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ドイツ軍ナンバリング戦車がタミヤでコンプリート!ラストピースとなった「ドイツ I号戦車B型」ってどんな戦車ですか??

 先日タミヤから発売された、1/35 「ドイツⅠ号戦車B型」。これでタミヤ製キットでⅠ〜Ⅵ号(Ⅴ号はパンター、Ⅵ号はティーガーとして知られています)の戦車がずらりと揃うことになりました。ぜんぶ並べてみたい!

 で、このⅠ号戦車、名前の通り「第一次大戦後に初めて量産されたドイツ戦車」として知られています。第一次対戦後、敗戦国であるドイツは、ヴェルサイユ条約によって自国での戦車開発を禁止されていました。ですが、戦車といえば第一次大戦で初めて登場した、できたてホヤホヤの新兵器。当然その開発・運用は伸び代だらけであり、各国がこぞって「こういう車両はどうだろうか」「こうやって運用したらいいんじゃないだろうか」というアイデアを試していました。当時の最新兵器だった戦車は、現在で言えばAIを使った兵器やドローン兵器くらいの立ち位置だったのかもしれません。

 そんな開発が伸び盛りのタイミングで国産戦車の開発を禁止されてしまえば、後から追いつくのは至難の業になります。なんとかして条約をかいくぐって戦車を試作することはできないかと、大戦間のドイツは頭を悩ませることになりました。その結果、ドイツ軍と兵器メーカーは「これはちょっと重いトラクターです」「こっちは軽いトラクターの試作品で、兵器じゃないです」という無理めの言い訳を用意しながら試作車両を作り、当時は仲の良かったソ連の実験場に運び込んでは、テストを繰り返していました。第一次大戦中に戦車開発で連合国に遅れをとったドイツは、なんとしてでも失点を取り戻しておかねばならなかったのでしょう。

 そうやって試作車両をああでもない、こうでもない、といじくり回しつつ、「いきなり実戦でバチバチ殴り合えるような本格的な戦車を作るのは難しそうだから、ひとまず生産と運用の練習台になるような車両を作ってみよう」というアイデアから生まれてきたのが、Ⅰ号戦車です。あくまで戦車の生産の練習用につくったものを、これまた戦車の操縦の練習に使えば、将来の機甲部隊編成にとっていいことづくめでは……という理屈です。

 練習用戦車だったⅠ号戦車は、作った当初ですら小型軽量すぎ、「これで実戦を戦うのは無理でしょ……」と評価されていました。実戦投入されたスペイン内戦でも大苦戦、ほーらやっぱりね、という感じだったわけですが、なんせ戦車の数を揃えるのには時間がかかります。1939年のポーランド侵攻時には主力になるはずのⅢ号戦車やⅣ号戦車は全く数が揃っておらず、戦力外だったはずのⅠ号戦車が主力として配備され、ポーランド軍と激突することになりました。ポーランド侵攻時に使用されたII号戦車(下写真・奥)と比較しても、ご覧の通りやや小さい……。

 その後も対仏戦から東部戦線、北アフリカ戦線と、大戦前半にドイツ軍が侵攻した場所ではだいたい姿を見せており、ようやく本来の主力だったはずのⅢ号以降の戦車が揃い始めた大戦中盤以降も、弾薬運搬車になったり後方警備をしたり、はたまた砲塔だけ取り外して要塞にとりつけられたりと、最後の最後まで使い倒されております。こうして振り返ってみればある意味、I号戦車というのはドイツ軍の台所事情の厳しさを象徴するような運用が目に付くわけです。

 そんなⅠ号戦車ですが、見た目はいかにもドイツ的というか、戦前戦後を通しての「あらゆるドイツ戦車の祖先」という感じがします。カクカクとした車体と砲塔はリベットではなく溶接が多用されており、キットでもその溶接痕はみっちりと再現されております。このバッキバキにエッジが立った、ややこしい多面体みたいな形状ときたら! 純粋にフォルムから見れば、「生産性を考えてできるだけ単純な形にしよう」みたいな貧乏くさい考えとは無縁の、大戦間のまだ余裕のあった時代の匂いも漂います。

 マーキングはデカールが付属。このマーキングの文字が真っ黄色でデカいのも、大戦劈頭の無敵ドイツ軍っぽい。わざわざ車体をジャーマングレーで塗ってるのに、どっから見てもめちゃくちゃ目立つ黄色い番号や国籍マークをバンバン描いちゃうあたり、「敵に見つかるかどうかより、友軍誤射の防止や車番の視認性のほうが大事なんだよ〜ん」という余裕を感じます。ガチンコの戦車戦に明け暮れる少し前の空気……。

 組み上がってみるとそのサイズは非常に小さく、「本当にこれで戦争しとったんか……?」と不思議な気分になります。機関銃こそくっついているものの、マジで「軽トラクター」としか言えないサイズ感。各部のリベットや滑り止めの彫刻はパッキパキに立っており、このあたりはさすが最新キットという雰囲気です。戦車兵が被っているのはクッション入りのベレー帽で、これはドイツ軍でも大戦初期しか使われていなかったアイテム。その辺りも含めて、初期ドイツ軍! 電撃戦! という雰囲気がありますね。

 ということで、とうとうドイツ軍ナンバリング戦車がタミヤで全部揃ったぞ、というこのキット。一回だけで終わらせるのは勿体無いくらい見どころの多いプラモなので、これからしばらく細かいところも見てみようかなと思っております。

しげるのプロフィール

しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

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