塗るだけでサバンナ/タミヤの「情景テクスチャーペイント」で100円の箱が王座になる話。

 ダイソーの桐ボックス(8cm×8cm×4cm、ブラウン、2個)がヤバい。軽量な桐の箱で、茶色いニス仕上げが重厚。そして何より裏返すとまっ平らな面が現れ、側面には装飾がいっさい入っていない。ダイソーの中の人が「ジオラマの土台にしてください」と念じながら作っているのではないかと疑うほどプラモデルに向いているのだ。しかも100円で2個買えるのである。デフレ極まれり。

 裏返してマスキングテープで縁を保護する。ジオラマで肝要なのは「地面がズッパリ切れ落ちているように見えること」だ。額縁のようなもので模型が囲われていると空間の広がりが失われてしまう。どこかの時空をスパッと切り取って持ってきたように見せたいのなら、フチのキワまで地面があるとよろしい。

 タミヤの情景テクスチャーペイントは地面のいろいろな様相をそのままドロドロのペーストにして瓶詰めにしたもの。なんと9種類もあり、ホワイトに至っては粒子の細かさで「雪」「粉雪」の2種類がある。今知った。ぼーっと模型店を歩いているだけだと気づかないことがまだまだあるね。ということで上の写真で塗っているのは「草 カーキ」である。長さ5mmの繊維が練り込まれた塗料で、安い筆でビタビタと塗りつけるのがいい。無臭だし筆は水で洗えるから安心だ!

 ざっくりと「草 カーキ」を盛ったら(案外厚塗りにしないと下地が丸見えになる。一晩寝れば乾くはずなのでビビらずにボッテリと塗りつけよう)こんどは「草 グリーン」を端っこに載せる。一色だと変化に乏しいもんね。しかしもう乾き始めているカーキの地面がちゃんと枯れ草に見えるのがすごくないっすか。

 マスキングテープを剥がしてキワからはみ出た草を指でちょいちょいと落としてやる。100円の箱がみるみるうちにライオンの玉座に変貌した。難しいことはいっさいなし。なんとなーく買ってきた木の箱にふたつのペーストを盛るだけで、手持ちのフィギュアやプラモがなんだかリアルな地面に乗っているように見える。ジオラマの基本のキは、案外手の届くところにあるのだ。

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からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。