせた時の合わせ目のラインが、ちょうど外板の継ぎ目になるように処理されているんです。ガンプラで見るやつじゃん。ガンダムは「パーツや金型の都合に合わせてモビルスーツのパネルラインをデザインする」という荒技が使えますが、実在の軍用機はそうはいかないわけで、それを特に自慢するでもなくヒョイッとやっちゃってるこのプラモはけっこうすごい。傑作と言われるだけのことはありますね。

もうひとつ、「すごいな!」と思わされたポイントが上下の主翼の固定。複葉機のプラモデルで難しいのが、上下の主翼をどう固定するかという部分です。なんせ空を飛ぶメカなので複葉機の翼間の支柱は妙に細かったりして頼りないことが多く、位置を合わせながらしっかり固定するのは案外難しい。ですがこの零観は下翼と胴体に支柱を立て、そのまま上翼をがちっと押し込んで固定すればそのまま完成。よっぽど組み立てプロセスがミスっていない限り、細かい調整なしで上翼を固定できます。塗装も挟まるとさらにややこしくなる工程ですが、これなら「上翼と下翼&胴体を別で塗っておき、完成したところで合体させる」というシンプルな作り方で攻略できそう。パーツの精度が高いからこそ可能になった離れ業ですね。


機体を組み立て、付属のドーリーに乗せれば零観が完成! スマートな紡錘形の胴体といい、前後が詰まった思いのほか小ぶりな主翼といい、見るからに軽快そうな雰囲気がよく出ています。「戦艦の着弾観測用に作られたにも関わらず、空戦にも爆撃にも活躍した高性能なオールラウンダー」だったという零観ですが、見た目からもその性能の高さが伝わってくるようです。コクピット周辺以外にはさほど難しい部分もなく、バンバン形になるのも好印象。フィギュアを乗せてしまえば細かい部品がくっついていなくても大して気にならないはずなので、「さっさと飛行機の形にしたい!」という人は最初からフィギュアを乗せるつもりで作るのもよさそう。

ということで作ってみればなるほど納得、これは確かに傑作だわね……というハセガワの1/48 零観。パーツの精度も高く彫刻もシャープそのもの、特にメリハリの効いた主翼周りのモールドは一見の価値ありです。入手しやすいプラモデルでもあるし、これは普段飛行機模型に触れたことのない人にこそオススメしたいアイテム。「飛行機のプラモデルって、こんなに情報量のあるジャンルなんだ!」という驚きがあるキットなので、ぜひトライしてください!