

まるで今日コープケージ(鳥かご)とも呼ばれる姿にも似た金網だらけの姿、先の大戦では勝利の原動力となったT-34にとって一体何が脅威だったのか……そんなことを教えてくれるプラモデルがこちら「プラッツ ドラゴン 1/35 第二次世界大戦 ソビエト軍 T-34/85 ベッドスプリングアーマー装備 マジックトラック付属」です。ドローン、火炎瓶、磁力吸着爆弾……そのどれでもない、単純で新しい脅威へ対抗した姿を作りながら、戦車のもうひとつの側面に思いを馳せてみましょう。

どんな時代も戦車は単独で突っ込むと痛い反撃をもらってしまう性質があるようで、1945年のベルリンでもソ連軍は厳しい戦いのなかで恐ろしい現象に見舞われます。ドイツ軍が作った携帯用対戦車無反動砲、「パンツァーファウスト」です。”魔女の接吻”と呼ばれたそれによって戦車には小さな穴が穿たれます……たったそれだけでT-34はもう終わり。活動を停止します。じつはパッケージでも左下に不穏な影が描かれています。

その対策として、戦車にベッドの骨組みを溶接することで、成形炸薬のパワーを減じることはできないかという増加装甲試験がはじまりました。T-34/85に実際に金網っぽいものがくくりつけられた写真が数枚残っています。それを金属のエッチングパーツで再現したのが今回のキットです。

この手の金属の接着は、ゼリー状瞬間接着剤の強固な力とサラサラな瞬間接着剤の充填力をダブルで借りましょう。ゼリー状をつけて車体表面に金網の足がついたら、あとはサラサラなものを棒でぬりぬり。

説明書もけっこうこのへん、という指示しかしないので、砲塔を回したときに吹っ飛ばない位置に金網をつけて、完成。金網は取り付ける前に軽く指で揉んで表情をつけておきました(1箇所もみすぎて破けた)。この姿、現場で考えて改修したのがよくわかるので、好きです。

パンツァーファウストはのちにソ連によってロケットランチャーRPG-7へと進化を遂げます。これが戦車にとってはまたやっかいな装備であり、増加装甲やスラットアーマーをつけたり、はたまた現地で改修したりとさまざまな対策がいたちごっこ的に行われています。戦車は強力だけれども、それ単独ではあまり成立しない……そんな側面が、戦車110年の歴史には常にある……ということが、プラモデルではときに姿を表します。ツィメリットコーティングをはじめ、メーカーやモデラーへの課題として。このベッドスプリングアーマーと呼ばれた金網を装備したT-34も、そんな戦車のひとつの姿なのです。