

ペースト状のマテリアル、タミヤの「情景テクスチャーペイント」はジオラマの地面を作るのにとっても便利!……しかしそれだけではもったいない。地面だけではなく、プラモデルそのものにべったり塗ってみるとどうだろう。自然の力を帯び、時間の流れが生まれ、物語性をも獲得してしまう。これこそがウェザリング=風化だ!なんて言いたくなる、そんな可能性と楽しさに満ちた塗料だ。
上の記事を見て、私もテクスチャーペイントの可能性を味わいたい、そう思ったのがきっかけ。そこで今回は、情景テクスチャーペイントの中から、「草グリーン」「路面ダークグレイ」「粉雪」の3種をチョイス。これらを平面ではなく立体に塗布することで生まれる世界を、テクスチャーペイントの質感を満喫したい。

贄はこちら、PLAMAXの「朽ちダグラム」だ。たったランナー1枚のプラモデル。カキーンとしたディテールの、ぐったりしたダグラムがシュッと組み上がるこの傑作キット。今日はこのスタチューを、取り返しのつかない状態にしてしまいたいという情動が抑えられない!

まずは「粉雪」。大理石の粒子をペースト状にしたこの塗料。本物の雪のように純白で光沢もあり、とても美しい。使い古した筆で、満遍なく塗りたくってみる。それだけで楽しい。粒同士が表面張力でくっつき絶対にダマになる。そしてそれが私に三幸製菓の銘菓、雪の宿を彷彿とさせた!

次は「路面 ダークグレイ」。チューブからそのままひり出した絵の具のような粘り気だ。ざらついた粒子はそれなりに薄く塗れて、ある程度ディテールも残る。そして大変に隠蔽力が高い。粉雪とは違い、塗料成分が混ざっているようだ。1回ざざっと塗っただけで下地のプラは完全に隠蔽され、胡麻団子のようになった。

最後は「草 グリーン」ベチャベチャの糊に、様々な長さの繊維が入り混じっている。まるで、あおさの様なペーストだ。凹んだ部分に繊維が残りやすい。乾燥前は草というより、かなり苔っぽい見た目だ。果たして。

これらをなるべく薄く塗り広げ、乾かした姿がこちら。まず真ん中の「路面」、その名目とは少し離れて目荒らしした石像や鋳鉄のような印象を受ける。「立体の路面は無い」のだろう。そして「粉雪」と「草」は塗料成分が無いペーストだから、下地が透けてしまっている。しかしそれが良い。実に生々しく、何日も自然に曝露された感が見事に表現されてしまった。こんなにも適当に塗ったのに!

そして、ここからさらに粉雪と草は下地が見えなくなるまで盛り付けてみたの姿が冒頭の写真。我々が草や雪を認識するとき、草や雪らしい「テクスチャー」と、草や雪らしい「色味」が結びついたとき、はじめてそれを草や雪だと認識するのだという当たり前なことに改めて気付かされた。テクスチャーペイントには可能性しかないのである!