先日再販されたタミヤの「1/35恐竜世界シリーズ」のティラノサウルスはデカいプラモだ。1993年発売の古いキットなのだけれども、さらに干支一回り古い「1/35恐竜シリーズ」のティラノサウルスと比べても箱のサイズでもこれだけの差がある。後発の「恐竜世界シリーズ」には地面となるジオラマベースが付属する点を差し引いても結構なボリューム差だと思う。
箱を開けても「デカイ!」って口に出さずにはいられない。あらかじめメーカー完成見本を見ているハズなのに。箱の外から想像した大きさはあくまでも「ジオラマベースになる地面が同梱されているから」という認識だったのだけれども、その箱の端から端までとどかんばかりの大きな「恐竜の部品」が現れる。長い尻尾。デカい頭。
完成全長375ミリは伊達じゃない。A3サイズのカッターマットからはみ出しちゃうんじゃないかと思った。恐竜を「なんだかスゴイ絶滅動物」的な視点で捉えていた小学生の頃、この1993年時の復元のキモは長い尻尾でバランスを取り二足歩行するという点にあった。このちょっと前までは尻尾を地面に引きずる姿で描かれていたのだから。巨体が俊敏に動いて獲物を狩っていたなんて説はサービスが過ぎるだろう?ヒロイック過ぎるだろう?とさえ思ったよね。
そんなティラノサウルス復元のドラスティックな変化に応えてキットは部品の選択で「走っている姿」を組めるようになっている。金属シャフトを使って支えるのをちょっと残念に思うのだけれど、完全に片足を浮かせて前傾して走るこの姿を見れば納得の仕様と思える。片足を接着して支える事もできなくは無いのだろうけど倒れたり折れたりしない耐久性、安定感を担保してくれる。
「人形は大きさを比べるためにセットしました」と説明書にド直球で紹介されている探検隊ルックのフィギュア。そうだね、漠然とデカイとはいっても対比物が無いと中々イメージが湧かないからね。これでティラノサウルスの大きさがバッチリ想像できるようになったぜ!と言えるかというと案外そうはならない。人と対比するには大きすぎるんだなティラノサウルスは……。
ゾウは大きい。キリンは背が高い。そのどちらよりもティラノサウルスは大きくて背が高い。今ならこのキットが発売された1993年には叶わなかった対比が見られる。同じ1/35スケールの動物プラモがポコポコ発売されたおかげで、人間とティラノサウルスの間の大きさの動物を並べられる。ティラノサウルスの横にいきなり人間を並べてみたときよりもずっとイメージしやすい。
本当に漠然と「大きさ比べ」的な興味だったのが「自分が行ったことのある限りの動物園の敷地じゃとても飼えそうにないな」等といった風に想像の具体性が上がる。それにしても改めてデカイなぁと思う。大きさだけで恐いくらいだ。恐竜、さすが「恐い竜」って書くだけのことはあるよ……。
1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。