二色のプラモを組み合わせる贅沢!新旧タミヤのでっかいF1で味わう「キメラ組み」の話

▲左が2007年再販版、右が2022年再販版。

 どうやって塗ろう、どうやって組もう……。タミヤのフラッグシップのひとつ、1/12ビッグスケールシリーズのF1モデルはそのボリュームや緻密さからどうしてもすんなりと手を付けられないと思っていた。実際このルノーRE-20ターボはいちど完成を諦めたこともあって、いつか作ろうと思っていた。

 鬼門はボディパーツを黄色と白のツートンにまとめ上げる塗装。黄色いプラスチックに白を塗るのはたいへんだ。しかし、今年の再販の大きな大きな特徴として、ボディパーツのプラスチックが白で成形されるという仕様変更があった。ふと思いつく。「家にある旧版(黄色)と新しく手に入れた新版(白色)を組み合わせれば、ほとんど塗らずに完成してしまうのではないか!?」と。

 有言実行。「塗らずに組んだらどれくらいの見栄えになるんだろう」というテーマを貫徹する。パーツを切っては貼り、切っては貼りの連続。なんせ完成全長は40cm近い大物。設計にも気合が入っている。40年前のプラモだな、と感じるような少しファジーな部分もあるし、設計マンが思い描く複雑怪奇なパーツの組み合わせがうまく機能しないところもあるけど、しかし歯ごたえがあって楽しい。

 塗って組んで……とやっていると「レベル上げをして装備を整えて中ボスに挑んでチェックポイントに戻り……」みたいなRPGの行ったり来たりを味わうことになるが、組むだけならボールを持ってただ前に進んでいくだけだ。それでもこれだけのエンジンが組み上がると、ただ貼ることがすごく楽しい。なんせ大きいので、彫刻に落ちる陰影もクッキリしていて存在感がすごい。配線もアクセントカラーになっている。

 サスペンションやディスクブレーキが立体的に入り乱れるリアアクスル周り。黒と銀、2種のメッキパーツが組み合わさるとそれだけで最高にリッチな画が見えてくる。実際に回転したりバネの力で動く機構があったりするが、これをちゃんと設計の意図通りに動かせるよう組むのはけっこう難しい。動かなくなってしまうところが出てもがっかりせず、黙々と手を動かす。

 説明書に書かれた手順通りに組み上げていくと、だんだん取り返しのつかない複雑で凶暴な大きい機械の塊が姿を表す。パーツ同士が組み合わさることで、どの部分がどんな機能を果たすのかもなんとなくわかってくる。これはやっぱり組まないとわからない。この時点で「ああ、組んでよかった!」とホンキで思っている。決して簡単ではないけど、塗装の工程を考えたら「組むだけ」に焦点を絞ったことでずいぶんスムーズに進んでいる、と思う。

 やりたかったことは最後の最後に訪れる。旧版の黄色いパーツを活かすところと、新版の白いパーツを活かすところ、そして共通して入っている黒いパーツを組み合わせる。塗らずして、説明書の塗装指示どおりの色分けが実現する。まるで色分け済みのガンプラを組んでいるようで、思わずワハハと声が出てしまう。「塗るの大変だなぁ」と思ってた15年前のオレよ、塗らんでもいい時代が来たぞ!

 組み上がってみれば、あれだけ存在感のあったメカはボディの後ろからちらりと見えるだけ。悩まず組んで良かったじゃん、と本気で思える仕上がりになった。もちろん、どんなモデルでも使える技ではない。しかし前から思っていたのは「色違いだけど同じ形のプラモがあれば、それを組み合わせるだけでも色の競演を楽しむことができるんじゃないの?」ということ。まさかのタミヤ製F1モデルでそれが実現するなんて、なんとも贅沢なことじゃありませんか。

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からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。