

タミヤのポルシェ962Cがすこぶる楽しい。楽しさの大部分は「最初からオレンジのプラスチックでできたボディにいきなりデカールを貼って仕上げたらどうなっちゃうんだろう」というちょっと背徳感のある遊びを実行したからである。オレンジのプラスチックにオレンジの塗料を塗ることは止めませんけども、せっかく最初からオレンジならそのオレンジを活かしてしまおうじゃないかという魂胆だ。それもこれも、プラモ向上委員会の「カーペインターHANDLE」を使いたいから……というツールドリブンな欲望に従いたくなったから。

オレンジ以外のパーツは全部黒なので、もうここはボディに覆われてほとんど見えなくなるもんだと思っていっさい塗らなかった。ただパーツを切って貼るだけ。いつも楽しい思いをさせてもらっているアオシマの楽プラシリーズよろしく、そこにあるパーツのカタチが組み合わさって複雑な構造体になっていくことが楽しい。

デカールを貼るのは冒頭の写真にも写っているこれまたプラモ向上委員会の「デカーリングQuickトレイ」を使うとすこぶる快調である。ひとつ切り出して水に浸してティッシュの上に置いてデカールが滑るようになったかどうかを確認して……とやらんでも、水を入れたトレイの上に切った端からポンポンデカールを置いていき、貼りたいやつから貼っていけば良いというのは、デカールを貼る行為そのものをとても楽しいものに変えてくれる。
ちなみにキットに同梱されているカット済みの窓マスキングシールは「作業中に窓ガラスに傷が付いたら嫌だし、もしかしたらクリアーを最後に吹くかも……」と思って念のために貼っておいた。窓のサイズよりシールのサイズがほんの少し小さい気がするが、これは窓のフチに黒いデカールを貼るので最終的には何の問題もない。

今回タミヤから再販されたポルシェ962Cには小さな丸いオレンジのデカールが4枚入っている。これはボディとシャーシを固定するための黒い画鋲のようなパーツを隠すためのもの。当然塗装する人にとっては不要な存在だし、説明書にはボディ全体をオレンジ色で塗装する指示が入っているのだが、「黒いピンをオレンジのデカールで隠せば塗らなくても大丈夫でしょ?」というメッセージも同時に発せられているのだ。そんならそれを使ってもいいでしょう。

結局デカールを保護してボディのツヤを出すためにクリアーをボディに吹いたものの、いわゆる「パーツの色を変えるために塗ったところ」はヘッドライトと給油口のシルバーだけ(シルバーのマーカーでちょろっと塗るだけなのでハードルは低い!)。それでもこれだけカッコいいオレンジ色の守護聖人が机の上のポディウムに躍り出る。タミヤ製キットはそもそも「難しいことをしなければ必ず完成するだけの懐の深さ」があるのが素晴らしいと思っていたので、ボディカラーと親切なデカールのおかげで「塗らずに組むだけ」という遊び方でもナイスな見た目の完成品が手に入る……ということを改めて実証してくれたことに乾杯したいのである。