

イギリス人にとって「第二次世界大戦の主役メカ」といえば、やっぱりスピットファイアということになるのでしょうか。ヨーロッパが次々にナチスドイツによって征服され、いよいよドーバー海峡を渡って攻めてくる! この大ピンチに、敢然と立ち向かう最新の高性能戦闘機とパイロット! マンガのような状況ですが、これが事実なんだから仕方ない。おそらく、イギリス人にとってのスピットファイアとは、零戦とガンダムとXウイングを全部合計したような存在感の戦闘機ではないか……と勝手に思っています。まあ、今回のネタであるMk.Ⅸはバトル・オブ・ブリテンを戦った機体ではありませんが……。

そんなスピットファイアを、1/48スケールで端正に立体化したのがハセガワのキットです。飛行機模型の主要スケールは小さい方から順に1/72、1/48、1/32の三種があり、1/48はちょうど中間の大きさ。ガンプラのスケールでいえば、1/100くらいのボリューム感だと思ってもらえば大体合ってます。で、ガンプラのマスターグレードがそうであるように、このくらいの大きさになると飛行機模型もあちこち細かいところが表現できるようになるもの。ハセガワのこのキットはその特徴を生かして、「この飛行機は薄い金属板を貼り合わせて作られてますよ」という点をうまく表現しております。

さすがに1/48ともなると部品はちょっと多め。ですが、基本的には単発の戦闘機ではおなじみのパーツ構成です。このMk.Ⅸcは2001年に発売されたキット。「20年前じゃん!」という感じですが、ひとつのキットの寿命が長い飛行機模型の世界ではこれは「比較的最近のキット」ということになりまして、それが証拠に各パーツはかなりシャッキリした印象です。







この当時の戦闘機は大体「縦横に走っている構造材に、外板をネジやらリベットやらで固定する」という作り方になってまして、スピットファイアもそこは同じ。というわけで機体のガワには、胴体や主翼の形に合わせて切り出された薄い金属板がたくさん貼り付いているということになります。このハセガワのスピットファイアが秀逸なのは、この機体外板の雰囲気。凹モールドのパネルラインの深さと幅、そして要所要所に打たれたリベットやファスナーのモールドによって、「プラスチックの塊にミゾが彫ってあります」という感じではなく「薄い金属の板を貼り合わせてできてます」という雰囲気を醸し出しております。パネルラインの彫刻がやっつけじゃないんですね。



で、完成するとこの感じ。なんせハセガワ特有のグレーなプラスチックで成形されてるんでちょっとわかりにくいんですが、ぬめ~っとした曲面の表面をよく見ると「ボクたち薄い金属板です!」という主張が込められているのがわかるでしょうか。もちろん実際にはただのプラスチックの塊ではあるんですが、彫刻のやりようによってはペラペラの金属にも見えてくるわけで、そのあたりの異素材感の演出もプラモデルのワンダーであることだなあ、と思うわけであります。

というわけで、「イギリス空軍の主役メカ」を堪能しつつ、彫刻によってプラスチックが別物に見えてくるという面白さも味わえるハセガワの1/48スピットファイア。パーツの点数も嵌合も1/48の飛行機模型としては標準的でとっつきやすいので、「ちょっと大きめの飛行機模型ってどんなんなんだろう?」という気持ちでトライしてもなんとかなるはず。ぜひ味わってくださいませ。
