週末の模型ライフが楽しくなるプラモを、フミテシの独断と偏見でご紹介する「花金プラモ」。今週はハセガワの1/48スケールの人気キット「日本陸軍 川崎 三式戦闘機 飛燕 I型丁 飛行第244戦隊」をご紹介します。nippperでは手のひらサイズの「1/72スケール」を以前ご紹介しましたが、1/48スケールも週末でサクッと組めるすごく良い飛行機模型なので、ぜひゲットしてください。
飛燕の最新キットと言えば「タミヤ」のキットがあります。タミヤのキットが発売される2016年までは、このハセガワの飛燕が1/48スケールキットの最前線におりました(ハセガワの飛燕は1993年に発売)。まさにひと時代前のキットなのですが、キットの完成度はとても素晴らしいです。飛燕はハセガワ製もタミヤ製も良好な出来という、プラモに恵まれた飛行機なのです。ハセガワのキットは、パーツ数が非常に抑えられており、箱を開けた瞬間に「これは花金で楽しめるぞ!」って思えます。
僕が初めて飛燕のプラモを作ったのは2016年に発売した「タミヤの飛燕」でした。そのため、ハセガワの飛燕は古いもの、どこかで勝手に役目を終えたものというひどい見方をしていました。実際に手に取って見ると、小池繁夫氏による非常に美しいイラスト、箱を開けた時の優しくモデラーを迎えてくれる圧の無さ、今見ても美しいパーツ形状と素晴らしいプラモでした。そして何より、1時間半ほどで非常にスタイルの良い飛行機が机の上に爆誕して、めちゃくちゃ嬉しい気持ちになりました。
飛燕最大の特徴である液冷エンジン「ハ40」のパーツはありませんが、その分非常に早く飛行機の形になります。液冷エンジンのおかげで、機首がこのように鋭いシルエットになっています。零戦のように機首が大きく口を開けたようになっているのが空冷エンジンです。このハ40というエンジンは、ドイツ軍のメッサーシュミット Bf109に採用されていたダイムラー・ベンツ DB601エンジンをライセンス生産したものでしたが、当時の日本の技術や資源不足によって度々問題を起こしてしまいました。そのことにより、のちに五式戦闘機という飛行機が生まれますが、それはまた別の機会にご紹介します。
2016年に、川崎重工創立120周年記念事業として行われた「飛燕再生プロジェクト」。それによって、一気に脚光を浴びた飛燕は現在、岐阜県の各務原にある「岐阜かがみがはら航空宇宙博物館」に展示されています。お近くの方は週末にぜひ見に行ってみてください。いけない人も、最高のプラモがありますので、プラモでかっこいい飛燕を堪能しようじゃないですか!! それでは〜〜〜。
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)