できたんだぜ。タミヤのでっかいF1が。「いつかはクラウン」じゃないっすけど、模型店でめっちゃ目立つ最高のフラッグシップモデルを自分の手で完成させるって、ひとつの夢でした。それを実現してくれたのが1/12のルノーRE-20ターボ。そもそもなんでこのキットを作りたかったのかというと、話は2007年まで遡るのだ。
2007年に再販されたRE-20を買って、箱開けて銀色のでっかいコクピットを上下にドカーンとはめあわせて眺めていたんです。ボディのパーツは真っ黄色でした。翌年、そのコクピットにfigmaの柊つかさを乗っけたらジャストフィット。figmaもだいたい1/12スケールですから、「可動フィギュアをタミヤのF1に乗せる」っていうのに可能性を感じたんですよね。
2022年のオレはスタイリッシュなサイクルジャージ姿がかわいいfigmaオリジナルキャラクター、エミリを乗せたくなった。ガッツポーズあり、ハンドル握ってる姿あり、思いも寄らないキャラクターが乗ってるのもアリアリ。自転車用のヘルメットだけどまあいいじゃないフィクションですよフィクション。プラモはこういうことをやっても大丈夫なのがいい。
で、今回は「完成」まで走り切ることにしました。なぜなら今年再販されたRE-20はボディカラーが白なんです。黄色に白を塗るのは大変だけど、白に黄色を塗るのは楽勝。まるっと黄色く塗らなきゃいけないパーツもたくさんあるんですが、こっちは最初から黄色い旧版を使えばいいじゃない!(作らずに置いといてよかった〜)というのがナイス着想だと確信したわけです。
で、説明書をよーく読むと、ボディのアッパーカウルだけ白と黄色に塗り分ければ、あとはプラスチックの色のままゴールにたどり着けるっぽい。これは……勝利の予感!
当時はどうすれば塗り分けられるか考えるのも面倒……というか、そもそもどうすればこんな曲面&曲線をキレイにマスキングできるのかわからなかったんです。しかし、いまは細切りのマスキングテープもタミヤから売られているし、それがどれくらいのカーブに耐えられるかもなんとなくわかる。液状で乾燥すればペリッと剥がれる「マスキングゾル」を使うことも、それがちゃんと乾くまで待つ甲斐性もある。黄色いパーツに合わせて調色したカラーを白に塗るのはちょっと痺れたけど、満足できる仕上がり。塗れる、オレにも塗れるぞ!
(……っていうか、白いプラスチックのカーモデルと最初から完成時のイメージに染められたカーモデルが両方売られているとこんな遊びができるんだね。ふつうのカーモデルも特別企画品とかでいいからこういう製品が増えると遊び方の幅が広がると思いません?)
黄色いパーツと白いパーツのマリアージュ。メカニカルな部分は黒やシルバーのパーツ、やメッキされたパーツが入っているから、ただ接着するだけでも複雑怪奇なカタチがゴンゴン出来上がっていって、しかも最後にはボディカウルでほとんど隠れちゃう。構造はいっぱい楽しんだ!あとは雰囲気が味わえればオッケー!という気持ちで最短距離をアクセルベタ踏み。新旧プラモを組み合わせて、夏。
全部組み上げてからスポンサーデカールを貼っていくと、そこまで量も多くないし妙な曲面になじませて貼るような職人的スキルを要求されるところもほとんどありません。さらに今回はイタリアの超高級デカールメーカー、カルトグラフ社製のデカールが最初からキットに入っているから印刷の美しさも貼りやすさも文句なし!
日曜の午後、ふと「あ、これ以上貼るデカールがないや!」と思ったところで箱の中のものは全部使い切りました。つまりこれは……完成!
今回クリアした課題は「ボディカウルを塗る」だったし、それがちゃんとクリアできた。これですごく自信がついたし、また1/12のF1に出会っても戦い方がわかる人になれました。なにより、figmaが乗ってる1/12のメカってやっぱりいいもんですね。さあ、みなさんもお手持ちのフィギュアに合わせたプラモを探して作りましょう。全部塗るか、部分塗装でいいか、ぜーんぶプラスチックの色のままでいいか、アナタが決めること。アナタのプラモはアナタのもの。見たかった景色に向けて踏み出す一歩は、自分の歩幅でいいのです。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。