I号戦車といえば第一次世界大戦で敗れたドイツ軍が「農業用トラクター」の名目で設計し、当初は訓練戦車として、戦争が始まると主力の機甲部隊に肩を並べて大戦初期に活躍した軽戦車です。活躍といっても機銃×2では対戦車戦は望めず、直ぐに後方に下げられて警備用に回されたり砲塔を取り払って自走砲に改造されちゃったりもしていますが、ドイツ軍の電撃戦の成功に一役買ったのは間違いないのです。
そんなI号戦車ですのでプラモデル化は昔から行われており、今回取り上げたのは最新キット……というわけではなく、ドラゴン製のプラモデルを日本向けにパッケージングし直し、価格も入手しやすいように抑えたシリーズ「MONO」から発売されたもの。大元のキット自体は2000年代初頭に発売されたものですね。
ドラゴンのI号戦車バリエーションはたくさん出てまして、基本のA型とB型(今回のキットはこれ)、対戦車自走砲や対空自走砲、さらにインテリア付きとなってバージョンアップしたキットなど、複雑怪奇にキットが展開されています。今回のキットはそれらのパーツから「いいとこどり」をする為にランナー数が半端ない事に……。
ちょい古いドラゴンキットとはいえ元々ハイディテールがウリでもある同社製品。目を凝らすと様々な情報が詰め込まれた彫刻が飛び込んできます。溶接跡なんかは敢えてクッキリ目に再現されてて塗装映えしそう。
正直砲塔外して覗き込まないと見えないんですが車内インテリアも再現されてます。ここから更に予備弾薬ケースや信号用旗などが取り付けられるのでもう少し情報が増えるんだよねー。みっちり感がよい。ついでというわけじゃないんですがフェンダー上面の菱形の滑り止めモールドが美しいね!
ドラゴンのキットにはマジックトラックと呼ばれるランナーから切り出し済みの連結式履帯のパーツが入っています(全部のキットじゃないけどね)。通称「マジトラ」なんて呼ばれてますが、切り出す手間が省けてるのがありがたみなのです。この車輛のパーツの勘合は悪くないので、ピンセットで摘まんでぐっと押し込めば仮固定ぐらいは出来るぞ!
説明書にも「つなげてから流し込み接着剤で流し込んでね」と書いてあるし、個人的にもその方法が好きなので流し込み接着剤でじゃんじゃんくっ付けます。10個仮固定をワンセットとし、先に必要個数分を用意しときます(今回は片側10×10)。そしてサクサク&ちょんちょんと流し込んで繋げていくよー。作業時間を長くとりたいという方は、速乾タイプじゃない流し込み接着剤を使うともう少しゆっくり作業出来るぞ! 10個くっ付けたら次の10個に流し込み、それが終わったら前の10個と合体させて20個にして……を繰り返していきます。
起動輪(ギザギザのやつ)を車体側に固定しておけばズレにくいのでオススメの方法。ただフェンダーとの隙間が狭かったりするとこの方法は難しかったりします。当たり前ですが、接着剤が乾く前に行う必要があるのでゆっくりお茶をしながら作業してる場合じゃないですよ! 勢いが大切っす!!
履帯さえ巻いてしまえばあとは細かいパーツをくっ付けていけばOK。説明書通りだと履帯装着は一番最後の工程だけど、車体と足回りが組み上がった段階でセットしたほうが取り回しがラクになるかも。見てわかるようにちょこっとエッチングパーツを使ってますが、そこまで多くないのでご安心を。
いっその事ハッチを閉めちゃうという方法もありますが!せっかく組んだのでチラ見せしておきますね……! フィギュアとか載せたらますます見えなくなるのです。インテリアってよっぽど見える工夫しないとほとんど見えなくなっちゃうんですよなー。
さあ完成した! と思っても残されたランナーにはまだまだ未使用パーツがいっぱい付いている。全部切り出してみたら本体と引けを取らない量の未使用パーツの山が完成したよ!! これらはジャンクパーツとしてありがたく使わせていただきましょう。
正直パーツも多いし、前記したように様々なランナーから構成されているので似たようなパーツがたくさんあります。しかも全部使わないわけじゃなくて選択式のパーツもあるから余計にたくさん余る。砲塔とかまるっと一個余るからね! パーツ切り出す時にパーツ形状だけだと間違えそうになるので気を付ける必要がありますが、組み上がると手のひらサイズでちんまりしたI号戦車が完成してにこにこ出来ます。ちょっと手応えある戦車プラモを作ってみたい方にはチャレンジしがいのあるキットですよ!
1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。