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筆塗りでクルマのプラモデルを作ってもいいんです/タミヤのルノー5 ターボ ラリー仕様

 「お、ラリーカーのボディだ!」と思ってもらえたら大成功。じつはこれ、ノーマスキングの筆塗りです。カーモデルはツルツルに仕上がるようにエアブラシや缶スプレーが必須で、ビシッと塗り分けるためにはマスキングのテクニックが必要だと思っている貴方に、すこしでもエールが届くといいな……と思って塗りました。

 タミヤから再販されたルノー5 ターボ ラリー仕様。黄色と白と黒の織りなすカラーリングがとても魅力的なんですが、「白を塗ってから黄色を塗って黒を塗る」という理屈はわかっても、じゃあどうやってマスキングするんだという話になると、考えるのをやめたくなります。出っ張ったところ、凹んだところ、キワがはっきりしているところ、はっきりしないところ。カーブした塗り分け、谷折りになったエッジでの塗り分け……。これらはすべて一般的に「根性」とか「根気」でどうにかする部分でしょう。あいにく私はそれを持ち合わせていない。
 ということで、手持ちの塗料でもっとも発色がよくクセのない色味を持ったGSIクレオスのMr.カラーGX キアライエロー(ラッカー系のプラモデル用塗料ですね)をおもむろに筆に取り、塗ります。ボディは白いプラスチックなので、白いところはよけて塗ります。

 黄色がざっくり塗れたら、今度はタミヤアクリルのフラットブラックを筆で塗ります。ラッカー系の黄色の上に塗るのであれば、アクリル系の塗料は下地を溶かしません。さらにはみ出したらキッチンマジックリンを含ませた綿棒でゴシゴシすればアクリル塗料だけがスルッと剥がれます。黄色と黒の塗り分けラインは黒いデカールで隠れるから適当で大丈夫です。

 おもむろに、とか、適当に、という言葉とともに塗り上がったのがこの状態です。マスキングいっさいせず、ただ筆でメロメロ塗っただけ。ツヤはチグハグだし、強い光でライティングすると透けでムラが強調されてすごい。こんなにバビバビな塗装状態でカーモデルが悲しい仕上がりになるんじゃないかと誰もが思うでしょう。オレも思うよ。でも大丈夫。デカール貼ればどうにかなるんだよ。つまりこの記事は「シティのオマケのモトコンポが意外となんとかなった」という事例を拡大解釈したものなんです。

 デカールのすごいところは、細い線とか塗ったらまず無理な発色とか、まっすぐなところがビシッと真っ直ぐだったり、めっちゃ細かい字が印刷されていたりすることです。つまり人間が筆で描けない(あるいは描こうとするととんでもない練度が必要な)模様が、切って水に浸してペロッと貼るだけで模型に付加されるということが偉い。さらに全体が1色で塗られた乗用車とは違ってラリーカーは全身にゼッケンやらスポンサーやら模様やらが入っているのでどうやってもそこに視線が集まるということ。

 デカール貼ってちょっと引きで見るとホラ、めっちゃラリーカーじゃないですか。みなさんはマーキングが入る前のムラムラのボディをいちど見ているからちょっと厳し目の採点をするかもしれませんけど、少なくともいまこの原稿を書きながら1mくらい離れた棚の上に置いてあるボディはめっちゃキレイで緻密な立体物に見えます。塗りが多少アレでも、マーキングがいっぱい入るクルマなら結構シャキッとして見えるんじゃないの……という目論見はおそらく当たっていたということになります。

 筆のムラも光沢のクリアーを吹けば結構目立たなくなりますし、表面がテカテカしてハイライトがジャキジャキ入るとさらにそれっぽくなります。これでシャーシやインテリアも組んだら間違いなく完成しちゃう。しかもラリーカーですからね。完成したら土埃で汚れてる感じを表現したりするとなおさらラリーカーにしか見えないシロモノになるんじゃないかと思っています。
 カーモデル、キレイにマジメにツルテカに塗らなきゃ……と強迫観念に駆られている人がもしいらっしゃいましたら、こんなふうにマーキングがたっくさん入る自動車を選んで筆塗りに挑みましょう。全体の雰囲気だけで言うのなら、案外どうにかなります。これはマジ。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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