

タミヤの最新キットであるⅠ号戦車。このキットは、車両だけでなく付属している戦車兵も見どころです。
めちゃくちゃ小さく、武器も機関銃しかついていない戦車であるⅠ号戦車。当然搭乗員の人数も少なく、ドライバー兼無線手が車体前方に座り、コマンダー兼機関銃手が砲塔に座るという形でした。こんなにミニマムな車両でも無線はちゃんと積んでるあたりがドイツ戦車のすごいところなんですが、それはまた別の話。しかし、やろうと思えば2人でも戦車って動くんですね。

で、今回フィギュアがついているのは、砲塔の中にいるコマンダー兼機関銃手の人。近年のタミヤのフィギュアではスタンダードになった、3Dモデリングを使った生々しい彫刻が魅力です。

なんせⅠ号戦車が最前線で運用されたのは第二次大戦のごく初期なので、当然戦車兵の服装もその当時のもの。ドイツの戦車兵を象徴する黒いユニフォームを、バリッと着こなしております。丈の短いダブルブレストの上衣と、ゆったりしたズボンで構成されたこの黒い搭乗服は、1935年に密閉式の装甲車両搭乗員用として採用されたもの。裾が短くて引っかかる部分が少なく、狭い車内でも動きやすかったことから、戦車兵の服としては実用的で兵士たちからも好評だったと言われています。また、よく見ると下に来ているシャツの首元にはネクタイがついていまして、小学生の時にこのユニフォームの着こなしを知った時には「ヨーロッパの兵隊はネクタイをつけて戦争をするのか……」と驚いた記憶があります。

説明書にも記載があるのですが、この搭乗服の襟部分にはピンク色の縁取り(パイピング)が付いているものがあります。ピンクは戦車兵をあらわす兵科色で、襟の縁のほか肩章の台地やサイドキャップの前面にも使われていました。
で、説明書にも書いてある通り、このビンクのパイピングが廃止されたタイミングがよくわからない。説明書には1939年とありますが、手元の資料(『第2次大戦 各国軍装全ガイド』並木書房)では1942年と書いてあったりして、まさに「諸説あります」という状態です。とはいえ「廃止された後もそのまま着てた兵士が多かった」というのは確からしい。兵士からすれば、「俺はパイピングが無くなる前から戦車に乗ってたベテランなんだぜ」というアピールになるわけで、そりゃ取るわけないよなという気もします。

組み上がってみれば、Ⅰ号戦車の砲塔にドンズバでマッチする戦車兵ができあがります。搭乗ハッチの縁のところにビシッと手がくるのが気持ちいいですね。まっすぐな姿勢で立っているポーズは、実戦の最中というよりは停車中やパレード中という雰囲気。Ⅰ号戦車といえば再軍備宣言後の軍事パレードの印象も強い車両なので、納得のポージングと言えましょう。服装からポージングまで、まさにⅠ号戦車にぴったりのフィギュアでした。