
世界がかつてアメリカとソビエト連邦、ふたつの陣営に分かれてその覇を競い合った……。そんな情勢が第二次世界大戦後長らく続いていました。もちろん日本はアメリカを中心とする西側に属しているので、プラモデル開発にあたり西側のものはアクセスしやすいのですが、東側ソビエト連邦の兵器は見ることはできてもプラモデルで正確な寸法が作れるまで取材するというのは難しく、下手に近づいて写真を撮っているのが見つかったらどうなるかわからない(正規のメディアでも写真が没収されることもあった)ような時代が長く続いていました。今回紹介するT-72M1も、そのナンバーのように1973年に採用されたのですが、タミヤが発売したのは1992年。20年を経てようやく発売できたものなのです。

しかしその甲斐あって行き届いた取材がなされ、とても良い形状の砲塔パーツとなっています。が、なんとこちらT-72シリーズのなかでも東ヨーロッパ系などに配備されたサブタイプで、本家ソビエトではまた違ったB型が使われている、という話があります。東西の垣根となった鉄のカーテンをくぐったとおもったら、そのヴェールはまだまだ厚かった。

もちろんこのキットがT-72というものをバッチリ伝えてれるのは間違いなく、車体の形状やフェンダーに乗っかる燃料タンクや雑具箱のディテールなど、現在見ても全く見劣りしません。

車体底面のリブやハッチなんて、取材で潜ったんですか……というレベルで立体化してるんですよ。文字通りタミヤの底力。

タミヤミリタリーミニチュアシリーズ(以下MM)ではもれなく付属するアニキ。第一世代暗視ゴーグルをおでこに乗せることができて、独特のソ連戦車兵の姿を全身で楽しむことができます。

そしてひそかにソ連戦車ではおなじみ、丸太。T-72の先輩も後輩も、戦車はみな一本丸太を車体後部に結びつけています。西側の戦車には見ない装備ですよね。

この丸太なんなの、ということを含めて、このT-72M1の説明書には図と解説が詰まった見開きページがあります。さきに触れた砲塔形状の違いや、各部装備の説明、そして丸太の説明……。地面にかませてぬかるみを脱出する、という装備でした。この見開きだけで、T-72に相当詳しくなれる内容なんです。


タミヤセメントという慣れた接着剤で、べちょっと貼って重しをかけておけば、このT-72M1の履帯は完成なんです。最初に貼っておけば、一晩経って砲塔までできたころにはくっついているでしょう。

またディテールアップパーツが最初から入っているのも良いところ。ちょっと頑張ってみようというところにちょうど良い内容で、エンジングリルのエッチングパーツはプラパーツで挟むのでこちらもタミヤセメントで攻略できます。

チューブの弾力を制するために銅線を入れていきます。このチューブはなんのために、どこに取り付けるパーツなのか……? 弾力が強すぎると思ったら、銅線を2本にするとよりコントロールしやすくなりますよ。

ソ連戦車ではおなじみ、ドラム缶直乗せの増加燃料タンクへのチューブでした。さすがにこのあたりはちょっとだけ難所ですが、完成するといい感じに燃料の取りまわしがわかり、ソ連戦車テイストを最も味わえる場所となっています。


採用から50年を経ても、現在も世界中で使われているT-72シリーズ、それを最も気楽に楽しめるタミヤのMMシリーズのキット。東ドイツ、イラクと歴史的な場所にあった車両を作ることができるので、まさに現在に連なる歴史の交差点を知る、T-72シリーズの鍵を開くアイテムともいえるでしょう。発売から30年以上経った現在でも手に入れやすく、組み立ての楽しさもたっぷりのキット、ぜひ一度味わってください。