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タミヤ流「異次元のフィッティング」で蘇る、大戦末期を戦ったドイツ兵のプラモデル

 タミヤ1/35ミリタリーミニチュア最新作は5人5色のドイツ兵。全員が個性的なポーズと特徴的な服装です。Photoshopで写真を編集しようとすると、AIは画像の中に人間が5人いることをちゃんと認識してくれるくらいリアルな造形。3Dスキャンとデジタル原型の強みが存分に生かされたスーパーフィギュアたちです。

 彼らと対になるセットを考えると、3作前の「アメリカ歩兵偵察セット」になるでしょう。第二次世界大戦のヨーロッパ、最終局面を戦った武装もりもりの兵士たちの出で立ちが組むだけで猛烈な説得力とともに手に入ります。タミヤの最新のアイディアを知る上でも、世界最高峰の「人間のプラモデル」を味わう上でも、マストバイの一作です。

 実際に人間に装備を着せてから3Dスキャンする利点は「人間が想像して作ったシワ」ではなく、「マジで布ってそうなりますよね!」というリアルさと、従来のアナログな手法では考えられなかったような複雑な分割でも間違いなくピタリと合う設計が可能な点にあります。「頭、胴体、両腕と両足……」というかつてのタミヤMMフィギュアに親しんだ人なら、一体に費やされたパーツ数とひとつひとつのパーツの情報量にびっくりするはずです。

 本キットには5人の兵士が入っています。それぞれの腕のパーツを見るだけでもあっという間に時間が過ぎていきます。袖のシワも、力の抜けた前腕はゆったりと、重たい鉄砲を持った上腕は突っ張って細かく寄っているという違いが見て取れます。指は5本とも一発で造形されていたり、装備をぐっと握り込んでいるのを再現するために4本の指が別パーツ化されていたりと、再現したいポーズによって使い分けられています。

 そしてなにより、ツェルトバーンを装備したふたりの兵士が今回の見所です。簡易テントにもポンチョにもなる防水の布をガバっと被ったドイツ兵をタミヤが手掛けるというのは、大事件です。しかも3Dスキャンとデジタル原型の組み合わせだからこその超すごい立体パズルが楽しめます。パーツのカタチからは想像できないような「え、そことそこがくっつくの!?」という驚きの連続です。

 フィールドグレーという暗い緑の野戦服の上に迷彩柄のポンチョを着た状態なんて、どうやって塗装するんだよめんどくさいな……と思っていました。途中まで。そしたらなんと、ポンチョのところだけ独立した状態で組めるんですね。「野戦服や装備品や肌色の部分はいつもどおり塗装して、迷彩塗装のところだけは別で仕上げてから最後に合体」という工程を見越した構成になっているのがマジで凄い。

 装備品は「ドイツ歩兵セット(大戦中期)」のものと一部共通でありながら、新しく手榴弾やパンツァーファウスト、G.43半自動小銃、MP44突撃銃が追加されたランナーが入っています。昔のタミヤMMフィギュアって「人間を組み立ててからなんとなく装備品をそれらしいところに頑張って貼る」みたいな構成だったんですけど、最近のフィギュアは「取り付ける位置が超正確に凹んでいる」という特徴があります。

 ツェルトバーン装備の二人の背中を見ると、重みのある銃が背中にめりこんでいる様子や紐でぶら下がっガスマスクケースが正しく地球の引力に引っ張られている様子が感じられます。重武装の緊迫感が味わえます。それにしてもこのゴワッとしたツェルトバーンの上からスリングを着込んでいろんなものをぶら下げている様子、かっこよすぎます。

 MP44突撃銃のディテールもさることながら、握った兵士の手の表情がすごすぎます。正直ピンセットがないと少々組み立てるのが大変なところもありますが、猛烈な精度で設計/製造されているのでトリッキーな分割でも確実に位置が決まります。「あれー、これはどこにどっち向きにつければいいんだ?」みたいなパーツがいっさいないのも凄いんですわ……。

 立ちポーズの兵士の右手には円盤に把手の付いたカタチのM42型対戦車地雷を持たせるか、弾頭を7個くっつけて破壊力をマシマシにした柄付き手榴弾を持たせるかを選べます。しかも持ちてのところは手首ごと造形されているから後戻りはできません。めちゃめちゃ悩みます。困った人は2個買いましょう。

 服装、装備品、重心位置のキマりまくったポーズ。すべてが立体感と説得力のある異次元のフィッティングで、誰にも平等に手に入るスーパーキット。タミヤのドイツ兵の新たな地平を切り開く彼らの佇まいは、どんな戦車と組み合わせてもOKです。みなさんも、ぜひ!

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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