日本で生まれたクルマ、日本で花開いたカルチャー。アオシマのカスタムカープラモデル、『ワークスの鷹』がめっぽうおもしろくて驚いている私です。ブルーのボディにオレンジのオーバーフェンダー。こんな取って付けたような追加パーツがちゃんと合うんですか?古いプラモなんでしょ?
とりあえずボディーにチョンと載せてみると、驚くべきことにかなりビタッと合います。うん、これなら塗装しないで貼り付けるだけでもかなり箱絵のイメージに近づきそう。しかしですね、ワークスの鷹は車高がべったりと下がっているのでそのままだと元のボディとタイヤがぶつかるんです。そこまで下げるの?というくらい下げているからね……。
驚くべきことに、説明書には「ボディの黒く塗り潰した部分をカットしろ」という指示があります。しかもカッターナイフで。この表記はかなり古いものがそのままにされているはずで、多くのヤングなモデラーたちが「よしわかった」と実際にカッターナイフを片手に持ち、そしてボディをエイヤと切りつけたに違いありません。
「まず型紙を切り抜いてボディに当ててカットラインをトレースせよ」と書いてはありますが、実際問題どうやってやるかを考えてくれと言われたらけっこう困難ではないでしょうか。目見当でカッターナイフの刃を食い込ませ、時には怪我もしたことでしょう。切りすぎて枕を濡らした夜もあったでしょう。そうして人間は大きくなっていく……じゃないんだよ!失敗したくない。俺はもうオトナだ。向こう見ずな工作をしてとんでもない目に合うのはゴメンだぜ。必要なのはお膳立て!
オトナな我々は説明書のカットラインをマスキングテープに貼り付けて写し取り、マスキングテープをカットしてから今度はボディにマッキーでラインを引きます。これは先日塗ったポルシェのロスマンズカラーを攻略する方法論の応用編です。やり方は以下を見るべし。
マッキーで引いたラインの内側をモーターツールでガバーッと削り、オーバーフェンダーを上から貼ります。カッターナイフは危ないので、ジェントルに高速回転するセラミックのビットでイッパツです。フェンダーひとつ、ほんの30秒くらいでカット(というかやや溶かしながら削り落としている……)が完了。写真を見れば分かるとおり、必ずしもビシッとキレイに切り抜く必要はありません。オーバーフェンダーのパーツのほうがいくぶん大きいし、このパーツを貼ってしまえばくり抜いたところはほとんど見えない。なるほど、これならビビらなくて済みますね。
デザインナイフ、マスキングテープ、マッキー、そしてモーターツールがあればノーマルからバーフェン仕様にするのもあっという間。怪我の恐れも失敗のリスクもぐっと減らせるのがオトナちゅうもの。ワークスの鷹だけじゃなくて、アオシマのグラチャンシリーズを始めとした走り屋のプラモデルも一網打尽に作れるようになりました。嬉しい&かっこいい!みんなもおいでよ、オーバーフェンダーの森へ……。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。