週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週は、ウェーブの「マシーネンクリーガー 1/20スケール ファイアボールSG」をご紹介します。このキットは、2023年7月に発売された新製品で、マシーネンクリーガー(以下マシーネン)の世界を象徴するスーツのひとつ。「マシーネンって聞いたことあるし、ちょっと気になってた」って人には最高の機会なのです。ぜひこの週末、ファイアボールSGでマシーネンデビューしちゃいましょう。
マシーネンは、イラストレーター・横山宏氏によるSFロボット作品。自ら描いたメカを、さまざまな模型から集めたパーツや自作したパーツを組み合わせて自ら作った立体物が模型雑誌のページを飾り、多くの読者を魅了します。そしてそれらの立体物は、模型メーカーからプラモというマスプロダクツな商品として発売されるまでになるのです。今のような既に組み込まれたメディアミックスのような展開からのプラモ化とは異なる、立体物のかっこよさが多くの人の心を動かした結果のプラモ化という、最高の祝福ストーリーによって今も立っているシリーズなのです。「マシーネン」でググると、作品や模型誌展開の話などすぐ調べられますので、作品が気になる方は、ぜひ調べてください。
ウェーブは現在のマシーネンプラモシーンを牽引するメーカーのひとつです。マシーネンの世界で最も人気の高い「スーツ系」は、ウェーブがメインでキット化しています。
約20年前に、ウェーブはかつてマシーネン(SF3D)のプラモを発売していたNITTOというメーカーのパーツと、自社のパーツを組み合わせてマシーネンのプラモを発売します。その時のメカが「ファイアボールSG」だったのです。このNITTO +ウェーブのキットがヒットし、新生マシーネンクリーガープラモの幕が開いたのでした。今回のファイアボールSGは、これまで発売された同系統のスーツのパーツにウェーブ製の新規パーツをセットしたもの。NITTOのパーツは箱の中から無くなりました。ランナータグは、ウェーブの「S.A.F.S.系スーツ」の歴史なのです。
新生マシーネンの鐘を鳴らした「ファイアボールSG」だけに、マシーネンメカの中でも非常に人気が高く、さらにスーツ系のかっこいい部分がみっちり詰まっています。キットは接着剤を使用しなくても組めるスナップフィットなので、ニッパーとデザインナイフがあれば、楽しく作れるのも魅力です。でも接着剤があるともっと楽しくかっこよく作れます。
キットはポリ製の関節をプラパーツで挟み込んでいく構成です。ポリパーツの弾力によってプラパーツがうっすら開いてきてしまう箇所などがあります。そういう部分は「Mr.セメントSP」のような、強力な流し込み接着剤を流してピッタリと接着しちゃいましょう。そうすると見た目も良くなります。
「乗る」ではなく「着る」と感じさせてくれる、各方向に割れるスーツのパーツ分割は、他のメカプラモにはあまり無い構成です。さらにフィギュアの頭部パーツまでセットされるので、より「着る」ことを意識させられます。
メカの中の人の存在感。ハッチを開けた時、全くメカの表情が変わる面白さ。マシーネンのスーツ系プラモはそのことも教えてくれます。丸っこいシンプルなメカに、ちょっと解像度高めの人がいるこのギャップがなんともかっこいいのです。
海洋堂やマックスファクトリーが1/35スケールで「マシーネン」に参入したことで、また新たなマシーネンプラモシーンが開幕しようとしている中、ウェーブは自社のマシーネンキットにとって、とても大切な「ファイアボールSG」を、完全自社パーツに更新して送り出しました。マシーネン模型シーンの熱が高まってきているのを感じますね。ぜひ、このタイミングでこの流れに乗ってください。マシーネンは立体物から盛り上がった「模型が楽しくなるプラモデル」です。まだ触れたことがない人は、ぜひこの「ウェーブ ファイアボールSG」で、マシーネンの世界へと遊びに来てください。
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)